きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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2005.2.22 新幹線富士川鉄橋より




2006.3.28(火)


 休暇を取りました。4月末の退職までに残っている休暇は15日ほど。早期退職組のなかには1週間も2週間も連続で休暇を取ってしまうというモサもいるようですが、さすがにそれは出来ませんけど週に1日ぐらいは休もうと思っています。そういう休暇を取り始めてつくづく思うのは、いただいた本がどんどん読めること(^^; 昔からそうやって休暇を取っておけば、こんなに礼状が遅れることもなかったんでしょうが、まあ、それは後の祭。せいぜい取れるときは取って、遅れを挽回したいと思っています。



詩集『丹の山』7集(10周年記念号)
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2006.3 神奈川県伊勢原市
岡本昌司氏代表・丹沢大山詩の会編集 1200円

<目次>
福原夏海/私の葬儀の日には 他 14〜15   きらら/産んでくれてありがとう 16〜17
照山秀雄/銃声が止んだとき 他 18〜21   今井公絵/春色のスカーフ 他 22〜26
小野秀行 27                きなこ/君と一緒に 他 28〜29
沙謝幸音/幸せのお菓子 他 30〜31     小倉克允/劣化ウラン弾 他 32〜36
松田勇樹/家族旅行 他 37         TaKaKo/山から 他 38〜43
神谷禧子/春ひと日 他 44〜47       瀬戸恵津子/しあわせ 他 48〜49
芝山ISAO/自然の皆さん教えてよ 他 50〜55 ゆき/桜三題 56〜57
松本せつ/自然よいつまでも 58〜59     川口征廣/古代ロマン 60〜61
高林智恵子/伝言 他 62〜67        早川綾香/言葉は不思議 他 68〜72
西部周子/日向薬師にて 他 73〜75     鈴木政雄/最後はこの歌の様に 他 76〜79
あかしけい子/虹色の風 他 80〜83     中平征夫/あいさつ 他 84〜88
麻生任子/足りなくて 89          吉田涼子/再会 他 90〜91
松田政子/友情(ともだち) 他 92〜93    川堺としあき/老尽録抄 94〜102
山口良子/丹沢大山詩の会 他 103〜105   上村邦子/スクリーン 他 106〜109
大橋ヒメ/かがり火 他 110〜115      土百/かなしみのいろは 116〜117
為我井千代子/花あぶさん 他 118〜121   岡本昌司/この道 他 122〜127
古郡陽一/仏蘭西菊 他 128〜133
特別寄稿/堀口精一郎 詩と花 134〜139   十年のあゆみ/古郡陽一 140〜149
年表 150〜153
名簿(折り込み) 154
あとがき 155〜156



 ニコニコ爺さん/小倉克允

年を取ると新しい知識が
楽しみになってくる
この間テレビを観ていたら
手相も変わるという
生命線が伸びたり縮んだり
運命線が太くなったり細くなったり
その人の生き様によって変化するらしい

立山という山が富山にあって
その峰々を連ねてバスが走る
こんな壮大な山が日本にあるとは
ついぞ知らなかった

遠野という民話の里は
日本で二番目に広い市になった
民話の里も町村合併か
今ごろ黄泉
(よみ)の国で
柳田国男が
くしゃみでもしているんだろう

生きているとつぎつぎと
新しい知識が増えてくる
知識の泉は新しい水を増して
どんどん湧いてくる
そのうちに物識り博士と
いわれかねない

百歳になったら
知っていることは
何でも知っているよと
ニコニコ爺さんに
なっているのかな

 創立10周年記念号です。おめでとうございます。私にも何か書けと指示があり、拙い文をお送りしたところ載せていただきました。お礼申し上げます。
 紹介した詩は、普通は「年を取ると」新しいものを受け付けなくなるところを「新しい知識が/楽しみになってくる」としている、素晴らしい作品だと思います。客観的に見れば「生きているとつぎつぎと/新しい知識が増えてくる」ものなのですが、それを素直に受け取る人は意外と少ないのではないでしょうか。それを前向きに受け止めていて、読んでいてすがすがしい気持になりました。「
丹沢大山詩の会」の力もこういう処にあるのでしょうね。益々のご発展を祈念しています。



季刊二人詩誌『夢ゝ』25(終刊)号
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2006.4 埼玉県所沢市
山本 萠氏方・書肆夢ゝ 発行 200円

<目次>
たったの一日を赤木三郎
珈琲ミル   山本 萠
幻の羽    山本 萠
あとがき



 たったの一日を/赤木三郎

そうだったのか そうかもしれない

そして いっしゅんごと に
自分にさえ忘れられ
そんなことがいつあったのかと
つぎの日には
老いて
たずねるのだ

なぜか ひとこまだけを おぼえていて

そのように
日々は すぎてゆく 夏 雑草のまわりを めぐる風
 とんでもない遠くからの声 雑音のまじる大きすぎる
 ラジオの音楽
そのように

あれは――――

(なにもかもの瞬間をぜんぶひとつにとけあわせたもの)

かすかにひびいて
それでも

 作品鑑賞の手助けとして「あとがき」も重要かもしれません。次のようになっていました。

日めくり式卓上カレンダーを使いはじめて相性がいい 一
日だけしか生きていないためだろう  それともわたしの
一日の先にはなにもないか もしくは 豊かすぎる構想の
あるためまぶしくて みえない         (あ)

 この「一日だけしか生きていない」という言葉は、作品タイトルの「たったの一日を」につながっていると思います。「いっしゅんごと に/自分にさえ忘れられ」てしまう一日。しかし、それは本当は「(なにもかもの瞬間をぜんぶひとつにとけあわせたもの)」である一日なのでしょう。決して「一日の先にはなにもない」わけではなく、「豊かすぎる構想」が「あるためまぶしくて みえない」のだろうと思います。あとがきと抱き合わせで読むのはルール違反かもしれませんけど、あとがきも詩として拝読した作品です。



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