きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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2005.6.29 山形県戸沢村より 月山

2006.4.28(金)

 午前中1時間ほど会社に行って、100名ほどの早期退職者仲間と退職手続きを済ませました。これで書類上は会社と縁が切れました。バンザイ、万歳、ばんざい!であります。正式な退職日は4月30日ですから、法的にはあと3日ということになりましょうけど、いずれにしろバンザイだな、これは。

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 会社の公式な定年祝賀会は全て断りましたが、唯一断らなかったのがこれ。以前の職場で、5年ほど前に懇親会幹事をやった仲間です。男4人、女2人の幹事で、職場の連中をあっちこっちに引っ張り回しましたけど、なぜか気の合う人たちです。1年間の幹事が終ったあとも何だかんだと理由を見つけては呑み歩いています。
 18時からこの連中が開いてくれた小さな祝賀会だけは受けました。場所は私のお気に入り『一膳一酒』。しかし呑みたかった「獺祭」は無くて「一の蔵」「〆張鶴」で我慢しました。
 写真は二次会の行き着けのスナック『フランク』で。おいおい、君ら女だろ! と言っても聞く耳を持つような相手ではありませんから放っておいたらこの始末。この店にはもう顔を出せないかなぁ。
 結局、カンバンまで居て、帰宅したのは0時を越えていたかもしれません。酒を呑んでいない写真左の女性に車で送ってもらって、グデングデンで帰ってきました。


 一応これで会社はオシマイですけど、前出のように4月30日までは社員です。実は土日に出勤する可能性があります(^^; ドイツに出張した後任者が帰国したのが昨日。今日から出社しているはずですが私とは会っていません。必要だったら土日出勤を要請してくれと言ってあります。ファィルも電子データも判るように残してきましたから、まあ大丈夫とは思いますけど、場合によっては呼び出されるかもしれません。これで出勤なんてことになったら前代未聞でしょうね。



詩とエッセイ『焔』72号
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2006.4.30 横浜市西区
福田正夫詩の会発行 1000円

<目次>

静かな気配/蒲生直英 4
兵士の体/宇田 禮 5
踊る言葉/亀川省吾 6
私がスピーチを終えた時/錦 連 7
四行詩輯/山崎豊彦 8
残してきたもの/森 やすこ 9
雪の夜に・他/黒田佳子 10
国の外にて/平出鏡子 12
山/水崎野里子 13
東松山/新井翠翹 14
冬たつ明日/伊東二美江 16
死語力/保坂登志子 17
鬱/古田豊治 18
百日紅/五喜田正巳 19
私のかつての生の三つめの場/布野栄一 20
平凡/高地 隆 21
ベナレスの少年/濱本久子 22
冬の刺客/幻の月/阿部忠俊 24
十国峠/七里が浜/古田康二 26
わだつみのこえ/小長谷源治 28
ふたたびのこころよ/瀬戸口宣司 30
ビノルドの苦痛/福田美鈴 31
心の眼球を刺す/植木肖太郎 34
伝来の地へ/金子秀夫 36
麦わら帽子/上林忠夫 38
福田正夫の詩・新春偶作/阿部忠俊 39
井上靖の詩の英訳(4)/水崎野里子 40
連載
万歩計の旅<三十>/工藤 茂 42
知らない昨日、未知の明日/宇田 禮 44
散文
顔/許 育誠 50
父と子/許 育誠 54
関東軍・飴玉・赤電灯/錦 連 60
紹介
日ネ合同詩集『花束V』/原田道子 66
『井上康男詩集・風車』/植木肖太郎 70
島田ばく追悼詩集/伊東二美江 74
詩集紹介/金子秀夫 76
寺田弘/山田直/鈴木敏幸/小寺雄造/菊地貞三/竹内美智代/上野菊江/水島美津江
編集後記 題字、表紙画 福田達夫 カット 湯沢悦木



 国の外にて/平出鏡子

日本を
遠く離れた国の空港で
飛行機の飛来を見ていた
窓ガラスに
そっと吹き掛けた言葉が返ってきた
「永く馬鹿をやっていた…」

一人旅を訝る人に
夫は猫のお守りでと言えば
事は足りる
多少連れ出してくれて
海外は慣れていますと付け足せば
良いだんな持ちの箔が
旅行会社のシールの横に貼られた
大なり小なりの行き違いに
夫だと言う男との出会いの悔いと
幾度となく旅が出来た
思いがけない人生の転換を
乗せて比べる秤はあるのだろうか

向かう搭乗口が
死への入り口になろうとも運だ
覚悟の上なら
一人や二人
十人や二十人
生き様を批判する者の存在に
左右される事も無い
帰国時の持ち込み物申請には
一度死なせた心 と書く

 「一人旅を訝る人に」というフレーズに女性の一人旅の難しさを感じます。そして「夫は猫のお守りでと言えば/事は足りる」というフレーズでは夫がいるかいないかで変る社会の眼を思い、「夫だと言う男との出会いの悔い」ではわが身を振り返ってしまいました。うちの嫁さんもそう思っているかもしれませんね。
 そういう意味でも最終連の「一度死なせた心」は、亭主族の一員としてはキツイ言葉です。「人生の転換を/乗せて比べる秤」があるかどうかは判りませんが、女性の深い心理を知らされた思いのする作品で、考えさせられました。



会報ふーるこ ぐっちゃはる4号
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2006.4.1 横浜市西区
福田美鈴氏代表 日ネ文化交流・ナマステ会発行 非売品

<目次>
花束3・出版記念会 1
私のネパール日誌(2) 金子秀夫 2
ネパール詩人アンソロジー 崎間弘美訳 3
サランコットにて 今井恵子 7
作品
茱の実/名古きよえ 8
ハミング/渡辺めぐみ 8
こころ/水崎野里子 8



 これは私自身の輝きなのか?
   KHAGHNDRAP.BHATTARAI

川原の土手沿いに歩いていたら
遠くからではあったが気が付いた
川のほんの一角が
明るく光っているのだ

私はどんどん近づいていった
そして近くに来ると
それは単にちらちら揺れる光だった
川沿いの宿の灯りを受けているのだ

月もそれ自体の輝きではない
強大な太陽をただ反射しているだけだ
そして私はふと問うた
私の人生の輝きはいったい私自身のものなのかと

 ネパール詩人アンソロジー[NEPALESE CLAY](ネパールの土)には翻訳された8編の詩が収められていました。そのうちの1編を紹介してみましたが、人間の感覚は民族に関係ないのだなとつくづく思います。「私の人生の輝きはいったい」誰を、何を「ただ反射しているだけ」なのだろう? なかには自分が「強大な太陽」そのものだと思う人や国があるかもしれませんが、少なくとも詩人はそういう立場は取らないでしょう。国境を越えた詩人の魂を感じた作品です。



詩誌『揺蘭』2006.春号
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2006.春 さいたま市大宮区
西野りーあ氏連絡先 350円

<目次>
虚空堕天使 加護ユリ・・2
一月のオードトワレ 加護ユリ・・・4
二月の
full stop 加護ユリ・・・・・・・・・・・・5
三月のヴァニラビーンズ 加護ユリ・・・・・・・・・・・6
四月のミッドナイト=亡霊たちの真昼 加護ユリ・・・・・・・・・7
五月の
fatalism 加護ユリ・・・・・・・・・・・・・・・8
六月のメランコリア 加護ユリ・・・・・・・・・・9
致命的な雪晴れ 加護ユリ・・・・・・・・10
黒い満月の夜に 横山克衛・・・・・・・・・・・12
最後の紅茶 文・横山克衛/絵・橘鵜月・・・・・・・・・・・16
水縄旅館の路地裏展望 日嘉まり子・・・・・・・・・25
水縄旅館のクリスマス 日嘉まり子・・・・・・・・・‥・・・28
水縄旅館に降ってきたキングコングの涙 日嘉まり子・・・31
観世物やしき 前口上 中坂カスカ・・・・・・・36
観世物小屋 中坂カスカ・・・・・・・・・37
物語する魔 鳩宮桜城・・・・・・・・・・・・・46
火蛇あるいは炎籠 西野りーあ・・・・・・・51
妖異の時代 西野りーあ・・・・・・・・・・・・・・・54
月の炎 西野りーあ・・・・・・・・・・・・・・・55
黎明とたそがれのあわいに−田原詩集によせて 西野りーあ・・・56
後記/日嘉 まり子・・・・・・・・・・・・・・60
後書き/編集後記/・・・・・・・・・・61

表紙【めまいの宮居・波】/裏表紙【めまいの宮居・昼刻】
コラージュ/西野りーあ



 一月のオードトワレ/加護ユリ

――これって自殺(した女優の映画)だっけ?
――あ〜、自殺(した女優の映画)じゃないね。
――あたし、自殺(する前に出演した映画)が、すごい観たいのよ。
――わたしは自殺(する前に出演した映画)の前のやつが観たい。
――あれ、タイトルなんだっけ、自殺(する前に出演した映画)の。
――あ〜、なんだったかな。

映画祭のポスターにカタカナで表記された名前
自殺(した女優)は一生 自殺(した女優)と呼ばれるんです

今も 死の事情を知らない人が映画を観れば
白い八重咲きの花の香りをスプレーされたと感じるでしょう

花びらから透ける厳しい緑の萼
生前というあいまいな言葉に
容赦なくぴったり重なる死後

新しいポスターに顔をよせると
ひとすじの煙のように
死の香りがただよっています

 言葉あそびのようですが、確かに「自殺(した女優の映画)」はおかしいですね。自殺したら映画に出演できない…。正しくは「自殺(する前に出演した映画)」。これって、笑い話じゃないけど、電話に出た中学生が「奥さん、います?」と問われて、「奥さんはいません」と答えた話に通じるかもしれませんね。その意味では「自殺(した女優)は一生 自殺(した女優)と呼ばれるんです」というフレーズも笑えます。作品は本当はかなりシリアスなんでしょうが、そこに注目しても良いかなと思います。



POST CARD MIX 5人の作家達
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2005.12.8 東京都中央区
ARTBOXインターナショナル発行 760円+税

 タイトル通り5人の作家によるポストカード集です。斉藤圭子、かわじまさよ、谷敏行、大塚聰、横山克衛各氏によって計16枚のポストカードが収められていました。著作権の関係がありますので絵は紹介しませんが上記の表紙を参照してください。



渡辺めぐみ氏詩集『光の果て』
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2006.4.20 東京都新宿区 思潮社刊 2600円+税

<目次> 装画=著者
待望 8       源泉 10
雪満ちる 16     禁令 20
気道 24       零 28
轍 32        序章 36
ヒルロイド 40    夜行 44
印象のない湖 48   夜景 52
邂逅 56       順化 60
透過率 64      道標 68
国道 72       聖歌 76
賽 80        半開 84
植樹祭 88      追慕 92
盛夏 94       翼のないものたちに 100
試み 104
.      生誕節 108
賊子 112
.      春 116
グリーン
.グリーン.120.ミカエルなんていませんわ 126
オカリナ 130
.    半旗 132
アイゼン 136
.    生を舞う 142
神々は眠る 146
.   降下 152
森 156
.       水無月をはなれる 158



 オカリナ

蝶が行く
草地を
晴れやかに 広やかに
わたしをさがす
蝶はもういない
わたしをさがす
蝶を追いかけ
見えない遠くに
わたしをさがす
光の果てに ほんの少しでも
わたしが在ることを
それだけを 信じて
わたしは わたしから
何気なく 剥がれた
出血は小さく
オカリナが
聞こえた

 どうでも良いことかもしれませんが、詩集タイトルの「光」を「光り」としなかったことに敬意を表します。送り仮名を付けるのは動詞。光らない、光ります、などは動詞ですから送り仮名を付けないと読めません。しかし名詞には付ける必要がないので付けない、これが日本語における名詞と動詞の基本的な差異だと思っていますから、このタイトルを見たときは嬉しかったですね。著者に敬意を表する由縁です。

 紹介した作品は、比較的長い作品の多いなかでは短い部類の詩ですが、著者の姿勢が良く現れていると云えるでしょう。著者にとって「わたしをさがす」ことが詩を書く動機だろう思っています。そして「光の果てに ほんの少しでも/わたしが在ることを/それだけを 信じて」書き続けている、と読み取りました。その結果として「わたしは わたしから/何気なく 剥がれ」て血を流す。しかし、その意識があれば例え出血しても「出血は小さ」いのです。犠牲を払わなければ「オカリナ」は「聞こえ」ない、とも謂えましょう。その覚悟を感じる作品です。
 本詩集は著者5年ぶりの第2詩集です。この5年間の成長の過程が垣間見える詩集です。ご一読をお薦めします。




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