きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
     060506.JPG   
 
 
 
2006.5.6
群馬県榛東村にて
 

2006.5.19(金)

 終日、餞別の返信書きで明け暮れました。4月末で退職した際、餞別金を100人近くの方からいただいたのですが、まだ礼状を書いていませんでした(^^; ようやく今日、時間がとれたという次第です。できれば5月連休明けに礼状を出したいと思っていたのですが、優先順位が高いものが目白押しでした。これで当面の宿題はほぼ終ったかな?
 明日からは日本詩人クラブの電子名簿の整備に入ります。創設初期会員の入会申込書が発見されたので電子化しておこうと思っています。これは公表できませんけど、有名なところでは高橋新吉、丸山豊、山田耕筰などがいて面白いです。名簿の電子化は10年ほど前から専任でやっていますが、こういう役得があるから辞められません。




詩誌『山形詩人』53号
yamagata sijin 53.JPG
2006.5.20 山形県西村山郡河北町
高橋英司氏編集・木村迪夫氏発行 500円

<目次>
詩●飛ぶ種は、田の海へ/木村迪夫 2
詩●なにかしらほんの少しでも/大場義宏 6
詩●耳下腺炎の夜/高啓 8
詩●つかまる/平塚志信 12
詩●フーガの技法/佐野カオリ 15
評論●超出論あるいは旅という夢想
  ――吉野弘詩集『夢焼け』論/万里小路譲 23
詩●歓喜天の柵/阿部宗一郎 30
詩●父・母/菊地隆三 38
詩●インタヴュウ・渦巻銀河NGC1300/近江正人 41
詩●母語・方言による詩らしきもの1・2/島村圭一 46
詩●創造/山田よう 50
詩●大事/高額英司 54
論考●承前 風土性について(13)
        

   黒田喜夫に観る風土/大場義宏 56
後記 65



 母語・方言による詩らしきもの1/島村圭一

  
For e v e r

シェナガ シェナガ
背中は背中
シジャ  シジャ
膝カブは膝カブ
シェンシェ シェンシェ
先生は先生


ホウエーバ*
      
エ  ドギ
おら小学校さ居た時
シェンシェ
先生が
     
おなご おどご
「おら」なて女も男も

 つかてだめだ。
     

 僕・私て言わんなね

なて、山形弁で言うもんだがら

おがすくておがすくて

えや
ワラ ワラ
笑た笑た

山形弁汚えなて

おぼこだ言うげんと
        
ナガ エ
おらおっかの腹ん中サ居っ時がら
    
コトバ
聞いった言葉だもの

ほだえ簡単に

なげらんにぇ*なよ


 
For  ever

註 *そういえば
  *捨てられない

 「母語・方言による詩らしきもの」は1と2がありましたが、ここでは1を紹介してみました。「
For  ever」が「ホウエーバ」と同じ発音とは面白いですね。英語の意味は永遠に≠ニかずっと≠ニいうことになりますが、「山形弁」は永遠だ!とも採れて、これも面白い一致です。山形県へはたまに出張で行っていましたけど、いわゆる標準語が行き渡っているせいか、「汚えなて」感じませんでしたね。さすがにここで書かれているような言葉には出会いませんでしたが、山形人の顔を思い浮かべながら発音してみると味があります。「簡単に/なげ」ないで欲しいものです。




詩誌『撃竹』62号
gekichiku 62.JPG
2006.4.30 岐阜県養老郡養老町
冨長覚梁氏発行 非売品

<目次>
神々の乱舞 …………… 中谷 順子 2   葛橋異聞 ………………… 頼 圭二郎 4
青い星雲 −岩泉 …… 北畑 光男 7   岬にて …………………… 石井真也子 10
筋違橋 ………………… 斎藤  央 12   マグサイサイパーク …… 斎藤  央 14
針金の遠近法 ………… 堀  昌義 16   仲間たちよ ……………… 堀  昌義 18
ジョイとトーチャ …… 伊藤 成雄 20   病院から帰ると ………… 若原  清 22
ぜんりつせん ………… 若原  清 24   辛夷(こぶし) …………… 前原 正治 26
虚ろなタベ …………… 前原 正治 28   石塊 ……………………… 冨長 覚梁 30
貧乏 …………………… 冨長 覚梁 32   遥かな創作彼岸への旅 … 冨長 覚梁 34
撃竹春秋………………………………… 36



 
こぶし
 辛夷/前原正治

爪先立って凍えていた
野原や田畑に
音もなく
雨が降りそそぎ
やわらかく
黒ぐろとした大地が沈んでいる
早春に
膨らみ出した辛夷の蕾の
その一つひとつに
蝉の幼虫のような
透明な仏
(ほとけ)が眠っている
花開き
光に射し殺され
宙吊りにされる日を待ちつつ

 「爪先立って凍えていた」というフレーズは寒さの形容として秀逸だと思います。身を縮めて踵を上げて震えている様子が眼に浮かぶようです。後半部分は別の意味で面白いですね。「膨らみ出した辛夷の蕾」には「透明な仏が眠ってい」て、「花開き/光に射し殺され/宙吊りにされる日を待」っていると言うのですから穏やかではありません。「辛夷」にはそれに関連するような意味や謂われがあるのかと思ってしらべましたが、特にないようです。作者の辛夷を見る感覚なのでしょう。こういう見方もあるのかと感心した作品です。




   back(5月の部屋へ戻る)

   
home