きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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2006.5.6
群馬県榛東村にて
 

2006.5.21(日)

 1年ぶりぐらいになるでしょうか、小田急線東海大学前駅から徒歩1分の紙芝居喫茶「アリキアの街」に行って来ました。風間翔さんの朗読ライヴを聴きまして、たっぷり2時間堪能しました。

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 写真は朗読が終ったあとの懇親会で、風間翔さんを囲んで。後の絵も風間さんが描いたものです。
 風間さんの朗読は何度か聴いていますし、今回も文句なしだったのですが、原作には大きな不満を持ちました。ある芥川賞作家の怪奇小説だったのですが、文章が下手で構成も悪く、途中から苛ついてしまいました。余計なところで余計な幽霊が出て来てブチコワシ。それでも最後は見事な締めになって、それまでの詰まらないところは許せるなと思ったら、最後ではなく、だらだらと蛇足が続く始末。思わず顔をしかめてしまいました。
 小説の合評会だったらガンガンやられていたでしょうね。私と同じ感想を持った人がいましたから、たぶん私の偏見ではないでしょう。ホラー小説らしいのですが、読者をバカにしているのかと言いたいですね。ま、ここで吼えていてもしょうがないけど(^^;

 それはそれとして久しぶりにアリキアの皆さんとゆっくり話が出来て良かったです。しばらく前に大阪の女性からメールをいただいて、アリキアのオーナーと親しいとのことでしたので、その旨をオーナーに伝えたら、その人のことは当然ご存知でした。詩の世界は狭いことは判っていましたけど、こんな身近でつながりがあるなんて意外でしたね。そんなことも話題にしながらお酒を呑んで…。そうそうアリキアお薦めの和歌山の「黒牛」を呑みました。和歌山に出張したときに呑んだ記憶がありますけど、コクのある日本酒らしいお酒でした。これも今日の収穫でした。
 今度は6月18日にポエトリーリーディングをやろうということになりましたから、それも行くつもりでいます。お近くの人、遠くの人も(^^; よろしかったらおいでください。



イラスト集『黒田オサム』
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東京都東村山市 黒田オサム氏発行 非売品

 前出のアリキアで著者よりいただきました。手造りのイラスト集ですが、イメージは表紙の絵を参照してください。紙芝居をやったり山谷で乞食芸をやったりしたというだけあって、ちょっと毒があります。しかしその毒は権力者や金持ちへ向けられたもので、底辺で生きている人間に向ける視線にはあたたか味を感じますね。機会があったら手に取ってみてください。




薬師川虹一氏詩と写真集『石佛に向かう』
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2006.5.1 京都市右京区 洛西書院刊 2500円+税

<目次>
序 文……森谷洋至
何を求めているのですか ……6   坂本 西教寺 二十五菩薩来迎像(一)…7
温 顔 …………………………8   坂本 西教寺 二十五菩薩来迎像(二)…9
お団子 …………………………10   坂本 西教寺 二十五菩薩来迎像(三)…11
困 惑 …………………………12   坂本 西教寺 二十五菩薩来迎像(四)…13
天と地と ………………………14   坂本 西教寺 二十五菩薩来迎像(五)…15
花清妙蓮童女 …………………16   坂本 西教寺 二十五菩薩来迎像(六)…17
舞 姿 …………………………18   坂本 西教寺 二十五菩薩来迎像(七)…19
天上の調べ ……………………20   坂本 西教寺 二十五菩薩来迎像(八)…21
合 掌 …………………………22   坂本 西教寺 二十五菩薩来迎像(九)…23
面 接 …………………………24   坂本 西教寺 二十五菩薩来迎像(十)…25
埋もれた時間 …………………26   奈良 頭塔にて……………………………27
白い月 …………………………28   深草 石峰寺 五百羅漢の内(一)………29
眦 ………………………………30   深草 石峰寺 五百羅漢の内(二)………31
異 界 …………………………32   深草 石峰寺 五百羅漢の内(三)………33
半 月 …………………………34   深草 石峰寺 五百羅漢の内(四)………35
石佛の言葉 ……………………36   嵯峨 大覚寺の石佛(一)…………………37
童 顔 …………………………38   嵯峨 大覚寺の石佛(二)…………………39
木化するか ……………………40   嵯峨 大覚寺の石佛(三)…………………41
風と石佛 ………………………42   嵯峨 大覚寺の石佛(四)…………………43
安らぎ …………………………44   嵯峨 大覚寺の石佛(五)…………………45
恐 竜 …………………………46   嵯峨 大覚寺の石佛(六)…………………47
湖北黒山の石佛 ………………48   湖北 永原 黒山石佛群 ………………49
鵜川四十八体佛 ………………50   近江高島 鵜川四十八体佛 ……………51
奈良坂 …………………………52   奈良 般若寺の石佛(一)…………………53
水掛地蔵 ………………………54   奈良 般若寺の石佛(二)…………………55
絆 ………………………………56   奈良 般若寺の石佛(三)…………………57
愁い ……………………………58   奈良 般若寺の石佛(四)…………………59
燃える石佛 ……………………60   奈良 般若寺の石佛(五)…………………61
変 貌 …………………………62   関 石山観音公園磨崖佛(一)……………63
石佛に問う ……………………64   関 石山観音公園磨崖佛(二)……………65
鐘楼の音 ………………………66   安曇川 玉泉寺の石佛(一)………………67
何処へ行くのですか …………68   安曇川 玉泉寺の石佛(二)………………69
あとがき              表紙・扉の剪文字 小林和子



 面接

面接試験室へ
おずおずと入ってくる受験生は
型どおり名前を名乗って椅子の横に立つ
お座りなさい
という言葉を聞いて座る

両手の拳が入る程度に開いた膝を揃え
軽く握った拳を膝に乗せて
しっかりと開いた目をこちらに向けている
地下鉄で座っている学生と
全く違う姿がそこにある

どうしてこうも違った姿勢が取れるのだろう
二分間で自分の特性を言ってご覧
もっと他に尋ねたい事が山ほどあるのに
何という馬鹿げた質問をしているのだろう
と思いながら尋ねている自分の愚かさ

教えられたとおりに部活の成果を語る学生
ドラマのような自分を述べるより
自分の言葉で語る方がずっと良く判るのに……
何も言わずともその姿勢や顔つきを見れば
大体の想像は付くと言うものだ

誰がこの菩薩の前で
面接試験を
受けられるだろう

 石仏の写真と詩が組み合わされた豪華な詩・写真集です。いずれも詩と写真が絶妙な補完をしていて、詩人が撮る写真の味を出していると思います。その中から「面接」を紹介してみました。添えられた写真は「坂本 西教寺 二十五菩薩来迎像(十)」で、ややうつむいた菩薩様の横顔です。「面接試験」を受ける学生と試験する側の著者という構図ですが、最終連は試験官側にも向けられているわけで、この姿勢は本著に通低しているものと云えるでしょう。質の高い写真と詩作品。一度は手に取って見てほしい詩・写真集です。




隔月刊詩誌RIVIERE86号
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2006.5.15 大阪府堺市 横田英子氏発行 500円

<目次>
返事            泉 本 真 里(4)  削り取られていく    後   恵 子(6)
弥生の昔の物語(39) 口伝え 永 井 ますみ(8)  中村養蜂場の春     正 岡 洋 未(10)
ある夕刻          安心院 祐 一(12)  私の家  昔日     藤 本   肇(14)
遠い時間          平 野 裕 子(16)  宿命          M A R U(18)
ふかやんの結婚式      立 野 つづみ(20)  折り目         戸 田 和 樹(22)
涙             ますおかやよい(24)  割れたガラスの檻    釣 部 与 志(26)
「が」から「も」になって  松 本   映(28)  花冷えの頃T U    横 田 英 子(30)
春ですね          石 村 勇 二(32)
平野裕子詩集『季節の鍵』     (34)〜(37)  RIVIERE/せせらぎ   (38)〜(42)
 相馬大/熊畑学/鈴木一成/橋口しほ/河井洋     釣部与志/横田英子/石村勇二/河井洋
梅崎義晴ワールド(追悼作品集抄) (43)〜(50)  受贈誌一覧              (51)
 ランプ 賽銭箱の世界 他             同人住所録              (52)
編集ノート         河 井   洋(53)  表紙の写真・TORU/詩・安心院祐一



 日の三分の一/梅崎義晴

テレビ塔のある
丘から
垣根沿いに降りていくと
ちいさな庵が
あった

門をくぐれば
尼僧がいて
「旅も休むこともいいですね」
といった

お堂の畳のうえに
大の字になって
寝転んだ

天井からは
座布団を折った
赤子のようなものが
いくつもぶらさがっていて
眠った

日が畳の三分の一程
入ってきた時
めざめた

尼僧に礼をいって
さらに坂を降りて
繁華街の
駅の方に向った

日もとっぷり暮れて
ホームには
通勤電車が入ってきた

 今号は今年3月に53歳という若さで亡くなった梅崎義晴氏の追悼特集号で、作品集抄として16篇の遺作を載せていました。過去の詩集や『RIVIERE』に発表した作品です。ここでは『RIVIERE』44号(1999年5月発行)の作品を紹介してみました。人生という旅の途中の、ホッと心休まる時間を描いた秀作だと思います。タイトルも佳いですね。この安らぎは梅崎詩の中でも異色かもしれません。20代の頃から何度かお会いしていますが、惜しい人を亡くしました。ご冥福をお祈りいたします。




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