きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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2006.5.6
群馬県榛東村にて
 

2006.5.23(火)

 昨日、蜜柑の花を撮るついでに畑や庭の花を撮りましたので、そのうちのひとつを紹介します。直径2cmほどの小さな花で、庭のあちこちに群生しています。相変わらず花の名は判りません。色から紫露草かな?なんて思っていますが、多分違うでしょう。早いところ植物図鑑を買って花の名が判るようにしたいものだと思っています。今まではそんな余裕があるのだったら、仕事に関係する化学や医療関係の本を読むべきだと、ある意味では自分を追い込んでいましたけど、その束縛が取れています。

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 だから、植物図鑑を買っても、記憶しようという気が出てこないでしょうから、覚えが悪いでしょうね。ま、化学分野も良く覚えられた方ではありませんが(^^;



詩誌しけんきゅう146号
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2006.6.1 香川県高松市
しけんきゅう社発行 350円

<目次>
〈詩作品〉
CHRISTMAS AT SANDY'S,1956 …………………………………・ 山本  潔 2
一月の水辺に/二月の水辺に/三月の水辺に ……………… 水野ひかる 4
愛は深海のドルフィンのように ……………………………… 笹本 正樹 6
ある朝 …………………………………………………… かわむら みどり 8
馭者の鞭 ……………………………………………… かんだ くじゅうく 10
コスモス ……………………………………………… くらもち さぶろう 12
影が動いている ………………………………………………… 葉山みやこ 14
広島平和記念公園を歩く/ヒロシマの呪い ………………… 秋山 淳一 16
〈創作〉
雪ウサギからのメッセージ(ナルシスへの伝言シリーズ)… さやまりほ 19
〈エッセイ〉
五月になれば …………………………………………………… 山本  潔 24
〈評論〉
モーパッサン『脂肪の塊』……………………………………… 渡邉 英夫 27
あなた を なつ の ひ に くらべ よう か
   (シェイクスピアのソネット)……………… くらもち さぶろう 29
広 場(すくうぇあ)…………………………………………………………… 33



 
CHRISTMAS AT SANDY’S,1956/山本 潔

朝の台所がしらんでくる
ストーブのうえに黒猫が一匹
昨夜のぬくもりを楽しんでいる
つりあがった黄色い目が動かない
にわとりはまだねている

誰がはじめにおきてくるだろう
ストーブに火を入れるのは誰だろう
のみさしのコーヒーカップに光がしのびよる

 暮らしによりそって時間が流れる時代だ
 それでも人はさびしい生きもの

マガジンラックに「LIFE」が一冊
表紙の男の名前はしらない
そこへもひとすじの朝の光

太い梁に飾られたモミの葉のリースに
むすばれてうつくしい赤いリボン
その両側につるされてフライパンがいっぱい
床には古びたブリキのバケツがひとつ

 ものの形があたたかい時代だ
 それでも人はさびしい生きものか

もうすぐ冬の朝がぬくもりはじめる
なにもひきずらないで一日がはじまる
ありふれたものに囲まれたありふれた暮らしがはじまる
黒猫はまだ動かない
にわとりはまだなかない
神の子はまだうまれない

Wynn Bullockの写真より)

 まるで絵のような作品だと思いながら読んでみたら「
Wynn Bullockの写真」だったのですね。この人が写真家なのか、本当はどんな写真なのかは判りませんが、良い絵≠セろうと思います。
 それだけなら写真を言葉で上手く描写しましたねで終っていまうのですが、この作品の佳いところは一字下げの第3連、第6連にあると云えるでしょう。「時代」と「人」について語ることによって、写真の読み≠フ深さが伝わってきます。そして何より最終連の「神の子はまだうまれない」というフレーズに感嘆してしまいます。おそらくこれが写真のテーマだったのかもしれません。
 蛇足ですが、もし私がこの写真に詩を添付するとしたら、第3連、第6連、そして最終連で組み立てるだろうと思います。この8月に日本詩人クラブの詩書画展を予定していて、出展作品を考えているせいかもしれませんが、そんなイメージが頭の中で組み上がってしまった佳品です。



詩誌Messier27号
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2006.5.17 兵庫県西宮市
香山雅代氏方・Messierループ発行 非売品

<目次>
窓の月/香山雅代 2
風の青い手/香山雅代 4
浮き島/藤倉孚子 6
水をください/大西宏典 8
麦の穂の熟するころ グレコよ/大西宏典 10
南の島にて/松尾直美 12
時間の影/香山雅代 15
久しく遠い沈黙/大堀タミノ 16
星間磁場
『美女と野獣』のこと/藤倉孚子 19
スイスの休暇村
アルプスの少女ハイジの世界/松尾直美 20
W.B.イェイツの炯眼/香山雅代 21
アネモネ/大西宏典 22



 水をください/大西宏典

うっすらと
隠微なひかりを 滲ませて
六月の ながーい一日
ぼくは繭になった

もがいても
もがいても失語したまゝ身動きがとれない
通過した
性の痕跡だけが ぼくを囚え
再生のため 身構え あがいてみたが
ますます 情念の深みにはまるだけで 拡散も求心もせず
いびつな楕円の球になった

数式ではどう解くのだろう
執心する獣の香り

そんなこだわりとは関わりなく
歳月ととも ぼくは次第にあわく透明になり……
いつしか 模糊としたにぶい光に変身していた

あっくあ ペる ふぁぶおーれ
水をください
ぼんやりと
いまも そこに在るらしい気配
それがぼくだ

 浅学にして「あっくあ ペる ふぁぶおーれ」が何処の言語か判りませんが「水をください」という意味で良いと思います。平仮名書きが奏功しているのかもしれませんけど、一度聞いたら忘れられない言葉ですね。
 「繭」になった「ぼく」が「いびつな楕円の球にな」り、「次第にあわく透明になり……/いつしか 模糊としたにぶい光に変身していた」というイメージはカフカや安部公房を連想させて楽しくなります。最終連の「それがぼくだ」といフレーズも印象深い詩句です。繊細な中にも男の勁さを感じさせる作品だと思いました。




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