きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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2006.5.6
群馬県榛東村にて
 

2006.5.24(水)

 日本ペンクラブ電子文藝館出稿作品のチェックをしています。知り合いの詩人会員に出稿をお願いして、今日、基礎資料が全て揃いました。出稿にあたっては、(1)電子化された作品であること、(2)底本か、または作品オリジナル部分のコピー、表紙・奥付のコピーが最低限必要になります。(1)はインターネット上の処理のため必要になります。(2)は掲載作品の正確さを保つためにオリジナルを確認しておこうというものです。今回の会員の場合、(1)はすでにEメールで送ってもらっていましたが(2)が今日届いたという次第です。
 電子文藝館の短詩系分野、特に詩については私が担当することと委員会で指示されています。要するに会員からの作品をたくさん集めよ、会員外・物故者でも掲載したいものを探してお前の責任で出稿せよ、ということですね。正直なところ、会社員をやりながらこれを達成するのはシンドイことでしたが、今は失業の身(^^; ある意味ではライフワークにしても良いほどの仕事ですから、これからはどんどん呼び掛けていくつもりです。とは言ってもこちらかに声を掛けるには限りがありますので、会員の方は私に申し付けていただければと思っています。現在、小説や詩などの全分野を合計しても600篇余。なるべく早い時期に1000篇を達成したいと思っていますので、お知らせいただければ嬉しいです。
 そこで問題になるのが(1)です。ワープロやパソコンをお遣いの方は問題ありませんが、触ったこともないという方には大きなハードルです。公式にはあくまでも電子化された作品で、ということになりますけど、村山個人の資格で個別の相談に乗ります。これまでも乗ってきました。まずはご連絡ください。あなたの作品を島崎藤村初代会長以下、日本を代表する文芸家の作品と共に文藝館に載せましょう。永久保存のアーカイブ図書館です。


 と、ここまで書いてアップロードしたところで姪から電話。今夕、自宅でミニコンサートをやるから聴きに来てくれ、とのこと。もちろん行くと返答しました。

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 プレーヤーは姪二人と、家族ぐるみのつき合いがある牧師さんで、牧師さんはバイオリンとビオラ、姪たちはピアノ、エレクトーン、そしてトロンボーン。トロンボーンは意外な組み合わせですが、なかなか合っていましたね。観客は姪たちの家族と近所の人たちなど10人ほど。愛犬「こむぎ」まで動員されていたなあ(^^;
 曲目はディズニー映画、レイ・ハーリング作曲の「星に願いを」から始まってマスカーニの「カバレリア・ルスティカーナ」、バッハ作曲にさらにグノが編曲した「アベ・マリア」、ナオミシェメルの「黄金のエルサレム」と「アル・コル・エレ」。ご存知サンサースの「白鳥」にヘンデルの「オンブラ・マイフ」と続き、エルガー「愛の挨拶」、モンティ「チャルダッシュ」。そして最後は葉加瀬太郎の「エトピリカ」「情熱大陸」でした。
 アンコールもちゃんとあって(^^; バッハの「アリオーソ」、ジョン・ウイリアムズ「シンドラーのリスト」、カッチーニの「アベ・マリア」でした。

 音楽に詳しくない私が何故メニューか書けるかというと、ちゃんとプログラムがあったからです。半分ほどの曲しか知りませんでしたが、やはり生の演奏は良いですね。
1時間ほどのホームコンサートでしたけど、軽い食事をしながら、私とおばあさんは日本酒を呑みながらで、リラックスして聴くことが出来ました。お酒も先週呑み残した「越乃寒梅」「土佐鶴」があって、とても美味しくいただきました。ちゃんとしたホームコンサートは初めてだったそうですが、これなら度々でもいいな。プレーヤーが3人揃うのは難しいでしょうけど、続けてほしいものです。



詩と散文『多島海』9号
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2006.5.20 神戸市北区
江口節氏発行 非売品

<目次>
Poem
風の人、やさしい時間*松本衆司…2
夢見橋*森原直子…6
夢について*彼未れい子…10
嫩葉頃*江口 節…12
Prose
「パン」の話*森原直子…14
社団法人の自治会*彼末れい子…17
壷中別に天あり*松本衆司…23
内面の手記(抄)*M・ノエル 訳江口節…30
同人名簿…35
入り江で…36
カット 彼末れい子



 風の人、やさしい時間/松本衆司

ぼくは此処
こうしてずっと
あなたのそばにいる
ひろやかな蒼い空から
こころのすきまに
やわらかな風を
おくる

ここに集う人は
風の人

もしかして、百年の後のために
たくさんの詩を書いてきた
そんな人たち
名のある人も、名のない人も
そうかもしれない……
ひとときの哀しいいのちに
寄り添うために

ここに集う人は
だから、風
どんなときが
やさしい時間か年がら年中考えている
なかなかうまくいかないけれど
ふうう、ほわっ
と、ああでもない、こうでもないと
そんなふうに思案したり、語り合ったり
ふうう、ほわっほわっ
と、ああ、これもきっといい時間…

着衣を一枚脱ぎながら
春の街を散歩する
昼下がりの空に
忘れていたちいさな記憶を
ひとつ、思い出す
ああ、これもきっといい時間

日曜日、ひとりでいても

だから
ぼくは此処
こうしてずっとそばにいる
ときどき、あなたのこころに
しのびこむ子供時代の夢のように
ひろやかな
空から、あなたに
風をおくる

 「ぼくは」「こころのすきまに/やわらかな風を/おくる」人。「ここに集う人は/風の人」。登場する人は全員が「風の人」ということになります。その人たちは何を考えているかというと「もしかして、百年の後のために/たくさんの詩を書いてきた/そんな人たち」。要するに詩人たち、広い意味では芸術家たちと言ってよいと思います。その人たちは何をしているかというと「どんなときが/やさしい時間か年がら年中考えてい」たり「忘れていたちいさな記憶を/ひとつ、思い出」したりしている。そして「子供時代の夢のように」「ときどき、あなたのこころに/しのびこむ」。ある意味では最も贅沢な時間「やさしい時間」、「いい時間」を遣っている人たちかもしれませんね。芸術の真髄を表現した佳品だと思いました。



詩誌『地平線』40号
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2006.5.20 東京都足立区
銀嶺舎・丸山勝久氏発行 600円

<目次>
結露……………………福榮 太郎 1   リモコン時代…………飯島 幸子 3
蘭(Tropidia)…………金子以左生 5   その日まで……………沢  聖子 7
或るとき……………いわ・たろう 9   ブラックコーヒー……大川久美子 11

たにみちお追悼――
<写真・詩歴> 表2/詩「落日」、<ことば> 丸山勝久…………扉
詩「十一月のバラード」………………………………………………たに みちお
<五日市のたにさん>山田隆昭 13/<たにみちおさんの思い出>秋元 桐 14/<追悼>
中村吾郎 15/<追悼>野田新五 15/<たにみちおさんの逝去を悼んで>鈴木絢子 15
/<たにさんとの約束>飯島幸子 16/<をろがむ「たにみちおさん」にささげる>いわ・
たろう 16/<詩魂>樽美忠夫 16/<たにさんへ>福栄太郎 17/<祈り−そして詩>
大川久美子 17/<たにみちおさまのご冥福をお祈り申し上げます>小野幸子 17/<追
悼>田口秀美 18/<たにみちおさんに>山川久三 18/<ご逝去を悼みます>川田裕子
18/<たにみちお氏のこと>杜戸 泉 19/<お人柄を偲んで>沢 聖子 20
詩「ロマンのかけらを引きずって」…………………………………たに みちお 19

恋情……………………小野田 楸 21   風鈴……………………川田 裕子 23
ロールキャベツ………小野 幸子 25   変乱……………………樽美 忠夫 27
出稼ぎ猿………………杜戸  泉 29   佐原……………………鈴木 詢子 31
書 評 中村吾郎詩集『流離の磯』を読む …………………………菊田  守 33
白日夢…………………田口 秀美 35   砂………………………山川 久三 37
ビストロ・舟虫亭……野田 新五 39   甲斐……………………中村 吾郎 41
安全演習………………秋元  炯 43   白日……………………山田 隆昭 45
風景……………………丸山 勝久 47
編集の窓・同人名簿……………… 49   編集後記…………………………… 50



 落日/たに みちお

ひたひたと追って来るもの
夕日に向かって立っている

悲しみではない
胸一杯に広がるもの
空しさではない
生きているおごそかな渇き
心のすきまに忍びこんで
出ていこうとしない惜別の情
振り返ると何も見えなかった

ここから先のことは
あなたに全てを委ねるほかはない
その一瞬の
一点の
落日

 日本詩人クラブの会員でもあり、この1月に77歳で亡くなったたにみちおさんの追悼号になっていました。
 紹介した作品は遺影とともに巻頭に載っていたものです。『落日』という詩集のタイトルポエムだったようです。おそらく亡くなる何年も前の作品だと思いますが、いずれ迎える死についての覚悟と採ることができるでしょう。それは「悲しみではない」、「空しさではない」として「ここから先のことは/あなたに全てを委ねるほかはない」とする潔さを感じます。ご冥福をお祈りいたします。




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