きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり 】 |
2006.5.29 さいたま・見沼たんぼ「見沼自然公園」にて |
2006.6.28(水)
西新宿の「キリンシティ」に行ってきました。キリンビールの直営店です。ある集まりの会場に予約してある場所で、名目は下見ですが、皆さんに先駆けて旨いキリンを呑みたかったのです(^^; 私はビールならキリン党です。昔から呑んでいますから味に安心感があるのでしょうけど、バランスのとれた味が魅力なんです。しかも直営店は泡が旨い。クリーミィーな泡は何度挑戦しても素人では無理ですね。その泡のために数百円を掛けると云っても良いでしょう。もちろん満足して帰ってきました。お店の雰囲気も判ったし、これで安心して呑める、、、いや、違った、打合せが出来る(^^;
○季刊詩誌『竜骨』61号 |
2006.6.25
さいたま市桜区 高橋次夫氏方・竜骨の会発行 600円 |
<目次>
<作品>
灯 松崎 粲 4 寂しい公園 島崎文緒 14
山をつくる 内藤喜美子 6 残像 横田恵津 16
ワープロが傷んだ 西藤 昭 8 せんべいの味 高野保治 18
便箋が消える 友枝 力 10 蜻蛉の目玉 河越潤子 20
ほどよい距離 森 清 12 芽吹き 初沢澪子 22
☆
悩み 庭野富吉 24 暗い波涛のなかで 小野川俊二 32
石について 木暮克彦 26 水ものたち 松本建彦 34
待つ 今川 洋 28 蝶 高橋次夫 36
パンドラの函 長津功三良 30
=羅針儀=
お江戸日本橋から東京駅へ 高野保治 38
=書窓=
大崎二郎詩集『幻日記』 木暮克彦 44
菊地勝彦詩集『フィクション』友枝 力 45
海嘯 個 高橋次夫 1 題字 野島祥亭
編集後記 46
ほどよい距離/森 清
名刺というのは だなあ
右手で端を持ち
左手を軽く添えて
自分の名前を告げながら
相手に渡すのだ
相手が読める高さ
手が届く距離
息が当たらぬ
ほどよい距離から
両者の関係は始まる
公園のイチョウの木の影が伸びた長さ
影が砂場を覆わず
遊動円木にかからぬ
あれがイチョウの主張する
ほどよい距離
平和とか 友好とか
それに反省だとか
勝手に言ったところで
ほどよい距離は生まれない
そんな口先だけでは
あいまいな空間が必要だ
いま それを忘れて
勝手に伸ばす距離
爆発寸前だ
「名刺」の「ほどよい距離」、「公園のイチョウの木の影」の「ほどよい距離」、なるほどなと思います。それに対して現在の政府の「勝手に伸ばす距離」は相手に「爆発寸前」の怒りで迎えられているのだと読み取りました。人間の間でも政治の世界でも「あいまいな空間が必要だ」と教えていただきました。
○詩誌『布』22号 |
2006.5.25
山口県宇部市 先田督裕氏・他発行 100円 |
<目次>
小網恵子 三月 2
寺田美由記 使う言葉 3/関係 4
太原千住子 ただの旅人でいることは 5
杜 みち子 陽のあたる坂道 7
先田督裕 営業マン失格 9/転機 10
阿蘇 豊 待っていたように 11/雲男 12
橋口 久 換気扇 13
ひとこと 14
「布」連詩 花の香りの巻 17
三月/小網恵子
薔薇の木に呼び止められた
灰色の棘がセーターの袖を
しっかり掴んでいる
棘と棘の間 紅(くれない)の芽が
ぷっくり膨らんでいる
伸びていく葉や蕾を内包して
乳首のような弾力のある芽
棘に守られ 愛でる言葉だけ浴びて
てらてらと艶を増していくのだろう
雨が降りはじめて
薔薇の木を洗う
紅の芽を 濯いで濯いで
色が落ちるまで降り続ければいい
翌朝 私のまぶたが腫れる
帽子を目深にかぶり診察室へ入る
灰色の棘を抜いてもらう
その時からだ
目を閉じると まぶたの裏で
薔薇の蕾がほどけるようになったのは
第1連の「薔薇の木に呼び止められた」が佳いですね。何事かと思ったら「灰色の棘がセーターの袖を/しっかり掴んでいる」。要はセーターの袖が薔薇の棘に引っ掛かったということ。私ならチクショウ!≠ニ思うところですが、それを「呼び止められた」と表現するところにこの詩人の優しさと視線の良さを感じます。
しかし薔薇に対してはけっこう辛辣な見方もしているようです。「棘に守られ 愛でる言葉だけ浴びて/てらてらと艶を増していくのだろう」というフレーズは単純な薔薇の見方ではありません。最終連の「灰色の棘を抜いてもらう」もそうですね。さらにそれに留まらず「薔薇の蕾がほどけるようになった」と謂うのは、もう一度「呼び止められた」の感覚に戻っているように思います。短い詩ですが多角的、多面的に薔薇を見ていて、しかも薔薇は何の喩かも読者に考えさせる佳品だと思いました。
○高崎現代詩の会
会誌 『Scramble』82号 |
2006.6.28
群馬県高崎市 平方秀夫氏発行 非売品 |
おもな記事
○手話のイロハ…………………………高橋克彦1 ○会員の詩………………………………………5
○高崎現代詩の会ゼミ(講師 野口武久氏) 福田 誠/遠藤草人
講演「萩原朔太郎と現代詩」記録 金井治子2 横山慎一/芝 基紘/清水由実
○私の好きな詩…………………………宮崎 清4 ○高崎現代詩の会総会18年度総会/ゼミ 8
チャールズ・シミックの不思議な魅力(2) ○新入会員紹介(天田紀子/横山慎一)ほか8
音楽の神様/福田 誠
さしずめショパンは「」(サンズイ)
そしたらラフマニノフは「冫」(ニスイ)
異論の少ないところでベートーベンは「」(ヤマイダレ)
ワーグナーは「言」(ゴンベン)かな
モーツァルトは「心」(シタゴコロ)といったところ
そしてバッハは「示」(シメスヘン)でしょう
チャイコフスキーは「」(シンニョウ)とで
ドビュッシーは「月」(ニクヅキ)といったところかな
ビゼーはなんていったって「女」(オンナヘン)
シュトラウスは「宀」(ウカンムリ)がお似合い
ラヴェルは「」(レンガ)かもしれない
シューベルトはなんとなく「廴」(エンニョウ)でしょう
なんてったってヴィバルディは「日」(ヒヘン)です
ホルストは「厂「」(ガンダレ)っぽい
それならドヴォルザークは「」(コザトヘン)
ムソルグスキーはやっぱり「」(ケモノヘン)
サラサーテは「」(リッシンベン)といったところ
おいらは聴くだけの凡人で
ヘンもツクリもなくて
毎日自己満足のヘリクツこねるだけ
汚くて、見苦しくて申し訳ありません。「会員の詩」というコーナーに載っていた作品です。面白かったので、文字コードのあるものはそれを、無いものは『文字鏡』という特殊なソフトを使って画像で貼り付けました。ルビも奇麗に表現できないので( )に入れてあります。作者の意図は「ヘンもツクリもなくて/毎日自己満足のヘリクツこねるだけ」という洒落にあると思います。音楽家とヘンとツクリの関係は必然性がよく判らなくて異論もあると思いますけど、私はこの発想に瞠目しました。こういう作品があっても良いでしょう。楽しませていただきました。
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