きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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2006.6.11 京都・泉湧寺にて



2006.7.3(月)

 朝、起きる気にならず、朝食も摂らず、一日グダグダと過ごしていたら夕方になってしまいました(^^; 昨日のお酒がちょっと過ぎたのかもしれません。それよりも、何もしなくて良い(実際にはそんなことはないんですが)という気持ちが先に立って、気が緩んでいるんでしょうね。やらなければいけないことは、実はまだ山積みです。切羽詰ったものはありませんが、いずれやっておかないといけないことばっかりです。退職して2カ月、気を引き締めることと緩ませることのバランスの取り方にまだ慣れていません。ペースをつかむまでには、あと1ヵ月ぐらい掛かるかもしれないなぁと思っています。



結城文氏詩と短歌による組詩集
『できるすべて』
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2006.6.8 東京都千代田区
砂子屋書房刊 2500円+税

<目次>

T できるすべて      I All I Can Do  
できるすべて    All I Can Do
そっと伝えたい秋 12    Autumn Delivered in a Murmur 13
ふとたちどまり 16    Standstill 17
鳩のように 20    Like a Dove 21
坐りハンモック 24    Chair Hammock 25
身体 28    My Self 29
32    Life 33
「あ」「い」 36    “Ah”“E” 37
がたい 40    Your Massiveness 41
薄暮 44    Twilight 45
U 歩くということ    U Walking  
高円寺北公園 50    Koenji North Park 51
もう一度死ぬ 54    Die Once More 55
おむつ 58    Diaper 59
あの日のように 62    That Day Again 63
縄文杉だ 66    The Jomon−cedar 67
あかぎれ 70    The Chapped Hand 71
歩くということ 74    Walking 75
V 二十一世紀の夢殿    V Ymedomo of the Twenty-First Century
どこへ 80    Destination 81
神のサイコロ 84    God’s Dice 85
ゆうぐれの木 88    A Tree at Dusk 89
青桐 92    Chinese Parasol Tree 93
電車で坐る側 96    The Side I Sit When I Take Train 97
ハニーの眠り 100    Honey Sleep 101
東京湾の風 104    Tokyo Bay Wind 105
海の詩 108    Song of the Sea 109
二十一世紀の夢殿 112    Ymedomo of the Twenty−First Century 113
あとがき 116    Postscript 117

 



 できるすべて

ほとほとと
運命の扉をたたく風が
あれば
扉を 開きましょう

せいいっぱい
天を指さす しろがねの
裸木があれば
雲を 一緒に仰ぎましょう

水の辺に
風に吹かれて折れそうな
葦があるなら
そばで一緒に 吹かれましょう

地球温暖化のために
たびたび南下する寒波の冬に飢えている
鳥たちのため
庭に 餌を置きましょう

生まれたなら
百パーセントの確率で
死はくるのだから
それまでの 地球の時間を
分かちましょう

受け容れること
かたわらに佇むこと
わずかを与え
地球の時間を分つこと
それが私にできるすべて


短歌

繭の糸より繊細にわたりをり愛という名のひとすぢの糸



 
All I Can Do

Softly
when the winds
caress the door of fate,
I will open it for you.

a bare tree stands
with silver branches
stretched to the utmost,
I will gaze at the clouds with you.

at waters’ edge
a reed stands almost broken
by winds,
I will be blow together with you.

for the sake of hungry birds,
in this winter brought by the cold waves
of global waming,
I put a feeder in my garden.

once born,
with one hundred percentage certainity
Death comes;
we will share
the time on the earth.

to accept you,
to stand by you,
to give a little,
to share the time on the earth,
this is all I can do.


Tanka

a thread
more delicate than a cocoon’s,
an invisible thread
called “Love”
between us


 「
詩と短歌による組詩集」となっていますが、それは日本語だけでなく英文との組み合わせという意味でもありました。目次のように左の頁に日本語、右に英文という対になっています。私などは詩もろくに創れないのに短歌なんてとても、と思ってしまうのですが、さらに英文による詩と短歌ですからね、それだけでも敬服してしまいます。
 タイトルポエムでもあり巻頭作品でもある「できるすべて」を紹介してみました。英語では「
all I can do」と言うのですね。これも佳い言葉だと思います。死が訪れる「それまでの 地球の時間を/分かちましょう」という姿勢に共感します。詩と短歌と英文、貴重な1冊と云えましょう。



詩誌『ガーネット』49号
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2006.7.1 神戸市北区
高階杞一氏方・空とぶキリン社発行 500円

<目次>
詩 高階杞一 漬け物/金魚の昼寝 4
  大橋政人 理由/群馬の犬はかわいそうだ 8
  嵯峨恵子 尖塔の間から/朝の仕事/
       おまえの物語はおまえだけの物語ではない 12
  阿瀧 康 春から夏へ 30
  神尾和寿 金管楽器 38
1編の詩から(20)会田網雄 嵯峨恵子 23
シリーズ〈今、わたしの円心事〉NO.49 26
 岡野絵里子/桜庭英子/黒岩隆/かわじまさよ
ためになる、講義(1)花も実もある話 高階紀一 28
詩集から NO.47 高階杞一 40
●詩片・受贈図書一覧
ガーネット・タイム 48
 無断使用について 高階杞一
 ベスト 嵯峨恵子
 友人たちの本 大橋政人
 冬から春へ 阿瀧 康
 あの、気が狂ったような 神尾和寿
INFORMATION 53
同人著書リスト 54
あとがき 56



 金魚の昼寝/高階杞一

 縁側に画用紙を広げ、庭を見ていると、お母さんが来て、「まだ
描いてないの」と言いました。
「何を描いたらいいかわからへん」
「アサガオは?」
「アサガオは去年描いた」
「それじゃ、金魚は?」
「そうやな……」
「金魚にし。夏らしいし」
 そう言うと、お母さんは玄関から金魚鉢を持ってきて、お膳の上
に置いてくれました。それはこの前、お祭りですくってきたもので
した。黒いデメキンと赤いデメキンと普通の細長い金魚の三匹いま
した。
 お膳の前に坐り、描こうとしましたが、うまく描けません。
「やっぱり無理や」
「どうして」
「動いていて描きにくい」
「しゃあない子やなあ」
 縫い物の手をとめ、腰を浮かせると、お母さんは鉢に手を入れ、
赤いデメキンをつかまえて、お膳の上に置いてくれました。金魚は
ばたばたとはねて、水をまき散らしていましたが、やがて動かなく
なりました。
「よく観察して描くんやで」
「うん」
 まっ白な画用紙に赤い金魚がひとついる絵ができました。それだ
けでは少しさみしいので、頭の下に枕を描いてあげました。お母さ
んは、やさしいね、と頭をなでてくれました。

 夜になると、お母さんは時々出かけていきます。そんな時、ぼく
はひとりで先に寝ます。今夜も出かけていきました。
 玄関の方からときおり金魚のはねる音が聞こえてきます。いなく
なった金魚を探しているのかなあ、と思いながら寝ました。
 夏休みが終わり、描いた絵には、「金魚の昼寝」と題をつけて出
しました。

 この寓話はおもしろいなと思いながら読んでいて、ふと、これは寓話ではなく現実なのではないかと思いました。ちょっとゾッとしましたね。「お母さ/んは、やさしいね、と頭をなでてくれ」ることも無邪気に「『金魚の昼寝』と題をつけて出」すことも実際にありそうです。寓話としてももちろん読めるのですが、そういう現実を描いた作品として捉えました。



『関西詩人協会会報』42号
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2006.7.1 大阪府交野市
金堀則夫氏方事務局・杉山平一氏発行 非売品

本号の主な記事
(1)面 第五回『詩で遊ぼう会』のご案内
(2)面 『言葉の花火』第三集経過報告
    詩画展開催のご案内
(3)面 ポエム・セミナー「自作を語る 1」
(4)面 新入会員紹介
(5)面 新緑の文学散歩と講演会報告・運営委員会の模様
(6)面 会員活動・イベント



 訪問

門のボタンを押すと
ベルが鳴ったらしい
玄関の電気がついて
どなたですか と声がした
とたんに犬が吠え出し
幼い子供が泣き出した
それを叱る母親らしい声がきこえ
ガラッガラッと何かゞ落ちた気配
轟然と飛行機が一機
頭上を過ぎた
僕は深く呼吸をとゝのえて
言った
すぎやまと申すものですが

 はじめてこわごわ訪問のベルを押すと、その反応が、つぎつぎと重なってきて、ついに飛行機の爆音のクライマックスが入る。言葉の並べ方にミソがあり、それを静めるようにラストに止めをさす。若き日の自分の姿の可笑しさを、冷やゝかにつっ放してあざわらう効果を出そうとしたのだった。
 滅茶に崩した草書体の文字が高級で、よく分かる楷書の文字が幼稚というのが通説だが、実験、新しがり、前衛は意外にマンネリズムが多く、詩の山道には「わからないが面白い」というのには落し穴が多いようである。

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 「ポエム・セミナー『自作を語る 1』」の中の、会長・杉山平一さんの詩と自作解説の最終部分を紹介してみました。紙上セミナーとして始まった企画のようですが、よい試みだと思います。杉山さんの作品は判り易く奥が深いことで定評がありますけど、「言葉の並べ方にミソがあり、それを静めるようにラストに止めをさす」など、どうやって創っているのかが判り、非常に参考になります。「前衛は意外にマンネリズムが多」いというのも名言ですね。これからも拝読するのが楽しみな企画です。




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