きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり 】 |
2006.6.11 京都・泉湧寺にて |
2006.7.18(火)
丸の内の東京會舘で開かれた日本ペンクラブの7月例会に出席してきました。もともとは欠席のつもりだったのですが、最近知り合った京都の作家が来るというので急遽出席にしました。著書もたくさんいただいて、手紙の遣り取りもしていましたが、まだ会ったことはありません。これを機に懇親しようということになりました。
例会のミニ講演はペンクラブの理事でもある椎名誠さん。さすがに参加者は多かったですね。いつもの倍近くはいたのではないかと思います。
椎名さんとは以前、例会ですれ違ったことがありますけど、大きな男です。180cmを超えていると思います。今日も話はしませんでしたが、近くに行くとやはり大きい。講演もおもしろかったですよ。アラスカやアマゾンでのキャンプの話をしていました。TVではおとなしい内容しか話していませんけど、講演は違うようです。放送禁止用語も頻繁に出ていました。30分では時間が足りなかったようです。
例会では日本詩人クラブ詩書画展の案内状を配って宣伝しました。会長の井上ひさしさんにもお渡しして、初めて話をしました。同じ会員同士だからそんな機会でなくても普通に話をすれば良いんでしょうが、有名人に近づくのは苦手です。向こうから来てくれるのは大歓迎ですけどね(^^;
例会のあとは件の作家氏と取り巻きの人たちと連れ立って銀座へ。例会にも出入りしている銀座のママさんの店に行きました。そこは以前から私も何度か声を掛けられている店でした。現職時代は次の日のことを考えて行けなかったのですが、ようやく念願が叶いました。10人も入ればいっぱいの店ですけど、カウンターの奥には単行本がズラリ。ペンの常連の作家が贈ったものでしょうか、文壇バーと云った雰囲気です。
取り巻きの人は現職の社長さんたちが多く、明日のことを考えてでしょうか、一人二人と抜けていきましたが私は最後まで居座りました。明日のことなんて考えなくてもいいもんね(^^; 最後は私ひとりで作家氏を東京駅まで送って、私は中央線、小田急。帰宅は午前2時でした。したたかに呑んで酩酊しましたけど、気持の良い夜でした。
○牧南恭子氏著 『女泣川花ごよみ』 |
2005.12.15 東京都台東区 ワンツーマガジン社刊 629円+税 |
<目次>
花筏(はないかだ) 5
十万坪 33
菜の花の舟 71
塩なめ地蔵 111
田楽(でんがく)屋敷 129
草深百合(くさぶかゆり) 171
薔薇の花園 191
草莽(そうもん)の臣(しん) 237
前出の日本ペンクラブ例会で著者よりいただきました。著者とは電子文藝館委員会でご一緒していますから、そのご縁によります。8編の短編小説はいずれも現在の江東区や行徳を舞台にしており、時代は江戸末期から明治初年、登場人物も下級武士から殿様、ヤクザ者と多彩です。主人公は彼らの妻というところが通常の時代物と違っていると云えるでしょう。男の私などではハッとさせられる場面が多く、多様な視線の重要性を感じました。
例えば「十万坪」は捨子の成功譚で、大金持ちになった男が母を探す話ですが、その男を騙す女の心理がおもしろいです。その女もヤクザな夫にそそのかされて嫌々だます訳ですが……。市販の本ですからこれ以上は書きません。ぜひ手に取って読んでみてください。良質な人間模様を味わってもらえると思います。
○詩誌『じゅ・げ・む』15号 |
2006.4.20 横浜市港南区
田村くみこ氏連絡先 かながわ詩人の会発行 600円 |
<目次>
宿題●……宗田とも子 4
略年譜●……宗田とも子 6
それでも(短詩の山)●……林 文博(リン ウェンボー) 8
やじろべい・回転木馬・舞台炎上・春の野に出でて
手紙を書く午後●……林 文博(リン ウェンボー) 12
いのち●……田村くみこ 15
ひまつぶし●……田村くみこ 16
自己証明●……富家珠磨代 18
内省●……富家珠磨代 20
【エッセイ】
優しい春の便り〜走馬看花●……林 文博(リン ウェンボー) 22
同人雑記●……27
<富家珠磨代/宗田とも子/林 文博(リン ウェンボー)/田村くみこ>
全国受贈詩誌・詩集
題字●上野裕子
それでも(短詩の山)/林 文博(リン ウェンボー)
やじろべい
それでも
動かない
支柱は 不動であるノダ
それでも
動じない
何を吊るしたって
ボクは正気さ
ヘッチャラさ
バランスって?
バランス は 踊れない
「それでも(短詩の山)」と総題が付けられた小品4編の中の1編を紹介してみました。私も子供の頃は「やじろべい」を作って遊んだことがあり、大人になってからも旅の土産で買ったりしましたけど、興味の対象は「バランス」です。理屈の上では「何を吊るしたって」バランスがとれることがおもしろいのですが、ここでは「バランス は 踊れない」と云っているところに瞠目しました。いかにバランスをとっても「踊れない」。この観点は新鮮です。人によって見方が違うのだなと感心した作品です。
○西区文化協会ニュース 『にしぶんか』19号 |
2006.3.31横浜市西区 西区文化協会発行 非売品 |
<目次>
詩 ハマちゃんバス/浅野章子 1
会長対談 ごきげんよう閻魔さま 2
クラブ訪問 写真クラブ「藤光会」 3
本の紹介『よこはま ペリーが来た日から』写真:岩田昭三郎/詩:いわたとしこ 5
テーマ/外国人から見た西区 華僑三世の詩歴から 林 文博(リン ウェンボー) 6
子ども囲碁教室のこと 鈴木幸彦 6
リレー随筆 茶一服のこころ 朝戸博子 8
編集後記 8
ハマちゃんバス/浅野章子
わたしは ハマちゃん
桜木町駅−西戸部2丁目
−桜木町駅の循環バスです
膝が触れ合いそうな
かわいいバスです
西区の坂の多い住宅街を
登って下って 走ります
藤棚からショッピングカート
を押したおばあさんが乗りました
次の急坂の上で おばあさんは
「ありがとう ありがとう」
と言って降りました
願成寺坂上を 過ぎるとまた下る
「水道道のその坂を
あえぐように登ると
苦い女の吐息が たばこの煙ほどに
むせるのだ」こんな詩を昔
書いたことをふっと思い出していた
バスに乗って 私はいまとても楽しい
動物園前から乗った子どもたちは
にこにこ
ハマちゃんは 野毛坂を下って行く
(横浜詩人会 会員)
横浜市西区の「西区文化協会」という処の広報誌のようですが、立派さに驚きました。私の住む神奈川県西部の市では文化協会のような組織がありませんから発行すらしていませんけど、一区の仕事としては日本でも有数なのではないかと思います。
書き手や編集者を見て納得しましたね。横浜詩人会のメンバーで西区在住の詩人たちが幾人も書いています。本造りのプロたちの仕事ですから構成もしっかりしていました。
紹介したのは巻頭作品です。作者とは横浜詩人会や日本詩人クラブでご一緒していますが、詩人ではなく一般の人が見る作品としての配慮を感じます。西区観光協会の写真コンテストで入賞した作品を使い、それに詩を添えるというところに文化の層の厚さを見せ付けられた思いです。
今号では林文博氏の「外国人から見た西区 華僑三世の詩歴から」にも注目しました。著者は華僑三世の詩人で、私より10歳若い人ですが、横浜生まれということもあって高校生の頃から横浜の詩人たちと交流を深めていたようです。とべしゅん、佐藤冨美雄など亡くなった詩人たちとの思い出を語っています。横浜在住の皆さんには入手しやすい「ニュース」だと思いますので、貴重な証言を読んでみてください。
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