きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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2006.6.30 東京・新宿



2006.8.25(金)

 隙間家具のような文庫本専用の本箱を作ろうとしています。幅820mm、高さ1800mm、奥行120mm。こんな本箱は市販されていませんから、隣の建具屋さんに頼むか自分で作るしかありません。現職の頃だったら間違いなく建具屋さんにお願いということになるんですが、今は幸か不幸か無職(^^; 急ぐ仕事ではないんで時間はたっぷとあります。ホームセンターに行って材料の確認をして来ました。ついでにボール盤や電動鋸を見て来ましたけど、前者が1万円、後者が2万円ほどで買えることも判明。今後のこともあるのでいずれ買っておこうと思っています。

 手始めに今日は図面を描きました。現職の頃はマンガを描いてだいたいの費用を決めて、あとは業者さんにお任せで済みましたが、今回はそうはいきません。実際に作る立場、家計を預かる立場で考えました。図面上は作りやすく、費用も1万円は掛からない計算です。2時間もかけて考えましたから、まあ、いい出来だと自賛しておきましょう。明日からは材料集めにかかります。



季刊『新・現代詩』22号
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2006.9.1 東京都文京区 創風社発行 900円+税

<目次> 表紙絵ホンゴーの壁画=出海渓也 表紙デザイン=佐藤俊男
《特集》アレゴリー
評論
アレゴリー序説(1)/出海渓也…6
アレゴリーと関根弘/中川 敏…8
アレゴリー表現と反体制姿勢/中村不二夫…13
アレゴリー詩法の可能性/松本恭輔…18
アレゴリーとファンタジー/一色真理…22
《特集詩》
黒川純/メロン…26
相良蒼生夫/こころの罪びと…27
西村啓子/溜まる家/28
野口忠男/鴉たちの裁き…29
中川敏/笛吹き男と子供たち・博物誌(十)…30
藤寿々夢/私のアレゴリー…31
濱本久子/イワンはずるい奴…32
松本恭輔/飛べ! 白鷺…33
矢口以文/カリウドバチ…34
榎田弘二/店主の言及…35
出海渓也/骨の唄える…36
《メール対談》詩人における反骨の精神/下前幸一・工藤富貴子…38
《アンケート》詩人の反骨精神とは・・・? まとめ/宗美津子…44
《詩作品T》
木村淳子/サニーサイド・ハイツ…48
紀ノ国屋千/そういう人に会いたい…49
草倉哲夫/OJIGI…50
工藤富貴子/深海魚…51
黒羽英二/カンダンケルボヘ…52
轟 俊/赤い蝶の軌跡…53
小島禄琅/雲みたいに生きた男…54
小林小夜子/いのち…55
鏡 たね/水のかたち エスキス…56
片岡美沙保/裏庭で…57
川原よしひさ/危うい無季時計…58
川村慶子/よもつひらさか…59
直原弘道/夏の星…60
下前幸一/君の理由を携えて…61
宗美津子/今日もゆらゆら腹の下…62
斉藤宣廣/爺ちゃんの呟き…63
斎藤彰吾/たかが選手、されど選手…64
■社会時評
昭和30年代の「夢と希望」の異義申し立て/黒川 純…66
笑えない時代が近づいて/西村啓子…67
■エッセイ
根源派宣言(2) 人間はまず生物である/津坂治男…68
遠景(2)/丸本明子…69
カイザースラウテルンのいちばん暑い日/篠塚達徳…70
《詩作品U》
千葉 龍/告白的宣言=c71
津金 充/毎日の暮らし…72
富永たか子/皿の月…73
中原茶津菜/羽ペン…74
永井ますみ/花を活ける…75
南條世子/法螺曼陀羅…76
藤川元昭/無人島…77
働 淳/ペットフード…78
濱本久子/少年の大連…79
水崎野里子/五行詩連作 スペイン幻想…80
三宅遠子/ひとりごと…81
丸本明子/ぶら下がる…82
ゆきなかすみお/ワラスボ…83
横田英子/ある予言から…84
若松丈太郎/笹の地下茎についての報告…85
大田 修/喜ぶべきか 悲しむべきか…86
おだじろう/卒業証書…88
川端律子/日の出に 向き合う…90
マルヤマ・トシロウ/HITOGOROSI NO TAWAGOTO…91
特別論考 関根弘∇∇∇▽∇もう一つの貌=深い浮世絵の造詣…92
■読者投稿作品(編集部選)…102
■受贈詩誌・詩集…17
■第21号合評会記…100/第22号合評会あんない…25
■扉…5/表紙のことば…99
■編集後記…104
新・現代詩賞に参加しましょう!…104



 メロン/黒川 純

怖いことに変わりはない。
メロンの俺たちにとっては、
包丁がメロンの上に落ちても、
メロンが包丁の上に落ちても、
どっちの場面であっても
その結果を引き受けるのは
結局はメロンの俺たちなんだ。

頭痛の種の包丁が落ちたので
大慌ての俺たちのメロン農家は
メロン狩りのツアーはキャンセルし、
新しい包丁を研ぐための
技術に材料、それに資金も
しばらく止めさせようと
地域の豪農たちに呼びかけた。

包丁が落ちるかもしれない、
いや落ちるのではないか、
そんな空気が見えたなら、
包丁を研ぐ仕事場をやっつける
こっちもそんな包丁を研ぐべきだ、
真顔で研石を買い込もうとする。

メロンの俺たちにとっては
切れ味がある包丁をもてあそび、
強いのはこっちだと胸を張り、
今度は包丁を突き付けてやると
張り子の虎で吠えるのは
どっちにしても迷惑なことだ。

何度も包丁を落としたうえで、
今度は投げてやるとうそぶく
鉄火場を巡る我慢合戦に、
短絡的な土壌で言い立てて、
やってみろと嘲笑し合うほど、
メロンがすくすく育つ環境が
悪くなるのが分からないか。

 「《特集》アレゴリー」の「《特集詩》」の巻頭になっている作品です。「アレゴリー」についてと「評論」で5詩人が論じているほど奥が深いのですが、簡単には直喩、隠喩に対する寓意=諷喩≠ニ出海渓也氏の「比喩についてのMEMO」で述べられています。紹介した作品をその延長で考えると「メロンの俺たち」は日本国民、「包丁」は北朝鮮のミサイル、「メロン農家」は日本国政府、「地域の豪農たち」は6カ国協議の参加国と読み取ることができると思います。北朝鮮のミサイル発射に関する作品はあまり見ていませんが、確かにこの手法で書かれた方が説得力はあると云えるでしょう。特に最終連の「やってみろと嘲笑し合うほど、/メロンがすくすく育つ環境が/悪くなるのが分からないか。」というフレーズが佳いですね。私もこれから勉強していきたいと感じました。




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