きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり 】 |
2006.7.7 クリスタルボウル(「アリキアの街」にて) |
2006.9.29(金)
新聞で報道されていましたから知ってはいたのですが、まったく行くつもりのなかった「没後10年・遠藤周作さんをしのぶ会」に誘われて、行ってみました。『三田文学』主催、日本文藝家協会・日本ペンクラブ共催ということですから、まったく関係がないわけでもありませんけどね。『沈黙』などが好きで読んでいましたから、ま、行ってみても悪くはないかなと思った次第です。場所は東京會館。500人ほどかな、大勢の人が集まっていました。
参加者はひとりひとりが白い花を献花。女優の三田佳子さんや瀬戸内寂聴さん、ノーベル賞の小柴博士などが挨拶され、さすがは交際範囲の広かった遠藤周作だなと思いました。文藝家協会の方はあまり出席していないので判りませんが、ペンの日で見掛けた人が結構いました。相変わらず報道関係、出版社関係と思われる人は多かったです。例会やペンの日でお会いする銀座のママさんたちはさすがにいなかったようです。一応、偲ぶ会と銘打ってるから居づらいのかな? 20時前には解散。私も早めに帰宅しました。
○村上知久氏詩集『おさつ栽培』 |
2003.1.28 京都府長岡京市 私家版 1200円 |
<目次>
6 あとでする 8 うさぎ
10 馬に 14 おさつ栽培
17 元日の朝 18 おとしより
20 おむつ 22 お化け
24 北の春 26 きゅうくつ
28 休日に 30 靴べら
32 くらし 34 け
36 苔の見方 39 花
40 こま 42 ごわごわ
44 杉のお花で 46 大臣の椅子
48 月のお土産 50 ティッシュ・ペーパー
52 デカンショ 55 家
56 電卓地面の8の字 58 としとり
60 ないしょのはなし 62 夏の地下鉄
65 かみの国 66 夏夜微々事件簿
68 など 71 歳の匂い
72 二瞬に満たぬ出来事があり
76 ぱんだ 78 襞
81 秒針 82 ひと
84 ひらめ 86 ひる
88 びんとかん 90 風船
92 変な映画館 94 ボタンマン
96 見送り 98 耳飾り
100.文字芝居 103.八つ橋
104.夢 106.夢のなか
108.立体コピー 112.老眼鏡
114.輪ゴム
表紙 著者
あとでする
いま
しておけばいいのに
それはあとで これもあとでと
することのばし
することふくらむ
あとのなか
くりこしたすること
するのにおわれ
いまふえたすること
それはあとで これもあとでと
することのばし
いつもが
パンクしそうな
あとのなか
くりこしたきげんきれそな
することないかとすることさがし
きげんありそなすること
いまふえたすること
それはあとで これもあとでと
することのばし
くりこしたすること
それも
これもが
きげんがきれた
そこに
することくりこしたひとは
いなくて
巻頭作品ですが、これは身につまされますね。「いま/しておけばいいのに」何だかんだと理由をつけては「することのばし」ている私の頭をド突かれた思いがしました。そして「くりこしたきげんきれそな」というフレーズにはびっくりしました。無意識に期限を考えていたことに気付かされます。そのうち全部「きげんがきれ」てしまって、「することくりこした」私も「いなく」なってしまうのでしょう。笑える作品ですが、最後には匕首を突きつけられた思いをした佳品です。
○季刊詩誌『竜骨』62号 |
2006.9.25
さいたま市桜区 竜骨の会 高橋次夫氏・友枝力氏発行 600円 |
<目次>
<作品>
鹹湖にて/木暮克彦 4 脈打つ脳天/小野川俊二 6
相席/森 清 8 八月六日は何の日/長津功三良 10
夕焼け/今川 洋 12 無イ無イ/松崎 粲 14
釘をさす/内藤喜美子 16 ウサギになった金次郎/庭野富吉 18
八月/河越潤子 36 スベリヒユ/西藤 昭 38
雨に咲く/島崎文緒 40 災害/横田恵津 42
催眠剤(みんざい)一服/松本建彦 44 あとのまつり/高野保治 46
鮮やかな姿態/高橋次夫 48 O(オー)の周辺/友枝 力 50
書評
飛田紀子詩集『盛装』 凛とした花のごとく/内藤喜美子 21
羅針儀
わたしの少年詩/島崎文緒 25 フジタの責任/森 清 29
植木市・朝顔市・酸漿市/高野保治 31
書窓
川端進詩集『日々是好日』/高橋次夫 52 麻生直子詩集『足形のレリーフ』/松本建彦 53
海嘯 へび苺/友枝 力 1 編集後記 54
題字 野島祥亭
O(オー)の周辺/友枝 力
O(オー)島は
東洋のガラパゴスと呼ばれ
珍奇な動植物相
固有の自然があなたの心をそそる
ホエールウォッチング
釣人天国へどうぞ
休日をイルカと遊ぼう
そんな環境を保護しながら
この島をもっと本土に近づけようと
O(オー)首相の鶴の一声で
国家的プロジェクトが発足した
テクノスーパーライナー(TSL)の導入である
それは海の葦駄天
ガスタービンエンジンを主機とする
時速90キロの超高速貨客船
最新造船技術の粋と言われる
急逝したO(オー)首相の後を受けて
プロジェクトを推進したのがO(オー)運輸相
100億円を超える建造費を投じた
船は昨年末に竣工した
だが、世にもふしぎな事態が発生した
運航する地方自治政府が引き取りを拒否したのだ
燃料費の上昇による採算悪化が理由である
(しかし海の葦駄天が大飯食らいであること、
世界的原油高の傾向は当初から分かっていた)
洞窟にぶらさがるオオコウモリのように
中ぶらりんのTSLはドックにつながれて八ケ月が過ぎた
一日の繋船コストは莫大である
他航路への転用、海外売船は不可能だ
最善策はスクラップすることだとも囁かれる
(それは新生児を闇に葬ること)
破綻したプロジェクトのツケはいずれ国民に回ってくるだろう
実は「TSL」に一度だけ乗ったことがあります。試験的に静岡県の焼津と下田を結んでいた頃があり、招待券をもらってクルマで乗り込みました。速かったですね。それ以前に知り合いのクルーザーで時速70キロが海の上ではいかに速いかを体験していましたけど、「時速90キロ」というのは凄いです。高速道路をクルマで走る感覚からすると時速200キロ近い(そんなに出したことはありませんけど)のではないかと思います。スピードの割には乗り心地は悪くありませんでした。
しかし、そんな「海の葦駄天が大飯食らいであること」とは知りませんでした。「100億円を超える建造費」もさることながら、あの速度は海運業界にとっても魅力だろうと思います。せっかくの技術を「スクラップすること」は船に限らず、戦後初の国産機・YS-11でもやってしまった失敗で、政策の貧困を表すものでしょう。それを作者は「新生児を闇に葬ること」と見事に言い切っています。元技術屋の端くれとしては「プロジェクト」の最初から10年、20年先を見越した開発をやってもらいたいものだと感じた作品です。
○『埼玉詩人会会報』60号 |
2006.9.25 さいたま市桜区 編集責任者・高橋次夫氏 狩野敏也氏発行 非売品 |
<目次>
2006埼玉詩祭開催 1
第十二回埼玉詩人賞 水島美津江さんへ贈呈 2
創立五十周年記念 埼玉詩人会功労者紹介 2
「音と映像でつづる武蔵野の詩」<要旨> 講師 秋谷豊氏 3
詩の未来に向けて−私の詩の目指すもの 発表者・北岡淳子氏、北畑光男氏、星義博氏 4
埼玉詩人会 平成十八年度総会開催 6
会員詩集出版記念会 7
埼玉詩人会 平成17年度収支決算報告書 8
埼玉詩人会 平成18年度収支予算案 9
寄贈御礼・新入会員の紹介・理事会から・編集後記 10
今号は私も参加させていただいた「2006埼玉詩祭」「第十二回埼玉詩人賞」の記事が主でした。もう4ヵ月も前のことになりますが、改めて当日の楽しかった会を思い出しています。講演も鼎談も、和太鼓の公演、フルートの演奏も素晴らしいものでした。部外者なが参加させていただいてありがとうございました。改めて御礼申し上げます。
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