きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり 】 |
2006.9.16 群馬県榛東村「現代詩資料館・榛名まほろば」にて |
2006.10.1(日)
渋谷で開催された「クロコダイル朗読会・クラムボンの歌」に行ってきました。ここのところ毎年やっているそうですが、私は今回初めて誘われました。出演者は森川雅美、田中庸介、柴田千晶、渡辺めぐみ、筏丸けいこ、浜江順子、海埜今日子、吉田文憲、キキダダマママキキ、相沢正一郎の皆さん。他に演奏として「つむじ」、「ROSAA」の皆さんとピアノのトム・ピアソン、相澤ひかるのお二人。雨の中、40人ほどの人が集まって盛会でした。
なにもバックのない朗読も良かったけど、やはりバックに生演奏があると詩が映えますね。ピアノひとつだけでも随分と雰囲気が変わります。この店はライヴハウスらしく、設備も充実していたいました。
終わったのは15時40分。それから宮益坂の居酒屋に行って、今夜は「木曽路」と「一の蔵」を呑みました。宇都宮にある専門学校の講師で俳人の方が隣になって、初めてとは思えないほど詩と俳句についていろいろと話し込んでしまいました。まわりの人たちが昔からの知り合いかといぶかしんだほどです。詩と俳句というジャンルの違いなんて僅かなものだと思いましたね。
二次会は渋谷駅近くの居酒屋へ。私同様、最後まで居残った人は7人。ここでは対面した女性詩人とすっかり話し込んでしまいました。私もお名前だけは存じ上げている高名な詩人ですが、私とひとつ違いだということも判って盛り上がりました。で、何を呑んだか? 覚えてません(^^; 帰りの小田急特急で眠り込んだほど呑み続けていたようです。明日は月曜日ですが私には関係のないことなので、しっかりと渋谷の夜を満喫させてもらいました。皆さん、ありがとうございました。
○詩誌『驅動』49号 |
2006.9.30東京都大田区 驅動社・飯島幸子氏発行 350円 |
<目次>
現代詩と「笑い」(四)/周田幹雄 42
空間/山田野理夫 1 補聴器を耳に当て/長島三芳 2
乱調の花/舘内尚子 4 長い別れの時に/中込英次 6
めぐり逢えて/飯島幸子 8 旋回 他二編/星 肇 10
断片詩・詩人宗左近さんの詩魂(2)他一編/飯坂慶一 16
おおさかべん西鶴 世の重宝になりたもれ/桝井寿郎 21
雀たちのレクイエム/内藤喜美子 24 蒲公英/池端一江 26
ピンポン 他一編/小山田弘子 28 もっと 生きていたい/金井光子 30
顔は立つ か/周田幹雄 32 春野の椿/三沢学人 34
須走王子ケ池跡 他四編/忍城春宣 36
同人住所・氏名 46
寄贈詩集・詩誌 46
編集後記 47
表紙絵 伊藤邦英
乱調の花/舘内尚子
桜には
壮絶に抉られる憶いしかない
窓砕いっぱいの
満開のさくらを前に
衝撃の一報が届き
わたしたちふたりは
雪崩れるように乱調の坂をころげ落ちた
沖縄返還密約事件のはじまりであった
当時の首相を巻き込み
外務省をひきずり
沖縄返還協定のからくりは
泥沼化していった
事件の運命のどん底で
新聞記者(こいびと)は 変転……転落……死んだ
桜の樹の下には死体が埋められている
いいえ
桜の花は人を殺す
大戦で 桜を胸に兵士は死んだ
平和で 狂い咲く桜に恋人は殺された
死の花 さくら
妖艶に嘲笑う さくら
脳裡のさくらを 力いっぱい引き裂く
「桜」を「乱調の花」とする作者の思いが伝わってくる作品です。「沖縄返還密約事件」は『文藝春秋』に連載中ですが、作者は関係があったのかもしれません。それが「桜の花は人を殺す」というフレーズに集約されているように思います。それでなくても「大戦で 桜を胸に兵士は死んだ」のですから、それに「恋人」を重ねて「脳裡のさくらを 力いっぱい引き裂く」行為が理解できます。詩作品ですから現実の事件と重ねる必要はありませんけど、そんなふうに読めた作品です。
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