きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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2006.9.16 群馬県榛東村「現代詩資料館・榛名まほろば」にて



2006.10.14(土)

 日本詩人クラブ10月理事会、例会に出席してきました。理事会からのトピックスは12月に行われる「(中)日本詩人クラブ法人化記念国際交流の集い」です。下記しますので、今のうちから予定に入れておいていただけると嬉しいです。もちろん私も出席します。

(中)日本詩人クラブ法人化記念国際交流の集い
<現代中国現代詩の状況>
1 日時 2006年12月9日(土) 12時30分から16時30分
2 場所 池袋サンシャイン60ビル59階 藤・菖蒲・桔梗の間
3 参加費 一人8000円
4 内容
(1)講演
「中国現代詩の状況(中国北部の状況)」沈奇氏
「中国現代詩の状況(中国南部の状況)」楊克氏
通訳および解説:佐々木久春氏(秋田大学名誉教授)
(2)懇親会パーティ:サンシャイン60ビル59階 櫻の間(14時30分〜16時30分)
5 講師を囲む二次会:同ビル3階「土佐藩」(17時00分〜18時30分) 会費2000円
6 宿泊 サンシャインプリンスホテル(参加者特別価格)シングル1人1泊:11,600円 ツイン1人1泊:9,500円

 例会は「会員による詩の朗読と小スピーチ」が綾部健二氏、湯村倭文子氏のお二人。講演は「日本詩人クラブ創設期の詩人たち」として内藤健治氏による「安部宙之介について」。もうひとつの講演は台湾の詩人・陳千武氏をお招きして「植民地文学の狭間に生きる」でした。

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 写真は講演のあと土曜美術社出版販売の高木社主から花束を受ける陳千武氏。台湾人として日本軍に参加した陳氏の数奇な運命と文学が印象的な講演でした。日本語も綺麗で、私なんかよりよっぽど上手いですね。講演要旨はいずれ雑誌『詩界』に載りますから、そちらをご参照ください。

 終わったあとは「白木屋」でいつも通りの二次会。そのあとは6人ほどで神楽坂の「醍醐」という韓国料理の店に行きました。そこで念願のマッコリを呑みました。日本のドブロクや濁り酒という感じですが、もっと呑み易くておいしかったです。スイスイいけちゃうので量を注意しながら呑みましたけど、大丈夫でした。たぶん二合ぐらい呑んだと思うのですが、悪酔いせず、すぐに醒めてしまいますね。あれだったら一升ぐらいいけるかな(^^; マッコリを教えてくれた皆さん、ありがとうございました。また楽しみが増えました。遅くまで遊んでくれた皆さまにもお礼申し上げます。また来月も呑みましょう!



詩誌22号
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2006.10.10 埼玉県所沢市
書肆芳芬舎・中原道夫氏発行 700円

<目次>
詩作品
浅間神社の神馬…忍城春宣 4        夕焼け…中原道夫 6
椅子…江口あけみ 8            鳥…築山多門 10
石亀…青野三男 12             わたしの責任……浅見洋子 14
道・夏のタベ・秋の空…門林岩雄 16     兵作さんの話…平野秀哉 18
時間…小野正和 24             悲しまないで…肌勢とみ子 26
真夜中に西瓜を喰う・茗荷…北野明治 28   夕暮れの中で…北村朱美 30
懸橋…香野広一 32             夏の川…長谷川昭子 34
包丁…竹下義雄 36             片房のたわごと…月谷小夜子 38
堆積物…二瓶 徹 40            春の導
(しるべ)…浅井たけの 42
旅情…斎藤幸雄 44             猫の目…吉見みち 46
傾く夜を賭けて…浅野 浩 48        夏祭り…みせけい 50
エッセー
私が詩に目覚めた頃…中原道夫 1      アン・マイクルズ『惨い光』をめぐって…倉本侑未子 20
別れのことば…北村朱美 24         秩父路を彷徨する…香野広一 26
怪奇現象…月谷小夜子 28          沖縄献花の旅…竹下義雄 30
庭――暑い夏の闘い…浅井たけの 32     弱者切り捨ての波紋…二瓶 徹 34
二段の重み…肌勢とみ子 36         海に行く…浅野 浩 38
はぐくむということ…みせけい 40      発想のヒント…北野明治 42
人生の応援歌…長谷川昭子 44        依存症…小野正和 46
久しぶりに…吉見みち 48          母を亡くして…斎藤幸雄 50
の本棚(書評)…平野秀哉 52        斜に構えた作品群(詩誌評)…香野広一 54
の窓… 56                題字・表紙目次装画…中原道夫



 わたしの責任…/浅見洋子

一九四九年五月 生を受けた
わたしは 戦争を しらない

一九四七年三月 教育基本法施行
わたしは 民主教育を 享受した

二〇〇三年七月からの わたしの旅
韓国の歴史から もう一つの日本史を実感
ワシントンDCで見た 戦争慰霊碑と 涙
オランダ・ドイツの 貫かれた 生活様式
わたしに 民主主義の 問いかけが生れた

二〇〇六年八月 中国延辺の旅
図們江に かかる 図們大橋
赤と青に 二分された橋は
北朝鮮と中国の 国境線

図們江の 対岸に見える
朽果てた 三〇年前の繁栄
雲の影を映す山裾に 点在し
同民族の 生活を心を はばむ

歴史が 国境を作り 政治が 家族をさく
政治が 戦争を作り 歴史は 沈黙をする
歴史の 沈黙が 民主主義を 奪っていく
わたしには 今 歴史を学ぶ 自由がある

民主教育を受けた私 戦争を知らない私
わたしの 責任は
戦争の 加害と被害に 向きあうこと
本当の 民主主義への 実現を願うこと
ひとの生命
(いのち)を 愛おしむ心を 枯らさぬこと

 「一九四九年五月 生を受けた」とありますから私と同年齢のようです。確かに「わたし」たちは「民主教育を 享受し」ました。しかし「もう一つの日本史」は教わってこなかったかもしれません。北朝鮮・韓国や中国に私たちの親の世代が何をしたかは学校を出てから勉強した獲得した知識と言えましょう。それが「わたしに 民主主義の 問いかけが生れた」というフレーズに現されていると思います。
 そんな「わたし」たちの「責任は」、やはり「戦争の 加害と被害に 向きあうこと」であり「本当の 民主主義への 実現を願うこと」であると思います。同年代を代表していただいた作品と受け止めました。



板橋区民詩集『樹林』21集
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2006.10.29 東京都板橋区
板橋詩人連盟編 板橋区発行 非売品

<目次>
北野明治 深まりゆく秋の気配の中で…4   立会川二郎 能面はなぜ笑う…5
一ノ瀬美智子 相性…6           外山美智子 ぼけ…6
斎藤幸雄 母…7              小野正和 落とし物…8
はらだひろし 山寺…9           中瀬三雄 お見舞い……10
福井美穂 花たち…11            上村節子 こころ…12
竹下義雄 喫茶店…13            清水久枝 ポッポさん…14
高梨正雄 十二月…15            大澤玲子 千年大樹…16
内山美津子 父の勲章…17          山口敦子 生命の吐息…18
いわぶちしずこ 郷愁…19          長谷川弘子 あと二年…20
北村愛子 母親の顔…21           ゆあさ京子 足跡…22
小林正夫 火…22              佐藤詠子 過ぎゆくままに…23
上田光由 喫茶店で…24           山川久三 階段…25
長谷節子 重症筋無力症さんこんにちは…26  大野ちよ子 検診…27
新井忠彦 心…27              吉田義昭 レモンの木…28
綾部道代 執念…29             転石 光 インヴィジブル・アイズ…29
宇田川正雄 選者の眼…30          倉本侑未子 畳の目…31
下元歌子 行って見たい…32         岡村 梢 その昔…33
東峰香代子 一本のストロー…34       川田裕子 あした…35
山崎武久 旅・その未知なる…36       つねみみつ だっこしてもらえない…37
小野幸子 きょうを食べる…38        指吸虫吉 みんな一緒…39
新井君子 岐路…40             内山マリ おに芥子幻想…40
わたうちちふみ 春の噂…41         小倉寿男 リハビリ…42
野々下郁子 クリアして…43         内藤健治 笑い声…44
鈴切幸子 白い封筒…45           きたまこと もの申す…46
平田陽子 紅…47              川ア夜詩子 音のはなし…48
高山敬子 心理学…48            新井一雄 お玉じゃくし…49
吉田美友 ぬくもり…50           柳澤武美 思い出す偲び…51
長岡明子 うつ向ける薔薇…52        長岡昭四郎 AUGUST…53
川端華奈 カウンセリング…54        武内美子 夕立…54
桐里こむぎ あのひと…55          真壁秀樹 新しい光…55
宮崎利恵 葉も刺も…56           河野昌子 傘…56
堀之内稲子 再会…57            河原節子 梅雨明け…58
田辺直美 木霊…59             日原ゆきゑ 花火…60
佐藤文男 ピエロの涙…60          日野亜耶 ふれあい…61
渋谷廣子 眠り…62             中原道夫 マネキン…63
小中学生の部
せきぐちあいり トマト…64         山田優美 公園…64
寺門研人 森の朝…65            白石 楓 すうじのうた…65
上田ゆうき ダジャレうた…66        すがはらまゆ ちらかしのうた…66
後藤瑠里 わたしのかぞく…67        こころあつし(おのふみや) 気もち…67
よしざわちか子 きみの手…68        小林由奈 ボーッとしていると…68
桂田 拓 ともだち…69           本間璃子 相思相愛…70
山本祥代 絆…71              大葉さくら 普通…72
沖住美咲 わたり鳥…72           小山真由 くも…73
芝本奈未 大冒険…73            大部真優 空…74
山崎友里花 夢…74             吉田絵理 おはよう…75
右田秋美 笑顔…75             大澤友加 スウィングガール…76
 あとがき…77



 母/斎藤幸雄

暴れろ
もっと狂え
病院で
徘徊する九十二歳の母
点滴の管を引きちぎってしまう母

もう最後だ
もっと暴れていい
十二歳の時から
岡谷の生糸工場で
黙々と働き
八人の子供を育てた母

もっと皆に迷惑をかけろ
最後だ
糞放りまわれ
小便を垂れ流せ
だれのせいでもない

みんな、みんな
最後の時ぐらい
好き勝手をしてもいい
自由な天空へ
飛び立つのだから

 この作品を発表することは相当勇気が要ったことだったろうと想像しています。もちろん詩作品ですから現実のことと捉える必要はありませんけど、作者の気持が素直に伝わって来るのを感じます。「もっと皆に迷惑をかけろ」という言葉には「母」への深い愛情も感じます。私も最期はジタバタとまわりにいっぱい迷惑を掛けるのだと公言していますけど、実際にはどうなるか判りません。それを息子の立場から表現している作品ですから、私の公言なんて甘いものだなとつくづく思います。本当の母子とは何かを考えさせられる佳い詩です。



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