きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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2006.9.16 群馬県榛東村「現代詩資料館・榛名まほろば」にて



2006.10.21(土)

 日本詩人クラブ会友の女性が経営する大宮のスナックに行ってきました。明日は埼玉詩人会と山梨詩人会の交流会で、大宮に午前7時45分集合です。私の住んでいる所からその時間に着くのは難しいので、埼玉在住の詩人宅に泊めてもらいます。前夜祭と称してその店に呑みに行こうということになったものです。

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 小さなお店で、20人も入ればいっぱいかな。その店に会友たるママさんを含めて3人の女性がいるんだから驚きました。多いときは5人だそうです。大宮駅前の繁華街ですから客も多いんでしょうね。
 写真はだいぶデキあがった二人とママさん。詩人クラブの例会にも和服で現れます。例会が終わったらすぐにお店に出るためだそうです。感心したのは詩の勉強会の話でした。17時に店を開けて、19時から21時まで店を抜け出して、近くの公民館でやっている勉強会に出るとのことでした。その間の店は従業員の女の子に任せて…。それほど詩が好きで、勉強したいんですね。見習わなくちゃいけないなと思いました。
 詩人のママさんが経営する一味違うスナックは居心地が良くて、23時過ぎまで居たでしょうか。明日の朝が早いのでカンバンまでは残りませんでしたが、佳い夜でした。詩人割引で財布の負担が少なかったのも嬉しかったですね。ありがとうございました、また行きます!



山本萠氏書カレンダー
『山頭火』
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2006.10 東京都江戸川区
ふきのとう書房発行 1300円+税

【山頭火の引用句】
表紙  ゆきふるだまつてゐる
一月  あるけば蕗のとう
二月  いちにち物いはず波音
三月  春の雪ふる二人であるく
四月  酔ざめの風のかなしく吹きぬける
五月  草の咲けるを露のこぼるるを
六月  あの雲がおとした雨にぬれてゐる
七月  炎天のはてもなく蟻の行列
八月  朝は涼しい茗荷の子
九月  歩きつづける彼岸花咲きつづける
十月  のぼりつめてすこしくだれば秋の寺
十一月 秋風あるいてもあるいても
十二月 笠も漏りだしたか



残欠、という語は、古美術の世界では
ひんぱんに用いられる言葉で、雑誌で
初めてこの言葉に触れたとき、その截
然とした響きに心が顫えたのを憶えて
いる。何らかの事由で毀れて(欠けて)
残ったものには、残らなかったもの、
失くなっていったものが、透ける影の
ようにひそんでいる。私たちが慈しん
できたのは、文字通り欠けて残ったも
のであったが、その慈しみの渦中でさ
え、残らなかったものを心に引き寄せ、
想い見ることでもうひとつの慈しみを
深めてきた。残欠と言う痛切な日本語
には、そんな懐深い響きがある。しか
し、それら残ったものも失くなったも
のも、微塵となる前の天の運行の、一
瞬の裡のことだろう。

 山本萠さんの書とエッセイによる2007年のカレンダーです。種田山頭火の句を書画しています。天地364mm、幅128mmという大きさで、私のスキャナーでは一度に撮り込めませんでした。2分割になってしまいました。見苦しくてすみません。
 紹介したのは5月のエッセイです。不勉強で「残欠」という言葉を知りませんでしたが、確かに「截然とした響き」のある言葉ですね。その「残らなかったもの、失くなっていったもの」を「心に引き寄せ、想い見る」山本さんの感性に敬服します。さらにそれすらも「微塵となる前の天の運行の、一瞬の裡」だと見る詩人の眼の深さには感じ入ってしまいました。携帯もパソコンもTVも持たず書画三昧の日々、という生活から生まれる思考の深さ、とも思いました。来年まで待ちきれないので、すぐに書斎に飾りました。



会報『文芸西さがみ』35号
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2006.10 神奈川県小田原市
奥津尚男氏方事務局 非売品

<目次>
11月10日に《文芸のつどい》開催
《第11回西さがみ文芸展覧会》開催のお知らせ
会員の消息/活動
西さがみ文芸情報



 今号では私も参加する11月の「文芸のつどい」と来年1月の「第11回西さがみ文芸展覧会」の案内が載っています。宣伝のつもりで詳細を下記します。ご都合ついたらおいでください。おいでくださる場合、
メールをいただければ時間調整をします。

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神静民報社・西さがみ文芸愛好会共催
《文芸のつどい》

 この催しは《神静文芸》欄の執筆者と、西さがみ文芸愛好会会員とが親睦と交流を深めるために、『文苑 西さがみ』発刊祝いを兼ねて行うものです。
 今回はアトラクションとして、朗読とハープ演奏を予定しておりますので、会員の皆さんには、ぜひご参加くださるようご案内いたします。なお、参加を希望される方は事務局までご連絡くださるようお願いいたします。←村山宛メールで結構です。
日時 11月10日(金)14時〜16時
会場 小田原市民会館・第3会議室(5階)
アトラクション 朗読とハープ演奏
 朗読 桜井千恵
 ハープ演奏 《横浜栄ハープアンサンブル》会員
会費 3000円

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《第11回西さがみ文芸展覧》開催のお知らせ
 恒例の《西さがみ文芸展覧会》の開催は、下記のように予定いたしております。
 会員の皆さんの日ごろの活躍の成果を発表していただくとともに、先に小田原文学館に建碑された俳人・藤田湘子の作品について特別展示いたします。
【会期】2007年1月25日(木)〜29日(月) 10時〜17時(ただし29日は16時まで)
【会場】小田原・銀座通り アオ手画廊2階
【展示作品】
(1)西さがみ文芸愛好会18年のあゆみ
(2)西さがみ文芸愛好会会員の作品 俳句・川柳、短歌、詩作、エッセイ・創作、書画の5部門 ←村山は詩部門に参加予定
(3)藤田湘子の作品特別展
(5)西さがみ文芸愛好会会員の著者 ←村山は2006年12月刊行の第6詩集を出品予定
【主催】西さがみ文芸愛好会
【協賛】アオキ画廊
【後援】神静民報社



月刊詩誌『柵』239号
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2006.10.20 大阪府箕面市
詩画工房・志賀英夫氏発行 572円+税

<目次>
現代詩展望 戦後現代詩の詩的系譜 杉山平一著『詩と生きるかたち』から…中村不二夫 80
少年詩メモ(11) 真夏を思わせる?…津坂治男 84
審判(2) 分岐点…森 徳治 88
流動する今日の世界の中で日本の詩とは24 二〇〇六年度イェイツ・サマー・スクールに参加して…水崎野里子 92
風見鶏・司 茜 新田泰久 横井新八 岩田光子 中山 巧 96
「戦後詩誌の系譜」37昭和57年53誌…中村不二夫 志賀英夫 110

進 一男/烏 4              名古きよえ/ウイグル民族の伝承舞 6
山崎 森/勿忘草控え 8          松田悦子/唄う葉書 10
山口格郎/雲散霧消 12           肌勢とみ子/くさり 14
中原道夫/千人針 16            江良亜来子/晩秋 18
宗 昇/かもめ 20             小沢千恵/空を耕す人 22
大貫裕司/村は消えていく 24        今泉協子/木と話す男 26
佐藤勝太/夏の一日 28           山南律子/くるみの樹の家 30
柳原省三/このごろ 32           北村愛子/朝 
 34
小城江壮智/あるトンネル 36        岩本 健/鴎 
 38
織田美沙子/心に貼りついて離れない 40   高橋サブロー/天からの手紙 43
南 邦和/海賊譚 46            笠原仙一/憧 49
忍城春宣/東富士 52            水崎野里子/テロについて 54
平野秀哉/添景 56             立原昌保/夜明け 58
西森美智子/あの日から 60         小野 肇/信号 62
安森ソノ子/ブロードウェイで学ぶ夕 64   鈴木一成/思うままに 66
伍東ちか/道草 68             門林岩雄/夏の午後 
 70
野老比左子/夏の虹 72           若狭雅裕/逝く秋 74
前田孝一/旅 二題 76           徐柄鎮/鶴富屋敷の鈴が鳴る 78

現代情況論ノート(6) 石原 武 98
世界文学の詩的悦楽−ディレッタント的随想(5)「ドゥイノの悲歌」における生と死−天使をさがして…小川聖子 100
韓国現代詩人(3) 金光圭の詩…水崎野里子訳 104
コクトオ覚書214 コクトオ自画像[知られざる男]34…三木英治 106
チベットの詩人の自伝集『青い空の下で』を読んで…郡山 直 120
東日本・三冊の詩集 中谷順子『破れ旗』 平方秀夫『人差指』 湯村倭文子『雪明り』…中原道夫 122
西日本・三冊の詩集 斎藤恵子『夕区』 梶谷忠大『わがたらちね抄』 片岡千歳『最上川』…佐藤勝太 126
受贈図書 132  受贈詩誌 129  柵通信 130  身辺雑記 133
表紙絵 中島由夫/扉絵 申錫弼/カット 野口晋・中島由夫・申錫弼



 烏/進 一男

ひところ物凄く鳥が群れていた
私の家の庇のつばめの巣も 雛もろとも振り落上された
追っ払おうとすると 逆に人間目がけて襲ってきた
すっかり恐怖的存在であった

その烏の群が 理由は分からないが しばらく姿を消していた
それがまたも集まってきだした
今のところ それほど数は多くはないが
それでも全く人間を恐れないし
じろじろ眺めて 甲高い鳴き声を上げて
常に襲いかかりそうな気配さえ見せている
わざとのように 人間の頭上に糞を垂れて
以前より質が悪くなったようだ

考えてみると 悪くなったのはどうも烏だけではなさそうだ
こういう私自身 いや人間ども自体 悪くなっているのでは
二十一世紀の人間は実に素晴しい存在になった
などとは お世辞にも 到底言えそうにない

ところがある日から 烏の鳴き声が少し違うように思われてきた
勿論私には烏の鳴き声の意味など分かりようもないが
どういうわけか その仕草やら何やらで不思議な気がしたのだ
どうも烏の奴 こう言っているのではないか
悪いなら悪いで どうだ悪い者同志 仲良くしようではないかね

 本当に「二十一世紀の人間は実に素晴しい存在になった/などとは お世辞にも 到底言えそうにない」ですね。それと「以前より質が悪くなった」鴉とを重ねたおもしろい作品だと思います。最終連の「悪いなら悪いで どうだ悪い者同志 仲良くしようではないかね」というフレーズがよく効いています。さすがは巻頭作品、と云えましょう。嫌われものの鴉と人間は同類なんだなと考えさせられた作品です。



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