きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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2006.11.04 仙台市内




2006.12.24(日)


 何年ぶりかで大掃除をしました、私が(^^; 今までは大掃除なんかやってる暇がなくて、嫁さんが一人でやっていました。退職した今年は、そうも言ってられなくて手伝いました。今頃になって網戸を外して水洗い。13枚ばかりありましたから結構時間が掛かりました。縁側も水洗い。結局、午前中いっぱい掛かりました。意外と大変なんですね。
 午後からはいただいた本を読みたかったので、残りは来週に回しました。まあ、ぼちぼちとそんな家のこともやっていこうと思っています。



詩とエッセイ『解纜』133号
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2006.12.15 鹿児島県日置市
西田義篤氏方・解纜社発行 非売品

<目次>

流れる水…石峰意佐雄…1          隙間男…石峰意佐雄…4
エッセイ 旅について…石峰意佐雄…8

小径…池田順子…12             秋の蝶…西田義篤…16
愛国心と娘…中村繁實…21
エッセイ 小さな窓から…中村繁實…24

夢のなかの紅引き…村永美和子…26      問答…村永美和子…28
エッセイ 六十一年前の零戦墜落…村永美和子…31
編集後記
表紙絵…石峰意佐雄



 愛国心と娘/中村繁實

小学校に入学してから
中学二年の現在まで
娘の学校の成績はずっと低空飛行
運動神経もにぶい
だが 学校が好きである
好きで好きで大好きである
土曜日・日曜日・祝祭日も関係ない
毎日学校へ行く

野球部長の田中先生と
レギュラーになれない土井君と古川君を
愛しているのだと言う
誰か一人にしたらと私が言うと
三人とも同じくらい愛しているのだから
そんなことはできないと怒る

私は愛ということばは苦手だ
気恥ずかしくて妻にも
愛していると言ったことはない
愛ということばは心の奥底でそっとつぶやくもの
口に出してはいけないことばだと私は思っている
だが娘は明るい声で気軽に愛と言う

テレビの野球中継をみていた娘が
急に私の方を向き
「愛国心て何?」と問いかけてきた
真剣な眼差しである
あまりにも突然の問に戸惑い
少々うろたえながら答えた
おまえが田中先生と土井君と古川君を
好きになったように
自分の心のなかに自然と芽ばえて
大きく育っていくものだよ
この国に生れてよかったなあと感じる心かな
「日本を愛する心?」
いや 日本だけを愛しては駄目だよ
韓国や中国やその他の国々も愛さないと駄目だよ
おまえは田中先生だけを愛したら駄目だろう
土井君と古川君も同じように愛さないといけないのだよ
娘はわかったようなわからないような顔をして
自分の部屋にひきあげていった

愛国心か
娘も成長したのだと思い嬉しかった
私は日本を半分愛し半分憎んでいる
愛国者といえるかどうか怪しい
だが愛国心を声高に叫ぶ人々に
愛国心があるとはとても思えない
どうもうさん臭い
娘にわかりやすく説明したつもりだったが
私自身どうもすっきりしない
娘は他にもいろいろ疑問や悩みがあるにちがいない
いよいよ父親の出番だ
ひとつ相談にのってやるか
涙をうかべて苦しんでいる娘の姿を想像しながら
そっと部屋をのぞくと中は真暗
グウグウと娘の高いびきだ

 「愛ということばは心の奥底でそっとつぶやくもの/口に出してはいけないことばだと」私も思っています。私も「日本を半分愛し半分憎んでいる」んでしょうね。「愛国心を声高に叫ぶ人々に/愛国心があるとはとても思えない」という意見にも大賛成。ましてや美しい国≠ネんて言われると、国民のことを考えていないアンタに言ってもらいくないよ、と思ってしまいます。
 最終部分が佳いですね。「娘」という人間も書けているし、親娘の信頼関係に羨望さえ感じる作品だと思いました。



月刊詩誌『柵』241号
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2006.12.20 大阪府箕面市
詩画工房・志賀英夫氏発行 572円+税

<目次>
現代詩展望 詩人の個と詩壇対策 小柳玲子『ちょっと、詩』から…中村不二夫 80
芦塚孝四「愛の唄」 私の出会った詩人たち(1)…伊勢田史郎 84
審判(4) 基盤…森 徳治 88
流動する今日の世界の中で日本の詩とは 26 日本人による英語の短詩−俳句・川柳…水崎野里子 92
月刊詩誌「柵」復刊二十周年記念パーティと詩書画展…編集部 96
「戦後詩誌の系譜」39 昭和59年55誌…中村不二夫 志賀英夫 116

小城江壮智/柳の枝 4           松田悦子/到着 6
佐藤勝太/通り過ぎるもの 8        川端律子/モンゴルの旅 10
大貫裕司/夜行列車 12           山南律子/花のみち 14
南 邦和/寓話 16             中原道夫/神の崩壊 18
肌勢とみ子/チョコレート 20        宗 昇/鈍行 22
名古きよえ/夜明けの通りを行く若者 24   平野秀哉/鵙の高鳴き七十五日 26
柳原省三/まむしが台所にいた日から 28   今泉協子/音もなく誰かが 30
進 一男/磨崖 32             西森美智子/木津川 34
岩本 健/小唄抄 36            安森ソノ子/演出に問う 38
上野 潤/和蘭物語30 40          立原昌保/(いま在るいのち) 42
水崎野里子/茶呑み話 45          土屋 恵/秀ちゃん 48
門林岩雄/秋の夜 他 52          北村愛子/呼び名 54
忍城春宣/三角富士 滝みち 56       鈴木一成/都々逸もどき4 58
江良亜来子/青空 60            小野 肇/はつ秋も過ぎて 62
山口格郎/大人になり損なう 64       小沢千恵/悲しみ 66
若狭雅裕/去年今年 68           織田美沙子/車窓の稲穂は眩しく色付いて 70
前田孝一/詩誌「柵」に思う 72        野老比左子/伊吹野 74
山崎 森/母性愛の幻想 76         徐柄鎮/豊作 78

現代情況論ノート(8)…石原 武 104
世界文学の詩的悦楽−ディレッタント的随想(7)…小川聖子106
  豪州で最も愛されている詩人 ブルース・ドーの詩的世界 上
韓国現代詩人(6) 金光圭の詩 新しい扉…水崎野里子訳 110
コクトオ覚書216 コクトオ自画像[知られざる男]36…三木英治 112
東日本・三冊の詩集 伊藤桂一『ある年の年頭所感』 黄河陽子『時折風にゆれて』 高橋協子『カサブランカ』…中原道夫 126
西日本・三冊の詩集 枡谷まさる『木だし』 中岡淳一『宙家族』 岡たすく『老いの気節』…佐藤勝太 130
受贈図書 136  受贈詩誌 133  柵通信 134  身辺雑記 137
表批絵/申錫弼 扉絵/中島由夫 カット/野口晋・申錫弼・中島由夫



 大人になり損なう/山口格郎

近頃の若者達は大人になりたがらぬ と言われる
幼児性に閉じ籠っている と言われる
また 近頃の子供達は
大人ぶる と言われる
大人に対等の口を利く と言われる

さて 七十才を遥かに越える
この私は いつまでも
角立つ物言いだ と言われる
いまだに 大人になれぬのか と言われる
大人になり損ねている と言われる
では 大人達とは 何者か
ぎすぎすとした世の中を築き
青少年に「愛国心」を植え付け
国益のために「憲法9条」を改正せよ
と公言する連中のことだ

若者達よ 子供達よ
そして私よ
夢 大人になることを願うな
大人になり損なう を良しとせよ

肝心なことは
大人の世界を見倣わぬことだ
すくなくも
人間である 自分に正直なことだ

 「大人達とは」「ぎすぎすとした世の中を築き/青少年に『愛国心』を植え付け/国益のために『憲法9条』を改正せよ/と公言する連中のことだ」という定義に納得しますね。「いつまでも/角立つ物言いだ」、「いまだに 大人になれぬのか」、「大人になり損ねている」という連中の大人≠ニは、「人間である 自分に正直なこと」を忘れる、あるいは見ない大人≠ネんでしょう。「大人になることを願」わず、「大人になり損なう を良しと」する生き方は詩人の基本なのかもしれません。



たにみちお氏遺稿詩集
『ポケットに詰め込んで』
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2006.12.26 東京都新宿区
土曜美術社出版販売刊 2000円+税

<目次>
寓意 6                  悲しい詩はきらいです 8
失楽園 12                 道 16
夜長 20                  僕のグラフィティ 24
みみずのたわごと 28            葱を植えた人(五) 32
おかげ横丁(伊勢路族行スケッチ) 34     ゆきおんな(一) 36
世相 38                  色は匂えど 42
風温む 44                 飽食 48
エレジー 50                しがらみ 54
激震 58                  午睡 62
旅 64                   秋暮れて 68
蛍 72                   ジベタリアン 74
ある夜話(二〇〇四年十二月の詩) 76     皿屋敷(三) 78
そもさん 80                御在所岳(伊勢路旅行スケッチ) 84
凱風快晴(御嶽山展望台にて) 86       散らかす 90
ニート 94                 東京迷子 98
長島三芳さんへ−いつかお会いしたい−
.100  夕鶴(二) 104
姥捨(四) 106
.               むじな(六) 110
つなぐ 112
.                彷復116
おぼろなる 120
 あとがき 124



 悲しい詩はきらいです

悲しい詩はきらいです

感動の喜びに溢れ
生きる希望の湧いてくるような
そんな詩を書きたいのです
けれども僕の回りには
母に捨てられた子
父の虐待に毎日痛みつけられ
じっとこらえている子
誰も世話をする人がなく
施設の人にも見放されて
死の瞬間を待っている老人
戦いのために片足を失った子供
戦場で家族の写真を抱いて
散華していった兵士
絶え間なく襲ってくるそれらの悲しみが
僕の心をとらえて放しません
この人たちの為に僕は何をすべきですか
希望を持てと書き続ければいいのでしょうか
ただオロオロとするばかりです

中越地震のためにメチャメチャにされた家族
スマトラ沖の大津波に呑まれた
さまよえる魂など
目をつぶると死にたくないと叫んでいる映像が
僕の脳裏を駆け巡ります
老人の僕に出来ることは何があるでしょう
雀の涙のようなお金でしょうか
ウロウロして邪魔にされながらも
災害者の手を握ることでしょうか
僕は空しくてたまりません
それだから僕は僕の心の中のありったけのメッセージを
多くの人々に伝えたいのです
悲しい涙や激しい怒りを
あなたたちに訴えたいのです
僕は書き続けなければなりません
これが僕の詩の成り立ちです
僕にできる真実です

それでも
僕は悲しい詩はきらいです

 今年1月に77歳で亡くなり、日本詩人クラブの会員でもあった、たにみちお氏の遺稿詩集です。紹介した詩の「中越地震」は2004年10月23日、「スマトラ沖の大津波」は2005年3月28日ですから、この詩は亡くなる直前に書かれた作品ではないかと思います。「これが僕の詩の成り立ちです」と書かれている通り、たにみちおという詩人の姿勢が良く出ている作品と云えましょう。「僕は書き続けなければなりません」と最期まで詩を書き続けた詩人に敬意を表し、改めてご冥福をお祈りいたします。



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