きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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2006.11.09 表参道「Gallery Concept21」




2007.1.15(月)


 午前中は父親の通院の付き添いで実家に帰りました。病院では待ち時間があるので、いただいた本を持って行って読むのが常でしたが、ここのところ読破してしまっていますから文庫を持って行きました。むかし読んだ立花隆さんの『21世紀 知の挑戦』。文春文庫で2002年8月10日第1刷。たぶんその頃、4年ほど前に読んだんだろうと思います。

 オリジナルは20世紀末の1999年や2000年に書かれています。それから7年ほど経った今の視点で読むと、おもしろいですね。予測通りだったり、予測が外れていたり…。自然科学の分野ですから、予想はかなり正確にできるものです。それでも外れるのは人文科学の分野の、ある意味、責任かもしれません。たとえばHIVウィルスを無害化しての遺伝子治療は1990年代後半には確立され、2000年の時点では「あと1、2年で臨床試験」に至ると予想されていたようです。しかし、今日現在ネットで調べても臨床試験は為されていないようです。許可は降りたが取り消された、と私は認識しています。間違っていたらごめんなさい、ですけどね。

 ここが自然科学と人文科学の関係のおもしろいところで、許可を取り消すのはたぶん、人文科学の発想だろうと思います。いわゆる倫理ですね。それが良いか悪いかの議論はちょっと措いて、そういう補完関係にあるのではないだろうかと愚考しました。そういう意味でも昔の本を読むというのは意味があるなと改めて感じていたら、おっと、親父が呼ばれた。若い頃は他人を罵倒しながら生きてきた親父も、80も半ばに差し掛かって、いまでは医者の前で好々爺です。トシをとるって、いいなぁ。



隔月刊詩誌『石の森』137号
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2007.1.1大 阪府交野市   非売品
交野が原ポエムKの会・金堀則夫氏発行

<目次>
一炊の夢/美濃千鶴 1           さと/四方彩瑛 2
虹のむこうに/高石晴香 3         朝のベール/山田春香 4
冬のなすび/夏山なおみ 5         刹那の音/夏山なおみ 6
せなか/上野 彩 7            しろがねの葬列/大薮直美 8
金魚のフン/佐藤 梓 9          名前・青いイルカ/西岡彩乃 10
土壌/金堀則夫 11
《石の声》映画×小説/四方彩瑛 12     《交野が原通信》第251号/金堀記 13
あとがき



    
しかた  さ え
 さと/四方彩瑛

さほど昔のことではないのだが
あの家は随分と寒かった
人が多かった
台所には女たちがいたし
同い年らしい子が何人かいた
寒かった

昔の家は寒いから、と大人が言った
それは多分母だった
そういうものだと
家の中はそれでも暖かいのだと
そして外は本当に寒いのだと
家の外へ出ては駄目なのだと
外はもっともっと寒いのだと
あの家で知った

さほど昔のことではなかったが
あの家は随分暖かくなった
誰もいないのに
ストーブがつけられたままで
ちょっとした空間に
暖房器具がある
暖かい
随分人がいなくなった
台所にも
水にひたした里芋が
二つ三つある

私は、つけられたままのストーブのスイッチを消した

 たしかに「さほど昔のことではないのだが」「昔の家は寒」かったですね。でも「人が多かった」。それに比べて今は「随分暖かくなった」。でも「随分人がいなくなった」。この対比がポイントだろうと思います。最終連は「つけられたままのストーブのスイッチを消」すことによって昔の賑わいが戻って来る、とも読めるでしょう。
 タイトルの「さと」はふるさとのさと≠ニ、「里芋」のさと≠ノ掛けているのかもしれません。突き放した語り口もこの詩の効果を高めていると思います。



個人詩誌HARUKA1811号
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2007.2.1大阪府交野市    非売品
交野が原ポエムKの会・山田春香氏編集発行

<目次>
夜の逮捕/山田春香
ひとり言/山田春香
《はるぶみ》



 夜の逮捕/山田春香

秒針だけがとても確実に
この静寂の時間(とき)に足音をたてる
わたしは何度も欠伸をしながらモジモジと
正座した足の親指どうしをこすり合わせる
少し冷えた板だから
なおのこと温かい布団が恋しい
家の前の通りを行き交う車も減ってきた

目をとじると そのまま夢に吸いこまれそう

吸いこまれたい
目の前のコトなげだして・・・
どうか吸いこんで
わたしをコレからさらってって

わたしの黒眼は
くたびれた地球のように
まだ廻っている

 おもしろいタイトルですが、「夜」を「逮捕」する、あるいは、した、と採ってよいだろうと思います。「夜」から「逮捕」された、ではないでしょう。場所は「家の前」を素直に採れば自宅。なぜ「正座し」ているかは不明ですが「何度も欠伸を」するほどですから、たとえば法事などではないと考えられます。「目の前のコト」「コレからさらってって」が何か判れば全貌が見えますけど、それは読者が勝手に作れば良いと思います。そういう説明を抜きにして「秒針だけがとても確実に/この静寂の時間(とき)に足音をたてる」ことに耳をすます作品ではないでしょうか。



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