きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり 】 |
2006.11.09 表参道「Gallery Concept21」 |
2007.1.24(水)
明日から開催される西さがみ文芸懇話会の「第11回西さがみ文芸展覧会」の準備で、小田原のアオキ画廊に行ってきました。私の担当は詩部門でしたのでそこを中心に飾りつけをやりましたけど、出品者はたったの5人。責任者の女性詩人が早めにやっていてくれたこともあって、すぐに終わってしまいました。他の部門を手伝ったり、皆さんとお話しして2時間ほどで帰宅しましたけど、それにしても詩部門の参加が少ないなと思いましたね。昨年はもうちょっといたような気がするけど、思い違いだったかな。と思って昨年の記録を引っ張り出してみると、やっぱり5人…。うーん、もう少し増やしたいですね。短歌、俳句、エッセイ部門が充実していますから、余計にあと2〜3人いても良いように思います。
それはそれとしてお近くの方はぜひ寄ってみてください。私は26日と28日が当番で、最終日の29日は片付けですから行っています。それ以外の日でも連絡をいただければ馳せ参じますのでお知らせください。特集は昨年亡くなった小田原の俳人・藤田湘子展です。
○詩誌『潮流詩派』208号 |
2007.1.1 東京都中野区 潮流詩派の会・村田正夫氏発行 500円+税 |
<目次> 表紙写真→田島美加
特集 牛
山本聖子/水牛・プーケット 7 鈴木茂夫/牛乳 牛なんですけど 8
藍川外内美/待つ 9 勝嶋啓太/うし 9
村田正夫/牛 10 山崎夏代/のんびりと 10
丸山由美子/牛の神さま 11 加賀谷春雄/バイソンのピリオド 12
中田紀子/わたしが牧草地を眺めに行くことはもうない 13
島田万里子/牛についての考察 13 高橋和彦/クレーム 14
土屋 衛/牛 14 宮城松隆/牛女伝説 16
千葉みつ子/乳牛 16 鶴岡実直子/ある日の牛 17
水崎野里子/私は駄牛 18 伊藤美住/夜と朝の街 18
藤江正人/上野原市棡原小伏(集乳所) 19 熊谷直樹/少子化!笑止か? 20
山岸哲夫/牛の鼻取り 20 竹野京子/スロー・モー家族 21
状況詩篇
村田正夫/ケルン・東京の水 22 津森美代子/食べる 23
山崎夏代/2006/8/15 24 原崎惠三/誰に向かっていうんだね 25
平野利雄/コラージュ(隣り町) 26 皆川秀紀/三つの星 27
山下佳恵/仮面をかぶった子供たち 28 荻野久子/バリカン 28
館野菜々子/地獄ニ落チロ 29 まちえひらお/足 30
藤江正人/8月15日 30 新井豊吉/台根伯父さん 31
勝嶋啓太/夜のサイレン 32 クマキケンジ/夏の日に 32
伊藤美住/The Same 33
詩篇
藁谷久三/さまざまな音の中で 34 林 洋子/日陰躑躅の木 34
土井正義/電車のなかで 35 中村恵子/雨の日のフルート 36
神谷 毅/遠い記憶 38 井口道生/幸せはどこに 38
時本和夫/大岳山・残照(6) 39 桐野かおる/仇で返す 40
清水博司/樹の 40 山入端利子/夕立 42
大島ミトリ/古い家 42 清水洋一/お酒のんで 44
飯田信介/白雨(三) 44 尾崎義久/道は逆上がりだ 45
夏目ゆき/一番好きな食べ物 花と誕生日 46 鈴木倫子/庭−時の散歩者 朝 47
田島美加/残暑 ツキ 48 館野菜々子/どうなる 暗い 49
麻生直子/鎖塚 50 若杉真木/気をつけろ 頭のなかに 走れもっと速く 50
戸台耕二/連想 52 比暮 寥/忘骨嘆き歌 52
●世界の詩人たち(14) 現代カンボジアの詩・続/水崎野里子 58
戦争の午後 回想の詩と時代(4)/村田正夫 60
その戦争と平和 上田幸法論(12)/丸山由美子 66
シルヴィア・プラス 海外詩随想(14)/中田紀子 68
中森隆子論 追悼/藤江正人 70
寄付様々 ロサンゼルス通信(14)/福島純子 72
時評 相田正夫/ある終刊号 74
ブックス 鈴木茂夫/甲田四郎詩集『くらやみ坂』 水崎野里子訳『青い空の下で』・他 76
マガジン 山崎夏代/火牛 黒豹 日本未来派・他 78
前号展望 山本聖子/水中力学的方程式で 80
会員からの手紙 82
メモランダム・前号ベスト5 83
詩集・詩論集・アンソロジー(リスト)/入会ガイド/編集後記 84〜87
私が牧草地を眺めに行くことはもうない/中田紀子
そこは牛を太らせるところだから
太ったら殺す魂胆がまるみえだから
幼いころ食べてすぐ寝ると叱られた 牛になると
牛は寝てばかりいると思っていたが
人間の方が寝ていたのだ
ジョンバエズのドナドナドーナを思いだす
ゴトゴト荷馬車にのせられて市場へ連れていかれる
ある晴れた昼さがりの 子牛の哀しい目を
それでも親子の別れは日常さはんじ
耳にはカード 生年月日 出生地 肥料詳細
殺したあとも役にたつように
解体工場からあふれる血は地球を一周
ロース ヒレ モモ タン 部位で値段もまちまち
ビールを呑ませ 霜降り作れ お中元 歳暮までに
もしも世界じゅうの牧草地を麦畑に変えたら
飢える子供がゼロになるとわかっているのに
わたしはいちまいのすきやき肉を口にいれてしまう
特集「牛」の中の作品です。やはり私たちの年代は牛≠ニいうと「ジョンバエズのドナドナドーナを思いだ」してしまいますね。詩も佳い名曲です。そんな「親子の別れ」の「哀しい目」を感じながらも「いちまいのすきやき肉を口にいれてしまう」私たち。生物の業を考えてしまいます。タイトルの「わたしが牧草地を眺めに行くことはもうない」という意味は、他の生物を食べなければ生きて行けないことへの逃げかもしれませんが、苛立ちとも採れましょう。そんなことを考えさせられました。
○詩誌『潮流詩派』209号 |
2007.4.1 東京都中野区 潮流詩派の会・村田正夫氏発行 500円+税 |
<目次> 表紙写真→皆川秀紀
特集 空
丸山由美子/ちぎれ雲 7 藤江正人/虚空の空 嵐のあと 8
千葉みつ子/天気予報 8 村田正夫/空の遊びの 9
勝嶋啓太/空の穴 9 藁谷久三/願いどうし 小松菜 10
山本聖子/空を測る 11 鈴木茂夫/今日の空模様 12
高橋和彦/空模様小景 12 宮城松隆/秋の空 13
新井豊吉/空 13 神谷 毅/無の支配 14
山入端利子/沖縄に帰る 14 原崎惠三/倒すなわれらの斜塔 15
夏目ゆき/僕歩く 犬女 16 荻野久子/空 17
竹野京子/空耳メルヘン 18 山岸哲夫/空空しい話 18
土井正義/とんぼ 19 山崎夏代/青空にモビール 20
島田万里子/ナインイレブン・そして五年 20 土屋 衛/宇宙・空 22
水崎野里子/そら 23 中田紀子/空からは 24
鶴岡美直子 マンマンダイの空 24 熊谷直樹/子どもだったころのレオン・ウェルトに 25
状況詩篇
村田正夫/クイズの小話 運のいい人 26 山崎夏代/崖っぷち 27
戸台耕二/二〇〇六年九月六日に 28 麻生直子/さくらのくに 28
加賀谷春雄/うっとうしい国 29 大島ミトリ/独居老人の死 30
鈴木倫子/ベケットの森 31 平野利雄/コラージュ<花火> 32
藤江正人/美しい国 33 清水博司/白い森 34
津森美代子/旅に出る 34
詩篇
藍川外内美/坂を上る ほんとうの私に返る 36 飯田信介/白雨(四) 37
林 洋子/いぶき 針の葉をだす 38 福島純子/トピアリー 39
まちえひらお 諦 40 皆川秀紀/東名高速便 40
山下佳恵/サイクル 41 田島美加/神経再生 サイクリングロード 42
加賀谷春雄/うしろから 43 清水洋一/紫陽花 44
若杉真木/杖 45 尾崎義久/腹を空かせていると 46
鈴木倫子/腹の虫 47 井口道生/三人三様 47
時本和夫/大岳山・残照(7) 48 中村恵子/恩寵−冥王星の外された日に 48
皆川秀紀/八年後の便より 49 熊谷直樹/マザー 50
桐野かおる/帰路 51 伊藤美佳/赤とんぼ 51
館野菜々子/物体 石男 52 勝嶋啓太/棺桶 肉を切り刻め! 53
比暮寥/骨の言い分-死者たちの棲む風景(8)54 小澤郁美/冬のひかり[投稿作品] 55
●世界の詩人たち(15) 現代インド詩人V.S.スカンダ・プラサド(1)/水崎野里子 60
ポンプノチカラデスイスイアガレ 回想の詩と時代(5)/村田正夫 62
その戦争と平和 上田幸法論(13)/丸山由美子 68
シルヴィア・プラス 海外詩随想(15)/中田紀子 72
買い物天国 ロサンゼルス通信(15)/福島純子 74
ブックス 鈴木茂夫/小長谷清美詩集『わが友、泥ん人』・他 76
マガジン 山崎夏代/石炭袋 ひびき 撃竹・他 78
前号展望 山本聖子/ニューデイリーには約三万頭の午 80
●旧刊案内=山崎夏代/村田正夫詩集『アフガン不眠』 82
メモランダム・前号ベスト5 83
詩集・詩論集・アンソロジー(リスト)/入会ガイド/編集後記 84
空/新井豊吉
空という文字を見るたびに感じる
この気恥ずかしさはなんだろう
小学生の頃
青森の土手を上り一人で空を見た
雲の切れ間から何本もの光が
地上に差し込み
いつまでも見とれていた
雲の上には神がいるのかもしれないと思った
飛行機にはじめて乗って雲の上をのぞいたら
また空があって
そこには誰もいなかった
ときどき自宅に神を持ってくる人がいる
聖書とは違う本を持ってくる人もいるし
珍味を持ってくる人もいる
最近職場の上を軍用機がよく飛んでいる
天気がいいなと思っていたら
光化学スモッグ警報が流れた
空も神も利用され忙しくなった
特集「空」の中の作品です。「小学生の頃」「雲の上には神がいるのかもしれないと思っ」ていたけど、「飛行機にはじめて乗って雲の上をのぞいたら/また空があって/そこには誰もいなかった」というのは誰もが感じることなのかもしれません。そこから引き続いて「神」へ繋げたところは見事です。最後の「空も神も利用され忙しくなった」というオチも佳いですね。短い詩ですが無駄がなく、よく構成された作品だと思いました。
○会報『「詩人の輪」通信』15号 |
2007.1.23 東京都豊島区 九条の会・詩人の輪事務局発行 非売品 |
<目次>
詩人の輪2周年記念
浅尾忠男 ワシオ・トシヒコ 佐相憲一 青井のな 磐城葦彦 長居煎 森ぶんめい 野口正路 原圭治
あきお/起床ラッパ 泉 渓子/九条が消えた
雨園高樹/誰も寝てはならぬ−9条とともに! 神園富枝/いのち
木村 廣/おのれ顔 倉知知明/美しい国日本
畑中暁来雄/世界史 日高 滋/時事刻々
森 智広/どの手も 三牧 亨/わたしからあなた達へ
築山多門/報道写真 磐城葦彦/美しい国
片山はな/冬仕度 榎本愛子/年のはじめに
北村愛子/お墓の意思表示
*新しい賛同参加者紹介
「九条の会・詩人の輪」福岡の集いから/岡たすく
「九条の会」初の「憲法セミナー」報告/真田かずこ
年のはじめに/榎本愛子
穏やかに 晴れやかに
新しい年が来た
おめでとう おめでとう
ことしは よい年にしたい
陽はのぼり 平和なこの国
私にはちょっと自慢したいことがあるんだ
私の宝物というか…
なあーんだ?
それは
六五歳になる教え子たちがいることです
東京・足立区立西新井小学校を卒業して
五十年
六年五組の僕たちは六三歳になりました
十一月二九日ぜひ来てください
つるべ落としの秋の夕暮れ
つぶらな瞳の筆子ちやんが
クラス会の招待状を我が家に届けてくれた
クラス会 それは不思議なものよ
あんなやんちゃ坊主たちに
孫が三人いるというのだ
花の蕾のようだった女の子も孫がいる
俊子ちやんは六年生のとき
ピアノを弾いていた
いまも孫といっしょに弾いているという
クラス会の夜は昔ばなしに盛り上がり
美酒に酔い歌をうたい
夜が更けていった
あれから三年
彼らは六五歳
年賀状の数々を目の前に
半世紀 宝物のような五十年
無事でよかった 戦争のない国で
これからも すこやかに そして
平和なことを祈って
――八〇歳になった元教師
「六五歳になる教え子たち」と「クラス会」が出来るということが「平和」の証なんだなと思います。「宝物のような五十年」とは名言ですね。私たちが「八〇歳になった」頃にはどうなっているのでしょう。現在までの平和の60年を、80年、100年、いや、永久に続けたいものです。それには何より憲法9条! 「詩人の輪」賛同者の一人として改めて強く思いました。
(1月の部屋へ戻る)