きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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2006.11.09 表参道「Gallery Concept21」




2007.1.31(水)


 午前中は歯医者に行ってきましたけど、どうして歯医者って治療期間が長くなるのでしょうかね。1ヵ月ほど前にブリッジが取れたので、ほいほいと直ると思ったら、もう4回も通っています。もちろん肝心のブリッジは直してくれていますが、その上で歯垢の削除に1日、小さな虫歯の治療に1日と、ある意味では際限もなく続きそうです。穿った見方はしたくないけど、治療費稼ぎかなぁ、とも思ってしまいますね。おそらく制度のどこかに欠陥があるのかもしれません。性善説で生きたいのだけどなあ(^^;



季刊『詩と創造』58号
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2007.1.31 東京都東村山市
書肆青樹社・丸地守氏発行 750円

<目次>
巻頭言 <詩人>を安完りするなかれ 原子 修 4
詩篇
楽譜 山本沖子 6                   不在になった私の 清水 茂 8
今われらの心は開きはじめている/童心 金光林 10    幻影 島 朝夫 14
井戸浚え 嶋岡 晨 17                 心の暗闇を生きるものたちによって 原子 修 20
地霊頌(ゲニウス・ロキしょう)−<時時>のepigraph 内海康也 22 悪食考 こたきこなみ 24
空の向こうあるいは突端 崔 龍源 28          歯について 野伸美弥子 32
かあさん おはよう なんば・みちこ 35         なんにもない 岡崎康一 38
ある銀漢の下で 葛原りょう 41             塩の海で 柴田三吉 44
冷たい闇(冬)の中から/冬夜(わが戦前) 吉野令子 46   天を仰いで 泉 渓子 48
冬のことごと 岡山晴彦 50               である 長尾 軫 52
庭で夕日が 永谷悠紀子 54               番のセキレイ 丸地 守 57
プロムナード
続・詩の教室事始め こたきこなみ 60          詩人の魂 黒羽英二 61
エッセイ
擬革新と<不滅>について 嶋岡 晨 62          <詩>の在り処を索めて(四) 清水 茂 66
吃立する精神 シェイマス・ヒーニーノ詩<9>水崎野里子 70 感想的エセー「海の風景−水辺と海辺の光景」Y 岡本勝人 78
パリ風景・蘇ったボードレール 橋本征子 87
この詩人・この一編
川杉敏夫『弱法師』 原田道子 92            尾崎与里子「選択」への向い方 山本みち子 94
詩集評 詩に霊性はあるのか−加速するグローバリズムの只中で 溝口 章 96
現代詩時評 詩を書かずにはいられない群像史 古賀博文 106
海外の詩
これだけ/もう遅いが他 キャスリン・レイン 佐藤健治訳 114
掘る/後継者他 シェイマス・ヒーニー 水崎野里子訳 120
詩集『民族のための詩』(一九六八)より ペドロ・シモセ 細野豊訳 124
夜明けの手紙/嵐他 チョン・ホスン(鄭浩承) 韓成禮訳 130
私は星のおじさん/昼の酒他 チョン・ヒョンジョン(鄭弦宗)
口のない石/放生の成される所他 ユ・アンジン(柳岸津)
研究会作品
ゴンドウバタンス 清水弘子/家 弘津 亨/わが共生の虫々 川原よしひさ/古代の空 山田篤朗/遠い日々 吉永 正/雨が 金屋敷文代/アレルギー性 高橋玖末子/哀蚊 宮尾壽里子/包丁 仁田昭子/涙 松本ミチ子/言葉 豊福みどり/ペガサスになれないものは 一潟千里/一番好きな先生 江原智枝子/○○ ×× ○○ 大山真善美/芒ヶ原 喜多美子
選・評 丸地 守・山田隆昭
全国同人詩誌評 評 古賀博文 156
書肆青樹社の本書評 160
寒川靖子歌集『花 愁灯』/中岡淳一詩集『宙家族』/司由衣詩集『西境谷団地から』/野仲美弥子詩集『時間』/池上耶素子詩集『如月の昼下がり』/荒木忠男詩集『夕日は沈んだ』/室井大和詩集『花筏』
評 こたきこなみ・丸地 守



 楽譜/山本沖子

 一九九一年九月三十日月曜日のあけがたに
夢をみた。

 私は窓辺で海をみていた。
 娘が出かけてゆく。
 リボンの付いた帽子。濃い茶色の靴。
 レースの衿のクリーム色のワンピース。
 うすい箱型のバッグをさげている。
 海へおりてゆく道をだんだん小さくなって
ゆく。
 なくした楽譜をさがしにゆくのだ、と私は
思った。
 おさなかったころ、楽譜の表紙はうす緑だ
った。いまはもう枯草色なんだよ、と私はい
いたかった。

 身をのりだし、窓辺にすがって、私は声を
あげて泣いていた。

 今号の巻頭作品です。「おさなかったころ、楽譜の表紙はうす緑だ/った。いまはもう枯草色なんだよ」というフレーズに時間の流れの具体があり、まさに詩的に表現されていると思います。第1連の「一九九一年九月三十日月曜日」という特定された日時に、作者にとってどういう意味があるのか判りませんが、読者としては特定されたことによって逆に自由に発想することができます。ここは巧いですね。調べてみると「一九九一年九月三十日」は確かに「月曜日」で、特別な意味があるのかもしれません。「娘が出かけてゆく」、「私は声を/あげて泣いていた」がポイントだろうと思います。



詩と批評『逆光』62号
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2007.1.25 徳島県阿南市
宮田小夜子氏発行 500円

<目次>
セザンヌのリンゴ/木村英昭 2       あるポーズヘの注文/木村英昭 4
落日/嵯峨潤三 6             写真/鈴木千秋  10
晩秋の風景/大山久子 12          夫婦/大山久子 14
歴史について−壇ノ浦−/宮田小夜子 16   『こどもちず・えほん』/ただとういち 20
四人の会-馬込文士村見学-/ただとういち 22 物語/沙 海 24
春待蛙/近藤美佐子 26           しゃもじ/近藤美佐子 28
ゆびきり/藤原真智子 30          トンネル/藤原真智子 32
支配される/細川芳子 34          実は/細川芳子 36
シリーズ
詩(詩人)との出会い(28) 建礼門院右京大夫/宮田小夜子 38
生命意志と管理意志/香島恵介 45
六十一年ぶりの訪問 阿波銀行の広大な店内で想い出したこと/篠原啓介 49
コラム〔交差点〕テロとの戦いとは 52
・あとがき 裏表紙
 表紙 嵯峨潤三



 夫婦/大山久子

夫婦して
いっしょに歩くしあわせ
公園を歩く時
山道を歩く時
京都の紅葉のお寺を歩く時
一緒に行けるしあわせ
温泉にいけるしあわせ
陶芸の話しをできるしあわせ
子供達が育った後で
二人で暮らす時間を
寄り添ってすごせることを
しあわせと言わないで何と言えばいいだろう
これ以上は望むまい
これ以上の時間の共有は
自分の時間が必要だ等とは
言うまい
他人と三十三年
ゆずりあって暮らせたことを
しあわせという以外に
何といえばいいのだろうか

 「他人と三十三年」と一口で言いますが、考えてみると凄いことだと思います。その上でさらに「自分の時間が必要だ等とは/言うまい」、「ゆずりあって暮らせたこと」は「しあわせ」と言うのですから頭が下がります。「夫婦」の年代によって多少の差があるかもしれませんけど、これは女性に共通した感覚なのかもしれません。当り前と言えば当り前かもしれませんけど、実はこの作品のようにはっきりと書かれた作品は意外に少ないように思います。ちょっと現実を振り返ってみた作品です。



詩誌『餐』28号
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2007.1.31 千葉県流山市
上野菊江氏発行 非売品

<目次>
空巣症候群…1    テクノ・ポリス…6
時を亘る…8     研屋増造…10
今は昔 詩人雑記…12 ふたり…15
あとがき



 今は昔 詩人

 ◎あやかりたい
 山田耕作と北原白秋が群馬県の某市から新
民謡を依頼され、現地に見にでかけ、ある旅
館に泊まったところ、番頭、仲居さんなど総
出で大変なサービスぶり。他の客から「あの
お客はいったい何様?」と開かれ「山田コー
シャクと北原ハクシャク様でございます」と

 ◎神様だけが
 英国の詩人ブラウニングの「ソーデッロ」
は難解をもって有名であるが、なんとしても
解しかねたある人が、作者のもとにそれを持
ちこみ意味を尋ねた。やや暫くのあいだ頭を
ひねっていたブラウニングが答えるには「こ
れを書いたときは、確かに私も神様もこの意
味を知っていたはずだが、いまは神様が知っ
ておられるだけだ」     〔英国・詩人

 ◎鼻
 青年ゲーテが仲間の学生たちと旅行した。
その宿泊している宿屋に、尊大な殿様が馬車
で乗りつけた。ゲーテは仲間たちに「あの尊
大な鼻を僕がつまんで見せるから、君達お金
を賭けたまえ」といって、床屋に化け、髭を
剃り、鼻をつまみ、まんまと賭金をせしめた
上、殿様から髭剃代を貰った。 〔独・詩人

 7編のショート・ショート≠ェ載っていましたが、そのうちの3編を紹介してみました。特に「◎神様だけが」は笑えますね。「難解」とは他人にとってだけであって、書いた本人は全て説明できるはずだと私は思っているのですが「いまは神様が知っておられるだけ」の詩とは一体何なのか、考えてしまいます。理科系の難解≠ヘ知識さえあれば必ず解明できるものですけど、それとは違う文系の「難解」を見事に揶揄った作品だと思いました。



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