きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり 】 |
2007.1.26 小田原「アオキ画廊」 |
2007.2.6(火)
夕方、近所の自動車修理工場のおやぢさんが来宅して、購入するクルマの仕様を決めて帰って行きました。いま乗っているトヨタ・スターレット1300がこの3月で車検を迎えます。13年乗って特に問題はないんですが、ここで買い換えないと次の機会はありません。思い切って購入することにしていました。退職していなかったらBMWでも買っていたんでしょうが、これから年金生活を迎える身にはそんな贅沢は許されません。BMWの3分の1か4分の1の値段の1500ccスポーツワゴンです。
拘ったのはマニュアルであることとパートタイム4WDです。前者は受注生産ではあるものの生産されています。後者は生産どころか型式登録さえされていない状態で、止む無くフルタイム4WDにしました。ABSと組み合わせを考えればその方が良いのかもしれませんが…。
スターレットも良いクルマでしたが、さすがに遠出には不安がありました。クルマに寝袋を積み込んで移動するというのは大好きなんですけど、故障の不安を負いながらでは楽しめません。それに4駆でないと雪道や砂浜はシンドイ。もう昔のように通行止めの峠の雪道を駆けたり、川を渡ったり、階段を登ったりなんてバカなことはしないと思いますが、全国を走り回りたいですね。昨年の日本詩人クラブ札幌イベントは飛行機で往復しましたけど、本当は3日も4日もかけてクルマで行きたかったのです。今は高速道路も「道の駅」も整備されていますから、かなり楽に行けるはずです。手始めは6月の長野大会かな。これでお金がなくなったからホテルはやめて寝袋にしようかな(^^;
○詩誌『ONL』89号 |
2007.1.30 高知県四万十市 山本衞氏発行 350円 |
<目次>
現代詩作品
柳原省三 船内空間 2 土志田英介 風のトロ 4
西森 茂 慎ましい日本人 6 大山喬二 橡の木の森へ(6) 8
土居廣之 第一子 10 徳廣早苗 風のあした 12
丸山全友 初笑い 14 河内良澄 海 15
宮崎真理子 階乗 16 水口里子 パッチワーク 17
北代佳子 みんないっしょの時 18 浜田 啓 書くこと 19
岩合 秋 あの人に 20 大森ちさと 夜桜 21
山本 衞 季節はずれ/他 23
俳句作品 瀬戸谷はるか 産土神 22
特別寄稿 村上利雄 88号読後感想 26
随想作品
谷口平八郎 幸徳秋水事件と文学者たち(2)28 秋山田鶴子 どこよりも遠い 29
小松二三子 美しい国 30 芝野晴男 ヴァイオリンリサイタル 31
後書き 32
執筆者名簿 34
表紙 田辺陶豊《岩礁》
風のあした/徳廣早苗
風がとんがっている
夜更けて
雪が降ったのだ
街も山並みも薄化粧している
きりりとした
こんな寒さもわるくない
街はすこし静かで
サザンカの咲く道を歩く
横にすらりと
のっぽがひとり
ジャコメッティーだ
ちょっと可笑しいわたしの影と
ふたりで歩く
とんがった風が
ごきげんいかがと
耳もとを通りすぎる
まあまあね
こんな年の初めもわるくない
とんがった風も
もうすぐ丸くなるよ
睦月一月七日七草
「風がとんがっている」という詩語が佳いですね。それも嫌がらず「きりりとした/こんな寒さもわるくない」とするところに作者の前向きな姿勢を感じます。「とんがった風」と「ジャコメッティー」の造形「すらりと/のっぽ」を組み合わせたところもおもしろいと思います。「サザンカの咲く道を歩」いている具体的な姿が眼に浮かぶようです。最終連のひとつ前の「とんがった風も/もうすぐ丸くなるよ」というフレーズに、作者の向日性をさらに感じました。
○『研究紀要』32号 |
2006.12.20 名古屋市千種区 愛知中学・高等学校 松本正孝氏発行 非売品 |
<目次>
教育・一般研究
1)生徒に伝えたい48話−礼拝法話の集録−…松本正孝…1
2)愛知高等学校10年の記録−平成8年度〜平成18年度−…西岡寿一…63
3)日本史授業−日露戦争の評価について(二)−…井上静和…85
4)高校生の姿勢に対する意識調査…岡島葉子、米田悠子、鈴木千春、渡邊貢次、尾関正美…135
5)伊沢修二の留学について−二つの邂逅を中心に−…田中克己…139
6)共学1年目の土曜講座の取り組み…芳賀達也…145
7)愛知中学校『土曜講座』…片山康彦…149
8)出あるこう会・早春の吉野を訪ねて…篠田 徹…153
9)国際理解コースをふり返って…鎌原亮治…157
10)留学生の受け入れの歩み−1991年9月〜2006年3月まで−…坪島章彦…165
11)愛しき短歌−『昭和萬葉集』より−…阿部堅磐…(一)
研修報告
1)2006年オーストラリア教育旅行促進視察 ファームステイ・イン・メルボルン…坪島章彦…181
2)ヨーロッパ研修覚え書き…石井 勲…187
3)聖子の研修旅行記−オーストラリア編−…山田聖子…203
編集後記…編集子
刈谷にお住まいの詩人の加藤則幸氏より 『昭和萬葉集』全二十巻を安く譲ってもらった。すこしずつ読んでいきたい。まず巻十三を開く。何故巻十三かというと、巻十三は昭和三十五年〜三十八年の歌が収められているからである。昭和三十五年といえば、私が文学を志して上京した年である。この辺から踏み込んでゆきたい。この巻には安保闘争の歌群が収められているが、私はそういった歌よりも≪W≫に収められている<愛の歌>が好きである。まず次の歌から読んでいきたい。
塀の下に残業終わるまで待ちしといふ濡れし肩抱き傘を受取る。
「アララギ」の歌人、佐野敦勇の作。すぐれた描写力である。恋人もしくは妻に対する愛情が珍み出ている歌である。工場だろうか、勤務先の塀の外で、雨の中、残業の終わるまで待っていてくれたその人から傘を受け取りながら、濡れた肩を抱き寄せるというのである。心打たれる情景である。
コンサート果てて余光の街をゆく亦しばらくは逢うこともなく
浅尾充子の作。恋人とコンサートを楽しみそのコンサートを終え、燈影もまばらな帰り道で思う。またしばらくは逢えないんだなぁと。何とも言えぬ恋の味が出ている。
口論するうちにくちづけてしまひたるわれをみあげて双の瞳がある
ある友人にこの歌を見せたら、その友人はまるで映画の世界だねと笑っていた。恋人同士の口論の解決策はこれに限る。男女の仲はこうあって欲しい。井上正一の作。
君生くる限りは生きむ逢はざればさびしく逢ひても寂しきうつつ
下句「逢はざればさびしく逢ひても寂しきうつつ」は恋愛の寂しさである。がしかし上句が良い。「君生くる限りは生きむ」というのであるから。愛する人といつまでも共に生きたいと思うのも恋ゆえであろう。
仕合せはなべて君より来る日々に花ひらきゆく花韮の道
夫に全面的に信頼を寄せる妻が描かれていて微笑ましい。時あたかも花ひらく頃、二人の道には花韮が咲いていて、その日々を祝っているかのようである。
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紹介したのは阿部堅磐さんによる「愛しき短歌(『昭和萬葉集』より)−<愛の歌>を中心に−」の冒頭部分です。「全二十巻」のうちの「巻十三」に躊躇なく向かう意思が感じられる出だしです。紹介された句も佳いですが、それにあたたかなコメントを付ける姿勢に敬服します。「恋愛」ははるかに遠い世界と思っていますが、こんな句を読むと恋愛詩もたまには書きたいなと考えてしまいますね。そう考えさせるだけの句であり解説だと思いました。
○護憲詩誌『いのちの籠』5号 |
2007.2.15 神奈川県鎌倉市 350円 羽生氏方・戦争と平和を考える詩の会発行 |
<目次>
【詩】
美しい日本‥高橋次夫 6 北九州伊川村のカラス‥中原澄子 7
泥舟‥堀場清子 8 とかげの九条‥大河原巌 9
道が黄金になったやんか‥麦 朝夫 10 「トロイの木馬」‥くにさだきみ 11
被爆医師、肥田舜太郎さん‥白根厚子12 女と憲法‥篠原中子 14
樹下で‥草野信子 15 テロリスト‥渡辺みえこ 16
名‥渚 真樹 17 地球の吐息‥成瀬峰子 18
青いバケツ‥芝 恵子 19 カートゥーンの警告‥日高 滋 20
水仙――子供の瞳‥安永圭子 21 よっちゃんのこと‥川端 進 22
じいさんばあさん‥甲田四郎 23 押し花‥佐川亜紀 25
じゃがいもと独楽‥崔 龍源 26 靴音に‥李 美子 27
時計のネジを巻かなくては‥山越敏生 28 裸体の戦争放棄‥位相憲一 29
ポルトヴェネーレ/播種のための新たな覚書‥ フィリップ・ジャコテ/後藤信幸訳 30
花は‥瀬野とし 34 人間の学枚 その122‥井元霧彦 34
哭‥真田かずこ 36 時坂峠‥島崎文緒 37
黒い朝のノート‥三方 克 38 亥/コオロギ‥日高のぼる 39
かもめ来る‥池田久子 40 砦‥閤田真太郎 41
玉昔放送‥山岡和範 42 富士山‥池田錬二 43
テラノザウルス‥うめだけんさく 44 流れ‥竹内 功 45
神サマの在所‥門田照子 46 その日の出来事/戦争と平和‥絹川早苗 47
土の紛‥山野なつみ 48 気になること‥古賀博文 49
大津島にて‥石川逸子 50 生命振り込め保険‥三井庄二 52
日本の核武装‥羽生康二 54
【エッセイ】
日本国憲法を読む(第4回)‥伊藤芳博 2 子や孫、夫の葬式を出してもいいですか‥江部俊夫 31
唖然とする「愛国心」‥白石祐子 57 先生‥篠原中子 58
拉致された労働‥中 正敏 59
あとがき‥60
会員名簿/『いのちの籠』第5号の会のお知らせ‥表紙裏
富士山/池田錬二
夏目淑石の小説「三四郎」は 九州男児三四郎が
東大に入学するために上京する所から始まる
車中で同席した後に偉大な暗闇(グレート・ダーク)と呼ばれる広田先生が
「日本も日露戦争に勝って一等国になってそれ相応の
顔をしているが、駄目ですね、自慢出来るものは
富士山しかない だがこれも天然自然昔からあったも
ので我々が作ったものではないんだから仕方がない」
というのを開き三四郎は憤然と
「これからは日本も発展するでしょう」と抗弁すると
広田先生日く 「いや亡びるね」
その日本で唯一つしか自慢できない
「霊峰富士」さえ自慢できないのが現状
もうとっくに済んでいたと思っていたのに
世界遺産への登録さえ申請できなくなっている
理由は二つ
遠くから眺める姿は霊峰だがヒマラヤ登山の日本人に
国際登山家達から浴びせられる言葉は
「ヒマラヤを富士山にするなよ」だという
霊峰富士も国際的には山岳破壊典型の山なのだ
二つ目は
北富士山麓は戦後六十年米軍の実弾射撃場だったんだ
特に北富士山麓はベトナム戦争中米軍殴り込み部隊の
迫撃砲実弾射撃場だったんだ
此処で大量虐殺訓練を終えてからベトナムに殴り込み
ベトナム人民を抹殺し全ベトナムを乗っ取ろうとした
殺傷数二百万人この忌まわしい山が霊峰富士山なのだ
ベトナム戦争敗北後も忍草(しばくさ)婦人団体の着弾地座り込み
も無視東富土山麓も北富士山麓も実戦さながら今も
米日合同ミサイル実弾演習場とされている
山頂はゴミの山富士山麓の半分はミサイル先制攻撃に
よる大量殺戮のための演習場なのだ
このていたらくでは世界遺産登録など恥ずかしくて
口にも出せないのが霊峰富士山だ
この事実に目を塞ぎ「美しい日本」だなどと
公言して憚らない安倍総理の環境認識
あきれて言葉もでない
偉大なる暗闇が日本で自慢出来るものは富士山
しかないといった富士山さえこのていたらく
偉大なる暗闇の「亡びるね」の言葉は
百年後の今日も生き続けている
私事ですが「東富土山麓」の一角になる静岡県小山町須走地区には陸上自衛隊の演習地があって、小中学生の頃はよく自転車に乗って薬莢集めに行ったものです。1960年代前半、米軍がベトナムに本格介入する前の時代でした。そんなある日、近くで機関銃の発射音を聞いて、身の毛がよだつ思いをしたことが甦ってきました。
最近「世界遺産への登録」が取り沙汰されていますが、不思議な気持に襲われます。「ベトナム戦争中米軍殴り込み部隊の/迫撃砲実弾射撃場だった」富士山、「山麓の半分はミサイル先制攻撃に/よる大量殺戮のための演習場」である富士山が本当に登録に値するのだろうか? 「世界遺産登録など恥ずかしくて/口にも出せないのが」本当なのではないでしょうか。むしろベトナム戦争に加担した「世界遺産」として登録すべきなのではないかと思います。「霊峰富士山」とし登録されたらベトナムの人たちはどう思うか、それを考えると暗澹としてしまいます。べ平連が元気な頃だったら、絶対にそんなことは許さなかったでしょうね。そんなことを考えさせられた作品でした。
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