きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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2007.1.26 小田原「アオキ画廊」




2007.2.18(日)


 2月16日と17日は2日連続で寄贈本の到着がなく、珍しいことで驚いています。そのため16日の日記で使おうと思っていた写真がお蔵入りで、今日まで延びてしまいました。で、使おうと思っていた写真がこれ。

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 10年ほど前に職場の懇親会幹事を一緒にやった連中がなぜか気が合って、とっくに幹事会は解散したのに、いまだに理由をつけては呑んでいます。16日は確か新年会ということだったと思いますが、この連中なら3月になっても4月になっても新年会と言うだろうなぁ(^^; で、集まった場所は市内の新装なった居酒屋で、今月始めに私が行って、料理の不味さで憤慨した店です。事前にやめておけ!とメールしておいたのですが、ナシの礫。どうなってんだと思って理由を聞いてみたら、私に言われるまでもなく評判が悪いのは知っていたとのこと。それでも一度体験しておきたかったんだって! まあ、そういう見方もあるわな。仕事が理系の連中ですから、実証的なのはわかる(^^; で、料理は、やっぱりマズイ。みんな納得してくれたようです。

 写真はそのうちの一人とのツーショット。これで某有名大学の工学部出身なんだから、この会社の先はクライ、、、かな。まあ、そんなことを言っては退職した私まで誘ってくれた連中に申し訳ないですね。案の定、退職後の私の動向が職場でも話題になっているようで、根堀り葉堀り聞かれました。隠すことでもないので正直に話しましたけど、いつまでも気にかけてくれているというのは嬉しいものですね。帰りは酒を呑まない女性に家まで送ってもらって、ゆっくり呑めた夜でした。みんな、ありがとうね!



詩誌『SPACE』72号
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2007.3.1 高知県高知市
大家氏方・SPACEの会発行 非売品

<目次>

風の行方/中上哲夫 2           私の島は(その二)/八木幹夫 4
頭上の月/塚本敏雄 6           羽子板/中原繁博 8
夜がわらう/近澤有孝 10          ねずみもち/内田紀久子 12
人生航路/さかいたもつ 14         詩篇 日向ぼっこ/阿部博好 16
 §
消火/かわじまさよ 36           スクリーン/あきかわ真夕 38
髪止め/いずみしづ 40           ワルツ/山川久三 42
水底からの声/山下千恵子 47        ホット・ワイン/春木吉彦 48
風のたより/片岡千歳 50          枯れて 空/武内宏城 51
槇山川伝説(八)/宮地たえこ 52
 §
残った者の残夢/豊原清明 64        朝/指田 一 68
翻訳/大家正志 70             カウンティング抄/南原充士 72
そのわけ ほか一篇/ヤマモトリツコ 75

詩記 いのちという名の実(睦月の記より)・旅路/山崎詩織 44
エッセイ
秋から冬へ 掃除屋ジョウビタキと哀しいカマキリ/さたけまさえ 59
ターニングポイントU/山沖素子 62
小説 土くれ鼓/澤田智恵 54
評論 連載W『<個我意識と詩>の様相』〜日本人の自我意識と詩(5)〜/内田収省 18
編集雑記 82
表紙写真 無題(制作・指田一)2006年 鉄、木、着物ほか 120×60×60



 頭上の月/塚本敏雄

頭上に月が浮かぶ
鋭利な爪切りで切り取られた爪の先のような
それはそれは 薄い三日月
ぼくは その
この世のものとも思えない
か細い美しさに驚きつつも
そこには見えていない暗黒の月を思う
そこに見えている10%の月よりもむしろ
いまは見えない90%の部分を

誰だって この
か細い月の
美しさに見入る
実際ぼくだって
傍らの娘に向かって
ほら 見てごらん と言う
娘も空を見上げて
きれいな月だね と答える
そうだ 確かに美しい月の姿
だがぼくは
そこには決して見えることのない
月を思う

ほら 見てごらん
まるでだまし絵のようだ
あと十日もすれば
あの見えていない部分もやがて
太陽の光に照らされて
光り輝きだすことだろうが
いまは
無きものとして有るものを支えている
あの月をごらんよ

 「薄い三日月」の形容として「鋭利な爪切りで切り取られた爪の先のような」というフレーズがまず面白いなと思いました。そして「いまは見えない90%の部分」の「見えていない暗黒の月を思う」姿勢に作者の基本的なスタンスを感じます。「まるでだまし絵のようだ」というフレーズは、この詩の中では強い言葉で、ちょっと異質かもしれませんが、これが強さとしてはギリギリの言葉なのでしょう。作者はそこまで計算しているのかもしれません。何気ない月でも「無きものとして有るものを支えている/あの月」を見る、詩人の観察力を感じさせる佳品だと思いました。
 今号の「編集雑記」では拙詩集について好意的に書評を載せてくださいました。ありがとうございます。



池田錬二氏著『元始民主生活叙事詩』
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2006.10.24 長野県松本市 露滴山房刊 1300円(送料+税)

<目次>
第1話 メディシン・ウィール(聖なる輪)…7
第2話 ジャッカ・ドフニ…73
第3話 コタンとユーカラー…107
終わりに…171



 インディアンの詩

我が子らよ 今夜お前たちは どこにいるか?
我が子らよ 今夜オレはお前たちの祈りが欲しい
お前たちは インディアンとして
誇りをもって生まれた
お前たちに オレは我らの民の道を
教えるつもりだった
インピ(清めるために汗をながす草屋)
聖なるサン・ダンス 聖なるパイプ
我が母のこの大地
しかし ある者らがお前たちを連れ去った
その者らはまだ無邪気なお前たちを
オレの元から連れ去ったのだ
キリスト教と学校と先生どものところへ
お前たちのことを
一切気にかけない者たちのところへ
BIA(インディアン局)の学校に
無理やりに押し込めたのだ
我らの大いなる霊を恥として教えた
そのかわりに彼らの神を教えたのだ
彼らの価値観を教えたのだ
嘘をつくことを教え
騙すことを教え
彼らの生き方を教えた
そしていつかお前たちに
彼らのために死ぬ事も教えるだろう
お前たちのため オレは闘った
我が子よ 我が民よ
オレは戦士だ
オレは 我が民の生きる道を守った
だから 彼らは オレを憎む
白人どもは鉄の籠にオレを入れた
オレがウソの規則を
破ったからだというのだ
昨日 お前たちのため
我が子らよ
オレは泣いた
我らの汚された水のため
空のため
オレは泣いた
我ら 潰される
四つ足のもの
緑のもののため
泣いたのだ
昨夜 オレは死の歌を
歌った
オレは死んだのだ
我が子らよ 我が民よ
今夜お前たちはどこか?
オレには お前たちの
祈りが必要なのだ
   (弥永光代−エレーヌ訳)

 本著は三部構成になっています。「第1話 メディシン・ウィール(聖なる輪)」は日本に亡命中のアメリカン・インディアン女性の部、「第2話 ジャッカ・ドフニ」は北海道在住の少数民族・ウィルタ(オロッコ)族男性の部、「第3話 コタンとユーカラー」も北海道在住のアイヌ族女性の部です。副題に「今こそ光り輝け 先住少数民族の」と付いた通り、著者と関わりのある少数民族の自決を主題とした本で、征服者側の日本人の一人としては耐えられない思いで拝読しました。そう書きながらも征服者側≠ニ認識する傲慢さにも気付かされます。その時々の権力者から見れば、私もまた被征服者側であるのです。

 紹介した作品は第1話にあった「インディアンの詩」で、インディアン女性のエレーヌ・アイアン・クラウド(日本名:弥永光代)氏訳です。「我らの大いなる霊を恥として教え」、「そのかわりに彼らの神を教えた」その先には、「彼らのために死ぬ事も教えるだろう」という慧眼に驚きます。支配と被支配の関係を見事にうたいあげている叙事詩と云えましょう。
 勝ち組、負け組なとど経済的な面での二分化のみに眼を奪われている今日の我々に、先住民族の苦難が示され、さらに生きる希望を与える本だと思います。多くの人に読まれることを望みます。



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