きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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2007.1.26 小田原「アオキ画廊」




2007.2.20(火)


 携帯電話でHPが見られるようになったので、それに対応して拙HPの修正をしています。今まではパソコンで見ることを考慮して、詩は左側に3文字のブランクを空けていたのですが、これが携帯で見ると非常に見づらいことが判りました。左詰めのベタにしています。その他にも写真を見やすくしたり、結構テマです。ようやく2006年1月16日以降は修正が終わりました。約1年分ですね。あと7年分もある(^^; パソコンで見ている人にはあまり関係ないでしょうが、私自身が携帯で見て、これはマズイなと思ってやっているだけです。ついでに誤字・脱字も見直して、まあ、無駄ではないわな。時間のあるときに、気分転換でボチボチ進めていくつもりです。



詩誌『山形詩人』56号
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2007.2.20山形県 西村山郡河北町 500円
高橋英司氏方編集事務所・木村迪夫氏発行

<目次>
詩●草紅葉/佐野カオリ 2
詩●手記/阿部宗一郎 7
詩●新しい人よ目覚めよ/高啓 15
詩●美しい人/木村迪夫 19
詩●雨/菊地隆三 23
評論●超出論あるいは個という幻想
  ――吉野弘詩集『感傷旅行』論/万里小路譲 26
詩●中島先生の授業/高橋英司 32
詩●ひどい作りをした吊り橋/大場義宏 34
詩●足乳根・風の詩集/近江正人 36
詩●宵の明星/山田よう 40
後記 44



 足乳根/近江正人

「足乳根」と黒板に大きく書き
これは枕詞と補足する
「足乳根の母に添い寝のしんしんと」と書き
では 「乳根」とは何のことですか と質問すると
それはボイン 巨乳のことだ
先生 毎日見てるべ と言って ふり返り
後ろのいちばん胸の大きな女の子を指差したから
女子から抗議の声が上がり
父とはちんちんの略称だと言う
とんでもない奴まで出てきて
教室は騒然となり
早々と国語の斎藤茂吉は座礁した

「乳」はわが身の「血」を語源に持つという
わが子に自分のいのちの血を分けて
お乳を充分に与えて育ててくださる
慈愛豊かな母の乳房への尊称
美しい茂吉の足乳根のイメージはにわかに下ネタに拡散して
タイタニック状態となり
若い教師は 頭をかいて立ち往生し
まじめな女子生徒にきびしくにらまれたまま
嵐が過ぎ去るのを待つしかないが

実は乳飲み子とは「血飲み児」のことかと思ったら
急にぞっとして
机に居並ぶ小悪魔の生徒たちが
鬼子母神とは反対に
母親の乳首をはげしく噛んで生き血を吸う
無数の吸血鬼に見えてきて怖かったと
夕食時に語ったとたん
妻は ニヤリとして言った
 あんたもお仲間よ

 「教室は騒然となり」、「タイタニック状態とな」ったのが何とも若々しくて楽しい雰囲気を感じますが、最終連には私も「急にぞっとし」ましたね。「血飲み児」とは言い得て妙です。確かに私たちは「母親の乳首をはげしく噛んで生き血を吸」ってきたのかもしれません。それで母たちはあんなに早く萎びてしまった…。そこを「妻」は見事に言ってのけたと思います。これは女性特有の感覚なのでしょうか。「あんたもお仲間よ」と言われた「お仲間」は男の「小悪魔の生徒たち」だけで、女生徒は入っていないように受け止められます。
 「頭をかいて立ち往生し」「嵐が過ぎ去るのを待つしかない」「若い教師」もうまく描けていると思います。ここでは主役ではありませんが、脇役の先生が映像化されて見えてきます。それがこの作品を深めていると思いました。



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