きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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2007.2.8 自宅庭の白梅




2007.3.21(水)


 パソコンに向かい、ちらちらと書斎の窓から庭に眼をやっていると、隣家の蜜柑畑で様々な鳥が餌を啄ばんでいるのが見えます。カラス、土鳩、鶯ぐらいは私でも判りますけど、あとは目白らしい小鳥、ちょっと大ぶりの鳥はフェンスの上にいつも2羽でやって来ます。
 そんな中で久しぶりに雉を見ました。以前見たものよりは小ぶりですから幼鳥なのかもしれません。毎年見られるというわけではなく、3年に一度ぐらいでしょうか。雉を見るとなぜかちょっと嬉しくなります。たまには鹿でも出てこないかな。ハクビシンや猿は困るけど、鹿の優雅な姿も書斎の窓から見たいものです。春分の日。墓参りの日だということも忘れて、のどかな一日を過ごしてしまいました。ご先祖さん、ごめんなさい!



隔月刊詩誌RIVIERE91号
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2007.3.15 堺市南区 横田英子氏発行 500円

<目次>
冬の峠/石村勇二 (4)           地球の意志/戸田和樹 (6)
弥生の昔の物語(44) 復活/永井ますみ (8)  彼岸花/小野田重子 (10)
針を持つ/泉本真里 (12)          書き初め/清水一郎 (14)
黒子のように/平野裕子 (16)        病室/山下俊子 (18)
私の見たチャップリン/ますおかやよい (20)
RIVIERE/せせらぎ 永井ますみ/石村勇二/横田英子/河井洋/小野田重子 (22)〜(26)
池の底から/正岡洋夫 (27)         マニラの告白 死と存在/蘆野つづみ (30)
忍びよる闇/後 恵子 (32)         さみしい朝に/松本 映 (34)
了解/安心院祐一 (36)           池田家菩提寺にて/藤本 肇 (38)
早春のころ/釣部与志 (40)         愛と希望の国(3)/河井 洋 (42)
いつの時代も/横田英子 (44)
受贈誌一欄 (46)              同人住所録 (47)
縞集ノート/横田英子            表紙の写真・横田英子/詩・永井ますみ



 地球の意志/戸田和樹

庭の花梨の木は
とうとう数枚の葉を残したまま
初春を迎えた
申し訳なさそうに細枝で
黄色く風に揺れている

公園の芝原には
これも大地にしがみつくようにして
小さなたんぽぽの花が咲いていた
それほどに
温かい陽射しが照りつけている

だが
低気圧が日本海を通過し
オホーツクの海でとぐろを巻くと
冬は一転して
冷たい牙をむく
唾液のような雪を引き連れて

娘は
雪を喜んで
外に走り出る
「雪の結晶はなぜ六角形なの」
たわいない質問に
答えを見いだせないまま
空を見あげる

今朝の冷え込みは
車のフロントガラスに
無数の六角形をへばりつかせた
地球の意志の形
娘に
そう答えればよかった

 「唾液のような雪」に惹かれました。雪をこのように形容した作品は、おそらく初めてではないでしょうか。「初春」の雪のダラダラした様子がよく判ります。「地球の意志の形」は、やはり文学だなと思います。水分子が凝集する時の水素結合の角度が120度だから「六角形」になる、というのが高校・中学化学の正解でしょうが、そこに人間≠ヘありません。人間が雪を見る感覚は「地球の意志の形」ですね。そして、化学の見方、人間の見方の両方が備わった文学、そんなものがこれから出てこないかなと夢想した作品でもあります。



詩とエッセイ『すてむ』37号
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2007.3.25 東京都大田区
甲田四郎氏方・すてむの会発行 500円

<目次>

アイルランドに蛇はいない■閤田真太郎 2  雑技■水島英己 6
名前/実習生■井口幻太郎 10        坂■川島 洋 14
荷■青山かつ子 17             天気予報■長嶋南子 20
青空■赤地ヒロ子 22            米一合半(一九四四年)■坂本つや子 24
途上/夢■田中郁子 28           名告る人■松岡政則 32
イカガデスカ?■甲田四郎 34
エッセイ
替え歌の周辺◆松尾茂夫 38         ひっぱたきたい男◆水島英己 44
最後に笑う者◆閤田真太郎 46        年頭に思う◆田中郁子 48
同人名簿 43
すてむらんだむ 49             表紙画:GONGON



 青空/赤地ヒロ子

輪切りにした蜜柑をめあてに
ベランダにやってくる つがいの目白
枝うつりしながら 陽のなかを
やすみなく 飛びまわっている
チュルルルという軽やかな囀り

鳥たちは
小さな頭を寄せあって 眠るのだろうか
小鳥のかたちの夢を 眠るのだろうか

ガラスの内側でみている
人のかたちの夢を
まどろみながら

冬の陽ざしは
在るものを影絵にする

小鳥は いない
わたしも
いない

 「冬の陽ざし」が気持良い日。夜になれば「鳥たちは」「小鳥のかたちの夢を 眠るのだろうか」。この視点がとても佳いと思います。しかし作品はそう単純ではありません。「冬の陽ざしは/在るものを影絵に」して、影の本体たる「小鳥は いない/わたしも/いない」のです。それは本体を失くしたとも採れますし、本体ばかりに眼を奪われるな、とも採れます。前者と後者ではこの作品はまったく意味の違うものになりますけど、私はどちらかに限定する必要はないと思います。両者を採り、そのあわいに「青空」があると読み取ってみました。短い作品ですが奥は深いと云えましょう。



詩誌『北の詩人』54号
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2007.3.20 札幌市豊平区   100円
日下新介氏方事務局・北の詩人会議発行

<目次>
さっぽろ雪祭り 写真・詩/佐藤 武 1   祖国は ツメタイ・美しい国/佐藤 武 2
誕生日/貴島雄二 3            雪祭り/内山秋香 3
灯り・優等生/内山秋香 4         ドロシー・ステラ シリアに死す/高畑 滋 5
筒の中の少年(3 マンホールへ)/倉臼ヒロ 5 おしらせ/泉下イチイ 8
隣の芝生/泉下イサイ 8          カルト教室/泉下イチイ 9
私のダッシュ/たかはしちさと 10      擦れ違い/たかはしちさと 11
明日咲く風/かながせ弥生 12        母と子/八木由美 13
ヤマネ/岡田 泉 14            茂子 13/阿部星道 15
校庭/乾 葉子 15
エッセイ やめて/かながせ弥生 16     エッセイ 氷点のこと/八木由美 16
書評「農へ銀河鉄道−いま地人・宮沢賢治」/高畑 滋 17
続 哀悼 木下順二−文芸とわたし/松元幸一郎 18
法ナキ国ヲ憂フ/釋 光信 23        俳句 五句/小高美恵子 24
日本は滅びる/大竹秀子 25         産む機械/大竹秀子 25
石狩新港幻想/日下新介 26         短歌 如月をゆく/幸坂美代子 27
受贈詩誌ひとこと/日下 20 21 ブログ村山精二 22
北の詩人53号寸感/日下 21 市島睦子詩集/佐藤武22
52号感想/入谷寿一 22 沃野より「いたどりの唄」22



 母と子/八木由美

「母さん 僕のことどんなふうに言われたい」
長男の言葉
「そうだね とっても優秀で………
賢いお子さんですね と言われたい……」
「ふうん ところでさ 母さんのこと
友達にどんなふうに言われたいと思う?」
「わからない どんなふうに?」
「お前の家に遊びに行くの楽しみだ
きれいなお母さんに会えるから」と――
「そんなの絶対無理だよ」
「僕もとうてい無理だなあ」
「本当だね」
二人で大声で笑った
あれは長男が中学生のころだったろうか
夏の昼下がりの会話

あれからいろいろなことがあり
優秀とは程遠い息子は
今、障害児とかかわる仕事をし
きれいとは全く縁のない母は
好奇心かたまりおばさんになっている

 理想と現実のギャップを笑い飛ばして「優秀とは程遠」くても「きれいとは全く縁」がなくても、こういう「母と子」が理想だと思います。そういう話が「中学生のころ」に出来ているからこそ「長男」は地道でも「障害児とかかわる仕事」を選んだのかもしれません。「賢いお子さん」も「きれいなお母さん」も社会が求める表面的なもので、それに囚われる人は私も含めて多いんでしょうが、本当に大事なものはもっと深いところにあると教えられます。もちろん作者には教える≠ネんて姿勢はありません。そう読み取るのは読者の権利。権利を充分に堪能させていただいた作品です。



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