きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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2007.2.8 自宅庭の白梅




2007.3.27(火)


 銀行に行ってETCカードの申込みをしてきました。たぶん1週間ぐらいで来るでしょう。タイミング良く機器も到着しました。無料キャンペーンの機器ですから音声で利用料金を知らせる機能はないようです。まぁ、実用上は問題ないはずです。アンテナ分離型というのを頼んだのですがもう品切れになったとのこと。しかし、次期無料キャンペーン用の機器を送った、とありました。もう一種類、アンテナ一体型というのがありまして、分離型が終わったから一体型にせよと言ってくるのかと思ったら、そうではありませんでした。ちょっと感心。
 新車の1ヵ月点検が来週の予定です。修理工場のおやぢさんにはそのタイミングで取り付けてもらうことにしました。これで私も料金所の混雑に巻き込まれないですむようになります。でもね、有料道路を使う機会って、年に何回だろ? 銀行に525円の年会費を払って、有料道路は500円分しか使わなかった、なんてことになるかもしれません(^^;



詩誌『谷神』8号
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2007.3.15 千葉市稲毛区
楓舎・中村洋子氏発行 非売品

<目次>
玉川 5・6/松田治江 1         ロボット・地図/田中憲子 4
きりん・まちがい探し/肱岡晢子 8     夕日/増田恭子 12
路上にて/中村洋子 14
楓舎の窓/中村洋子 16           あとがき



 きりん/肱岡晢子

昔 私は保育にたずさわっていた頃
自分のマークはきりんだった
体型からのイメージは
やせていなかったし
首も長くはなかったし
まるで正反対
でも あえて豚や猿や牛や羊には
しなかった

そう きりんは長い首で
高いところを見ている
さんざめく街を見たいと
背伸びしても
ハイヒールをはいても
届かない私を尻目に
干上った世界や遠い未来を見ることを
すいすーいとやってのける きりん

突然 きりんは走る 走る
ライオンに追いかけられて
あっ 力つきて きりんは倒れる
ライオンの勝利
無惨

しばらくして きりんは
何事もなかったかのように
すこやかに美しくさんが
しゃなりしゃなり歩いていた

何処かで「美しい日本」を目指す
誰かさん
クスクス笑っている

 後から2連目の「すこやかに美しくさんが」の意味が取りづらかったのですが、たぶん「『すこやかに美しく』さん」という固有名詞だろうと思います。作品は「自分のマーク」である「きりん」が「ライオンに追いかけられて」「無惨」な最期を迎えるのかと思いましたが、「何事もなかったかのように」「しゃなりしゃなり歩いて」います。この喩と最終連の関係が難しいんですけど、理想としてのきりんは「倒れ」ても起き上がる、全部のきりんを殺すことはできない、それを知っている「誰かさん」は「クスクス笑ってい」られるのだと採りました。優しいイメージで受け止めかねませんが、本当は怖い詩なんだと思いました。



詩と文tab3号
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2007.3.15 横浜市鶴見区
倉田良成氏発行 非売品

<目次>
詩篇
後藤美和子‥結婚・夏/01
高野五韻‥はると、そのひるとよる*くらい山水のむこうから/03
野村龍‥種*光/07
倉田良成‥冬をころがる骰子*冬霧の路地のほうへ/09

木村和史‥猫について/12
石川和広‥情けない戦記/15
倉田良成‥歌の一面/18
あとがき集/21
画‥和田彰



 冬をころがる骰子 ――堀川正美に捧ぐ5/倉田良成

丘のひくいところに風の冷たさはかさねられる
紅潮し、層をなして、空のまうえから垂直にきわまりながら
ビルの物陰でみひらく金色の寒いひとみ
まえにあるドアを開ければいつも黄昏にみちた室内で
ドアをうしろ手に閉めればいつでも朝影につらぬかれる
世からすばやく縁を切るという智慧は
投擲された骰子の華麗さで世間のただなかをころがってゆくのだ
巌に縛りつけられたプロメテウスのはらわたのようにさんたんと
おののきながらの花ひらきを示すサザンカのはなびらよりも濃くあまく
空即色のおびただしい文様の極彩で冬空がいっぱいになる
カササギたちの血をながす眼でいっぱいになる
しずかに目のくらむ昼の花火によって
ここから見える海は遠く
また近く
それならばなぜ、われわれは
あの風の吹く辻に露台を立てて
きらめく時計を並べるもの売りの芸能をさげすんだのか
それぞれにちがう時間が進む
無数の異なった星を並べているあのもの売りたちの芸能を?
夏が終わって秋が来るのではないとむかしのひとは言った
裸の木は死んでいるのじゃない、うつつのものではないだけ
斧を入れれば絶叫のように鮮烈な匂いを迸らすだろう
枝打ちの者とすれちがうとき、幽かな音
(ね)を聞くような
サカキの、タブの、クスノキの新らしい霊気のうちに
おごそかに知らされてくる冬
丘のひくいところに風の冷たさはかさねられる
もがり笛鳴る曇り日の電線から電線を伝って
鳥は神聖な霜を恋い、霜を呼ぶ
うなりつづける千年のトランスだって
虹色のハヤニエを凌驚しない
ただに見る、水晶玉の波濤の散らばり
垂直にきわまってゆく冬の蒼穹の底にあって想う
みどりいろの、光る、完璧な
環らない、愛
知らぬまにこの世に生まれてきたわれわれは
みずからの死に目に
たぶん
会うこともない

 浅学にして堀川正美という詩人のことはあまり知らないのでネットで調べてみました。1931年生、詩集『太平洋』などがあり60〜70年代に活躍し、今は筆を折っているようです。「世からすばやく縁を切るという智慧」は筆を折ったことを謂っているのかもしれません。堀川正美の詩を読まなければこの作品の真髄には近づけないのかもしれませんが、そこを離れても最終部分の「知らぬまにこの世に生まれてきたわれわれは/みずからの死に目に/たぶん/会うこともない」というフレーズに惹かれます。知らぬ間に生まれ、自分自身の死に目は見られないという我々の存在。おそらく森川正美の詩に通ずるのでしょう。勉強させていただきます。



詩誌『濤』14号
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2007.3.31 千葉県山武市 500円
いちぢ・よしあき氏方 濤の会発行

<目次>
広告 川奈静詩集『ひもの屋さんの空』 2
訳詩 夜明けに/フイリップ・ジャコテ 後藤信幸訳4
作品
目眩い/村田 譲 6            マニキュア/鈴木建子 8
愛する他/桐谷久子 10
吾が師吾が友(第一回)荒川法勝先生(1)/山口惣司 12
濤雪
吾が家の事情(3)/いちぢ・よしあき 14    北村愛子詩作品/いちぢ・よしあき 15
作品
あなたたちの所有格/山口惣司 16      メロポエム・ルウマ他/いちぢ・よしあき 19
詩誌・詩集等受贈御礼 26          編集後記 27
広告 山口惣司詩集『天の花』 29
表紙 林 一人



 マニキュア/鈴木建子

若いころは会計事務所に勤めていた
毎月の法人の決算に加えて
正月休み明けからは個人経営の確定申告で
三月十五日まで残業が続いた

そろばんと ペンの時代
伝票の束を片手に元帳への転記と
口座集計と試算表の立ち上げ
損益計算書と貸借対照表の作成
税務申告書への記入と依頼者への説明

税金が出れば出たで
出なければ出なかったで
ペンだこの痛みを気にしながら
肩凝りをほぐしながら
依頼者が語る切ない心情に耳を傾け
時代の生の声と感じていた日々

お宅だけではありませんから と
よそも皆さん必死ですから などと
いま思えば どうしてあんなにまで
ひたむきになれたのだろう

残業を終え家路を急ぎながら
この現状は よりよいものを創りだす世界に
必ず繋がっていると堅く信じた
そうでなければ とてもやってられない

お宅だけではありませんから
よそも皆さん必死ですから
昼間 依頼者を励ましたことばを
夜道を急ぐ自分自身に言い聞かせて

言い聞かせながら意識した
内なるエネルギーの高まり
三月十六日 五時の定時で仕事を終えると
ハンドバックからマニキュアを取りだし
正月以来の 桜貝のように爪を塗り
外へ出たときの 春の夕暮れのまぶしさ

西の空に浜松城がくっきりと見え
風が穏やかで あまやかだった
花屋のウィンドウも 八百屋の店先も
季節が ありのままに表現されていて

まちを歩く ただそれだけのことが
わけもなく うれしかったのを思い出す

時は流れて
パソコンの時代の会計事務所勤務は
どのように感じられているのだろう

 個人的なことで申し訳ありませんが、今年はじめて「確定申告」なるものをやってみて、この作品が判るようになったと思います。サラーリン時代は税金の申告なんてやったことがありませんでしたから「お宅だけではありませんから/よそも皆さん必死ですから」という感覚に乏しかったのが実情です。ただ、「この現状は よりよいものを創りだす世界に/必ず繋がっていると堅く信じ」ていたことだけは確かですが…。
 そういう思いで拝読すると「三月十六日 五時の定時で仕事を終えると/ハンドバックからマニキュアを取りだし/正月以来の 桜貝のように爪を塗り」という解放感がよく伝わってきます。現職時代には何でもないと思っていたことが、退職して初めて気付くということを教えてくれた作品です。



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