きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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百日紅(さるすべり)




2007.4.14(土)


 午後2時から日本詩人クラブの3賞贈呈式がありましたが、その前に京都の名古きよえさんが表参道で個展を開催中ですので、寄ってきました。個展会場の「
Gallery Concept21」は以前、大阪の『柵』同人展が開かれた場所です。そのご縁で今回の開催となったようです。それほど大きな会場ではなく、『柵』のときは狭いという印象を受けましたけど、個展ならちょうど良い広さです。11時の開場に合わせて一番乗りで拝観してきました。名古さんの絵は詩画集でも、現物でも何点か観ていますけど、やはり纏まった形の方が訴える力が強いように思いました。特に現在の都市と昔の民家とを混在させた絵は秀逸。眼福の時間を過ごしてから市ヶ谷に向いました。

 贈呈式は2時からですが理事は1時集合。12時半頃に早いかなと思いながら行ってみると、すでに総務のお二人は作業中。あわてて手伝いました。受付の女性陣も資料の整備で大童。こちらも手伝わせてもらいました。日本詩人クラブとして私学会館を使わせてもらうのは、たぶん今回が初めてだろうと思います。勝手知ったる神楽坂エミールとは違って、皆さんご苦労なさっていました。
 式は滞りなく進行、、、と書きたいところですけど、当初予想の120名を大幅に上回る170名ほどの人が来てくれて、会場は椅子の置場が無くなるほどの盛況で、会館側のスタッフもだいぶ苦労していました。

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 ご覧のように横長の会場で、ちょっと戸惑いましたけど、まぁ、無事に終わって良かった! 今後のイベントは東大の駒場キャンパスで開催ということになりますが、慣れるまではちょっと大変かもしれないなと覚悟しています。
 懇親会にも160人ほどの人が残ってくれ、こちらも盛況でした。会員ではありませんけど、村山が居るならと来てくださった方もいらっしゃって、感謝! 私は写真以外に役割はありませんでしたから、久しぶりにいろいろな方とお話しすることができました。
 二次会は2か所をハシゴ。行けなかったところもあって、ゴメンナサイです。私は22時40分新宿発の小田急特急で帰りましたが、皆さんはまだ呑んでいらっしゃいました。遅くまでお付き合いいただいた皆様、ありがとうございました!



隔月刊誌『新・原詩人』11号
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2007.4 東京都多摩市 江原茂雄氏方事務所 200円

<目次>
《この詩\》年譜/李陸史作 萩ルイ子訳 1 李陸史の人物/申石艸 1
読者の声 2                新春悪夢抄/山田塊也 2

偏光/大橋晴夫 3             お茶の時間/羽生槙子 3
冬ざれの雨/神 信子 3          ふとった私/井之川けいこ 3
謹賀新年二〇〇七年元旦/小崎富士一 4   白いスカーフのおばあさん/江原茂雄 4
おばば/丸山裕子 5
《多摩川シリーズ1》多摩川の河川敷族/江 素瑛 6
事務局より 6



 お茶の時間/羽生槙子

いっしょに暮らしている人と 年末の街に出て
ごった返している人込みを歩き
わたしは 水彩絵具なんか買ったんだ
ひと休み お茶を飲みに店に入る

お茶を飲むわたしたち
その人と何十年といっしょに暮らしてしまった
お互いおとなになるまで見も知りもしなかった人
やがて別々に人生はおしまいになる そう思って
テーブルの下 その人の足 ももの辺りに
手を当ててみる

 (詩集「いっしょに暮らしている人」より)

 確かに「いっしょに暮らしている人」は「お互いおとなになるまで見も知りもしなかった人」で、「やがて別々に人生はおしまいになる」はずですね。当り前のことなんですが、不思議な気持に捉われてしまいます。だから作者も「テーブルの下 その人の足 ももの辺りに/手を当ててみ」たのでしょうか。哲学的には実存≠ニいうことなんでしょうけど、そんな難しいことを考えなくても不思議は不思議として措いていても良さそうです。何気ない日常の一齣にフッと訪れるもの、それを表現した作品だと受け止めました。



アンソロジーetude9号
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2007.3.30 東京都新宿区
麻生直子氏編集・NHK学園発行 非売品

<目次>
中田紀子 あした葉 2           林 洋子 萩 旗弁をたてる 4
浦山武彦 沿海州/シルエット 6      前川整洋 火山にて/十勝岳にて 10
杉谷晴彦 むだな努力/貧乏の神様 16    田中万代 やすらぎ 20
工藤富貴子 急に寒くなって/幼子のように 22 夏目ゆき 炎の中で 26
山本聖子 できもの 30           島田万里子 手袋 32
竹野京子 闇夜 34             山崎夏代 捨てる 36
guest room
高良留美子 汚れについての考察 38     清岳こう 刺繍をする 40
砂川公子 火宅 42             原かずみ 雨の夜・駐車場で 44
福島瑞穂 断層のみえる海おいのまちにて 46

丸山由美子 植物を枯らす男 48
藍川外内美 歯が折れ 50
麻生直子 溶ける薔薇/二〇〇七年の青の薔薇 52
編集後記



 萩 旗弁をたてる/林 洋子
     旗弁(きべん)はマメ科植物の花(蝶形花冠)で
     上方にある大きな花弁をいう。

たれさがる細い枝
紅紫色を帯びた小さな花の蝶たち
むれて 舞う
旗弁をたちあげ 花の流れにのる 萩の花
草のようであっても
短く刈り込まれた根もとから
生え出る生木(はぎ)であり
波がよせるように繁る葉をもつ
葉木(はぎ)なのだ

旗弁をたてた 萩の花
その喉もとに
蜜のしたたりをほのめかす
濃い紫の斑紋

わたしの旗弁はみどり色に
たちあがれるだろうか
小さな素焼きの鉢に 萩の根をおしこめ
葉たちの色をなくす寸前まで
しばしば水やりを忘れてしまった
それ以上に 木であることの 萩の想いを
汲むことをおこたっていた
わたしはルーペで花をのぞきこむ
二十倍の口径に頭を振る花たちと
おりあいをつけようと

旗弁の下
船底形に合わさった二枚の花弁は竜骨弁
両側によりそう二枚が翼弁
花弁のつけねは糸のように細長く
訪れるハナバチのからだの重さにあわせて
こまかく動くしくみ
必死に蜜をすう虫たちに
花粉をつけていのちを托すのだ

かわいた喉もとにゆらめく
わたしのみどりの斑紋に
ピントをあわせ 旗弁をたてよと
萩の花にせまられる

 植物についてはまったくの無知で、恥ずかしながら「旗弁」という言葉を初めて知りました。一応、ネットで調べましたが、冒頭の作者の説明で合っているようです。説明と言っては失礼になりますけど、終わりから2連目も巧く説明しているなと思います。「訪れるハナバチのからだの重さにあわせて/こまかく動くしくみ」はまさに自然の驚異≠ニ云えましょう。最終連の「旗弁をたてよと/萩の花にせまられる」というフレーズも佳いですね。植物から教わろうという作者の真摯な気持がよく出ています。



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