きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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百日紅(さるすべり)




2007.4.16(月)


 ようやくETCが付きました。これで高速道路をバンバン走れます。しかし、取付料6,000円+税は高かったなぁ。昨年1年間の高速道路代よりも高い(^^; たぶん2〜3000円だったろうと思います。器械はキャンペーン品なのでタダでしたけど、こんなことなら自分で付ければ良かったかな。まぁ、新車になったことで、これからは遠出も増えると思いますけど…。とりあえずは6月の日本詩人クラブ長野大会はクルマで行きます、、、と言っても二タ月も先。ランニングコストを下げられるのはずいぶん先の話になりそうです。



詩誌『交野が原』62号
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2007.5.1 大阪府交野市
交野が原発行所・金堀則夫氏発行 非売品

 目次
≪詩≫
洗う/杉山平一 1             花のかけら/新井豊美 4
木道/片岡直子 6             なずきの、夢子/原田道子 8
迷路の日/小長谷清実 10          誰/望月昶孝 12
化粧/岡島弘子 14             休日/渡辺めぐみ 16
行方知れず/松岡政則 18          ビギンズ その7/高谷和幸 19
追い抜かれる/日原正彦 20         ひらかなのまち/北原千代 22
雲の本棚/樋口伸子 24           霧の奥から/平林敏彦 26
バスの中で/一色真理 28          鍋島の地/岩佐なを 30
幸/金堀則夫 32              水をたずねる/星 善博 34
右へ/松尾静明 36             秋山遠景/愛敬浩一 38
時間だって/大橋政人 40          靴下/高階杞一 42
定年あるいは停年/森田 進 44       危
(ヤバ)い、バンザイ/宮内憲夫 46
寒中見舞/島田陽子 47           桜樹幻想/溝口 章 48
さくらいろ/四方彩瑛 50          緑のラインマーカーで/佐川亜紀 51
食指たちの晩餐/古賀博文 52        来島海峡/瀬崎 祐 54
ルイ・ヴィトンにたわむれて/辻元よしふみ 56 玉ねぎの国/望月苑巳 58
正午のサイレンは/八島賢太 60
≪評論・エッセイ≫
■金子光晴・・・漂流物としての私をながめる/寺田 操 62
*歌あるいは詩/鈴木東海子 102
≪郷土エッセイ≫ かるたウォーク『たわらを歩く(1)』/金堀則夫 104
≪書評≫
杉山平一詩集−現代詩文庫−思潮社/山田兼士 66
杉山平一著『誌と生きるかたち』編集工房ノア/舟山逸子 68
山田兼士著『抒情の宿命・詩の行方』思潮社/河津聖恵 70
高良留美子詩集『崖下の道』思潮社/一色真理 72
倉橋健一詩集『化身』思潮社/松尾省三 74
藤田晴央詩集『ひとつのりんご』鳥影社/谷内修三 76
高貝弘也詩集『縁の実の歌』思潮社/岡本勝人 78
木津川昭夫詩集『境野』土曜美術社出版販売/布川 鴇 80
森 哲弥詩集『物・もの・思惟』編集工房ノア/中塚鞠子 82
田中眞由美集『指を背にあてて』土曜美術社出版販売/芳賀章内 84
山本十四尾詩集『水の充実』コールサック社/横田英子 86
三田 洋詩集『デジタルの少年』思潮社/中村明美 88
山本幸子詩集『テルマ』湯川書房/苗村吉昭 90
こたきこなみ詩集『夢化け』書肆青樹社/先田督裕 92
≪詩集紹介≫・村山精二詩集『帰郷』・岡野絵里子詩集『発語』
      ・中堂けいこ詩集『枇杷狩り』・禿慶子詩集『我が王国から』/美濃千鶴 94
≪追悼・福田万里子≫
☆詩「追悼・福田万里子さん−ゆすらうめ」/田中国男 96
☆エル・ペレレ−故福田万里子さんへ/藤本真理子 98
☆福田さんのこと/日原正彦 99
☆新潟での福田万里子さんとの交流/鈴木良一 100
☆福田万里子さんと「交野が原」/金堀則夫 101
編集後記 106
≪表紙デザイン・福田万里子≫



 雲の本棚/樋口伸子

きょう雲の図書館はお休み
仕方がないので
空を見て過ごしました
ぼんやりと暗い空です
低い空を飛行機が横切って
雲だか空だかわかりません

夜になって風が出て
いくつもの雲が流れ去り
月がビルの間に覗くと
ぞくりとして身内が騒ぎます
おさな友だちの狼おとこ
それとも青い鳥を捕らえたあの二人が
帰ってくるところでしょうか
静かに砂利を踏む靴音が響いて
返却期限の過ぎた雲が
部屋の本棚からこぼれます
ひつじ雲 いわし雲 わた雲
刻々と夕日に染まり
ターナーの描いた空と雲も
いまは
縮こまって固まって
ぼろ布のようです

あしたは晴れるといってますが
晴れたら海辺の図書館に
本棚の雲を返しに行きます
それから やっ と
あのひとを きらいに
なるのです

 最終連の「それから やっ と/あのひとを きらいに/なるのです」というフレーズがよく効いている作品ですが、ちょっと注意が必要でしょう。「やっ と」は、ようやくという意味のやっと≠ネのか、力を込める「やっ!と」なのか、難しいところですけど、私は後者ではないかと思っています。前者でももちろん意味は通じ、その場合は穏やかな作品になるでしょう。後者はそこが強調されて面白みが増すと思います。それで後者に軍配。作者の意図はまったく違うのかもしれませんが、そんな風に楽しんで拝見した作品です。
 なお、今号では拙詩集を美濃千鶴さんが「詩集紹介」で採り上げてくださいました。御礼申し上げます。ありがとうございました。



詩誌『鳥』48号
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2007.4.10 京都市右京区
洛西書院・土田英雄氏発行 500円

<目次>
佐倉義信/夏目漱石『夢十夜』を彷徨う 2
元原孝司/一枚の写真・スポーツジム・サウナ 7
中東ゆうき/遭難・似る・オーロラに寄せて 12
「もうひとつの世界」との出会い/内部恵子 18
植木容子/単なる話 23
岩田福次郎/坪庭 26
《特別寄稿》神保町裏/新井正一郎 31
土田英雄/平成丁亥歳旦蒐 34
なす・こういち/カップめん・切れる 40
水の話/なす・こういち 45
作家の自殺を考える 原民喜(後編)/鬼頑陞明 46
自殺作家の探求と病蹟メモ/鬼頑陞明 50
あとがき 52
表紙・カット 田辺守人



 サウナ/元原孝司

疲れを癒そうと
じっとがまんしていると
前頭葉からパチンコ玉が落ちてきた
首筋から妻の小言が流れている
額に浮き上がってきたのは
言い出せなかった言葉の数々
手首の辺りで光っているのは
人前で流せなかった涙の粒
熱い呼吸をすると
カラカラの喉に
母の伝言がぶらさがっている
投げ出した仕事の残骸が
ゆっくりと鳩尾を流れていく
耐え切れなくなって
ドアから飛び出すと
冷たい現実も
心地よい

 「サウナ」の効用は内部に溜まった老廃物を出すことですが、それにしても「前頭葉からパチンコ玉」「首筋から妻の小言」「言い出せなかった言葉の数々」「人前で流せなかった涙の粒」「母の伝言」とは! それらを老廃物と言っては失礼になりますけど、よく判ります。特に「手首の辺りで光っているのは/人前で流せなかった涙の粒」というのが身に沁みますね。でも大丈夫。最後は「冷たい現実も/心地よい」のですから、向日性があります。やはり「サウナ」の効用は大のようです。面白い作品でした。



児童文芸誌『こだま』30号
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2007.3.30 千葉県流山市
保坂氏方・東葛文化社発行 非売品

<目次>
海の音/井上妃咲 2            さびしい日/山口侑季 3
みどりのおちば/すずきせいか 4      かばん/今枝あかり 5
桜の花/イムヒュンジュ 6         おばあさまの庭/新川和江 8
花暦 春−葱の花−/神崎 崇 9      春/国吉節子 9
風の神怒れ/高島清子 10          雪解け水/志村宣子 10
北国の晴れた日は/徳沢愛子 11       ああ メジロだ/牧 陽子 11
ふくらスズメ/道草人 12          カンガルーの木/宮入れい子 12
おじいさんと花/天彦五男 13        なめくじのララちゃん/菊田 守 14
若葉のころ/江本あきこ 14         小道/江部俊夫 15
スミレ/大石玉子 16            いのしし年に/前田裕子 17
雨のうた/脇谷幸歩 18
[はだしで歩くと 三題]
ふくなが こうた 18  ながい えいき 19   たばた みちる 19
ライオン/保田真吾 20           カブトムシがあるく/福田真章 20
木/川筋慶斗 21              おかあさん/中島梨紗 21
お父さん/貫名泰生 22           じしん/長岡祐子 22
パン/藤木文乃 23             桃と桃子/小林桃子 23
フランスの詩/比留間恭子 訳 24      自由な振舞/クロード・ロワ 水谷清訳 32
みせっこ/岡島弘子 34           かぜのうた/市川満智子 35
おもいで/島田陽子 36           しんぱい/佐伯多美子 36
グッドナイト/多田ひと瀬 37        小さな しあわせ/よしかわつねこ 38
大石くん/三本康子 39           21世紀のうたたね/松下和夫 40
贈り物/高木総子 41            エビ/青山かつ子 41
食べもの/松尾静明 42           魔法のどろ/琴 天音 43
水/菊池彩花 44              木のにおい/廣瀬玲佳 44
お母さん/阿部麦穂 45           空/寺岡左智 45
人間/福田実樹 46             種/安道礼実 46
くも/福田紘子 47             友達/関 美湖 47
あなたになろう/近藤祐磨 48        Fake wings/小高一輝 49
ネパールの詩/磯村桂子訳 50        肩ぐるま/井立輝子 54
小さい靴/中村洋子 55           ひーくん/滝 和子 55
ゆうくんの光景/尾崎昭代 56        おじいくん/市川つた 57
お月さまと/田中眞由美 58         虫の声/卜部昭二 59
オーストリアの詩/高橋あかね訳 60     松尾直美訳 64
ぼくと子犬/江島その美 66         友だち/小沢千恵 67
海の子/絹川早苗 68            本を読む/柳生じゅん子 69
脱皮/前原正治 70             かたっぽの運動靴/大石規子 71
ダンプカー/原田 慶 71          青い夜/村田 譲 72
地平線/谷田俊一 72            大人になるっていうこと/渡邊京子 73
伝説の初代コーチ(津田孝さんを面影で)/武石 剛 74
一月は無口月/佐野千穂子 75        ひなたちゃん/飛田隆正 76
なぜ/久野実惠 76             散歩/品田美恵子 78
シャワー 自閉症とボク(7)/土田明子 79   入学式/伊藤ふみ 80
私の先生/保坂登志子 81
韓国の詩/徐正子(ソチョンジャ)訳 82    高敬子(コギョンジャ)訳 88
インドの詩とお話92
「アマゾンのジャングルで」6/アマレンドラ・チヤクラヴオルティ作 谷口ちかえ訳 94
台湾の詩/保坂登志子 訳 102        中国の詩/保坂登志子 訳 108
編集後記 110                表紙絵 内山 懋(つとむ)



 しんぱい/佐伯多美子

ねこすけちゃんは
五つになるのに
いまだに
二本足で立っちも あんよも できません
四足で ハイハイしています

しんぱいです

 失礼ながら思わずアハハと笑ってしまいました。でも、笑ったあとでフッと「しんぱい」になりました。なんで笑うんだろう? 猫はいつまで経っても「四足で ハイハイ」するものなのに、「五つになるのに」という人間の視点を持ってきたところが可笑しいんだとすぐに判りましたけど、そんな視点って誰もが持っているんじゃない? 5歳になったらここまで、中学生ならここまで、30にもなってこんなことも知らないなんて! と、知らず知らずのうちに枠を作っているような気がします。不惑を過ぎても遊びまわっているのはオカシイ、とか、ある基準でモノゴトを判断している自分にも気付きました。そこまで考える必要はないのかもしれませんが、そういう力を持った詩なのかもしれませんね。



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