きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり 】 |
百日紅(さるすべり) |
2007.4.22(日)
統一地方選挙の後半投票日。もちろん投票してきました。私の市では市長選と市議会議員選挙のダブルでした。市長は現職・新人のどっちがなっても変わりはないなと思います。市議選も大きく勢力変化はないでしょうが、憲法9条を守るという候補に投票しました。意外とこれを言ってくれる候補は少ないんですよね。市議会レベルでも頑張ってほしいものです。もちろん私も微力ながら協力します。深夜になって、危ないと言われていたその候補の当選が確定。私の市も見捨てたものではないようです。
さて、政治は政治として、精二の方は(^^;
HPのカウンターが9万を超えました。ありがたいことです。皆さまのお陰です。で、8万を超えたのはいつかな?と調べたら、なんと昨年12月の7日。4ヵ月余で1万件のアクセスがあって、これにはびっくりしました。以前は1年で1万件ほどでしたから急激にアクセス数が増えていることが判ります。単純計算で月に2200件ほど、日単位では70件ほどになります。20分に1回の割合でアクセスしてくれていることになり、正直なところ、嬉しい限りです。
もちろんネットの世界ではこの何十倍もアクセス数の多い詩のHPやブログがありますけど、こんなマイナーなHPによくぞ多くの人が訪れてくれているかと感謝感激です。奇を衒らったような面白いことは書けませんが、今後もこんなペースで続けていきます。今後ともご支援、ご叱正のほど、よろしくお願いいたします。
○奥沢拓氏詩画集 『悲しいという字は』 |
2007.4.20 東京都新宿区 土曜美術社出版販売刊 1200円+税 |
<目次>
T
「女」−12編…008 「心」−15編…015
「虫」−10編…024 「魚」−5編…030
「映画」−14編…034
U
「基督(キリスト)」−5編…046 「空」−4編…048
「子」−2編…050 「荒野」−15編…052
V その他 漢字1字一36編
W 似たもの同士−4編…082 漢字2字−16編 3字−2編…084
X
男…096 性…097
躾(しつけ)…098 夥(か)…099
怖…100 忍…1021
信…104 子消し…106
怒…110 愛隣114
儚(ぼう)…118 明日(あした)…120
花…122
図版目次…126
子消し
それで良かったのか?
短い命だと分かったから
満足な身体ではないとも
むかし
奥羽の寒村では
産まれたての赤子に濡れ手拭を被せることがあった
我が子を悼んでつくられた
人形
我が子とはいえ人の誕生を決められるのか
その方が子どもの為だというのは只の親の
たとえ三年
いや
わずか三日の生命だったとしても
また五体満足でなかったにせよ
この世界を一度は見せて
四十を越えやっと授かった生命だった
セミは何年もの間
土の中深く育まれ
ひとたび大地へ産まれ出ると
一瞬の生命(いのち)を輝く
人はいつ神になったのだろう
何が輝く生命だと
誰に分かるのか
誰に決められるのか
とりとめもない考えがグルグルと脳裏をかけめぐる
ふと気づくと
手の中のこけしが
凝っと私を見つめていた
副題に「花の詩画集 漢字の詩」とありました。漢字や文字から連想されることを詩として纏めて、著者自身による版画が添えられたユニークな詩画集です。TからWは一つの漢字に対して1行の詩という構成、Xは一つの言葉に対して長めの行分け詩になっています。ここではXの「子消し」を紹介してみました。そうか、「こけし」とは「子消し」だったのか! と思います。そう言えば以前、聞いたことがあるような…。「人はいつ神になったのだろう」というフレーズが重くのし掛かってきます。こけしを見る眼が変わってきそうな作品です。
○詩誌『りんごの木』15号 |
2007.4.1 東京都目黒区 荒木寧子氏方・「りんごの木」発行 500円 |
<目次>
扉詩 武田隆子
風の街/さごうえみ 4 一月/川又侑子 6
オアシス/宮島智子 8 飛べ/栗島佳織 10
私の原稿用紙/峰岸了子 12 反抗/田代芙美子 14
ゆっくり歩いて/青野 忍 16 二月 その三/山本英子 18
待たれる春/横山富久子 20 雪が降ると/東 延江 22
向山(むかいやま)/高尾容子 24 陽炎/藤原有紀 26
いとしくいとわしい鬼たちよ/荒木寧子 28
表紙写真 大和田久
いとしくいとわしい鬼たちよ/荒木寧子
やるせない春にまとわれ
薄い呼吸におぼれ
からみあう海へびの悪夢に
春を呪う
たましい の 旅
に 引かれ
笑う わたし
父とさまも母はさまも
恋しくはない
絡みあったおとこ
も
恋しく は ない
遠い恋人 よ なんて春の月のように
詩わない
もわんもわん 春を
むきだしの乳房で抱いている
もわんもわんの春よ
赤子を死なしてから
わたしの春は少し狂った
影がいとしい
水の影
空の影
死の影
影の永遠は光の気体の川
いとしくいとわしい たましいよ
ちりいそぐ 花 にも 死はある
風は柔らかなひかりよ
わたしはふるえゆれながら待っている
最終連で「いとしくいとわしい たましいよ」とありますから、タイトルの「鬼」は魂≠フ誤植かと思いましたが、そうではないでしょう。鬼=魂と考えて良いと思います。現代では鬼は悪というイメージがありますけど、善鬼という言葉もあるように、本来は忌み嫌われるものではなかったようです。むしろ鬼=魂という意識が強かったと何かで読んだ記憶があります。
この作品で鍵となるのは第5連だと思います。詩作品ですから現実と採る必要はまったくなく、あくまでも創作として鑑賞すれば良いのですが、やはりこの連が作品全体を支配しています。そこから最終連の「わたしはふるえゆれながら待っている」が導き出されていると思いました。「もわんもわんの春よ」など言語感覚的にもおもしろい作品です。
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