きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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2007.4.8 神奈川県真鶴岬




2007.5.9(水)


 銀行主催の投資信託運用報告会に行ってきました。横浜のホテルで開かれまして500人ほどが集まってきました。中に一人、昔の職場の男がいて、思わず「働きもしないで利子で食おうなんてフテエ野郎だ!」と言ってやりましたが、そっくりそのまま返ってきました(^^;
 私は初めてそんな集まりに出ましたけど、得るところは多くありました。投資信託のメリット、危険性は私が持っている知識以上の説明はなかったのですが、今後の経済展望はそれなりに面白く、経済分析の手法を垣間見た思いです。そして一番興味を引いたのは、なぜ人間は保守化するのかという点です。
 講師の最後の話で、参議院選挙の結果によっては株価変動があるだろうということが挙げられていました。保守勢力がこのまま持続すれば株価は安定、沈下すれば株価は下がるだろうというものです。それだけの話だったのですが、株主の端くれとなった私は一瞬、株価は下がってほしくないなと思いました。保守勢力が勝ってほしいとまでは思いませんでしたけど、私でさえそう思ったのですから、政治的な意識がない人なら保守に投票するでしょうね。もちろん講師はなぜ人間は保守化するのか≠ネんてことは言ってません。講師の言葉から私が瞬間的に出した結論です。考えてみれば、こんなことは判りきったことです。それを今回、自分の肌身で感じました。なけなしの金を投資して、わずかな利子にしがみつく己を恥入るばかりですが、資本主義はそこから見なければいけないものなんだろうなと感慨深いものがありました。



詩誌『左庭』8号
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2007.4.27 京都市右京区
山口賀代子氏発行 500円

<目次>
俳句 海について私が知っている二、三のことがら/江里昭彦…2
詩  明日の値段/堀江沙オリ…4
   桜日幻想/山口賀代子…8(うしろの正面)(花の下)(青龍寺)(八重桜)
【さていのうと】
・笑顔/山口賀代子…14
・裸眼の私の密かな救い/堀江沙オリ…16
・地の恵みが視えない/江里昭彦…17
つれづれ…゜18
表紙画=森田道子「花束」



 桜日幻想/山口賀代子

 (うしろの正面)

ふるさとの寺の境内に桜の大木があり
そのまわりで わたしたちは「かごめかごめ」をして遊ぶ

 かごめ かごめ 籠のなかの鳥は いついつ出やる
 夜明けの晩に 鶴と亀が滑った うしろの正面だあれ(※)

わたしたちはまわる 籠のなかの鳥をかこんで
桜の木をかこんで
うしろの正面にいたのは誰だったのだろう

寺の娘の名はえみちゃんといった
弟はふじおくんといって色白の美しい少年だった
田舎にしては背丈のながいえみちゃんは
短いおかっぱ頭がにあっていて 寺の娘で甘やかされ
わがままではあったが気持ちはやさしかった

えみちゃんは東京の大学を卒業し
横浜にある曹洞宗大総本山でしばらく働いたのち
ふるさとをおなじくする人と結婚し東京郊外につつましやかな家を建て
西の都に住むわたしを招いてくれるのだった
幸せを絵に描いたような暮らしがあった 大塚のがん病院へ
えみちゃんが入院するまでは

ひさしぶりに会ったえみちゃんは
夕顔のような顔をしてベッドに横たわっていた
切った足が痛むのよ と彼女はいい おかしなことね
ない筈の足が痛むなんて といったひとはそれから一年も経たないうちに
うしろの正面へ旅立っていった
二年後には新婚まもないふじおくんの連れあいが
その三年後には母である寺の奥さんが
三人ともおなじ病で逝くなんて
                     ※かごめかごめ…こどもの遊び歌

 「桜日幻想」という総タイトルのもとに(うしろの正面)(花の下)(青龍寺)(八重桜)の4編が連作されています。ここでは冒頭の作品を紹介してみました。童謡に裏の意味があるとはよく聞く話ですが、「かごめ かごめ」の「うしろの正面」は「旅立ってい」く人の場所だったんですね。ちょっと怖い想定です。それはそれとして「えみちゃん」と「ふじおくん」のイメージはよく伝わってきます。特に「色白の美しい少年」、「背丈のながいえみちゃん」という表現に魅了されます。そして「色白の美しい少年」の「連れあい」や「わがままではあったが気持ちはやさしかった」女の子が最終連で「おなじ病で逝く」ことになりますけど、作品はここから残りの3編へと繋がって行きます。次の頁をめくる手も早くなる冒頭作品と思いました。



詩誌『潮流詩派』210号
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2007.7.1 東京都中野区
潮流詩派の会・村田正夫氏発行 500円+税

<目次> 表紙写真→麻生直子(原子朗、村田正夫両氏を写す)
特集 笑
神谷 穀/妄語の雨 7           勝嶋啓太/夜の笑い声 7
村田正夫/笑い 8             原ア惠三/笑いの季節 8
丸山由美子/笑いの合言葉 9        山本聖子/箸 ころぶ 10
山崎夏代/凧 10              島田万里子/美しい日本ショウ(笑)タイム 11
加賀谷春雄/(笑) 12           千葉みつ子/笑顔 12
荻野久子/五月の風の中で 13        山入端利子/ゑ! 13
清水洋一/ある詩人 14           若杉真木/木々の鳴く夜 14
宮城松隆/島は笑う 15           水崎野里子/笑い 16
竹野京子/笑いさまざま 16         伊藤美住/小春日和 17
藤江正人/笑えない 18           土屋 衛/笑百面相 18
新井豊吉/3年2組の君へ 19        比暮 寥/骨が笑う−死者たちの棲む風景(9) 20
状況詩篇
平野利雄/コラージユ〈義理チョコ〉22    村田正夫/昔の映画 23
大島ミトリ/昼花火 24           加賀谷春雄/上から 24
熊谷直樹/へりを飛ばそう 25        夏目ゆき/同じくらいの凶器・寝しなにテレビ 26
山崎夏代/機械 27             福島純子/今日のピーマンニュース 28
尾崎義久/カンジョウあわへん 28      山下佳恵/心の闇 29
高橋和彦/木曾でなく 30
詩篇
桐野かおる/最後のお願い 31        鈴木茂夫/忘れちゃったよ! 32
清水博司/言葉つむぐ人 32         藍川外内美/星の見えない宇宙の真ん中 34
勝嶋啓太/夕陽の方へ 35          林 洋子/レバノンシーダーの木 36
土井正義/扉 36              時本和夫/大岳山・残照(8) 37
戸台耕二/鳩 38              田島美加/課題曲 39
熊谷直樹/小さなあかり 小さな生き物 40  鈴木倫子/平行線 41
まちえひらお/あらぬ…… 42        藤江正人/電気 43
藁谷久三/好き勝手・言葉の近況・意欲 44  飯田信介/空の真中(一) 46
井口道生/牛柄のマル君 46         清水洋一/電話 47
鶴岡美直子/モデラート・カンタービレ 47  中村恵子/スノードロップ 48
皆川秀紀/言い訳 49            伊藤美住/鬼火 50
舘野菜々子/開花 50            麻生直子/降りつもる霧の砂 51
津森美代子小詩集 パーク 刃 52      庶民は健在だ 旗 53
●世界の詩人たち(16) 現代のモンゴル詩人/水崎野里子 58
ナポリを見て死ね 回想の詩と時代(6)/村田正夫 60
その戦争と平和 上田幸法論(14)/丸山由美子 66
時代の航路を切り開く 村田正夫詩集『時代の船』評/鈴木茂夫 70
時空を駆ける批評性 村田正夫詩集『時代の船』評/山本聖子 72
海の向こうのロサンゼルス(1)/福島純子 74
ブックス 鈴木茂夫 高良留美子詩集『崖下の道』・他 76
マガジン 山崎夏代 ヒロシマ・ナガサキを考える87・他 78
前号展望 山本聖子 そこに空と死があるか 80
納豆などでなく 山崎夏代(時評) 82
メモランダム・前号ベスト5 83
リスト/入会ガイド 84〜85
編集後記(村田正夫) 86



 笑い/水崎野里子

「笑う」と日本語で一口に言う
でも これは翻訳者泣かせ
Smile giggle laugh jeer sneer
英語にはいろんな笑い方がある
こっちだって負けないぞ
微笑 ほほえみ くすくす笑い 大笑い
嘲笑 冷笑 嗤い 高笑 哄笑

ほほえみましょう
春の風に揺れるタンポポには
嗤いましょう
テレビの妙なコマーシャルには
他者のちょいとしたミスには
人目を忍んでくすくす笑うのが一番
クールな冷笑
クールに笑って ズバリと奴を殺す
箸が転がっても笑うのは何歳くらいまで?
箸がいくら転がっても この頃ちっとも可笑
しくない

この頃 トシのせいかドジばかり
どうも みなさまから嘲笑 哄笑の妄想
でもいいでしょ
笑う門には福来る
ひとさまのお役に立っているのよ
お金払って落語を聞きに行く必要なし
世界には笑えない出来事ばかり

 特集「笑」のなかの1編です。英語の笑いは、「微笑 ほほえみ」に対応する「
Smile」、「大笑い」の「laugh」までは知っていましたが、さすがに「giggle」「jeer」「sneer」までは判りませんでした。高校から使っている私の辞書には「giggle」=「くすくす笑い」、「jeer」=「あざける」、「sneer」=「冷笑」と出ていましたけど、アンダーラインは引いてありませんでした。さすがは「翻訳者」、細かいところまでよくご存知ですね。
 それにしても「世界には笑えない出来事ばかり」。今の時代だからこそ必要な特集だったのかもしれません。



個人誌『一軒家』17号
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2007.6.1 香川県木田郡三木町
丸山全友氏発行  非売品

<目次>
お客様の作品
詩 雨の朝 丸山全友 0
随筆
遅かった臓器移植法/中谷実由紀 1     怖がり・寂しがり・恥ずかしがり/平山洋一 4
ニュース/宮脇欣子 5           仏生山界隈/坂戸敏明 6
住まいと家族/篠永哲一 8         抱夢園(回顧と夢の始まりの巻)/荒木伸治 10
梅の実の思い出/山上草花 12        雪柳/吉原たまき 12
飛騨歳時記/佐藤暁美 13          おとなしい女のお見合い/池田みち 14

亡くす/丹治計二 16            三十年日の贈り物/高橋智恵子 17
落葉/吉村悟一 17             地の底に沈むもの/窪田孝司 18
競わせる/吉田博子 18           赤い糸/吉原たまき 19
童話
ジン六おじいさんと百姓/内藤ヒロ 19    父さんとひよす/星野歌子 22
キャベツのおしろ/森ミズエ 24

花影/内藤ヒロ 26             鳴いています/小島寿美子 26
港町/角田 博/27             失くしたイヤリング/中原未知  27
こーひーたいむ/深野久江 28        春をありがとう/友里ゆり 28
泣く女/飯塚 真 29            ひき蛙/山上草花 29
文学作品を読む
永くみに行く少女コゼットな田島伸夫 30

家族/戸田厚子 31             鰻谷から/成見歳広 32
近隣公園/星 清彦 32           死亡通知/高崎一郎 33
三つの骨/山下智也 33
俳句
山上草花 34                徳間育男 34
小倉はじめ 34
川柳 雑詠 戸田厚子 34
短歌 山上草花 35             雑詠 戸田厚子 35
小説 平池物語/坂戸敏明 35        あかり/小山智子  42
一軒家に寄せられた本より
夕日は一つだけれど/戸田たえこ 44     マーガレットの丘/藤田三四郎 45
贈り物/小山智子 46            草に寝て/沢野 啓 46
石の顔/佐藤暁美 47            右肘関節脱臼/大山久子 47
夢でもひとり/小倉はじめ 48        詩型について/成見歳広 48
詩 アカルイ/宇賀谷妙 50         手甲を縫う母/尾崎紀子 50
全友の作品
小説 虚勢 51
詩 休憩・音・おやつ 56          老眼鏡・三面鏡・父の日 56
身辺記 我が家のテレビ変遷 57       静御前の墓 69



 競わせる/吉田博子

さやえんどうの種は
二粒ずつ穴に埋める
二つを競わせるんじゃ
と 母は教えてくれた
朝に一度水をやっていたら
一つの粒が芽を出して伸びてゆく
もう一つはいじけ
枯れたようになっている
同じに水をやっているのに
木でもそうなんじゃらしいよ
競わせたら
大きゅうなってゆくのが逢うんじゃて
お店でも
同じような種類の店が
多く集まっているのが
人を寄せる
多くの種類、違った趣味を凝らしたものを味わい
珍しいものを求める
それも戦いだろうか
戦いに負けたえんどうの
ちぢこまった芽の姿
わたしはその方がいとおしい
必死に土を根元によせ
立ちなおって
元気に青々としゃんとなって欲しいと願う
けれど
それはちぢこまったままだ
枯れそうだ
ポロポロなお前の方が大切に思える
この世のことは
こんなふうに強いものが
力強く生き残ってゆくのだろうが
自然界の掟でもあろうか
それでも
弱い芽を大切に大切に守りたい
私は両手で
ひなひなした放れそうな命を
守り育ててあげたい

 私は植物に疎いので知りませんでしたが「二つを競わせる」というのは常識なのかもしれませんね。例として「お店」が出てくるところも面白いと思いました。作者の「戦いに負けたえんどうの/ちぢこまった芽の姿/わたしはその方がいとおしい」という姿勢には感銘を受けました。「この世のことは/こんなふうに強いものが/力強く生き残ってゆくのだろう」という「自然界の掟」への、人間社会も含めての抵抗姿勢と受け止めています。
 なお、真ん中あたりの「多くの種類」は、原文では「多くの親類」となっていましたが、誤字と思って訂正してあります。ご了承ください。



詩誌『北の詩人』55号
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2007.5.10 札幌市豊平区   100円
日下新介氏方事務局・北の詩人会議発行

<目次>
水仙 写真・詩/佐藤 武 1
桜/内山秋香 2              電波/内山秋香 2
あの頃の冬/岡田 泉 3          ファンダメンタリスト・ブッシュが唄う/高畑 滋 4
ピースゾーン国際宣言/高畑 滋 5     美しい国か?/たかはし・ちさと 6
鈍感力/たかはし・ちさと 6        日本の政府の罪悪のうわぬり/大竹秀子 7
夕鶴/大竹秀子 8             九条を守ろう/佐藤 武 8
わが孫 廉/松元孝一郎 10         男 あってこそ/松元孝一郎 12
醜悪な ツラ/松元孝一郎 12        病を超えて/かながせ弥生 13
神に選ばれて(絵に描かれて…)/かながせ弥生13 縁/かながせ弥生 14
神に愛されて(夢の訪ね)/かながせ弥生 14  比喩の刃・報複の連鎖/日下新介 15
希望は消えない/日下新介 16        萌える/乾 葉子 17
茂子 14 暴力/阿部星道 18        白石 1/阿部星道 19
短歌 春の嵐に/幸坂美代子 20       フキノトウ/八木由美 21
春の訪れ/八木由美 21           俊子の相慕図/釋 光信 22
六月の雪/名香白雪 23
往復書簡/泉下イチイ 29
エッセイ かごめ歌考(前編)/倉臼ヒロ 24
エッセイ 安倍晋三政権の「いじめ」「自殺」にもの申す/日沖 晃 30
受贈詩集・詩誌一覧 17
「北の詩人」五十四号寸評/佐藤 武 31
もくじ・あとがき 32



 ピースゾーン国際宣言/たかはた しげる

ここはピースゾーン・無防備地域です
ここには何の武器もありません
どこを探しても軍事施設はありません
大量破壊兵器は作っていません
ククラスター爆弾や地雷も作っていません
ミサイル防衛システムにも入っていません

平和は自ら作り出すもの
ここはピース・ゾーン・無防備地域です
私たちは国際条約*に基づいて宣言します
ここはピースゾーン・無防備地域です
武力紛争に巻き込まれたくない私たちの権利です

ここには何の武器もありません
私たちは家族を愛し 隣人と仲良く暮らし
自然を愛し 戦争はしないと決めました
ヒロシマ・ナガサキ・朝鮮・ベトナム・カンボジア
コソボ・ソマリア・アフガン・イラク
無念にも殺された人たちに励まされ
もう殺されないぞと考えました
ここはピースゾーン・無防備地域です

恨み 怨念 邪推 嫉妬
みんな乗り越え宣言しました
ここはピースゾーン・無防備地域です
心安らかに暮らし 豊かな文化をもつ地域です
武力紛争に関わらない地域です

どんな査察も受け入れます
何回でも調べてください
ここには軍隊は居りません
どんなに探しても武器はありません
ここはピースゾーン・無防備地域です

 *二〇〇四年に日本が批准した国際条約で自治体が宣言できる

 注釈に注目して申し訳ありませんが、「ピースゾーン国際宣言」は「二〇〇四年に日本が批准した国際条約で自治体が宣言できる」ということに驚きました。以前、非核平和都市宣言≠ニいうのを各地の自治体で出したことがありますけど、それと同じ使い方が出来るのかもしれません。自衛隊や米軍の施設が無い自治体にはさっそく宣言してもらいたいものです。それが全国の相当な面積を占めるようになれば、世界への絶大なアピールになると思います。まさに「武力紛争に巻き込まれたくない私たちの権利」を行使したいものです。



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