きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり 】 |
2007.5.20 栃木市 とちぎ蔵の街 |
2007.6.7(木)
日本詩人クラブ長野大会の準備から参加する関係で、明日から4日ほど留守にします、、、と書く白々しさ(^^;
本当は、今日は6月12日です。4日間のイベントは全て終って昨夕帰宅しました。日記はおいおい書いていきます。大会の様子は日本詩人クラブHPに載せてあります。写真が主ですがよろしかったらご覧ください。
4日間通じての感想、、、疲れた。初日に7時間も運転したので、それが最後まで効いたのかもしれません。これから数日を掛けて、ボチボチと書いていきます。
○江戸我美保氏詩集『365×5(20+30)』 |
2004.4.5 東京都渋谷区 まぐまぐ刊 500円+税 |
<目次>
☆'98〜'03年の詩作品
”谷間の百合”‥‥4 ”ガラスの中”‥‥6
”下関・行脚”‥‥7 ”prince
igor”‥‥11
”たまゆら‥‥14 ”人類の終わり”‥‥15
”逃げる夫”‥‥19 ”私は石ころ”‥‥20
”お盆”‥‥22 ”広いネットの海で”‥‥23
”家庭内残留孤母”‥‥27 ”家庭内ラッシュ”‥‥30
”詩の書き方”‥‥34 "The
form of the poem"(英訳・翻訳機による)‥‥36
”心を埋めるもの”‥‥38 ”可愛い私の小鳥”‥‥41
”八月の時計”‥‥42 ”甘いお酒”‥‥44
”手抜き料理”‥‥46 ”食洗機”‥‥48
クリーニング‥‥51 母の日‥‥53
古い冷蔵庫‥‥56 天国へ(父・追悼)‥‥59
☆ えど20代の作品
”煙草”‥‥64 ”パララックス −視差−”‥‥66
”明日へ”‥‥67
☆ 30代の作品
”料理”‥‥70 ”言葉”‥‥71
”so long”‥‥73
☆ 俳句‥‥75
☆ 短歌‥‥76
”下関・行脚 ”
往復360キロ余を、気長に私は軽自動車を駆る。
私を駆り立てるものは、ただそこに行ってみたいということだ
け。
どこにいても、蝶が私を呼ぶ。
連れて行ってはくれない主人には置き手紙をしておいた、内緒の
行脚である。
運転への興味などとうに無く、ただアクセルを踏み続ける、全て
の道は私に通ず、道がある限り走り続ける。
それにしても、かったるい。
覚えのある道から覚えの無い道に入ると、そこからは特に距離が
遠くなる。
果てしなく道は続き、標識の距離数は意地悪く全く進みを見せて
はいないかのようだ。
町から山へ、山から町へ、幾つも過ぎて海は遠い。
事故の怖い高速でなくても、速度だけは結構早い。
私の横で五月は、フィルムを一本使い切った。
八月は死んだ振りをしている。
間に一度休息を入れて、四時間半掛かった、気違い沙汰だと自分
でも思う。
地図も持たずに、標識だけで辿り着いた。
標識によって観光する。
御土産を束にして買い、地図を貰って町を眺める。
関門海峡を大きなタンカーがゆっくりと進み、吊り橋の関門大橋
が勇壮で美しい。
見慣れた瀬戸内海よりも、やはり大きく深く、私は海が柿い。
「向こうは九州なんだね−」
ここまで来たことが、感慨である。
何せ十時に出発したので時間が殆ど無い、帰れなければ泊まるつ
もりだ。
赤間紳宮に御参りする。
平家一門の御墓がある。
l
蝶が私を呼ぶ。
庭園は閉門ぎりぎりセーフで、侍町を散策する。
古い町並は、私をいつもほっとさせる。
被写体であることも嬉しい。
そこに何か古の力が、まだ働いている。
帰りがけにピッチで実家に連絡してみたら、直ぐ近くのように音
が良い。
姪が出て、まだ口止めしておいた。
きっと今日は怒られるだろう。
なかなか出掛けられなかった後の、今日が買い物の日なので冷蔵
庫は正真正銘空っぽだ、昔々、私を働かせておいて文句を言った罰
だ。
電話は、広島に近付いてからにしなければ、喧嘩すると運転が出
来ない。
コンビニが、御手洗いも買い物も、私達女子供だけには程良い休
憩地点になる、時間も節約される。
そして、どこに行ってもある。
八月に家に電話させると、案の定、機嫌が悪そうだ。
気の遠くなるような距離を、町々の夕方の渋滞に当たりながら通
過して、カーブばかりの山道を飛ばしながら、曲がるのが大儀で帰
りは高速に乗ろうかとも考える。
外は既に真っ暗で、道路を走るというより、空でも飛んでいるよ
うな飛翔感に近い心元無い感覚である。
おむすびを食べながら、増えたトラックと競争する。
生きて帰れたのは運が良かったのか…。
帰りは行きよりは、少し感覚的に速い。
主人は全然怒っていなかった。
帰宅は十時前だった。
少しは怒って欲しかった。
では、また楽しく家出することにしよう。
EDGER.
'98.8.30.sun.◎
広島在住の、現在は40代女性詩人の3年前の詩集です。1998年の作品を紹介してみました。「五月」と「八月」はお子さんで、5月生まれ、8月生まれという意味のようです。詩作品には日付のあとに◎と○、そして無印がありますが、これは意味が判りません。タイトルに「”」「"」「」の3種類が使われていますけど、この差異も不明です。
紹介した詩はどこにも「連れて行ってはくれない主人には置き手紙をして」、「楽しく家出」した作品です。繰り返し出てくる「蝶が私を呼ぶ」という詩語が作者の精神状態をよく現していると思います。
○江戸我美保氏しょーとしょーと 『滅離辺流』 |
2006.2.6 まぐまぐ刊 850円+税 |
<目次>
失せ物 ∞ 3 茨姫 ∞ 7
握手 ∞ 9 小鳥太陽∞ 12
ジューン・ブライド ∞ 14 10万年後 ∞ 15
音 ∞ 19 ”誑(たぶら かし屋” ∞ 21
”もう逃げません・・・” ∞ 25 ”姉妹行脚” ∞ 26
”愛しています” ∞ 28 ”贖罪”(推理ショート) ∞ 30
餓死 ∞ 32 新説・ろみじゅり ∞ 34
空と大地 ∞ 37 美しきは心中 ∞ 38
呪われた作品 ∞ 39 捨てられたお人形 ∞ 40
体温 ∞ 42 結婚詐欺 ∞ 43
信じています・・ ∞ 44 亡霊 ∞ 45
妄想・・ ∞ 46 グレゴリオ暦 ∞ 47
あなただけを ∞ 48 永遠 ∞ 49
ミイラ捕りがミイラ ∞ 53 わたしだけのもの ∞ 56
わたぼうし ∞ 57 永遠の愛 絆 ∞ 59
世界 ∞ 63 恋 ∞ 64
出遭い ∞ 68
付録 薔薇など写真 ∞ 68-75
音
「素晴らしい音だ」
音響開発部で、感嘆の声が上がった。
「究極のスピーカーですね」
「いやいや、まだまだ先もあるぞ、求めるものに限界は無いんだ」
この上無い音響を前にしても、彼等の希望に上限は無かった。
「近年、tv.の音も良くなってしまって、電話もインタホンもリアルと
勘違いするらしいですよ、苦笑」
と、若手の部員。
「ほー、なるほどね、それほど音がクリアになって、実際の音にも
近付いてしまったという訳か」
「ならば、これからはますますリアルほどクリアな音を目指しつつ、
最終的にはリアルの音すら超えなければならないな・・・」
それから数年のうちには、更に音は進化し、人々の耳も肥えていった。
更にその未来では・・・。
「お母さん、お腹空いたー」
「・・・、あのねー、音悪いわ・・・、マイク付けて喋ってくれない?」
「お母さんこそ、そのまま喋らないでよ。ヘッド・ホンもちゃんと付け
てね」
「付け外し面倒よね、埋め込み式ホンが欲しいわあ」
「今度買ってー」
コンポも tv.も音は進化し続け、それに馴れ過ぎてしまった人類は、
ついにリアルの音の方を不快に感じるようになってしまったのだ。
つまり、音響がリアルの音を超えてしまったのである。
人類の手によって創り出された、その余りに美しい音響の世界は、
現実の世界には実存しない音世界だった・・・。
人々の声も絹ずれの音も川のせせらぎも、あらゆる全ての音々は、
日常専用マイクとヘッド・ホンとで、更に美しい音として増幅され・・・。
'03.08.09.sat.
edger_
こちらはショートショート集です。紹介したのは「ついにリアルの音の方を不快に感じるようになってしまった」人類のお話。「現実の世界には実存しない音世界」が「日常専用マイクとヘッド・ホンとで、更に美しい音として増幅され・・・」。あり得ない話ではないですね。20年ほど前、周波数の位相をズラすことによって現実に近づける(いわゆる1/fなど)器械が売り出されたとき、同じような危惧を抱いたことがあったのを思い出しました。1/f理論をさらに発展させれば理屈の上では可能な世界です。
○江戸我美保氏詩集『虚』 |
2006.3.6 まぐまぐ刊 850円+税 |
<目次>
きらきらのぶれす e. 海のあうとれっと f
随分と元気になった i. 免許更新 m
らいぶに行く r. ごみ屋敷 w
桜とぼうりんぐ aa 見えないおふだ ee
かわゆい指輪 ff 病院へ gg
美術館に行く jj 大和みゅーじあむに行く nn
昔の実家 rr 万博に行く ww
いつからこんなに世の中は ccc. 朝頭の中で書いていた詩が ggg
くりすます・そんぐ中毒 jjj. 追うもの追われるもの mmm
お菓子の小袋 ooo. 薔薇のt.しゃつ qqq
お魚を煮る sss
写真 vvv
きらきらのぶれす
日曜には時計を外して
代わりにきらきらのぶれす
眠るときにも何だかそのままきらきらのぶれす
そのうちきらきらが足りない気がして落ち付かず
何の石だか名を忘れた
本当は水晶の透明のでかい指輪が良かったけれど
これは是非すわろのがらすで創らないことには
どうにも気が収まらない
がらすの方がきらきらなんて
偽者の方がきらきらそんなもの
わたしは本物は要らないだいやの輝きよりも
がらすの輝きの方が素的
堪能
極度の欲求不満はきらきらを呼ぶ?
だんさー
ぶーつかっとぱんつを普段にもはくようになるとは思わなかった
すとれーとなのが良い
面倒なのは嫌い
きらきらの新しい薔薇のt.しゃつ早く着たい
こんなの着るようになるとは思ってもみなかった
へぼいだんさー・・
厚底すにーかー履くとは思わなかった・・
厚底はわたし世代の若い頃に流行った
甦り・・
注:この靴で運転をしてはいけません
・・・
ちょっときらきらの・・
び−ず屋さんに行こう・・
'05.05.08.sun.◎
edger_
「わたしは本物は要らないだいやの輝きよりも/がらすの輝きの方が素的」と言うのは屈折しているようにも思いますが、女性の心理は意外とそんなものかなとも思います。「堪能」と一言で片付けるところにその心理が表出しているのでしょう。「注:この靴で運転をしてはいけません」というフレーズには笑えますし、この表現は良いと思いました。
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