きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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2007.5.20 栃木市 とちぎ蔵の街




2007.6.9(土)


 日本詩人クラブ長野大会の第1日目。開会は14時からですが、実行委員は11時半集合。昼食をはさみながら会場設営に追われました。とは言っても実際の設営はホテル側でやってくれましたから、私たちはホテル側が手を出せないところだけ。13時には準備完了でお客さまをお待ちしていました。

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 椅子は190人分を用意してもらいまして、ほぼ埋まりました。150人ぐらい入ったろうと思います。地方大会恒例の理事挨拶は、今回は時間の関係で理事長がまとめて紹介してくれましたから、自分で話す必要もなく至ってのんびりと過ごすことができました。大会の詳細報告はいずれ機関誌『詩界通信』に載りますので、会員・会友の方はそちらをご参照ください。

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 こちらは懇親会会場にて。私は背後霊になっています。主催者側とはいえ、主体は長野県詩人協会の皆さまですから、ゆっくりと呑ませていただきました。立食パーティーの椅子は人数分より少ないのが相場で、私は座ることはほとんどないんですが、今回は座り込んでいろいろな人とお話しさせてもらいました。ワインは赤も白も美味しく、5杯ぐらい呑んだかなぁ。

 二次会は地元の人に小奇麗な料理屋に連れて行ってもらって、20人ほどの小人数で呑みました。19度もある「風の露(しずく)」、「仲竹」(たぶんお店の名だと思います)、「信濃光大吟醸」などを立て続けに呑みましたが、いずれも絶品。特に「信濃光大吟醸」は良かったですね。まだまだ知られていない日本酒があるのだなと実感しました。
 ホテルに帰ったのは22時過ぎだったと思います。佳い夜でした。長野の皆さま、ありがとうございました!



詩誌Griffon20号
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2007.4.30 広島県呉市 川野圭子氏他発行 300円

<目次>
黄泉の引き戸・川野圭子 1         つかむ・吉田隶平 2
火山島・横山 昭 3
エッセイ 川野、横山、吉田



 つかむ・吉田隶平

抱いて外に出ると
お前は少し緊張して
小さな手で僕のシャツをつかむ
歩いている間 つかんで離さない

ぼくに
お前がつかんで離さないほどの
大丈夫があるだろうか

どこからか
赤いトンボがやってきて
ぼくの肩にとまる
「ほら トンボ」
シャツから手が離れ
一瞬 トンボは
その手に納まり
風の中に

揺れながら
木の葉が一枚
降りてくる
なにもない空を
つかんで

   (琴里 七ケ月)

 おそらくお孫さんを「抱いて外に出」たのでしょう。「ぼくに/お前がつかんで離さないほどの/大丈夫があるだろうか」という第2連に詩人としての矜持を感じます。「七ケ月」の赤子にさえ「大丈夫」と言えない詩人の精神がモノを深く見る基本なのだろうと思います。最終連の「なにもない空を/つかんで」のは「木の葉」と、詩人そのものです。作者の高い資質に敬服しました。



詩誌『ひょうたん』32号
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2007.5.20 東京都板橋区
相沢氏方・ひょうたん倶楽部発行 400円

<目次>
小林弘明/マージナル…2          大園由美子/初夏の昼下がり…4
大園由美子/白い花…5           森ミキエ/布の話…6
相沢育男/おじいちゃん誕生日おめでとう 百歳になったんだってすごいね…9
水野るり子/氾濫する馬…10         小原宏延/城砦にて…12
岡島弘子/さようなら…14          中口秀樹/ゲリラに…16
中口秀樹/ハエの…19            水鳴きょうこ/砂猫…20
長田典子/夏の音(ね)…26          柏木義高/ある作家の死…30
村野美優/海のある街…32
柏木義高/こもれび日記(25) 網走監獄博物館にて−吉村文学との出会い…35
表紙絵−相沢律子
カット−相沢育男



 おじいちゃん誕生日おめでとう 百歳になったんだってすごいね/相沢育男

今日から禁酒禁煙


 この長いタイトルはいったい何なんだ! と思って読んだら、本文はたったの1行。長いタイトルの意味が判って、思わず笑い出してしまいました。そうです、百歳を期して「今日から禁酒禁煙」してください。まだまだ先は長い。設計寿命は確か125歳のはずだから、あと25年も生きなくてはならないでしょう。健康第一!



隔月刊詩誌『叢生』150号
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2007.6.1 大阪府豊中市
叢生詩社・島田陽子氏発行  400円

<目次>
   ・ エッセイ             ・ エッセイ
私のまつり・樹と語る/下村和子 2     かえる・祭りの滴/曽我部昭美 4
いいなあ・変装した神々/原 和子 6    旅人よ・生と死と永遠と/藤谷恵一郎 8
そのとき・詩との関わり/福岡公子 10    何カラにしたんやろ・寅さんなど/麦 朝夫 12
端書きなど・詩人か、はたまた死人か/毛利真佐樹 14
風の声他・日記を綴る/八ッ口生子 16    いちどは・あるがままに/山本 衞 18
ご飯・出逢い/由良恵介 20         内ポケットの種・桜馬場の回想/吉川朔子 22
100年に一度・つながり/竜崎富次郎 24    巡り・言葉のピンポン/秋野光子 26
枇杷・恥ずかしい話/江口 節 28      どこかに清浄横はないか・生まれただけでは人になれない/姨嶋とし子 30
決断・詩をつくりはじめて/木下幸三 32   ぼくらは何を考えて生きてきたか・意表を突く/佐山 啓 34
病家の花・日常の大切さ/島田陽子 36

できごとろじい/曽我部昭美 38       同人著書一覧/江口 節 40
百五十号を迎えて 1            編集後記 41
同人住所録・例会案内 42
表紙・題字 前原孝治  絵 森本良成



 風の声/八ッ口生子

「人さんが嫌がる事を
心やすぅに あんじょうおしやっしゃ
自分にでけへん事はしよぅがおへんけど
人さんに喜んでもらえる事をしなあきまへん
それも出しゃばらんようにどっせ」
いつも言うて聞かしてくれはったおかぁちゃん
歳をとる度に身にしみてくる言葉
がんばるわぁ と言いたいけど
人の動きや言葉を理解するロボットが街角に立つ時代
時世と人情の移り変わりの中を見つめ抜きながら
詩など書いている
どんな時代になっても義理人情は忘れたらあきまへん
後ろに居ていつも言うてくれてはる…おかぁちゃん
こないだ困った事があってどうしよって聞いたら
如才のう耳もとでささやいた風
「出る抗は打たれまっせ」

 確かに他人が嫌がることをでしゃばらないようにやれ、「義理人情は忘れ」るな、とは私の父親世代からはよく聞かされた言葉です。しかし、そんな教育≠受けた私たち世代がそれを受け継いでいるかというと、はなはだ心もとない気がします。父親と母親の違いがあるのかもしれませんけど、少なくとも私は子に義理人情という言葉を使った記憶がありません。どう自然現象や社会現象を観察するか、そのためにどんな本を読んだ方が良いか、そんな伝え方だったように思います。それが今のような「人の動きや言葉を理解するロボットが街角に立つ時代」を作ってしまったのだ、と言われているような気がします。考えさせられました。
 最後の「出る抗は打たれまっせ」はよく締められています。たぶん京都弁だと思うのですが、それもよく効いている作品です。



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