きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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2007.5.20 栃木市 とちぎ蔵の街




2007.6.18(月)


 郵便局に行って、官製葉書を930枚も買いました。日本詩人クラブが7月7日に開催する研究会の案内状用です。会員・会友で約900人分、他です。年賀状でも私は300枚ほどですから、その3倍も買ってしまい、重かったです(^^; その足で印刷所に持ち込みました。印刷所側で買ってもらうこともできますけど、相手にあまり負担を掛けたくありません。こちらから持ち込んでもいいですよ、と言った結果で、まあ、手が抜けるほどの重さではありませんから我慢できるかな。
 案内状の印刷・発送は総務の私の仕事になりますから、これから毎月そんなことを繰り返すことになります。おそらく個人としては市内でも郵便物の多い方でしょう。その上に毎月多量に葉書を買うとなると、、、表彰されるかな(^^;;;



西村義博氏詩集
『鳴り響くその白い鐘の音を止めるな!』
narihibiku sono shiroi kane no otowo tomeruna.JPG
2007.5.31 東京都新宿区 土曜美術社出版販売刊 2000円+税

<目次>
T
徘徊
(はいかい)のあとさき 8
夜の川 11
点描――午後の南フランス 14
ジヴェルニーの妖精 16
ときめき 20
非日常のつぶやき 22
流れる 24
未知への憧れ 26
春の終わりに 29
(お)ち逝(ゆ)くものへの禊(みそぎ) 34
天国に近い街 42
春の混濁に染まって 44
水平線のその先に 47
南国の傷あと 50

U Japanese/English Poems
浜辺の白昼夢         A Daydream on the Beach 56
バニヤンの波音        Ripples at a Banyan Tree 60
古城の華           The Flower of an Old Castle 63
春のシチリア島        Sicilia in Spring 68
光る丘            A Glimmering Hill 71
動く             Taking Action 74
憂い笑う           I lament while chuckling 77
笑い             Laughing 79
自由っていくら?       How Much Is Freedom? 81
おまえは誰だ?        who art thou? 83
雪が降る           Snow Falls 85
赤い星と満月         A Red Star and the Full Moon 88
南からの声          Voices from the South 92
おまえ[T]          My Dearest Chisato[T] 102
おまえ[U]          You[U] 107
不可思議のおまえ[V]     A Mysterious Fellow[V] 111
いちばん大事なものって?   The Most Important Thing? 115
真夜中のニオ・キャニバリズム Neo-Cannibalism at Midnight 117
霧にまぎれて         Disappeared in a Mist 121
人魚姫が棲む浄土ヶ浜     A Mermaid Inhabits Jodogahama Shore 126
鳴り響く白い鐘        A White Bell Ringing 131

絵画と詩の接点 136
あとがき 140



 
はいかい
 徘徊のあとさき

果たせなかった夢
悔やみの歌が朝日に光って接岸する
霧に向かって銃を撃ってみよ
足早にすぎさる過去
追いかけるのは止めよう
壊れかけた羅針盤の上を
いくつもの魂が往来
(ゆきき)する
揺れているように見える
震えているのだろうか
赤黒い森の闇の中
ほのかに青い光を装って
音を消してゆく魂たち
地図にない街を彷徨
(さまよ)
帰る宿はどこにもない
汚泥に漂う無表情の屍
(しかばね)
カラスがついばんでいる

この世の蓋を開けてみる
すねて笑って走り抜けた
昨日の魂たち
どんなにずる賢く生きても
手取りはわずかじゃないか
空風が砂埃を寄せて宙に舞う
「やってみなきゃ
納得しない子だったからね」
そんな母の声がした

同情はむなしく野の露と消えた
愛が死の淵で溺れている
路地の奥で声がした
「神を信じますか?」
徘徊
(はいかい)に疲れ 行く当てのない魂たちが
待合室にたむろしている
極楽行きの切符は
もうとっくに売り切れたというのに

 第1詩集です。ご出版おめでとうございます。この詩集の特徴はUにあります。日本語と英語が対になった詩、それに著者自身の絵が所々添えられていて、ユニークな詩集と云えましょう。
 紹介したのは巻頭作品です。「魂たち」の「徘徊のあとさき」がテーマですが、やはり最終連が佳いですね。「極楽行きの切符は/もうとっくに売り切れた」「行く当てのない魂たち」は、この先どこへ向えば良いのでしょうか。未来の見えない私たちへの問いかけであると思います。今後のご活躍を祈念しています。



月刊詩誌『柵』247号
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2007.6.20 大阪府箕面市
詩画工房・志賀英夫氏発行 572円+税

<目次>
現代詩展望 詩集評の効果と波及−東日本・三冊の詩集、西日本・三冊の詩集−…中村不二夫 70
聖にして仙 各務豊和2 私の出会った詩人たち7…伊勢田史郎 74
審判(10) 大衆…森 徳治 78
流動する今日の世界の中で日本の持とは32 清岳こう『ウェデング・ベルを鳴らせ』…水崎野里子 82
薄田泣董と大阪(1) 大阪で詩集発行…黒田えみ 86
風見鶏 政山久子 志崎純 彼末れい子 桜庭英子 岡耕秋 90
「戦後詩誌の系譜」45 落穂拾い1…志賀英夫 108
詩作品□
大貫裕司/不信 4             山南律子/別れに 6
山口格郎/「貧乏が好きなの、私は」 8    肌勢とみ子/一瞬の出来事 10
小野 肇/万華鏡の部屋 12         小沢千恵/鍵 14
進 一男/日の在り方 16          松田悦子/穴 18
柳原省三/ハナミズキ 20          小城江壮智/鳥の思い 22
北村愛子/八重桜 24            佐藤勝太/ランチタイム 26
江良亜来子/初物 28            中原道夫/石碑 30
南 邦和/貰う 32             川端律子/かけがえのない生命を 34
名古きよえ/東京の蛙と対面 36       織田美沙子/お待ちしておりました 38
野老比左子/ねむる竜 40          前田孝一/様変わり 42
水崎野里子/君の名は 44          門林岩雄/まどろみの時 炎 46
忍城春宣/オレンジショップさん 48     月谷小夜子/桜舞う 50
北野明治/桜の花の散る頃に 52       西森美智子/民族の謝罪 54
岩本 健/こっちむけほい 他 56      安森ソノ子/土井康夫氏追悼 58
鈴木一成/都々逸もどき6 60        若狭雅裕/七月の視野 62
今泉協子/お据分け 64           山崎 森/老人と海 66
徐柄鏡/国連基地トルコ墓に詣う 68

現代情況論ノート(14) 葬りの人食い…石原 武 92
世界文学の詩的悦楽−ディレッタント的随想(13)…小川聖子 94
 植民地語で書くこと、母国語で書くこと 『朝鮮詩集』と尹東柱
ベトナム現代詩人レ・パム・レの詩2 符号…水崎野里子訳 98
中国古典詩英訳(1) 李白 王維…郡山 直 100
コクトオ覚書222 コクトオの詩想(断章/風聞)種々2…三木英治 104
東日本・三冊の詩集 清水茂『新しい朝の潮騒』…中原道夫 114
  松本恭輔『曲がり角に子どもも猫も』 秋山泰別『民衆の記憶』
西日本・三冊の詩集 鷲岡美雪『翔ぶかたちのまんまで』…佐藤勝太 118
  冨上芳秀『アジアの青いアネモネ』 大原勝人『通りやんすな』
受贈図書 124  受贈詩誌 121  柵通信 122  身辺雑記 125
表抵絵 野口晋/扉絵 申錫弼/カット 中島由夫・野口晋・申錫弼



 不信/大貫裕司

夕暮れの郵便受けに
政界進出を謳った知らない人から
写真入りの経歴書と
後援会への入会申込書が入っていた

掲げるマニフェストは
子育てのことから老人福祉と
くらしの総てを
ばら色に染め上げているが
具体策は見えない

腰をかがめて
そのときだけの
笑顔で握手の虚言の季節は
反り身で掛ける椅子への助走

知らない人からの
耳障りのいいメッセージだったが
その人の名前も一緒に
屑篭へ消えた

 やはり政策は具体策だと思いますね。「くらしの総てを/ばら色に染め上げ」られて、何度苦い思いをしてきたことか…。「笑顔で握手の虚言の季節は/反り身で掛ける椅子への助走」と分っていても、淡い期待を込めて投票してしまう私たち。この作品はそこまで言っていませんが、深く考えさせられるものを持っています。「その人の名前も一緒に/屑篭へ消えた」あとでも、「政界進出を謳った知らない人」は続くでしょう。どこかで断ち切れないものかと考え込んでしまいました。



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