きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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2007.5.20 栃木市 とちぎ蔵の街




2007.6.20(水)


 日本詩人クラブ7月研究会の案内葉書が印刷所から仕上がってきました。それに宛名シールを貼り付けていったのですが2時間も掛かってしまいました。約900名分。一人でやっていると1時間で450人分しかできませんでした。1枚あたりでは8秒掛かっていたことになります。うーん、若い女性ならその半分の時間でできるかもしれませんけど、私には無理だワな。

 もう一人の総務理事・船木さんが手伝いましょうかと事前に言ってくれましたけど、断りました。彼女の自宅から拙宅まで、または逆でも片道2時間半か3時間は掛かるでしょう。真ん中で待ち合わせしたとても2時間近く。断って正解でした。移動しているうちに貼り終えてしまいます。しかし、これから毎月こんなことが続くかと思うと、正直なところちょっと憂鬱です。
 そうだ! その解消としては音楽を聴きながらやろう! ゆっくり音楽を聞く時間もなかったので、その時間を使おうと思います。あれ? なんだか逆に楽しくなってきたゾ(^^;

 郵便局本局に葉書を届けに行って、ついでに次回分の葉書930枚を買ったら、なんと景品を袋でくれました。開けてみると昔の赤いポスト型の貯金箱、照明付きルーペ、家具振動防止クッションが入っていました。いずれも安物ですけど、郵便局から何かもらうなんて初めてです。民営化で必死なんだろうなと思います。ん? これって詩人クラブのお金でもらったからクラブの財産? 事務所に持って行っても邪魔になるだけだなぁ。まあ、往復10kmのガソリン代としていただいておきましょう。



水野ひかる氏著『恋の前方後円墳』
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2007.6.15 大阪府箕面市 詩画工房刊 2000円+税

<目次>
第一章 詩の神話性について
詩の神話性について 14           感性について 16
さかいめで 18               詩と女 21
原風景から 22               春の闇 26
一本道 27                 讃岐へんこつの系譜 29
現代詩と俳句 35              大切にしたいもの 36
枕詞から文化論まで 39           ふたたび、現代詩と俳句 41
桜・春・美意識 43             欝金桜と車椅子の詩人 45
吉備路、古墳と若葉風 48          蓮池の多き地形や詩人住む  50
私のなかの朔太郎 54            〈現代詩リサイタル〉を観て 56
桑島玄二詩碑除幕式次第 58         「おやつたいむ・ポエチカ」NO.19 61
経椎子 64                 自由への渇望、非望のゆめ 66
わたしの朗読行脚 71            かがやく宇宙の微塵となりて 77
永遠に「未来派」 79            広辞苑・歳時記・作歌用語辞典 81
声の不思議 84               花の種・言葉の花 86
俳画のこと、それから・・・ 89       詩と私 91
それから・・・ のこと 93         美しい獣は、いま・・・ 95
ふるさと・海・愛・田中恭一郎さん 99    『鋲』のきらめき、春のひらめき 104
ベビー・ウォーズ 107
第二章 万葉浪漫紀行
黒川寿々歌集『帰寧』の一首 112
.      万葉浪漫紀行 113
歌と詩の裂けめ 117
.            工藤こずゑ歌集『流星祭』の一首 124
天領日田へ 125
.              讃岐における柿本人麻呂考 127
私の短歌歴 135
.              言葉のボヘミアン、非望の夢 139
おごりの春の 141
.             歌の景 小倉百人一首 144
第三章 雛燃ゆるいくさのことも五十年
峰大平、標高一千メートルの八重桜 150
.   青の迷宮、八万株の紫陽花群 152
日曜市と五台山竹林寺 154
.         渇ききった石手川ダムとまぼろしの火の川 156
黄金浄土、大宝寺もみじ狩 158
.       雛燃ゆるいくさのことも五十年 161
急斜面、二万本の紅梅白梅 163
.       浪漫街道の涅槃図としだれ梅 165
牡丹の莟と薄墨桜 168
.           四国遍路吟行 補陀落山志度寺 170
句日記 書架の春 177
.           桜さくらサクラ症候群 181
「善通寺」まんだら 186
.          あん餅雑煮 190
第四章 謎解きの醍醐味
壷阪輝代詩集『夢をうつ』によせて 194
.   精神のくらやみから 196
高橋新吉詩集『洞』を読んで 198
.      立原由布子詩集『秋の女』によせて 199
ざしきぼっことクローズ・アップ 『詩的レトリック入門』を読んで 200
てふてふが一匹 樋口覚評論集『昭和詩の発生』を読んで 202
本になった宝石 『衣更着信詩集』のこと 205
坂井信夫詩集『裂けめ』 プロトプテラスになった男 肉体がもとめる死 208
人生に対する誠実な姿勢 寒川靖子歌集『奇に愛しき』をよんで 212
たましいの在り処を辿る巡礼 前原正治詩集『黄泉の蝶』 214
詩集展望・この五冊 まっすぐに伝わって来るものを 217
謎解きの醍醐味 223
.            矢野文子歌集『屏風が浦』 226
冬道麻子歌集『五官の束』 229
.       歌集『長き夜』水崎野里子 233
第五章 いま若葉恋の前方後円墳
抒情詩のやうに椿に雪のふる
田中恭一郎 238 いま若葉恋の前方後円墳 安藤雅郎 240
遅桜天までつづく梯子かな 十国修 243    朝顔の紺のひと日のはじまりぬ 柏木清子 246
枇杷の花一村閑まりゐたりけり 太田秀男 251 母の座、ふるさとの座、もどろぎの座 麻生知子 255
出展目録 261
あとがき 270



 詩と私 −その原点−

 昨年秋、第七詩集『抱卵期』を上梓した。振り返ると、それを詩と気付かずノートに初めて書き留めた高校二年の頃から、四十年余り詩を書いている。
 詩人になるとは夢にも思っていなかった十七歳の夢は、推理作家になることだった。コナン・ドイルやエラリー・クィーンを始め数多くの推理小鋭を読んで、トリックを考えていた。叶わなかった夢は他にもある。小学生の頃の漫画家、大学時代の速記記者、そして師範免状は持っているが華道の教師など。今思うと、仕事にしようとした夢はことごとく破れている。
 突然のように言葉が舞い降りてきた十七歳の時以来、私の傍らには金銭に格まぬ無償の詩が、分身のように或いは影のように寄り添っていた。誰かの影響でもなく、自分から勉強しようと考えたのでもない自然な詩との出会いは、詩作を特別なことと感じさせなかった。そして、このような詩との出会いは、私の詩作方法まで決めてしまった。同人誌の原稿締め切り日に迫られて作るのではなく、心に言葉が降りてくるのを待ち、詩をノートに書き溜めておくのである。無論ただ待っているだけでなく、心のアンテナである感性を研ぎ澄まし、同時に言葉への感性にも磨きをかけなければならない。平たく言えば、書きたくなる気持ちを何よりも大切にしている。そうすると、言葉の降りてくる瞬間の閃き、驚き、感激で、心に喜びが満ち溢れる。鳥肌が立つような、ぞくぞくする気持ちを説明するのは難しいが、詩が出来たら訳もなく浮き浮きしているし、書けない日が続くといらいらしてくる、と言えば少しは分かってもらえるだろうか。
 思春期の詩との出会いが、その後の私の生き方の指針になったように、詩とは何かと問うのは私が何者なのかと問うに等しく、詩を書かない人生は想像できない。
  <鼻珠沙華いっぽんみちを老いてゆく>

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 1970年から2006年までの36年間に様々な詩誌、雑誌等に発表したエッセイの集大成です。全部で80編が載っていますが、それでも収録し切れなかったもの、収録をやめたものが多くあるそうです。タイトルの「恋の前方後円墳」は1997年頃の自作の句いま若葉恋の前方後円墳≠ゥら採っているようです。
 紹介したのは2003年の『詩と思想』誌に発表したものです。ですから第七詩集『抱卵期』は2002年の刊行になります。最後の句は1987年頃に雑誌投稿で初めて特選をもらった句だそうです。
 「原稿締め切り日に迫られて作るのではなく、心に言葉が降りてくるのを待ち、詩をノートに書き溜めておく」とは何とも羨ましい話ですが、それが本来の詩人の姿なのでしょう。「詩とは何かと問うのは私が何者なのかと問うに等し」いとは名言。詩人として生れるべくして生れた人のエッセイには学ぶことが多くありました。お薦めの1冊です。



詩誌『梢』44号  
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2007.6.20 東京都西東京市
山岡和範氏方事務局・井上賢治氏発行 300円

<目次>
「還付金」他1編 上原幸三…2       「おしるこ」他1編 北村愛子…5
「ハルモニの笑顔」他5編 日高のぼる…8  「父の詩」他1編 藤田紀…24
「全国学力テスト」 牧葉りひろ…30     「芽のこぶし」 宮崎由紀…33
「教育再生」他1編 山岡和範…36      「風になっていく」他3編 山田典子…42
「八十年の一里塚から」他1編 井上賢治…46
寄塙「ヒナマツリ」真美井房子…50
北村愛子詩集「お墓の意思表明」感想紹介…51
「梢」43号感想紹介…59
事務局だより…64
表紙 版画−梅 井上賢治



 校正/山田典子

できあがった
文章に
赤ペンを入れる

トルや
入れ替えの記号を
書いてみて
ふと
人生に
こんな記号が
許されるなら

人生に校正があるなら
「病気入院」や
乳癌の手術や
くも膜下出血を
すべて
線で消して
トルと書いて

あっはっはあと
大声で笑えたら

おっと 元気でいられそう

 「人生に校正がある」と本当にいいですね。悪いところは「すべて/線で消して/トルと書いて」、場合によっては良いものと「入れ替え」てみて、納得して一生を終えてみたいものです。この作品は修正が効かない社会への、あるいは政治への異議申し立てのようにも感じます。一度レールを外れると這い上がるのは難しく、あとは泥沼へ転げ落ちるだけというのでは、病気もおちおちしていられません。「校正」が自由にできることが間違いの多い人間には必要な社会だろうと思います。「あっはっはあと/大声で笑」って「元気でいられ」る社会を創りたいものです。



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