きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり 】 |
2007.5.20 栃木市 とちぎ蔵の街 |
2007.6.22(金)
今日は終日書斎にこもっていただいた本を読んでいました。ここのところ最大で5日ほどの遅れになっていました。ようやく2日遅れまで回復しました。礼状にいつもお礼が遅くなって申し訳ありません≠ニ添えるのが習慣のようになっていましたが、その一文を消せそうです。今後もせめて2日遅れ程度にしておきたいのですが、なかなか…。呑む時間を削ればいいんですがね、そうなると私が私でなくなる(^^;
○隔月刊詩誌『石の森』139号 |
2007.6.1 大阪府交野市 交野が原ポエムKの会・金堀則夫氏発行 非売品 |
<目次>
1970/美濃千鶴 1 夜桜の雫/夏山なおみ 2
流れ星/高石晴香 3 氷河期/大薮直美 4
おみおつけ/大薮直美 4 黒い渦巻き/西岡彩乃 5
もうひとつの世界/西岡彩乃 5 人形師にさよならを/佐藤 梓 6
ポイズンガール/佐藤 梓 7 朝と夜/山田春香 9
瓢箪/金堀則夫 10
《交野が原通信》第二五三号/金堀記 11
石の声/夏山なおみ・金堀則夫 12
山本万里「撫順」を読んで/美濃千鶴 13
あとがき
1970/美濃千鶴
あたしが子どもだった頃
ヒーローは
変身したり
合体したり
して地球の正義と平和を守った
正義と平和
はお約束で
変身と合体の目的は
それ以外にあってはいけなかった
今あたしは大人になって
ヒーローでもないけれど
ファンデーションと口紅と
明るい笑顔と
自信ありげな話し方
毎朝滞りなく変身して
仕事に出かける
たまに気の合う誰かと
合体もする
だけどそれは
正義と平和のためじゃない
愛と自由のためですらない
どうして変身するのか
合体するのかわからないままの毎日じゃあ
必殺技も出てこない
持ち重りのする変身ベルトを取っ払ったら
弾を撃ちつくした拳銃みたいな
空っぽのあたし
それでも
風呂敷のマントで
空を飛べるだろうか
「変身と合体の目的は」「正義と平和」、「それ以外にあってはいけなかった」。しかし今は「正義と平和のためじゃない/愛と自由のためですらない」。「空っぽのあたし」になってしまったこの変化をおそらく大人≠ニ言うのでしょう。残念ながらそう言わざるをえません。「風呂敷のマントで/空を飛べる」ようになるには、おそらく詩≠オか残っていないんではないでしょうか。ちょっと見には軽い詩ですが、実は内在するものは深い作品だと思います。
○個人詩誌『雲の戸』2号 |
2007.7 埼玉県所沢市 山本萠氏発行 200円 |
<目次>
星の水
凍り簪(かんざし)
光の闇の贈り物
あとがき
かんざし
凍り簪
木の下闇の 朧影に
白い音符がかぐわしく点燈していて
いばら といった
それらの歌っているのが
どこからも聴こえたでしょう
あれは
一滴ずつの 水(の化身)
あなたは その水の
誰も気づかなかった 明度
ひとびとと
しきりに青いタクトを
振っていた
私はそこを 涼しく通って行った
あとから
仄かに薫って
火のような実を 打ち鳴らしている
ずっと遠い
橋上で
手折られた一枝の 凍り簪
誰かがそれを
天の額(ひたい)に 飾った
「手折られた一枝」は「いばら」でしょうか。それを「凍り簪」と見て、「誰かがそれを/天の額に 飾った」と謂うのですから、天空の透明な光景が眼に浮かびます。「あなたは その水の/誰も気づかなかった 明度」というフレーズも佳いですね。実は「火のような実を 打ち鳴らしている」とありますから、それほど静寂なのではないのかもしれません。しかし、美しい作品です。
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