きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
070820.JPG
2007.8.20 神奈川県真鶴半島・三ッ石




2007.9.7(金)


 台風9号は未明、小田原に上陸して、わが南足柄を駆け抜けて行きました。台風の直撃を受けたというのは、たぶん生まれて初めてだろうと思います。ヒデエ雨と風だなと思った程度でグッスリ寝ていましたけどね。被害は昨夜のヨシズ2枚以外には広がらなくて、やれやれです。皆さんのところはいかがでしたか? 大きな被害が出ないことを願っています。

 台風一過、DIYに買出しに行ってきました。日本詩人クラブ事務所用の下駄箱と傘立て、その他を物色しましたが、入手できたのは傘立てのみ。20足も入る下駄箱やスリッパ立てというのは意外に無いものです。ネットでも適当なものが見つかっていません。
 でも、思わぬ買い物ができました。ラミネーターがあったのです。しかも8,000円ほどという値段。勝手に買うのも問題なので、理事長に電話して相談しました。二人で、買おう!って意見が合いました。
 10月から始まる「詩の学校」のA3のポスターを担当理事に作ってもらったとき、ラミネートできれば外にも掲示できるのにね、という話をしていました。さっそく事務所の近くの文具屋さんを調べましたが、ラミネートサービスはやっていないし、器械も置いてありませんでした。在職中は総務課で持っていましたから便利に使っていたんですが…。一度、便利さを知ってしまうと、何かにつけ思い出すんだろうな…。そんなストレスが解消されます、めでたし、めでたし(^^;

070907.JPG

 話は台風に戻って。写真はDIY店に行く途中に渋滞の車内から携帯で撮ったものです。前ピンなっていますが、話題の十文字橋です。私は見てませんけど、隣町の開成町と松田町の間を流れる酒匂川の、この橋が落ちたというニュースをTVでやっていたそうですね。その上流に架けられている新十文字橋を通りまして、なるほど、ポッコンと落ちていました。新聞で見ると100年近く前に架けられた橋だそうですから、まあ、壊れてもおかしくしないわな。
 でもね、この橋、私のところから小田急線新松田駅に行くには最短距離になって、便利な橋だったんです。普通乗用車がすれ違うのがやっとという橋でも、使えなくなると不便なものです。駅まで10分で行けたところが15分ぐらい掛かりそうです。おそらく架け替えになるでしょうから、1〜2年は使えないでしょうね。早く架け替えてもらいたいものです。



個人誌『猟』2号
ryo 2.JPG
2007.9.20 東京都八王子市
乾夏生氏発行  400円

<目次>
小説 退屈な旅/乾 夏生 1
編集後記 23



 個人誌の第2号ですが、第1号は何と34年前。当初から不定期刊≠ニしたそうで、この分でいくと次は2040年頃の刊行かもしれません(^^; (失礼!)
 冗談はさて置いて、69枚の小説「退屈な旅」はおもしろい作品で一気に拝読しました。驚いたのはこの作品は作者が21歳で書いたということです。私も20代で小説も書こうと思っていましたから、彼我の差に愕然としています。内容は、工業高校に通う「ぼく」のそそのかしがもとで化学実験中に爆発事故が起こり、級友が怪我をしたというもの。結局、「ぼく」は不登校の末に退学、町工場に勤めるものの班長を殴って「退屈な旅」に出るというストーリーです。筋書きには無理がありませんし、文体も安定していますが、それ以上にディテールが素晴らしい作品です。例えば、

<車に轢かれかけて逃げ込んだ場所から、道を忘れて戻れなくなった犬ころみたいに、ぼくは出発してしまったのだ>
<彼は見るからに善良そうで、事実善良だった。善良と小心ほど、侮蔑を買いやすい美徳はないのだ>
<彼の授業にかかると、クレオパトラもナポレオンも血の気のない動物の剥製のようで、人類の歴史は退屈の堆積なのだとしか思えなかった>
<誰かがぼくに眼をとめ詰問して、元の場所へ引き戻してくれたらどんなにいいだろう。それは誰にも会いたくない気持と同じくらい強かった>

などなど。この倍以上紹介したい箇所がありますけど、この辺でやめておきましょう。紹介した部分だけでもその冴えはお分かりいただけると思います。作者の作品をもっと読んでみたいと感じました。お薦めです。



詩誌『饗宴』50号
kyoen 50.JPG
2007.9.1 札幌市中央区
林檎屋・瀬戸正昭氏発行 500円+税

<目次>
詩論 詩とは何か−日本追分ソーランラインの旅(下) 高橋秀明…4
作品
夢 木村淳子…6              かみすながわ−不思議ふしぎの二条通り23 嘉藤師穂子…8
すみれ/VIOLETS  吉村伊紅葉…10      転身譚6 塩田涼子…12
伝説曲 瀬戸正昭…14            クラヴサン/驟雨 新妻 博…16
麦の熟れるころ 新妻 博…17        花の時/食物誌 新妻 博…18
解釈または目眩いする困惑 村田 譲…20   外は 雨… 谷内田ゆかり…22
地形へ滾りたつ時間の切れ場へ 尾形俊雄…24
特集 2007・藝術随想集
小さな社 牧野邦子…26           うたうたうこころ 塩田涼子…29
私の中の山頭火 植田 莫…30        札響のマーラー 木村淳子…32
シューベルト 瀬戸正昭…34
連載エッセイ 林檎屋主人日録(抄)(11)(2007・3〜2007・7) 瀬戸正昭…40
受贈詩集・詩誌…15
秋期詩話会のお知らせ…9
饗宴ギャラリー やまだ乃理子「時計じかけの…」…2



 外は 雨…/谷内田ゆかり

一心に
動いていると
友だちが できる

雑巾が
今は 友だち

一枚の布と
わたしとで
どこから どこまで
輝かせてゆけるかしら

木々と
小鳥の声に つつまれる

マラソンしているみたいに…

 「一心に/動いて」、できた「友だち」が「雑巾」という発想がおもしろいですね。「外は 雨…」だから、「輝かせ」たのは室内なのでしょう。雨の日に、いつまでもいつまでも「マラソンしているみたいに…」室内を磨いている姿が眼に浮かぶようです。
 この作品の鍵はタイトルにあると思います。忙しい日々に、今度雨が降ったら雑巾がけをやろう…、そんなことを考えていたのかもしれません。日常の中の何気ない行動が詩になるという見本のような作品だと思いました。



文芸誌『時空』28号
jikuu 28.JPG
2007.8.31 横浜市金沢区
鈴木一正氏方・時空の会発行 500円

<目次>
【小説】
からだの来歴(38枚)遠野明子…1      あす太陽が昇ったら(29枚)平野潤子…15
晩夏の五右衛門(34枚)福島弘子…25
【エッセイ】
YOKOHAMA - BLUE(13枚)大島エリ子…37    武井久さんのこと(8枚)菊田 均…42
【詩】
ニワトリ、毯(10枚)遠野明子…45
【書誌】
武田泰淳参考文献目録−平成十五年〜平成十八年−(16枚)鈴木一正…50
北村透谷参考文献目録(26)−平成十八年−(13枚)鈴木一正…56
編集雑記(17)…61
編集後記…62
執筆者紹介…63
最近号目次…14・36・41・44・55・60



 横浜とブルー、青のイメージとの関連性につきまして、また別の角度から調べてみました。
 日本列島は南北に長く、日本海側と太平洋側で気候が違っているため、たとえば年間日照時間や湿度の違い、緯度による自然光の違いというものがあり、地域によって奇麗に見える色というのが全く変わってくるのだそうです。
 地方による色の好みの違いとは、実は、そういった地理や気候条件から来ている、ということを、数値データをもとに解説してくれている本があり、目からうろこでした。(佐藤邦夫著『日本列島 好まれる色・嫌われる色』青蛾書房刊)

 こちらによると、横浜(北緯三五度台)を含む関東エリア(関東地方七都県に山梨、静岡、長野南部を含んだエリア)においては、北緯三七度〜北緯三四度三〇分にわたり、年間平均の色温度は、五三〇〇度K、「黄緑方遷移光」および「緑方遷移光」に平均的に照射されており、このエリアに住む人々の視覚に、「青方色順応」を生じさせる要因になっています。
 この光線条件で奇麗に見える色として、「紺」「ネイビーブルー、サックスブルー」、および草葉の色である照り輝くグリーン、アイボリー(生成)、あたりが関東人の嗜好にかなうのだということ。エリア的に好まれやすい基調色の範囲は、「緑から青緑を経て、青に至る寒色系色相・高明度&低彩度トーン系と低明度&高彩度トーン系」(涼しい・淡い・濃い)となります。

 私自身の経験ですが、太陽光線の強さの全く違う、ハワイや沖縄に行った時、東京できれいに見えた渋みのかかった色がすっかり褪せて見え、逆に、熱帯で美しく輝いて見えた花を東京に持ち込んだとたん、いきなり変な色のグロテスクな花になってしまったことを覚えています。ですから、熱帯に旅行する時には現地で服を買うか、または、東京あたりでは派手すぎると思われる暖色原色系の大きな柄の服を持って行った方がいい、と思いました。

 太平洋側の海が青く鮮やかに見えるのに対して、日本海がグレーを帯びたイメージなのは、決して偏見でも何でもなく、現実に、光線条件が違うのでグレーがかって見えているのだ、ということが、この本を読んで分かりました。
 横浜のイメージが青系というのも、港・海といった連想からだけでなく、現実に、青系が一番美しく見えるエリアであるから、とも言えるのではないでしょうか。

--------------------

 紹介したのは大島エリ子さんのエッセイ「
YOKOHAMA−BLUE」の最終部分です。個人的にはこういう人間の感覚を科学的に分析するという話は大好きで、まさに「目からうろこ」の思いで拝読しました。「ハワイや沖縄」へは行ったことがありませんので想像の域を出ませんけど、花や服の話はあり得るだろうなと思います。最後の「横浜のイメージが青系というのも、港・海といった連想からだけでなく、現実に、青系が一番美しく見えるエリアであるから」というのも説得力がありますね。近々横浜に出る機会がありますから、そんな意識で街を眺めてみます。

 なお原文は25字で改行となっていますが、ブラウザでの見やすさを考慮してベタとしてあります。同じ理由で適宜空白行も入れておきました。ご了承ください。



   back(9月の部屋へ戻る)

   
home