きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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2007.9.9 東京・浅草




2007.10.17(水)


 一昨日から3日がかりで発送作業をやっています。日本詩人クラブの研究会・例会の案内状です。前年度までは関東近円の会員・会友宛に例会時のみ約600、葉書で送っていたのですが、私が担当になって変えました。研究会と例会の案内を組み合わせてA4用紙にして、封書で全会員・会友約900人に送るようにしたのです。同じ会費を払っている人には同じ情報が行くのが当たり前、という素朴な発想からです。しかし、当初から予想されていたことですが、作業は大変です。

 葉書なら宛名シールを貼るだけですが、封書の場合はそれに加えて紙の三つ折、封筒に入れる作業、そして封印と続きます。前回は数人でやって、なんとか日中に終わることができましたけど、今回は集まる日を設定できなかったことと、担当者としては一度ぐらい全工程を一人でやってみることも必要だろうと思った次第です。
 でも、やらなきゃ良かった(^^; 朝から夜中まで、まる2日半、40時間ぐらい掛かりました。どのくらい大変かという実感は持ちましたけどね。

 やっと終わって宅急便で事務所に送ったところです。明日は「詩の学校」で事務所に行きますから、そのついでに隣の宅急便センターから発送します。全国の会員・会友の皆さま、ご一読のほどをお願いいたします。



詩誌『梢』45号
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2007.10.20 東京都西東京市  300円
山岡和範氏方事務局・井上賢治氏発行

<目次>
「鼻たれ小僧」井上賢治…2          「プール」他1編 上原幸三…4
「プールデビュー」北村愛子…7        「祝婚歌」他7編 日高のぼる…12
「私は 今何をなすべきか」他1編 藤田紀…24  「父母の遺してくれたお金」他1編 牧葉りひろ…30
「暑い・熱い夏の終わり」宮崎由紀…34     「花」他4編 山岡和範…37
「残暑」他1編 山田典子…49

北村愛子詩集「お墓の意思表明」感想紹介2…50 「梢」44号感想紹介…52
同人名簿…57                 事務局だより…58
表紙 イラスト−茗荷の花 山田典子



 神様語/日高のぼる

「うちの年寄りも神様語を話すようになりました」
アイヌの人びとは老人に痴呆がはじまり
わけのわからない言葉を話し出すようになると
「神様語」を話すようになったといって
だれもが尊敬の念をあらわし
神様として大事にされるという

それがこの国
「神様語」を話すようになったら
捨てられる
「老老介護」という言葉もつくられ
疲れた介護者は相手に自殺をもちかけるという
悲惨な事件も起きている
どちらが介護される方かすらわからない

公営の養護老人ホームは満員
予約してもなかなか順番はまわってこない
順番とは入居者が「死ぬ」のを待つということ

アイヌの神様もこの国では手のうちようがないのか
せめてムックリの響きにのせ
華やかだった昔を
少し思い出させてくれる
やさしい時間をくれるだろうか

  アイヌ−人間の尊称
  ムックリ−口琴 口にくわえ指で糸をはじく楽器

 この作品で初めて知りましたが、「わけのわからない言葉」は「神様語」だとするアイヌの人々の感性は素晴らしいと思います。それに比べて「この国」の老人に対する態度は恥かしい限りです。「アイヌの神様もこの国では手のうちようがないのか」もしれません。どうしてそんな違いが出てくるのだろうと考えさせられます。人間に対する見方が根本的に違うのでしょう。「この国」では役に立つか立たないか、労働力として使えるか使えないか、税金を納めることができるかできないか、そんなところに人間の価値を見ているように思います。それに対してアイヌは、「
アイヌ−人間の尊称」という註釈でもわかる通り、人間であることだけで尊いという発想なんでしょうね。人間とは何かを改めて考えさせられた作品です。



護憲詩誌『いのちの籠』7号
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2007.10.15神奈川県鎌倉市    350円
戦争と平和を考える詩の会・羽生康二氏発行

<目次>
【詩】
魚の話‥崔 龍源 2            水の眠り‥中村 純 3
ヒロシマの目‥佐川亜紀 4         大逆転‥佐相憲一 5
軍艦がきた‥堀場清子 6          軍隊は国民を守らない/歌っておくれ‥寺田公明 9
夜空‥うめだけんさく 16          海の記憶‥渡辺みえこ 17
壊れた家だけど‥大河原巌 18        窓の外を/背後に‥奥津さちよ 18
さあ 噛むで‥麦 朝夫 20         自民党大敗余話/美しい雀の国‥比尼空也 20
病棟の窓の顔‥若松丈太郎 22        胸の霧‥滝 和子 23
八月の校庭‥福間明子 24          土のなかに泣くみみず‥山越敏生 25
夢、家のかたち‥稲木信夫 26        ガマの内外‥おだじろう 27
署名とは、やぼったいだけか‥草倉哲夫 28  光るもの‥岡たすく 29
美しい国‥山岡和範 30           私の金華山ガイド‥池田久子 30
祈りの筆で‥山野なつみ 32         その男すなわち‥川端 進 33
自殺の形態‥くにさだきみ 34        表看板は平和と自由‥坂田トヨ子 35
昼餉‥島崎文緒 36             竹の皮草履‥門田照子 37
いつの時代も 2‥横田英子 38       キムチ横丁‥水川まき 40
真紅の服で‥石川逸子 46          社会を意識した年の夏‥三井庄二 48
人間の学校 その127‥井元霧彦 50      聞こえましたか‥瀬野とし 52
祝婚歌‥日高のぼる 53           狼‥真田かずこ 54
何の数字か?‥池田錬二 55         ふくろう‥江部俊夫 56
瘤男・瘤女‥伊藤眞司 57          井戸‥畑中暁来雄 58
十センチの平和‥白根厚子 59        戦争体験‥築山多門 60
老夫婦‥竹内 功 61
【エッセイ】
日本国憲法を読む(第6回)‥伊藤芳博 10   夏、ヒロシマで‥中村 純 14
姜徳景さんのこと‥安達双葉 42       死から生の哲学へ‥吉光 悠 43
ひと言‥中 正敏 61            戦争協力詩を書かなかった詩人・秋山清‥羽生康二 64
あとがき‥72                会員名簿/『いのちの籠』第7号の会のお知らせ‥表紙裏



 十センチの平和/白根厚子

地球のどこかで
一年に十センチ歩く木があるという

歩きたいと願った
木の意志か
動かないものを動かす
そこしれない力
木が願わないでなしえるものか

この地球上に
いまだ いくさがなくならない
地雷で傷つく子がなくならない
飢えて死んでいく子がなくならない
みなし子がなくならない……

願いがかなうなら
いくさのない日を
一年に十センチずつでもいい
実現にむかって歩きたい

十センチの平和でも
私たちの願う力があってこそ

 「一年に十センチ歩く木」というのはおもしろいですね。ネットで調べてみたら、たしかにそんな木があるようです。南米コスタリカのコルコバード国立公園にそれはあるようで、
光合成を得るために結果として歩く≠轤オいのです。地面から1メートルぐらいのところから、カメラの三脚のような根が数十本伸びていて、光が当たる方に新しい根が生えて、当たらない方の根が枯れることで年間数十センチ移動をするとのことでした。
 作品は、その移動が「歩きたいと願った/木の意志」によるもので、「動かないものを動かす/そこしれない力」は「願い」なのだと説きます。その「私たちの願う力」があれば、「十センチの平和でも」叶うのだと結び付けたところは見事です。意表を突くタイトルといい、願う心の重要さを説く点といい、申し分のない作品だと思いました。



詩とエッセイ24号
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2007.10.10 埼玉県所沢市
書肆芳芬舎・中原道夫氏発行 700円

<目次>
詩作品
露の目の中に…李 海里 4         眈羅アリラン…河 五明 6
裸木記…李 一香 8            せめてもの微笑に−中原道夫詩集より−…森 常治 10
「夢日記」序…青野三男 12          逆立ち…中原道夫 14
暮景…忍城春宣 16             鬼っ子…築山多門 18
シャッター…江口あけみ 20         春の道・新緑の林・魔法の木…門林岩雄 22
小心地滑…平野秀哉 24           近頃は…肌勢とみ子 30
迷子・井戸端会議…竹下義雄 32       逝きし道…吉見みち 34
春うらら・発見…北野明治 36        ある日のこと…長谷川昭子 38
むくげの花…北村朱美 40          恋香…浅野 浩 42
何でもない朝…向井千代子 44        乾いた思い出…小野正和 46
ハスカップ物語…後藤基宗子 48       花火…香野広一 50
立秋…浅井たけの 52            二〇〇七年 夏…みせけい 54
橡の木…二瓶 徹 56            一緒にいるのよね…月谷小夜子 58
エッセー
江口あけみさんの出版を祝う会に参加して…滝 和子 1
アンパンマンと現代詩…中原道夫 26
鋭い感性が詩的虚構を(中原道夫詩集評)…中井ひさ子 28

喫茶去…後藤基宗子 30           小林一茶と炎天寺…香野広一 32
風俗営業法…月谷小夜子 34         改憲論義に対して…二瓶 徹 36
百合の花…向井千代子 38          傷みの夏…浅井たけの 40
嫁いびり…小野正和 42           のうぜん葛の家…北村朱美 44
おにぎりが食べたい…長谷川昭子 46     つまみ食い…竹下義雄 48
父の墓…肌勢とみ子 50           ショパンの森へ−安田恵美子…浅野 浩 52
喜怒子さん その八…吉見みち 54      タローとジロー…北野明治 56
おはなし会…みせけい 58
の本棚(書評)…平野秀哉 60
心の片隅をこじあけてくれる作品群(詩誌評)…香野広一62
の窓…64
題字・表紙目次装画…中原道夫



 シャッター/江口あけみ

偶然肩が触れ合う
初対面の男と女
「失礼」
微笑んで「はい」

その瞬間
シャッターが切られる

あの後二人はどこへ
実は二人は恋人どうし
とても親しい仲

瞬間の映像を中に
言葉が垂れ流される

男の恋人は嘆き悲しみ
女の婚約者はふしだらと罵る

婚約は破棄へ
恋愛は危機ヘ

シャッターを押した黒い影は
今日も街へ取材に

 怖い詩だなと思います。なんでもない「瞬間」を切り取って言葉を付けると、それが現実かのように思わせてしまう写真と言葉の怖さ。週刊誌がよく使う手のようですが、その怖さを見事に表現した作品と云えましょう。「シャッターを押した黒い影」によって「取材」されているかもしれない私たち…。しかし、私たちはまた撮る側でもあることを認識しておく必要があるでしょう。悪意なく撮った写真でも、場合によっては被写体となった人を傷つける可能性があります。作品の趣旨とは違いますが、そこまで考えさせられた詩です。



詩誌『極光』8号
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2007.10.10 北海道小樽市
連絡先・極光の会 花井秀勝氏発行 1000円

<目次>
詩  記憶の矢じるし/バヨード・フホムチル(内モンゴル) 2
   五月の朝の巡礼/谷崎眞澄 5
   求婚/竹津健太郎 9
   一日/鷲谷峰雄 12
   八月の父の行方/斉藤征義 15
   渚にたたずむ杭を見よ/若宮明彦 19
   セロリー/橋本征子 22
   ポプラ/渡会やよひ 25
海外の詩「ザ・ポエトリー・スクール」とタマー・ヨーゼロフ/熊谷ユリヤ 28
詩  小さな遊園地/野村良雄 34
   睡蓮/田中聖海 36
   型紙の蝶/光城健悦 38
詩論 北海道の詩の可能性について(上)/高橋秀明 42
詩  坂の途中/岩木誠一郎 50
詩論 暗喩の詩人へのオマージュ「詩人の墓碑銘」/こしばきこう 52
詩  シーラカンス/坂本孝一 54
詩論「<現代詩> 宣言」の為の草稿(一)/原子 修 57
   −<言葉の精密な意味での現代詩> は <永久芸術運動> である−
詩  櫻/石井眞弓 61
   もしも 憲法が/原子 修 62



 小さな遊園地/野村良雄

きみの町の小さな遊園地の
ベンチにはきみがいる

それぞれの時のぶらんこが
揺れていて

それぞれの時を
耐えてきたぶらんこの

この何気ない日溜まりの
たましいをひろっているきみがいる

さまざまな姿で
通り過ぎていった三月の人たちは
いまどこにいるだろう

ドミニコ幼椎園の鐘が鳴って
小さなゴムボールを蹴っている
子どもたち

いまはここにいない風景が
声をあげている

やがて
きみの立ち去ったあとの

かなしみのかたちが見えてくるようで
そこを立ち去れないでいるわたしがいる

 誰もいない「町の小さな遊園地」というものは詩情をかきたてるものですが、それが「きみの町の小さな遊園地」であれば尚更だと思います。記憶の中の「それぞれの時のぶらんこ」。そこに「何気ない日溜まりの/たましいをひろっているきみ」を見る「わたし」。「三月の人たち」とありますから、卒業時期の別れを重ねることができるかもしれません。「そこを立ち去れないでいるわたし」の胸に去来するものが感じ取れて、共鳴した作品です。



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