きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり 】 |
2007.10.15 箱根・湿生花園のコウホネ |
2007.11.16(金)
この冬はじめてストーブを引っ張りだしました。わが家にはエアコンなどと高級なものはありません。昔ながらの石油ストーブです。しかも昔も昔、30年ほど前に買ったものが現役で活躍しています。ぜんぜん掃除をしていないので埃まみれですが、実用上は問題がありません(^^; あと10年は使えそうです。
ストーブを出したのは例年に比べて早いか遅いか、ちょっと記憶にありませんが、たぶん1週間ぐらいは遅いんだろうと思います。これでようやく、好きな冬が来たという雰囲気になりました。ピッと身が引き締まる冬は、少しだけ頭の回転も速くなってくれる気がしています。たぶん錯覚でしょう(^^;
○詩誌『RIVIERE』95号 |
2007.11.15 堺市南区 横田英子氏発行 500円 |
<目次>
天秤/泉本真里 (4) マユハケオモト/清水一郎 (6)
癒えてはいない/平野裕子 (8) むかでの床/釣部与志 (10)
くまぜみ/山下俊子 (12) 深海魚 V/藤本 肇 (14)
空をあおいで/松本 映 (16) カラオケについて/内藤文雄 (18)
秋の耳/永井ますみ (20)
RIVIERE/せせらぎ 河井洋/石村勇二/永井ますみ/横田英子 (22)〜(25)
秋彼岸に/戸田和樹 (26) 診療所の昼食/後 恵子 (28)
短詩集2/安心院祐一 (30) 君は蒼い空を見たか/蘆野つづみ (32)
愛と希望の国(姫路編)/河井 洋 (34) 一本の彼岸花/ますおかやよい (36)
千代へ/石村勇二 (38) 祖母の帽子/横田英子 (40)
受贈詩誌一覧 (42) 同人住所録 (43)
編集ノート 横田英子 表紙の写真と詩・横田英子/河井洋
秋の耳/永井ますみ
森のなかを
風がわたり
静かにはっぱが
舞いおちる
ときに激しく空をわたる時があったけど
俺たち
落ちてしまったんだね
見あげるあの
梢にもどることはできないんだね
緑にそめあげられていたはずの
あの梢にはすでに誰もいない
地には
打ちひしがれ
埋もれた
くやしい枯葉の匂い
胞子をとばす茸の匂い
俺たち
大地におちてからの
時間が
長いのさ
身じろぎをする枯葉たちの
かさかさの音を
森のかたすみで
じっと聴いている
秋の耳がある
落葉樹の葉が樹に着いている時間は半年ほどでしょうか。そうすると確かに「大地におちてからの/時間が/長い」と思います。完全に朽ち果てるのに何年かかるのか…。おもしろい視点ですが、さらにおもしろいと思うのは、それを「じっと聴いている/秋の耳」という詩語です。これは何を意味するのか、具体的にはいろいろ考えられます。「梢」であったり「茸」であったり、「森」そのものかもしれません。私には作者自身であるようにも思われます。
○詩と批評『岩礁』133号 |
2007.12.1 静岡県三島市 岩礁社・大井康暢氏発行 700円 |
<目次>
表紙 岩井昭児 作品O 扉・目次カット 増田朱躬
評論
「源氏物語」と京都/相馬大 四
一八五四年以前の日本におけるフランス(4)アンベルクロード/共訳 滝沢忠義 ドミニック・グランデマンシュ 三六
短歌の近代/島崎栄一 四六
詩歌の韻律/門林岩雄 五〇
二十世紀研究・今、萩原朔太郎を読む(四)/斎田朋雄 五二
岩礁一三二号総括/栗和 実 一四二
静岡県内の詩誌/坂本梧朗 一四三
新手帖・二十世紀研究16 二十世紀の思想と実存主義/大井康暢 一二〇
エッセイ カルカッソンヌ便り(二七)/増田朱躬 一〇八
詩
円空/柿添 元 一四 焼き網/金 光林 一六
フィニステーレ岬/桑原真夫 一八 ねんきん ものがたり、他/栗和 実 二〇
詩七篇/門林岩雄 二二 時の嵐、夏の夜U/竹内オリエ 二四
終焉考/市川つた 二六 夏/井上和子 二八
高石貴小詩集/高石 貴 三〇 風洞/大塚欽一 三二
夜 爪を切る/北条敦子 三四 秋黴雨、視る/小城江壮智 六二
佐賀北高の栄冠/中村日哲 六四 池のある劇場、早足/関 中子 六六
上諏訪/緒方喜久子 七〇 声をかけないでください/佐竹重生 七二
タイムテーブル、他/西川敏之 七四 卜部昭二小詩集/卜部昭二 七六
秋の日に思う/相良俊子 八〇 ナイアガラの滝/戸上寛子 八二
可能性/坂本梧朗 八四 抗議/近藤友一 八六
ウンガレッティの死/斉藤正志 八八 闇・諸行無常/佐藤鶴麿 九〇
9月の雨/望月道世 九二 季(とき)/菅野真砂 九四
蝶・シルエット/大井康暢 九六
始点 一三 座標 四五 声 四九 椅子 六一
こだま 六九 点滴 七九 映画 一〇七 窓 一四七
展望 表二 編集室 表四
日本の詩 大岡 信「春のために」/清岡卓行 九八
詩集評
蔭山辰子詩集『ヘリオトロープの花たち』/井上和子 一〇〇
大掛史子詩集『桜鬼』/小城江壮智 一〇一
大西規子詩集『ときの雫 時の錘』/市川つた 一〇二
山本博道詩集『ダチュラの花咲く頃』/大塚欽一 一〇三
松下和夫詩集『虹』/栗和 実 一〇四
木村孝夫詩集『椅子に座った言葉たち』/高石 貴 一〇五
中原道夫詩集『人指し指』/坂本梧朗 一〇六
寄贈詩誌紹介 一四四
短篇小説 蔓茶羅物語/丸山全友 一四八
二〇世紀研究資料・小説二十五時/コンスタンチン・ゲオルギウ、河盛好蔵訳 一五二
詩のサロン 一六二
住所録 一七四 編集後記 一七七
円空/柿添 元
大空が丸く見えるのは
地球が丸いからだ
円空
そこに一個の木片さえあれば
たちまち一体の仏像に変身したという
彼の手になる
三万体といわれている
簡素なものから精密なものまで
様々な表情の仏像を見ているうちに
突然言うに言われぬ
深い笑顔の仏像が現れて
ぼくは仰天した
円空は仏像作りの天才ではなくて
まさしく仏心的人間の天才だったのだ
三四〇年もの昔 既に
地球の永遠に丸からん事を
村々の子供たちに仏像を与えながら
念願していたのは彼の慈悲心に他ならなかった
さもなくば円空の名もまた
有り得なかったのだから
ところがどうだ今の地球は
急速な温暖化が進む中
その対策は甚だ不十分で
「人為を尽くして天命を待つ」どころか
「人為を尽くさずして天罰を待つ」としか思えず
人類は性懲りもない争いばかり繰り返している
おお 過ぎし日の円空ご坊よ
大空が今尚丸く見えるのは
地球がまだまだ丸いからでしょうか
それとも
宇宙が丸いからでしょうか
ぼくらとは無縁に
第6連の「『人為を尽くして天命を待つ』どころか/『人為を尽くさずして天罰を待つ』としか思えず」というフレーズは、本当にその通りだと思います。「温暖化」対策のみならず、日本の政治にもそれを感じてしまいます。最終連の「ぼくらとは無縁に」という詩語も印象深く思いました。人間の営為と無関係に「地球がまだまだ丸」く「宇宙が丸いからでしょう」が、このまま何もせず「人為を尽く」さないでいると「天罰」が下るのかもしれません。「円空ご坊」から作者が読み取ったことを、私たちもまた学ばなければいけないのだろうなと感じました。
(11月の部屋へ戻る)