第五詩集『特別な朝』 発行日 1999年5月20日 発行所 山脈文庫 定価 1200円 |
体裁 B5版 82頁 |
特別な朝 新入生になる日のいそいそとしたきぶん 期待に胸ふくらませた社長の訓示 結婚式当日のどこか恥ずかしいはじまり 父親になる日 初孫を連れて行く実家への道 おじいさんの聞こえなくなった寝息 みんな朝だった もう金輪際酒なんか呑まねえ 仮病つかって仕事サボるのもナシ うちに帰ったらテレビしか見ない なんて生活もついでに反省だ なんど誓ったことか でもみんな三日もたてば忘れてしまう これから先もきっと 同じことを何十年もくりかえして 少しはまあるくなって そんな普通に生きることを 前触れもなく断ち切られた人たち 利己主義な大人と傍若無人な若者だけの国 と思っていたのを考えなおした朝 五時四十六分 三年前も日の出はおだやかだった *三年前…一月十七日午前五時四十六分・阪神淡路大震災 |