きょうはこんな日でした【 ごまめのはぎしり 】 |
新井克彦画「ムラサメモンガラ」 |
2000.7.16(日)
午前中は昨日に引き続いて自治会の勤労奉仕に行きました。補修した道路に生コンを流す準備は昨日で終わっていますから、今日は本番の生コン打ち。何台もの一輪車に生コンを積んでせっせと生コンを流す、シンドイ仕事だなあと思っていたら、なんと圧送車が来てる!
圧送車というのは長いパイプをつないで目的地まで生コンを空気の圧力で送るものです。ですから一輪車で生コンを運ばなくてもいいという訳。これは楽でした。パイプから出てきた生コンをスコップで均して、出来上がり。今日も11時に終わってしまいました。
今回勉強したのは、コンクリートの道で細かい筋が入っている道があるでしょ! あれ、どうやって作ると思います? なんとコンクリートが柔らかいうちに箒で筋目を入れるんですよ。その単純さに驚きましたね。で、その結果として滑り止め効果もあるという訳です。先人の知恵に驚くとともに、道を作る人の思いやりを感じました。いい勉強になりました。
出来上がった道路は車も入ってこないし、いい遊歩道になったと思います。夏は木陰になって、プールに通う子供にもきっと評判がいいだろうなと、内心期待していますが、さてどうなることやら。子供たちに「いいだろ、いいだろ」と強制するつもりです(^^;;
○詩誌『RIVIERE』51号 |
2000.7.15 大阪府堺市 横田英子氏発行 500円 |
古い言葉/正岡洋夫
明日は
雨が降る
親鳥は羽を震わせて
古い言葉を
静かに囁いている
*
死に至る病が
世界を覆い尽くして
森のはずれで
あの人も
泣いた
*
密かに
囁きのかたちで
残された言い伝えを
誰もが突然
思い出す
*
記した者はいない
だが人間を啄むことに
疲れた小鳥は
その恐ろしい意味を
知っている
*
死ぬ前に
小鳥たちは
みな一度だけ
世界があった頃の言葉を
叫ぶという
(小鳥の死三)
「古い言葉」とは何か、気になる作品ですね。「残された言い伝え」「その恐ろしい意味」「世界があった頃の言葉」というキーワードで探してみれば何か判りそうですが、残念ながら私にはつかめません。しかし、なんとなくニュアンスは判る気がしますので、もうちょっと考えてみたいです。
「死に至る病」「囁きのかたちで」「人間を啄むことに/疲れた小鳥」「死ぬ前に/小鳥たちは/みな一度だけ」という観点で見るとどうでしょう。どうやら世界が、ある病気で死滅するようです。あるいは死滅してしまったのか。「古い言葉」ですから死滅したと考えてよさそうですね。作者の意図をなかなか汲み取れませんが、気になる作品であることは確かです。
○個人詩誌『独合点』56号 |
2000.7.1 神奈川県相模原市 金井雄二氏発行 200円 |
ペチャン/金井雄二
丸い物体
野球で使うボール
について考えている
ボールの丸さについて
硬さについて
重さについて
ボールと呼ばれるものの
正体について考えている
ぼくはこれを投げた
ちょっぴりむかしのことだ
そのときの肩のまわりぐあいについて考える
指をどのようにボールにひっかけたのか
手首をしならせたのかどうか
だれに向かって投げたのかを考える
ペチャンと音がした
今考えると懐かしい音だ
グローブのまん中から
ややネットに近いところで捕球したときに
出るような音だ
だれが捕ったときのことか考えた
背は高かったのか
低かったのか
友だちだったか
先輩だったか
父親だったのかを考えた
ボールが
ぼくの眼の前からどこまでもまっすぐに投げられる
いつでもどこでも
ペチャンという音がする
机の前の時間の外で
ひとつのボールの
ペチャンの正体について考えている
金井雄二さんから初めて個人詩誌をいただきました。『独合点』の存在は知っていましたが、実物に接するのは今回が初めてです。総頁数8頁、ワープロ仕上げという簡素な詩誌ですが、ゲストが中上哲夫さんという豪華なものです。中上さんと金井さんの作品が一篇ずつというのも、なかなか洒落ていますね。
「ペチャン」を拝見して、なんとまあ、よく考える人だなあと思いました。手当たり次第考える、というところですね。しかしそれが観念的になっていないので、読者も参加できるんだろうと思います。物理的に考えてもいいし、観念として考えてもいい、あとはご勝手に、というふうに取れて、私も「ペチャンの正体について考えて」みました。私にとっては音の記憶というのは意外と少ないんだな、なんてことにも気づきました。楽しい思考遊びになりましたね。
○湧彩詩誌 NO12『佐助』 |
2000.3.7 栃木県茂木町 彩工房 湧太・釉彩氏発行 非売品 |
女
二人/湧太
俺の狂気に おんなは男に命を掛け
夢を奪われた
俺の狂気に 女は男に三行半を渡し
夢を掴んだ
おんなの恨みは夢を奪われた
怨霊
鬼の姿で晒す
あなたがいなければ離縁されなかった
女は世迷い言を聞きながら
空洞の闇をたぎらせ
茂みから雫を落とした
烈しく登り 波に酔い
微熱に震える
おんなが 忍び込んだ
空洞の 闇
光の粒がきらめき
柔らかい
明かりの灯る
茂みを分けて
般若が女を見つめた
情念の作品と言ってもいいでしょう。現代では無くなってしまった男と女のドロドロとした感性が表現されていると思います。薄っぺらでない本来の男と女、そんなものを見せられた思いです。「離縁」というものは大変なことなんですが、自分の経験も含めて、実にあっさりとしているのが現実でしょう。そんな現状に本当の愛はあるのか、と作者に突き付けられている気がします。現代の詩作品の中でも稀有な詩誌、作品と思います。
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