ょうはこんな日でしたごまめのはぎしり
murasame mongara
新井克彦画「ムラサメモンガラ」




2000.7.29(土)

 8/6には私の住んでいる南足柄市で「金太郎祭」というのが開催されます。メインは各自治体の踊りの競演、金太郎ストリートサンバです。今日の午後からは自治会の会館に集まっての準備、夕方は小学校体育館でのサンバの練習となりました。サンバの練習をしていて思ったんですが、リズム感が無くなってますね。まあ、参加することに意義あり、ですからそれほど真剣にはなりませんでしたけど。


会報『旅行ペンクラブ』75号
ryoko pen club 75
2000.7.12 大阪市北区
旅行ペンクラブ出版委員会編集 非売品

 創立35周年記念とあります。長い歴史を持ったクラブですね。会員でもあり『山脈』同人でもある西本梛枝さんよりいただきました。38名の会員のうち37名が顔写真入り、経歴入りでエッセイを寄せています。わが梛枝さんはン10年前に行ったシベリア旅行の感想を「風景を見る旅」として寄稿し、その中で次のように述べています。
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 ところが、風景が必要でなくなってきつつある。風景は変わらずにあるのだが、人が風景に目をやらない。体験だとか味覚だとか、旅に何かを求めるようになった。それが良いとか悪いとかではなく、旅が旅行者の欲求だけですすめられているような気がするのだ。≪土地≫の声に耳傾けてやりたいな、と。それを感じるとき、決まってン十年前のシベリアの旅をフッと思い出す。
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 確かにそうですね、以前の旅はその土地の風景を見に、土地の人との触れ合いを楽しみに行ったものでした。グルメブーム、温泉ブームの頃からでしょうか、「旅が旅行者の欲求だけですすめられている」ようになったのは。私の今の旅は、仕事の出張や日本詩人クラブのイベント参加などだけになっています。ただ風景を眺めるだけの旅をやってみたいものです。


詩誌『谷蟆』7号
taniguku 7
2000.7.10 埼玉県熊谷市
谷蟆の会・小野恵美子氏発行 非売品

 紅葉/小野恵美子

「見て」 落ちていた紅葉を無造作に広げる
たしかに同じものはない 「みんな違う、わ
たしでありたい」というおまえの願い どれ
だけ受け止めてきたろう 美しさの異なる
一枚一枚 踏みしめた葉の かさこそかさこ
そと 乾いたままに立てる音

あれも秋の夕暮れ 制服を着た生徒たちが町
へ向かっていた 一列に並んでうつむきかげ
んに黙々と歩く姿 おもわず、私が「ありん
このようだね」と言うと、すかさずおまえは
「私もじきありんこになるんだ」と返した
何か悲しいことがあったのかもしれない お
もいやりのない物言いをしてしまったが 日
を背にした 黒々とした隊列が忘れられない

入学式の朝 制服に着替えると ピカピカ光
る髪止めをして 家から飛び出したおまえ
式の間中 私が見ていたのは 切り揃えた頭
髪に混じった 紛れもない六本の髪止めであ
った すでに おまえは 通学班の列から外
れ 重い足取りで 学校に向かうようになっ
ていたのだった

 不登校という重いテーマです。私は現在、中学校PTAの副会長をやっていて、会議では学校側から不登校の現状について聞かされる立場にあります。しかし何も発言できません。ただ聞くだけです。報告する校長先生も議論をする気はないようで、現状だけは説明しておこうという態度に見えます。それはそれで隠すことより数倍いいんですが、何も意見を述べられないもどかしさもあります。
 幸いにして自分の娘は不登校の兆しもありませんが、いつ出席しなくなってもおかしくない社会だろうとは思います。専門家ではないので軽々しく言えませんが、明治以来の学校教育の目的がここにきて合わなくなっているんだろうな、と解釈しています。すなわち国家のため、企業のための人間造りに生徒が敏感に反応しているんではなかろうかと。この作品はまさにそれを言っているんじゃないでしょうか。蟻のように国家や企業を支える兵隊を造ることが目的の学校教育に、若い感性が反応しているんだと。


やまもとあつこ氏詩集
子犬のしっぽをかみたくなった日
koinu no sippo wo kamitakuntta hi
2000.7.20 大阪府高槻市 空とぶキリン社刊 1500円+税

 挑戦者

ずっとまえ
ブランコのってて
もつ手をだんだん下にしていくと
どうなるかなと思って
そうしたら
頭うって空みてた

ずっとまえ
階段おりてて
手すりと壁の間にどこまで手が
入るかなと思って
そうしたら
動けなくなってた

ずっとまえ
駅のベンチで
ひとさし指一本で切符を
もてるかなと思って
そうしたら
あっという間に指だけになってた

さっきから
あなたのこと考えてるのに
こんなことばっかり思い出す
やっぱり
今、電話しようと
まっしろに思う

 作者の第一詩集だそうです。おめでとうございます。また新しい有力な詩人が誕生したな、という思いでいっぱいです。この作品は作者の一番いいところが出ているように思います。最終連がそれまでの連を受けていきいきとしていますね。女性の心理もうまく出ているし、「まっしろに思う」というフレーズは印象的で、誰でも書けるというものではありません。この詩人ならではの言葉だと思います。
 1連から3連までも作者の行動力、思考の柔軟さが出ていて好ましく思いました。こういう感性が詩人には必要で、充分に資質を備えた方です。「空とぶキリン社」は高階杞一さん経営ですが、いい詩人を発掘してくれたと感謝しています。



 
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