きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
     
 
 
 
「モンガラ カワハギ」
新井克彦画
 
 

2004.11.13(土)

 日本詩人クラブの例会がありましたけど、体調に不安があってパス。一日中、読書で明け暮れました。16時頃には体調も戻って、庭に出て夕暮をパチリ。曇がちでいい写真は撮れませんでしたね。

041113.JPG    代りに撮ったのがこれです。唐辛子ですね。義母が裏の畑で野菜の栽培をやっていて、唐辛子も作っているようです。畑の隅にある木の枝に吊るしてありました。ふーん、こうやって赤くなるまで待つんだぁ? → 違うそうです(^^; 畑で赤くなったものを枝に吊るして乾燥させるんだそうです。ふーん。

 自宅の裏の畑で何が作られているのかも知らず、もちろん作り方も知らなくて、それでも田舎生活を楽しむことが出来るなんて、なんとまあ、日本とは住みやすい国かと思いますね。いつまでもこの平和が続いてほしいものです。




狩野敏也氏詩集『二千二百年の微笑』
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2004.11.20
東京都新宿区
土曜美術社出版販売刊
2000円+税
 

    二千二百年の微笑
     ――漢中
にて

   オンボロ飛行機が ずるずるずるっと
   引きずるようにして停まった
   飛行場の周りには木の柵がめぐらされて
   昔の田舎の草競馬みたいな雰囲気だ
   一面に背丈より高い菜の花みたいなもの
   いや、やっぱり菜の花の…畑ではなくて林
   降り立って飛行機のタイヤを見てたまげた
   凹凸とかギザギザが見事に無くなって
   まるで、ユル・ブリンナーの頭のようではないか
   が、後悔しても始まらぬ、無事に着いたのだ

   飛行場は空軍と共用で、舗装は滑走路だけ
   タイヤも磨り減るはずだ
   木柵には大勢の村人が取り巻いている
   娯楽が少ないので飛行機の発着が最大の楽しみで
   何時間も前から待っているのだという
   中でも外国人が一番の見もので、われらの祖先が
   初めて南蛮人を見た時したであろうような
   特異な眼差しをする
   けれども、喚声をあげたりつきまとったりはしない
   好奇心を、古代の静かな笑みに包んでいる

   公立の招待所から民営化したばかりのホテルは
   サービスの改善に奮闘中で、ことに料理には凝る
   蛇やら、亀やら、蛙やら…ついには禁制の
   天然記念物、大山椒魚のスープまで出されると
   国営旅行社のガイドのMさんはあわてた
   「わたし見ません。知りません。食べません」
   と、手を振り、そっぽを向く
   だけど、ウエイトレスは、あっけらかんと笑って
   そのあと、なにごともなかったように給仕した
   さても、同行者でいちばん剽軽な造り酒屋の主だが…

   中国語の有気音と無気音の差を説明するのに
   おでこに水で紙を貼り、ホテルのバーの中
   ふうふう吹きながら歩いてみせると
   服務員の少女は身もだえして可笑しがる
   埴輪のように大らかで、あどけない哄笑だ
   モーニング・コールを頼んでおいたら
   早朝、ひどく古典的なけたたましいベルに
   たたき起こされる。「起きろ、どうぞ」と
   うら若き女声の、恐るべき命令形!
   が、とげとげしくなくて声が優しく笑っている

   朝まだき、ホテルの外で
   とある老爺にヴィデオカメラを向けると
   レンズを指差し、照れること、照れること
   まぶしそうな笑いは産れたての嬰児のよう
   物売りの婆さんにチュウインガムをあげると
   目を白黒させながら提灯のように頬を動かしたが
   呑み込みそうになったのであわてる
   インスタントカメラで撮ってみせたりすると
   黒山の人だかり、魔法でも見るような顔をする
   どれもこれも素朴で無邪気な古代の笑顔だ

   秦が滅んで漢の高祖・劉邦が封ぜられた地、漢中
   漢民族、漢語、漢文、漢方等々、漢という字の
   付く事物の、すべてのルーツがここにある
   そして、人の情感と表情の原型が
   二千二百年前とほとんど変わらぬ姿でここにある


     
陜西省漢中市 秦嶺山脈南麓に広がる肥沃な漢中盆地の中心にあり、
      
秦未、漢王劉邦が天下統一の根拠地としたところ。後漢末には益州牧
      
の劉備が、ここで漢中王即位の式を挙げた。さらに三国時代には、蜀
      
の丞相、諸葛亮が北伐の拠点としたところでもある。

 この詩集はどれを紹介しても面白いのですが、まさか詩集1冊をまるまる紹介するわけにもいきませんので、タイトルポエムでもあり巻頭詩でもある「二千二百年の微笑」を紹介する次第です。作品の意図は最終連に明確に描かれています。中国に対しての敬愛の気持が表出している作品で、まさにこの詩集の性格を物語るものと云えましょう。
 ちなみに紹介したかった作品のひとつに詩誌『花』22号に載っていた「人も机も飛行機も」があり、
2001年10月2日の部屋に紹介していました。そちらも合せて読んでいただければと思います。



館報『詩歌の森』42号
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2004.11.5
岩手県北上市
日本現代詩歌文学館 発行
非売品
 

 ご存知、日本現代詩歌文学館から初めて館報をいただきました。7、8年前の夏休みに行ったことがあり、そのときに館報をまとめた本を買ったことがありますけど、それ以来の館報です。当時は「詩歌の森」なんて粋な名前は付いていませんでしたね。
 たった8頁ですが内容は充実しています。その中の連載「現代のこどもの短歌2」に、池田はるみさんという歌人がNHK全国短歌大会ジュニアの部
の中から、中学生の短歌を紹介していますので転載してみます。

   手のひらに消しゴムの猫乗せたならわたしの腕は青い草原
              平成十五年度 中二 広島美咲

   負けんぞと戦う僕の心たちそれらを殺す「僕」という僕
                     中三 武井宏太朗

   いつになく少女のような母連れて夏の終わりはサザンのライブ
                     中二 押田遼太郎

   土の上なにかの頭がおちている それはトンボの頭だった
              平成十四年度 中三 八汐建吾

 それぞれの作品の選者の言葉を池田さんは紹介していますが、ここでは割愛します。いずれも中学生らしい新鮮さと感性の鋭さを感じますね。特に押田クンの作品はいいなと思います。「少女のような母」を「連れて」なんて、ちょっと大人になった自負が感じられて、私も中学生時代を思い出しました。
 詩に限らず、短歌・俳句と短詩系文学を広く見られるのが楽しみです。ありがとうございました。



会報『文芸西さがみ』30号
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2004.11
神奈川県小田原市
岡崎 明氏方・西さがみ文芸愛好会 発行
非売品
 

 今号では、10月8日に開催され、私も出席させていただいた「文芸のつどい」の記事が載っていました。50名も集まったんですね。
 第9回西さがみ文芸展覧会が来年1月26日から31日まで、小田原市のアオキ画廊で開催されることも載っていました。会員120名の作品展示をめざす、とありますから私も出さないといけないようです。B4原稿用紙1枚だから何とかなるかな?
 会員の名前も載せてあり、現在117名。圧倒的に小田原市在住が多いのですが、意外なことに私の居住する南足柄市にも16名の会員がいます。全員、知らない(^^; 地元に足を着ける必要性を感じた次第です。




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