きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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2005.5.7
「榛名まほろば」にて
 

2005.5.21(土)

 埼玉県新座市の狩野敏也さん宅で「叶亭 初夏の宴」が開催されて、行ってきました。中華料理の詩集もある狩野さんが、腕によりをかけた料理を振舞ってくれて「越之寒梅」もあるという結構な会ですから、舌なめずりをしながら出掛けました(^^;
 メニューまで用意されていて、高級料理亭も真っ青という感じでしたね。ちなみにメニューは次の通り。

 (前菜)*台湾産唐墨のカナッペ
     *疋蛋の大理蒸し
     *中華風冷奴

 (羹) *ニべのある話(ニべのうき袋、絹傘茸、金華ハムの羹)
 (主菜)*大山軍鶏による冬虫夏草鶏
     *楊貴妃好み・ナマコと手羽先と裏白木くらげの煮物
      (鹿の若角スライス添え)
     *知床産北寄貝と赤海鞘の壷焼き
     *スペアリブ豆鼓味
     *おこげの乾し鮑、海鮮餡かけ(海鮮鍋巴)
     *貝柱の水晶煮

     *大山鶏紅糀漬けの花巻パシはさみ
     *元祖陳麻婆豆腐店風麻婆豆腐
     *南瓜ビーフン(澎湖島料理)
     *古代米入り銀紙粽
     *行者にんにくによる葱油餅

 (デザート)*世にも不思議 愛玉子のゼリー
       *わが桃源郷 (桃と杏仁豆腐)
 (酒類)越之寒梅 ヘネシー]O 中国扮酒 渓流どむろく
     各国ワイン ビールなど

 私は食べ物にはあまり興味がないんですが、一口ずつとは云え、ほとんど食べました。おいしかった! 特に、狩野さんの詩にもある「元祖陳麻婆豆腐店風麻婆豆腐」は絶品。
 お酒は「越之寒梅」と、私が持ち込んだ「久保田・万壽」、「ヘネシー]O」が、やはり良かったです。

    050521.JPG    集まったのは15人ほど。写真はシャンソン歌手の女性と、狩野さんの愛犬ムラヤマ(^^;
別に私を意識してのネーミングではなく、村山富市元首相に顔が似ているから付けたそうです。でも、ムラヤマ君をムラヤマ!って呼ぶのは何かヘンな感じでしたね。

 犬が好きだ、という話になって、私は「犬は好きで、犬好きな人間に犬は寄って来ます。実は私、女性も好きなんですが誰も寄ってきません。なぜでしょう?」と発言して、顰蹙を買いました(^^;;;

 佳い夜でした。唯一アタマに来たのはムラヤマ…。クソ、オレが替る!





季刊詩誌『新・現代詩』17号
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2005.6.1
横浜市港南区
知加書房 発行
850円
 

  <目次>
  《座談会》ポリシーとメトーデの乖離…6
       ――創刊から五年目に入る『新・現代詩』の課題
   出席者 出海渓也/工藤富貴子/黒川 純/宗美津子/富永たか子/中川敏
       西村啓子/細野豊/マルヤマ・トシロウ/松本恭輔(司会)

  《詩作品T》
   真っ赤な絵本 西村啓子…20       愛のかたち4 永井ますみ…22
   痛ましい翅・博物誌(三)中川敏…23   やっこ凧 中原茶津奈…24
   カミカゼ 南條世子…25         終章 羽田敬二…26
   たとえば「愛」 平岡けいこ…27     黒衣の未亡人 藤寿々夢…28
   病みつきになりそうで 細野豊…29    花桃/ほか 堀口精一郎…30
   ざわざわ 丸本明子…31         直立不動で挙手の礼 松本恭輔…32
   ファルージヤ2005年/ほか 御庄博実…34 五行詩連作二篇 水崎野里子…36
   もの憂い地平 三雲わたる…38      海の喇叭手 南村長治…39
   三光作戦 矢口以文…40         オナガフクロウ ゆきなかすみお…41
   それぞれの桜 横田英子…42       
Call to Quarters 若松丈太郎…43
   からす天狗 出海渓也…44        さびしい島ふたたび 小川聖子…45
   夜と闇 榎田弘二…46          解雇ができる 大田 修…48
   遺産 おだじろう…50          網代温泉 新井翠翹…51
   風景・ある日 栗田 茂…52       解放 木村淳子…53
   指紋 しま・ようこ…54         イルージョニスト マルヤマ・トシロウ…55

   ●現代詩時評 複素数空間で 津坂治男…56 ●社会時評 反骨のマスコミは存在しえるか 大田修…57
   ●エッセイ 既視感のなかの漂流 若松丈太郎…92/尹東柱が獄死した刑務所跡地にて 働 淳…93/
    百物語の迷宮(五)篠塚達徳…94/想像力と体験 宗美津子…95/温泉騒動のあとさき 千葉 龍…96
  《評論》戦後詩のシュルレアリズム受容 中村不二夫…58

  《詩作品U》
   「無」 紀ノ国屋千…64              老いたピエロ 工藤富貴子…65
   消された線 草倉哲夫…66             求人票 黒川 純…67
   オハグロトンボ 黒羽英二…68           句集のような男 小島禄琅…69
   消息 古賀博文…70                水のかたちエスキス 鏡 たね…72
   あなたは風の生まれだった 片岡美沙保…73     海鳴り 川村慶子…74
   境界 川原よしひさ…76              仔象の春 直原弘道…77
   桜舞う春の 下前幸一…78             液中棲息者の「新憲法」 砂村 洋…79
   ナホコ種 宗美津子…80              蛍 斉藤宣廣…82
   半減期四五億年の 相良蒼生夫…83         胸のポケット/ほか 佐藤文生…84
   魔王がやってきた日はすてきだった 真田かずこ…85 偶感 津金 充…86
   涅槃に 津坂治男…88               ひとりごと 富永たか子…89
   月 武西良和…90                 半身の声 竹田朔歩…91

   ●詩集評 中川 敏「山河ひとり」丸本明子…98●詩誌を読む 横田英子…100●16号合評会記 西村啓子…97
   ●扉・現実を超える…5●表紙の言葉…102●INFORM…102●総会報告…103●17号合評会案内…108
   ■メル友通信いろいろ 細野豊/小川聖子/中原茶津菜/出海渓也/宗美津子/中村不二夫…104



    春の日に卒然として    堀口精一郎
      ――追悼 いしいさちこ

   風は少し冷たいが 桜の花は開きかけている
   花よりダンゴ 時を忘れて楽しい おだ おだ

   その夜 酔い痴れた耳になりひびく電話
   ガンを病んでいた詩人の訃報を聴く
   骨も皮もボロボロになりよくもここまで耐えたと
   とぎれ とぎれに語る老いた母親の声

   あなたは母に抱かれて旧満州からの引き揚げ
   父はシベリアで抑留死 弟二人は病死と墜落死
   みずから喪失家族という信州でのくらしは
   詩集『おじいさんのうた』にユーモラスにうたう

   そのあなたの強い意志と生命力を信じていたが
   こんなにも不意に 辛夷の花がはらはらと散る
   あの明るくひびく声もアメリカ現代詩の理論も
   かがやきを失うことなくふたたび建ってくることを

   人間はいつも人生の途上で死ぬ
   ひかる春の日 あなたいのちの詩が空に浮かんでいるね

 拙HPでも紹介させていただいた(
2005年4月23日の部屋)いしいさちこさんへの追悼作品です。生前、私は一度しかお会いしたことはありませんでしたが、誠実ないしいさんを悼む作者の気持が痛いほど伝わってきます。春爛漫を「時を忘れて楽し」んで、「酔い痴れた」作者の気持の落差は想像を絶するものがあっただろうと思います。
 そんな哀しみを措くようで恐縮なのですが、最終連の「人間はいつも人生の途上で死ぬ」というフレーズは名言だと思います。作者は、いしいさんにその思いを強くしたのではないでしょうか。詩人にとっての真の哀しみは言葉に置き換わるものだと謂っても過言ではないでしょう。感銘した作品です。




相場栄子氏詩集『かくし色』
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2005.5.15
東京都東村山市
書肆青樹社刊
2000円+税
 

  <目次>
   第一章 かくし色
    かくし色 10
    会話 14
    ファンデーション 16
    走行 18
    解る 20
    心音 22
    しあわせ 24
    こころ 26
    あなた 28
    生きる 30

   第二章 結
    結 34
    朝 36
    蔵 38
    涙 40
    柚 42
    指輪 46
    お礼肥 48
    春を待つ 50
    春を迎える 52
    春 54

   第三章 譲り葉
    譲り葉 58
    命 60
    相槌 62
    初詣 64
    赤い実 66
    冬支度 68
    待っている 70
    シグナル 72
    傘 74
    カキツバタ 76

   跋文 山本十四尾 80
   あとがき 84



    走行

   前を走る車との適当な車間距離を維持しなが
   ら アクセルの踏み加減を調節する

   前の車があなたで後車がわたし あなたが急
   ブレーキをかけても衝突しない間隔を 右足
   で覚える

   左足でギアチェンジをしなくなったせいか
   わたしはバランスを失うところであった
   気が付けばスピードを増して走行していたの
   だ

   人生の制限速度を知ったいま 車窓の景色も
   視界に入れて走る 余裕さえ持ってハンドル
   を握る

 著者の第一詩集です。ご出版おめでとうございます。
 ご家族を素材にした佳品が多いのですが、ここでは「走行」を紹介してみました。私は主に通勤でクルマを使っていますので、この感覚は良く判りますね。そう思いながら読み進めて、最終連の「人生の制限速度」という詩句でハッとしました。そうなんです、人生にも制限速度があるんです。若い頃には判らなかったことですが、50も過ぎて60の声を聞くようになると速いことだけが全てではないと知るようになるんですね。作者は私より若い女性ですが、佳い言葉を選んだものだと感心しました。
 良い感性をお持ちの著者の、今後のご活躍を祈念しています。




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