きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
  050507.JPG    
 
 
 
 
2005.5.7
「榛名まほろば」にて
 

2005.5.26(木)

 拙HPの更新がずいぶんと遅れています。今日は、実は6月18日です(^^; 3週間を越える遅れですね。詩集や詩誌を送ったのに、まだ返事が来ない!とお怒りの皆様がおよそ20名様です。ごめんない、お酒を呑む時間を削っているんですけど、まだ追い着いていません。がんばります。ん? 酒呑む時間を削れ!ですって? それだけはご勘弁ください(^^;;;




詩とエッセイ誌『杭』44号
    kui 44.JPG    
 
 
 
 
2005.5.15
さいたま市大宮区
廣瀧 光氏代表・杭詩文会 発行
500円
 

  <目次>
   ■ 詩 ■ ぬけがら            郡司 乃梨 2
         ドイツ語教室に通っていた日々  柳坪 幸佳 4
         還 暦             比企  渉 6
         Hさんと私           長谷川清一郎8
         願 望             寺田  紋 10
         死神              二瓶  徹 12
         縁(えにし)           巴  希多 14
         間隙(あわい)          棚橋 民子 16
         わからん  
...        瀬下 正夫 18
         此の辺たりかっては?      白瀬のぶお 22
         逮捕              平野 成信 24
         柿               山丘 桂子 34
         走り梅雨            尾崎 花苑 37
         モグラの一生          大畑 善夫 40
         春二題             大谷 佳子 42
         早春の日に           石川 和枝 44
         裏通り             池上眞由美 46
         冬の昼下がり          廣瀧  光 48
         宙づりの月           齋藤 充江 50
         林檎の問題           伊早坂 一 52

   ■エッセイ■ひねもす のたりのたり かな  笠井 光子 27
         〈たより〉           槇  暗志 30
         猫には神通力があるのか     三浦 由喜 31
         時空を越えて
          〜鑑真和尚に誘われた旅〜   平松 伴子 54
         想う(四面楚歌)        遠藤 富子 67
         皇民化教育を受けた朝鮮人学徒が
              祖国のために選んだ道 河田  宏 68

   ■杭の記■                 廣瀧  光 71



    宙づりの月    齋藤充江

   もう 何十時間も 煮ているのに
   あなたは 生煮え
   竹串を刺して
   様子をみてみたが
   ぶよぶよ膨らんで
   あなたの内面は
   煮えているのか
   半生なのか
   鍋に入れたときのまま
   半腐りに払ってしまったのか
   さっぱりわからない
   立ちのぼる湯気の中に
   時折 不思議な風景が見え
   いろんな臭いが
   混ざり合って
   わたしをくらくらさせる

   閉ざされた 時間が過ぎて
   騒々しい雑踏が恋しくなって
   街にでる
   雑踏の中で 独りぼっちが
   宙づりの月の中で笑っていた

   明日の あなたは 雨かなあ
   晴れるといいなあ

 人間の「あなた」と「鍋に入れ」られた、おでんの具などを想像しても良いのでしょうか、その二つがおもしろく重なった作品だと思います。そこまでなら比較的どこでも容易に見られる作品なんですが、この詩は第3連と最終連が佳いですね。「宙づりの月の中で笑ってい」るというのは、亡くなった人へのイメージですけど、それに拘る必要はないとも思います。離れている人、という解釈でも良いでしょう。作品の持つ明るさからはそういう鑑賞も成り立つと思います。そんな読み方をしてみました。




月刊詩誌『柵』222号
    saku 222.JPG    
 
 
 
 
2005.5.20
大阪府箕面市
詩画工房・志賀英夫氏 発行
600円
 

  <目次>
   現代詩展望 反戦詩の方法と課題 吉本隆明「戦争責任論」から…中村不二夫 86
   <自伝的戦後詩観 (6)> 淳・宣長・「石の歌」        …津坂 治男 90
   吉本隆明論 (4) 大衆の原像                …森  徳治 94
   流動する世界の中で日本の持とは(8)  堀田孝一とボルヘス  …水崎野里子 98
   「戦後詩誌の系譜」21 昭和41年31誌追補2誌    …中村不二夫 志賀英夫 116
   風見鶏・田代芙美子 浅野章子 香野広一 日笠芙美子 川島 完      102

   詩作品□
    小城江壮智  梅 雨 4
    松田 悦子  竹やぶ 6
    大貫 裕司  白鳥に恋して 8
    織田美沙子  小指を括る 10
    中原 道夫  切り裂かれた空 12
    木村 利行  壱師の花 14
    伍東 ちか  紫陽花 16
    南  邦和  グズマニア 18
    進  一男  コスモス 20
    肌勢とみ子  ひとつの果実 22
    山崎  森  名乗らぬ男 24
    山南 律子  蒔 く 26
    小島 禄琅  共同基地の在る村 28
    名古きよえ  金色の「ZERO」 30
    前田 孝一  本傳寺 32
    宗   昇  背 34
    北村 愛子  母の答え 36
    佐藤 勝太  掌の来歴 38
    岩本  健  断 章 40
    高橋サブロー 蓑虫さん 蓑虫さん 42
    川内 久栄  うら枯れゆく村 無心路へ 44
    上野  潤  和蘭物語 16 47
    徐 柄 鎮  太和江は流れゆく 50
    立原 昌保  (ああ 届いたのだ…) 54
    今泉 協子  野川の鯉 56
    小野  肇  辞めるひと 58
    清水 一郎  発句に嵌って 60
    小沢 千恵  展覧会で 62
    檜山 三郎  自嘲記 64
    水崎野里子  銃の舞 66
    岡 たすく  余震の中で 68
    山尾 管恵  許されるまで 70
    鈴木 一成  折折独白 72
    安森ソノ子  十日町紬 74
    山口 格郎  次郎よ 安らかに 76
    川端 律子  ツチブタ 78
    門林 岩雄  見舞い 他 80
    野老比左子  月夜と裸婦と 82
    若狭 雅裕  海辺の花 84

  続・遠いうた 49 マイノリティの詩学         …石原 武 104
      牛、豚の尻尾切り−アメリカの修羅場
  「青い空の下で」 15 チベットの詩人の自伝 ホートサング・ジグメ 108
   チベット脱出の冒険 2             水崎野里子・訳
  コクトオ覚書 197 コクトオ自画像[知られざる男]17 …三木英治 112
  東日本・三冊の詩集 阿部堅盤『巫男女』        …中原道夫 122
   山形一至『種子幻影』  星善博『水葬の森』
  西日本・三冊の詩集 殿井善隆『異色対談』       …佐藤勝太 126
   伊勢田史郎『龍鐘渾ほか』 鶴若寿夫『回 帰』
    受贈図書     受贈詩誌 129   柵通信    身辺雑記



    グズマニア    南 邦和

   古稀のお祝いにと
   知人から届けられた花の名は
   グズマニア
   著しくおれの自尊心を傷つける
   グズで マニアックな奴
   名指しでそう言われているようで
   はなはだ面白くない

   おれは 自分自身を
   グズだと思ったことは一度もない
   せっかちであわてん坊でウッカリ屋
    (まぎれもなく躁の遺伝子)
   ハヤメシ ハヤグソ・・・・の類なのだが
   マニアの部分だけは
   しっかりと当たっている

   子どものころから
   モノを集めるのが大好きだった
   ビールの王冠に始まって メンコ ビー玉
   切手 コイン パイプ 水滴 オルゴール
   いまではしきりに石を集めている
   その次は 骨だろうと
   皮肉屋の先輩S・Y氏は曰う

   グズマニアのために弁解しておく
   この花はパイナップル科の南方系
   鋭い葉先の中央に
   花とは名ばかりの彩りがある
   花言葉は <いつまでも健康で幸せ>
   贈り主の真意がこの言葉にあったことを
   このごろはじめて知った

 「グズで マニアックな奴」と「名指しでそう言われているようで/はなはだ面白くな」かった「花の名」だったが、実は「花言葉は <いつまでも健康で幸せ>」で、「贈り主の真意がこの言葉にあったことを/このごろはじめて知った」という詩ですけど、そこに至るまでに作者の人間像を上手く、嫌味なく表出させた作品だと思います。「皮肉屋の先輩S・Y氏」は私も存じ上げているあの詩人だと思います。この遣い方も思わず微笑ませて効果的ですね。ひとつの花の名からさえ、こんなにイメージを膨らませることが出来るのかと感心した作品です。




個人誌『パープル』26号
    purple 26.JPG    
 
 
 
 
2005.7.16
川崎市宮前区
パープルの会・高村昌憲氏 発行
500円
 

  <目次>
   四行詩
    山へ  …………………………… 高村昌憲 (2)
    第九条 …………………………… 高村月憲 (3)
   論考
    絵空事と現実 …………………… 中平 輝 (4)
     ――「九条の会」アピールヘの異議――
   評論
    初期プロポ断想(その10)……… 高村昌憲 (17)
   編集後記 ………………………………………… (24)
   執筆者住所録 …………………………………… (24)



    山へ    高村昌憲

   十八歳のときに信州の山を出て
   あなたが見たのはアメリカ大陸
   残したかったのは真のリベルテ
   あるいは教壇の上のアルカイック

   満州の大地に生まれ五歳になって
   あなたが歌っている伊那谷の砂時計
   つつましく落下する美しきアンダンテ
   蝉がいて蝶が必然になった詩人の風景

 第2詩集『山』が刊行される直前に、ゲラ刷りまで読んで亡くなったいしいさちこ氏を追悼する作品です。『山』は拙HPでも紹介していますので、興味のある方は
こちら をご覧ください。
 わずか4行2連の中に、いしいさんの生涯をうたい切った手法に感嘆します。手法のみならず追悼の思いもきちんと凝縮されていると云うべきでしょう。一度しかお会いしたことはありませんが、「つつまし」やかだったいしいさんを追慕した作品です。




   back(5月の部屋へ戻る)

   
home