きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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2006.6.30 東京・新宿



2006.8.5(土)

 日本詩人クラブ第13回詩書画展の6日目。今日はとても忙しい日でした。土曜日で、来客が多い上にイベントが二つ。ギャラリーでの展示の合間に雑誌『詩界』の編集委員会。それが終わって15時からは画廊での朗読会。ギャラリーが閉館になったあとは朗読会の反省会と称する呑み会。昼メシも食べていられない忙しさでした。

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 写真は朗読会の一場面です。15名の会員が朗読してくれました。明日は61回目の原爆記念日ということもあってか、戦争に関する詩が多かったですね。本日の来場者は73名。もちろん今回の最高人数です。私の呼びかけに応じて来てくださったのは大倉さん、風間さん。会友の本多さんも忙しい合間を縫って来てくれました。ありがとうございました。

 反省会は銀座8丁目からブラブラと歩いて有楽町の「ニュートーキョーさがみ」まで行きました。ここは2年前の第12回詩書画展でも使ったところで、気楽な処に行きたいという皆さまの要望に応えました。14名が参加してくれました。ありがとうございました。



詩誌『アル』32号
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2005.10.30 横浜市港南区
西村富枝氏発行 450円

<目次>
●特集 嘘
朝/阿部はるみ 
酔芙蓉/西村富枝 3
質問/西村富枝 4
それは/江知柿美 5
眠りのあと/江知柿美 7
夏景色・2005/平田せつ子 11
間違いない/荒木三千代 15
料理/荒木三千代 16
「人類の進歩と調和」とひきかえに/荒木三千代 17
●エッセイ
個展での出会い/江知柿美 21
●詩篇
ガリバー/阿部はるみ 23
三つの扉/江知柿美 25
カラス/西村富枝 29
りんごのうた/西村富枝 31
愛しい妻は今/西村富枝 33

編集後記/西村・荒木 35
表紙絵カット/江知柿美



 質問/西村富枝

元気かと聞くから
「元気」と
淋しくないかというから
「淋しくない」と
一人で怖くないかと聞くから
「怖くない」と
困ったことないかというから
「因っていない」 と
大丈夫かと聞くから
「大丈夫」と
この世で私は
うそづくし

 特集「嘘」の中の1編です。最終の「この世で私は/うそづくし」が良く効いていると思います。その前の鸚鵡返しも、タイトルも効果的ですね。捨ててもいい行、というものが一つもありません。逆に加えても良くないでしょう。特集の作品中では最も短い詩ですが、短詩の良さを充分に出し切った作品と云えましょう。



詩誌『アル』33号
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2006.4.30 横浜市港南区
西村富枝氏発行 450円

<目次>
●特集 秘密
秘密/阿部はるみ 1
独楽/西村富枝 5
言い訳/江知柿美 7
簡易包装/平田せつ子 9
歴史/荒木三千代 13
●エッセイ
「本居長世展」とその後/江知柿美 17
●詩篇
一月であるうちに/西村富枝 21
この赤い色/江知柿美/23

編集後記/西村・江知 25
表紙絵カット/江知柿美



 簡易包装/平田せつ子

みず知らずの会社から届く
ダイレクトメール
所かまわず唐突に飛び込んで来る
迷惑メール
今なら貴方だけに特典をと
こびた声で
人工的に話し始める録音電話
一方通行の騒々しい日常を
なかばあきらめ
苛立ちながら
情報社会にどっぷりと首までつかっている

「個人情報保護法」
というラッピングのからくり
秘密保持なんて
簡易包装以下だから笑っちゃう
ネット上には
個々の
病歴のカルテ
銀行の預貯金のデータ
クレジット状況
警察の捜査記録
はては
国家の重要機密書類まで
数えあげたら
きりがない

小さな子供たちの約束ごと
<ゼッタイニヒミツ> にも
それなりのかたち
があった時代はもはや遠く
ひとは
責任に寛容になり
感受性を置きざりにして
存在を
危うくしていくのですね

茨木さん

エンドレスに
不祥事を詫びて
形だけの頭を下げながら
フットワーク軽く
明日吹く風を
指をかざして計っている

 こちらは特集「秘密」の中の1編です。真正面から現代の「秘密」に取り組んだ姿勢を好ましく思いました。確かに「秘密保持なんて/簡易包装以下」ですね。「茨木」のり子さんの「感受性を置きざりにして」を持ってきたところも上手いですね。「フットワーク軽」い作品で、軽妙なリズムも奏功していると云えるでしょう。



詩誌『こすもす』50号
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2006.7.15 東京都大田区
蛍書院・笠原三津子氏発行 450円

目次
<詩>
吹いてはこない遠い風/藤井搖子 2
粋な魔術師/柏木友紀絵 4
桜とモーツァルト/佐瀬智恵子 6
冬芽/森原直子 8
水際/森原直子 9
風の記憶/友永淳子 10
隠岐/阿部堅磐 12
痛風の気持/井上富美 16
ネロ宣言/石田天祐 18
大根の音/三木 昇 20
(ゼロ)の魅力/今朝丸 翠 23
父/笠原三津子 24
<エッセイ>
ことばの貌/佐瀬智恵子 26
節目があるとすれば/森原直子 27
春雨のつぶやき/笠原三津子 28
書くことは心の源/井上富美 29
東京のお母さん/阿部堅磐 30
水の今昔/今朝丸 翠 31
点描・ナイジェリア生活/藤井搖子 32
最期の決断/柏木友紀絵 33
会員の消息
後記



 水際/森原直子

五度日の冬がやってきた

例年になく雪は深い
命日に集まってくれた
君の友人たち
形見のスノーボードを
手放すことにした

スカイブルーの緩やかなフォルム
形ある最後のものとして
暗い部屋の片隅で抱く
白いバスタオルに包まれた君を
はじめて手渡された時の
ぎこちなさで

 50号記念号です。おめでとうございます。
 紹介した作品は「君」が亡くなって「五度日の冬」のことを描いていると思います。「形見のスノーボード」が「白いバスタオルに包まれた君」と同じだった、「はじめて手渡された時の/ぎこちなさ」と同じだったとするところに母としての思いを感じます。それにしても「五度日の冬がやってき」ても「命日に集まってくれた/君の友人たち」がいることに驚きます。好かれていた「君」だったのでしょう。無駄のない、佳い短詩だと思います。



CD『春惜しむコンサート』
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2006.4.9 於:JASRACけやきホール
マザーアース発行 非売品

曲目
01:愛の思い出      林 宏太郎作曲  長島 和美(m.sop.) 吉岡 三貴(pf)
02:バラライカを弾く少女 土屋貴代美作曲  南畝 幸子(sop.)  土屋貴代美(pf)
03:ふるさとは遠い空   加藤由美子作曲  栗原 愛子(sop.)  吉岡 三貴(pf)
04:花笛と少女      名取 吾朗作曲  鈴木 房江(sop.)  米倉 邦子(pf)
05:胡蝶花に寄せて    小林 秀雄作曲  鈴木 房江(sop.)  米倉 邦子(pf)
06:衣更え        平岡荘太郎作曲  鈴木 房江(sop.)  米倉 邦子(pf)
07:野分け        千秋 次郎作曲  栗原 愛子(sop.)  彩里 京鼓(筝)
08:万葉の里       小山 順子作曲  ゆりの木女声合唱団 小松 紀子(pf)
09:『四季の賦』より 春 小山 順子作曲  ゆりの木女声合唱団 小松 紀子(pf)
10:夏の落し物      平岡荘太郎作曲  南畝 幸子(sop.)  土屋貴代美(pf)
11:風紋         西同 文郎作曲  長島 和美(m.sop.) 吉岡 三貴(pf)
12:優しい情景      西岡 文郎作曲  長島 和美(m.sop.) 吉岡 三貴(pf)
13:風の別れ       西岡 文郎作曲  長島 和美(m.sop.) 吉岡 三貴(pf)
14:誕生日(初演)     土屋貴代美作曲  南畝 幸子(sop.)  土屋貴代美(pf)
15:橋          黒髪 芳光作曲  鈴木 房江(sop.)  米倉 邦子(pf)
16:鎮魂歌(初演)     小林 秀雄作曲  鈴木 房江(sop.)  米倉 邦子(pf)
17:朗読「いのち」             貞松 瑩子(朗読)



CD『草枕』
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2005
マザーアース発行 非売品


作曲:千秋次郎    作詞:貞松瑩子
ソプラノ/栗原愛子  筝/彩里京鼓



 前者は今年4月9日に「JASRACけやきホール」で演奏された
春惜しむコンサート――貞松瑩子の詩を歌う――』の録音版です。後者の「草枕」は編集の都合で収録されなかったので2005年版を送っていただきました。当日の様子を拙HPで紹介しています。曲をここで流すことはしませんが、ハイパーリンクを張っておきましたのでご参照ください。情感豊かな貞松瑩子詩を作曲家・歌手の皆さんが高度に仕上げています。機会があれば聴いていただきたいですね。




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