きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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2006.6.30 東京・新宿



2006.8.30(水)

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詩マガジン『PO』122号
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2006.8.20 大阪市北区
竹林館・水口洋治氏発行 840円

<目次>
特集 家族
ウタのノート 脇谷玲子…9
苦しみと、老いと 津坂治男…13
多様な生命の連帯を礎に家族の未来を 佐古祐二…16
萩原葉子の文学的生涯の意味と原体験 宮内征人…20
家族 名古きよえ…29
現代家族考 NHK「風のハルカ」より 藤原節子…33
心の輪 神田好能…36
六段の調べ/夫の風邪/長女の誕生日 蔭山辰子…39
日没の絵 尾崎まこと…43
家族の詩 二編 及川謙二…44
母の手 堀 諭…46
家族 おれんじゆう…47
息子や娘は 清沢桂太郎…48
4人家族のうた 三方 克…49

余呉湖の子守唄 相馬 大…50
方向 下村和子…52
ことばの流れのほとり 梶谷忠大…54
真珠の思い出 加納由将…58
砦 左子真由美…61
5連句詩α・1 北村こう…66
鶏が鳴く 与那嶺千枝子…68
女冥利と桜 山田満世…70
星物語 北山りら…71
変わろうとしている時代/変わろうとしている時代(二) 神田好能…72
さぼってしまった/くらげの日 高野信也…80
ヘリオトロープの花たち 蔭山辰子…90
嵐近づく日の/女たち(九) 牛島富美二…92
夏の余熱 飯田雄三…104
宙づりのままに聞く蝉時雨/素足 丈六友子…105
風を孕まず 風となり 藤谷恵一郎…108
千年桜 藤原節子…111
僕的瀝々抄(二) 川中實人…120
私とは/光を求めるのは 清沢桂太郎…125
息抜きの風景 星乃絵里…128
桜の木 水口洋治…129
ターニングポイント/個性 長谷川嘉江…130
軍艦三笠 中野忠和…132
あの境目は 佐古祐二…134

ピロティ 着物 野田淳子…7
舞台・演劇・シアター いずみホールの企画力 河内厚郎…62
ギャラリー探訪 野町和嘉写真展「地球巡礼」 佐古祐二…64
詩のふるさと 李白「江上吟」 水口洋治…6
一編の小説 石川達三『悪の愉しさ』 芦川えみ…76
一冊の詩集 『島尾敏夫詩集』 山本皓造…78
会員BOOKS 佐藤勝太詩集『掌の記憶』を読む 小城江
(おぎえ)壮智…84
エッセイ 映画における真理−視覚芸術(映画)についての考察− 斉藤明典…86
英語詩日本語訳 「There Is a Girl Inside」 Lucille Clifton 寺沢京子…89
この詩大好き 青山博明「遠い日」 中野忠和…96
ビデオ・映像・ぶっちぎり 出口が喜びに満ちているといい 「フリーダ」より 関 中子…97
エッセイ 私としての生命の旅 川中實人…98
エッセイ 続アメリカ黒人詩の流れ23 堀 諭…114
詩誌寸感 詩のひろがりに向かって 佐相憲一…117
竹林舘BOOKS 田尻英秋詩集『機会詩』−世界は歌わないか? 尾崎まこと…119
読者投稿欄POランド 中野忠和…136

▽「PO」例会/詩を朗読する詩人の会「風」例会/「PO」ホームページ/投稿案内/会員・誌友・定期購読募集…△138
▽広告掲載案内/「PO」育成基金…139△
▽受領誌一覧…140△
▽執筆者住所一覧…141△
▽編集後記…142△



 さぼってしまった/高野信也

わざとじやないけど

教員のくせに
授業をひとつ さぼってしまった

どうしてこなかったの?

尋ねる生徒に

わすれて沼に行ってたと答えた

何をしていたの?

尋ねる生徒に

まっしろなコハクチョウを

見ていたかったんだと答えた

そしたら

じゃあ しょうがないよねと

みんながわらった

ほんとに
へんなクラスだと

担任の自分も
しあわせに笑った

 いろいろと想像させる作品です。小学校じゃないよね。中学校? 高校? 「教員」にそんな余裕はないだろうな。大学? 一番可能性がありそうだけど「担任」と言うのはヘンだな。専門学校かもしれません。専門学校生の娘を見ていると、そんな自由さを感じますから。それにしても、いい雰囲気ですね。「じゃあ しょうがないよねと//みんながわら」うような学校があって、「ほんとに/へんなクラス」があれば「しあわせに笑」い合える、そんな時間もほしいものです。世知辛い世の中、一服の清涼剤のように楽しめた作品です。



詩と批評『岩礁』128号
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2006.9.1 静岡県三島市
岩礁社・大井康暢氏発行 700円

<目次> 表紙/岩井昭児 作品M  扉・目次カット/増田朱躬
評論
ロートレアモンと黒いユーモア/滝沢忠義 六
話し言葉の力/門林岩雄 五四
フランスにおけるシャンソンの現況/カルヴエ・納富教雄訳 七二
如是我聞(一一) 大井康暢 九二
一二七号総括/平野 宏、佐藤鶴麿 二二八
エッセイ
「湖郷」のころ(二)/栗和 実 四四
カルカッソンヌ便り(二二)/増田朱躬 一四四
二十世紀研究 一筋の川 平野 宏 一五八

半老人\/金 光林 一六
作者不詳・作品「烏図」へ、飢渇84/遠山信男 一六
櫻は下をむいて咲く/栗和 実 二〇
非生産的な執念/柿添 元 二二
高石貴小詩集/高石 貴 二四
坂道、郵便、田んぼ/丸山全友 二六
遠雷/大塚欽一 二八
青猫のまち/小城江壮智 三二
秋/成見歳広 三四
母の日/竹内オリエ 三六
失踪者/井上和子 三八
朝、こだわり/中村日哲 四〇
箱根駅伝讃歌/戸上寛子 四二
白い十字の花/小島禄琅 五八
おばけ/市川つた 六〇
思いは季節と花に/北条敦子 六二
ひとりごと、孤独な樹、詩集『炎える母』とわたし/関 中子 六六
たったこれだけのために/門林岩雄 七〇
小さな歴史から/植木信子 一〇〇
どんな星の下に/文屋 順 一〇二
自分と出会う/相良俊子 一〇四
発芽の姿勢/森 常治 一〇六
手紙、彼方を、狂言/西川敏之 一〇八
野ざらし/坂本梧朗 一一〇
8月の私は/望月道世 一一四
神よ、退け!!/佐藤鶴麿 二六
東方の窓、猫とおじさん 山崎全代 一一八
他者について/平野 宏 一二〇
群れる/大井康暢 一二二
コラム
椅子 二一      散歩道 三一
詩と生 五七     座標 六五
喫煙室 六九     谺 九一
夢 一一三      始点 一二九
点滴 一五七     窓 表二
詩人のたわ言 表四
ポエムパーク 四八
名詩鑑賞 宗 左近「滝」/大井康暢 一二四
透明光体 〜宗左近の死を悼んで〜/間島誠司 一二六
詩集評
坂本絢世詩集『結露の風景』/市川つた 一三〇
若林克典詩集『桜庭』/大塚欽一 一三一
川本説子詩集『歌う木』/竹内オリエ 一三二
山田春香詩集『Simon』/栗和 実 一三三
愛敬浩一詩集『夏が過ぎるまで』/坂本梧朗 一三四
岩崎和子詩集『骨までも染めて』/井上和子 一三五
渡辺めぐみ詩集『光の果て』/平野 宏 一三六
高橋喜久晴詩コレクション『詩と書と遊ぶ』/高石 貴 一三七
寄贈詩誌紹介 一六一
新現代詩文庫「大井康暢詩集」評
千葉 龍  一六四
佐藤 鶴麿 一六五
相馬 大  一六七
小説 怨霊の筝/原石 寛 八二
小説 ヒルファーディングをご存知ですか/斉藤正志 一七〇
小説 頑爺/山田孝昭 一七四
二十世紀研究資料・小説二十五時/コンスタンチン・ゲオルギウ 一八六
詩のサロン 二一六
住所録 二二二  編集後記 二二五



 野ざらし/坂本梧朗

どちらも七十歳を過ぎた夫婦

農業を継がせるつもりだった
次男が事故死
ショックと失意のなかで
夫婦は田畑を売り払った

妻はこの時
戦争で子を失った
親の悲しみを知った
夫の兄は沖縄戦で
二十二歳で戦死
夫婦の沖縄への
供養の旅が始まる

戦死公報には
地名だけが載っていた
そこに行って掘ってみても
兄の遺骨は見つからなかった

だが戦死者の骨は
ちょっと掘っただけで
あちらこちらから出てくるのだ

夫婦は沖縄行きを
やめられなくなった
毎年、一月半ほど滞在して
遺骨を掘り出す

十五年間で
七五〇柱を越えた
夫婦が収集した遺骨は
沖縄で掘り出される
遺骨は毎年一〇〇体ほど
そのほとんどがこの夫婦のような
個人のボランティアによるものだ

個人のボランティアに
これが任されていいことか

煽りたて、駆りたて
戦場に送り込むことには
あれほど熱心だった政府だが
殉国の見返りは
野ざらし

 最終連が考えさせられる作品です。「殉国の見返りは/野ざらし」とは国家の本質かもしれません。建前上は国民のための国家であるはすが、実際には国家のための国民という位置づけになっています。憲法9条を改悪して「煽りたて、駆りたて/戦場に送り込むこと」はそう遠い日のことではなさそうです。「政府」が「熱心」になったときは要注意でしょう。「野ざらし」にされるのは我々です。そんなことを感じながら鑑賞しました。



詩論集『詩姿の原点』V
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2006.8.20栃木県下都賀郡壬生町
森田海径子氏方「衣」の会・山本十四尾氏発行 非売品

<目次>
精気あふれる詩を書きつづける四十人の『詩姿の原点』V
 相沢正一郎・朝倉宏哉・池山吉彬・石下典子・井野口慧子・今村秀子・岩崎和子・埋田昇二・岡崎葉・香山雅代・河上鴨・桜井さざえ・佐々木洋一・島田陽子・白川淑・高田千尋・鷹取美保子・高橋玖未子・田中郁子・鳥巣郁美・豊福みどり・内藤紀久枝・苗村吉昭・西田義篤・馬場晴世・福谷昭二・文屋順・星野元一・本田和也・丸山由美子・宮内洋子・宮田小夜子・山下静男・吉永素乃・若山紀子・森田海径子・山本十四尾
あとがき



森田海径子
『詩姿の原点』T・U・Vを合わせまして、一四〇人の皆様の原点を熟読しながらタイプすることで、私自身の詩土壌を豊かなものにすることができ、感謝の気持でいっぱいです。
 私は日常での苦悩・悲憤・毒気を詩を書くことで濾過し精神を浄化しつつ、感情過多でなく、向日性のある詩作を心掛けてまいりました。これからは、さらに感性をしなやかに保ちながら、感動や発見を心身で掴みつづけ、それらに最も適切な言葉を対生させていきたいと考えております。詩世界の実はそこにあると思えるからです。
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 山本十四尾さんが講師をしている「詩の教室」の教材として40人の詩人たちの短い詩論を集めたものです。ここでは森田海径子さんのお礼の言葉を紹介してみました。お礼の言葉のみならず、それ自身が詩論であり「詩姿」と云えましょう。「詩の教室」の舞台裏を見せてしまうことになるかもしれませんが、活動に敬意を表して紹介する次第です。「詩の教室」からは佳い詩人がたくさん巣立っています。今後のご活躍を祈念しています。




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