きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり 】 |
2006.7.7 クリスタルボウル(「アリキアの街」にて) |
2006.9.15(金)
午前中は銀行に行って投資信託の話をしてきました。生まれて初めてやってみたファンドが今のところはうまくいっています。昨日、2回目の配当が出て、過去最高でした。銀行に支払った手数料の回収に4〜6ヵ月掛かると見ていましたけど、2ヵ月で完全に回収できて、さらにお釣りが出ています。とは言っても投資額が少ないですから雀の涙程度ですけどね(^^; これをビギナーズラックと言うのだろうと思います。
今日はさらに増資をするかどうかの話で、結論は増資! 今度は雀蜂の涙程度かな(^^;;
現職の頃は額に汗して働くのが一番で、ファンドなんかやってる奴は資本主義の奴隷だと思っていましたが、今は奴隷に使われる奴隷かなぁ。でも、定期預金もダメ、公債もダメとなると変動の少ないファンドを選ぶしか道はないようです。リスクは大きいけど配当も多いインドや中国あたりも勧められましたが、これは拒否。毎日インターネットで株価を調べるなんてやってられません。配当は少ないけど堅実なところに預けておいて、物価上昇分ぐらいが取り返せれば良しと考えています。それでスッテンテンになったら… 裏の畑を本気で耕そう!
○門林岩雄氏詩集『城』 |
2006.10.30 京都府相楽郡木津町 マント社刊 1000円 |
<目次>
城 (平成十五年十二月)…………………………13
詩人 (平成十五年十一月)…………………………14
路上 (平成十五年九月)……………………………15
霧 (平成十三年十一月)…………………………16
雲 (平成十三年十一月)…………………………17
山 (平成十三年十一月、改定十七年五月)……18
仙境岩根沢 (平成十四年四月)……………………………19
岩根沢の道端 (平成十四年四月)……………………………20
山寺人出 (平成十四年四月)……………………………21
山峡 (平成十四年四月、改定十八年六月)………22
若葉のころ (平成十四年五月、改定十八年六月)………23
現代風俗 (平成十三年十二月)…………………………24
雨 (平成十三年十月)……………………………26
山間の村 (平成十三年八月、改定十八年五月)………27
盆 (平成十三年八月)……………………………28
野分け (平成十三年八月)……………………………29
夏の夜 (平成十三年八月)……………………………30
台風の夕ベ (平成十三年八月、改定十七年十一月)……31
秋 (平成十三年九月)……………………………32
虫の音 (平成十三年九月)……………………………33
石 (平成十三年九月、改定十七年五月)………34
塔 (平成十三年十月、改定十八年五月)………35
夏の川 (平成十三年七月)……………………………36
散歩 (平成十三年十月、改定十八年五月)………37
秋の夜 (平成十三年十月、改定十七年五月)………38
木の実の熟すころ (平成十三年十月)……………………………39
秋の夕ベ (平成十三年十一月)…………………………40
秋の川面 (平成十三年十一月)…………………………41
秋晴れの午後 (平成十三年十一月)…………………………42
トキワサンザシの実るころ(平成十三年十一月)…………………………43
晩秋の池 (平成十三年十一月)…………………………44
冬の朝 (平成十三年十一月)…………………………45
冬 (平成十三年十二月、改定十八年五月)……46
冬の夕ぐれ (平成十三年十二月、改定十七年五月)……47
われら (平成十三年十二月、改定十七年五月)……48
師走 (平成十三年十二月)…………………………49
いろは戯れ歌(抄)
い (平成十六年二月)……………………………50
な (平成十五年十二月)…………………………51
は (平成十六年九月)……………………………52
か (平成十六年十一月)…………………………53
組詩 山河
海 (平成十二年十月)……………………………54
岩 (平成十三年七月、改定十七年五月)………55
石 (平成十二年十月)……………………………56
霧 (平成十二年十一月)…………………………57
風 (平成十二年十月)……………………………58
雲 (平成十二年十月)……………………………59
月 (平成十二年十一月)…………………………60
川 (平成十二年十月)……………………………61
煙 (平成十二年十月)……………………………62
虹 (平成十二年十月)……………………………63
森の話 (平成十四年十一月、改定十八年六月)……64
春 (平成十二年十一月)…………………………65
家 (平成十二年十月)……………………………66
昼 (平成十二年十月、改定十七年五月)………67
夜風 (平成十三年六月)……………………………68
詩作 (平成十二年九月)……………………………69
記憶の森 (平成十二年九月)……………………………70
落日 (平成十二年十月)……………………………71
問答 (平成十二年十一月、改定十五年十二月)…72
人影 (平成十四年二月)……………………………73
夢の街 (平成十五年一月)……………………………74
正月 (平成十三年一月、改定十七年六月)………79
早春 (平成十五年二月)……………………………80
銀杏 (平成十五年三月)……………………………81
三月 (平成十三年三月)……………………………82
夕ベの散歩 (平成十五年三月)……………………………83
丸 (平成十三年四月)……………………………84
旧伊賀街道 (平成十四年三月)……………………………85
自嘲 (平成十四年三月)……………………………86
春の山 (平成十四年四月)……………………………87
晩春 (平成十四年四月)……………………………88
春愁 (平成十四年四月)……………………………89
大きな寺の門 (平成十四年四月)……………………………90
初夏 (平成十三年五月、改定十七年五月)………91
決意 (平成十四年六月)……………………………92
夜の闇のなかで (平成十四年八月)……………………………94
晩夏 (平成十四年八月)……………………………95
秋 (平成十四年九月)……………………………96
伊根の舟屋 (平成十四年九月)……………………………97
蕪村生母の地 (平成十四年九月、改定十八年六月)………98
夜の海 (平成十四年九月)……………………………100
大江山 (平成十四年九月)……………………………101
閑吟独詠 (平成十四年十月-十五一月、改定十八年六月)102
秋たけなわ (平成十四年十月、改定十八年六月)………107
峠 (平成十四年十月)……………………………108
東大寺 (平成十四年十一月)…………………………109
老いた狐 (平成十六年六月、改定十六年十月)………110
晩秋 (平成十四年十一月)…………………………112
山門 (平成十四年十二月)…………………………113
年末大商戦 (平成十四年十二月)…………………………114
鬼婆 (平成十二年十月)……………………………115
夢幻境一 (平成十四年五月)……………………………116
夢幻境二 (平成十四年五月、改定十八年六月)………117
夢幻境三 (平成十四年五月)……………………………118
夢幻境四 (平成十四年五月)……………………………119
夢幻境五 (平成十四年五月)……………………………120
夢幻境六 (平成十四年六月、改定十八年六月)………121
夢幻境七 (平成十四年六月)……………………………122
夢幻境八 (平成十四年八月)……………………………123
夢幻境九 (平成十四年八月)……………………………124
夢幻境十 (平成十四年九月)……………………………125
夢幻境十一 (平成十四年十月)……………………………126
夢幻境十二 (平成十四年十二月)…………………………127
目 (平成十四年十一月)…………………………128
木目 (平成十四年十一月)…………………………129
杖 (平成十五年二月)……………………………130
深山 (平成十四年十二月)…………………………131
道に迷う一 (平成十四年五月、改定十八年六月)………132
道に迷う二 (平成十四年五月)……………………………133
山峡の秋 (平成十四年九月)……………………………134
孫来訪 (平成十三年六月)……………………………135
青鬼 (平成十五年二月、改定十八年六月)………136
舟 (平成十五年二月)……………………………138
壁 (平成十二年十月)……………………………139
友に (平成十七年十一月)…………………………140
日本詩歌の黄金率……………………………………………………………149
話しことばの力………………………………………………………………154
あとがき………………………………………………………………………158
友に
友よ 本音を 言ってくれ
かくさずに 言ってくれ
「本当は こうしたかった」と
聞いたところで
どうなるものでもない
したいと思って できたものなど
めったにいない
だけど言ってくれ
「本当は こうしたかった」と
本音を言わない 君だった
いつも冗談で ごまかした
お父さんを 早く亡くしたせいかもしれない
伯父さんに 育てられたせいかもしれない
君を偲(しの)んで
山に来ている
晩秋の今
木枯らしが吹き
木の葉を枝から むしりとる
あんなに早く 君が逝くとは……
あんなに元気だった 君が逝くとは……
喘(ぜん)息持ちとは 聞いてはいたが
たかが喘息位で……
二十年前
おれは教授選に落ち
病院に勤め
肝炎になった
休めないので 慢性化した
もうそこを辞めて
開業するしかないと思い
君に電話した
意外にも君は
本音を言った
「おれかって*1
前の病院で いろいろあって
一ケ月間
部屋から一歩も出ずに 寝てた
往診に釆た医者に
抗うつ薬*2をのまされた
……それから 開業したんや」
君の医院へ 点滴に通(かよ)った
君のクラウン*3の 横をすり抜け 玄関を入る
待合室では みんな黙ってる
本を読むもの 雑誌を読むもの……
おれは目を閉じる
君に呼ばれて 部屋に入ると
「よろしく」
とだけ言った
あるとき 君は
声をとがらせて 言った
「あんたかって
いいとこあるやないか」
また冗談を!
いいとこある者(もん)が 青い顔して点滴を?
おれほど世渡りの 下手なやつはいない
しかし このことばは
妙にこころに 突き刺さった
いいとこ いいとこ……
欠点のないものは いない
欠点ばかりのものも またいない
ひょっとしたらおれにも いいとこがあるかもしれない
真っ黒い紙に 黄色い絵の具が一滴 落ちた気がした
あの頃は まだ若かった
二人とも五十台
君には死の影など 微塵(みじん)もなかった
それからおれは いいとこを 探しに探した
いいとこは 見つからなかった
木の葉は 舞い上がる
木枯らしに乗って……
川をこえるもの
川におちるもの
手前の岸に しずむもの
川は流れている 光りながら
がらんとあいた空には 雲が浮いている
あっという間に 七十年
結局 何もできなかった
君はどうだった
本音を言ってくれ
「本当は こうしたかった」と
かくさずに 教えてくれ
だれもいない この山で
おれにだけ そっと
同級生の精神科医、廣兼明先生には随分お世話になりました。その
借りを返すには、拙い詩を書くことしか思い浮かびません。
この詩を書くに当って、谷口謙先生に貴重なご助言を頂きました。
厚く御礼申し上げます。 平成十七年十一月二十日
*1 だって
*2 うつ病治療薬
*3 トヨタの高級車
1〜4行程度の短い作品で知られる著者にしては珍しく長い作品です。しかも詩篇の最後に置かれていますから思い入れの強さも分かります。「同級生の精神科医、廣兼明先生」への鎮魂詩ですが、たった一つ言ってくれた「本音」に、さらに「おれにだけ そっと」と求めるところに著者の愛着の強さを知る思いをしました。「したいと思って できたものなど/めったにいない」、「欠点のないものは いない/欠点ばかりのものも またいない」などの詩片も佳いですね。
著者の特徴である短詩として「森の話」をすでに拙HPで紹介していました。ハイパーリンクを張っておきましたので、合わせたご鑑賞いただければと思います。
○桑原啓善氏著『拾遺・脱皮』 |
2006.9.18 千葉県山武郡大網白里町 ノア出版刊 1200円+税 |
<目次>
1 拾遺詩篇
こしかた 10 悔痕のような午后 12
オルガン 15 波止場から 17
蛙 18 歳 19
夜明け 20 延長 22
ジョンベラの海 25 冬眠時間 31
夕暮れはもう来ている 39
虫 40 虫についての考察 41
子供の疑問 42 お金 43
詩人 44
2 こぼれ・あそびうた集
天使の誘い 48 星(1) 49
星(2) 50 犬 51
泪 52 あこがれ 53
音 54 天 55
星(3) 56 星(4) 57
賭博 58 冠 62
天使にいいたい言葉 63
耕母黄昏 64 風の中の凧 65
石炭袋の歌 67 南十字星すてーしょん 68
南十字ステーションの歌 69
南十字星の歌 70 石炭袋 71
風 73
3 新あそびうた等(など)
天使風に 76 菌類 78
帰るところ 80 雑音 82
留守 91 四つの詩 95
エッセイ
何のために書くか 100
これでいいのか詩人達 110
前田鐡之助の磁場(詩魂)の秘密を探る 134
自然と交流した詩人 前田鐡之助 139
あとがき 244
詩人
詩人というと気位の高い人が多い
自分は高尚な仕事をしているんだと
鼻の先にツンという糸でつるした紡錘がある
ゆらゆらそいつを揺らしながら街を歩くから
めったなことで町の風景の生(なま)の風にもあたれない
邪魔をするのだ糸と称する気位せんいが
けいけんなコックさんがいる
町のレストランに行くと心が休まる
安直な椅子は座り心地のよさで選んである
差し出されるスープも ギヤマンの皿の色が
キラキラするくらいまで磨いてある
心が入った カンテラみたいな灯(あか)りの下で
すするスープと ちょっぴり肉入りサラダだけで
もうおなか一杯
詩もそうありたいものだ 心を温める
上手なコックさんが詩人ならいいな
「心を温める/上手なコックさんが詩人ならいいな」という最終連のフレーズに作者の思いが全部詰まっています。「安直」だけど「座り心地のよさで選んである」「椅子」、それほど高価ではないだろうけど「キラキラするくらいまで磨いてある」「ギヤマンの皿」、ちょっと薄暗くて「カンテラみたい」だけど「心が入った」「灯り」。それら品々が示す「コックさん」の「けいけん」さを「詩人」も見習えと言われている作品だと思います。
本著ではエッセイが約半分の量を占めていますが、その中でも「自然と交流した詩人 前田鐡之助」が100頁ほどあり、圧巻です。師・前田鐡之助への愛情あふれるエッセイです。前田鐡之助研究者のみならず、詩を愛する人にはぜひ読んでもらいたい文章です。
○個人誌『むくげ通信』 |
2006.9.15 千葉県成田市 飯嶋武太郎氏発行 非売品 |
<目次>
エッセイ 百人百色の独島の愛/アンチェドン 1
詩
私は詩人です 人類を救う詩人です/朴智慧(パクチヘ) 2
「心はどこにあるのか」/金芝郷(キムジヒャン) 3
青い星 ―尹東柱詩人六十周年忌福岡式場にて/余漢慶(ヨハンギョン) 3
秋の海/金貴姫(キムキヒ) 4
キムチ/朴河研(パクハヨン) 4
痣/イセバン 4
ぼたん雪 降る日の子守唄/パンソクジュン 5
よい詩/朴喜(パクヒジン) 5
姜敏(カンミン)の詩三篇 5
現実と詩 ―二十一世紀の詩を開くための序説/成賛慶(ソンチャンギョン) 6
散策記・1/申奎浩(シンギュホ) 7
エッセイ
歴史認識/朴煥(パクファンム) 7
竹島と独島は日韓の共有に/郡山直 8
文学人はひもじい/成耆兆 8
詩
風の丘/大島ふさ子 9
飯嶋武太郎の詩三篇 9
金伶(キムリョン)のエッセイ「一流病」 10
編集後記 12
よい詩/朴喜(パクヒジン)
日の出が数限りなく繰り返されてきたからといって
陳腐でありえようか。
億劫(おくごう)の歳月を
蓮の花を 水の中に 沈めることはできない。
よい詩は 変わりなく よい詩
千年以上も 千年後(のち)も。
詩人たちは死んでも 詩は残るから
空は青く 雲は白い。
ダイヤモンドは 神がつくった宝石で
詩は 詩人の作った宝石。
恋しさの設問
(鴻農映二訳)
詩について示唆に富んだ作品です。特に「ダイヤモンドは 神がつくった宝石で/詩は 詩人の作った宝石。」というフレーズが佳いですね。「宝石」のような詩を創りたいものです。
今号では、現在、日韓で問題になっている竹島(韓国名:独島)について多くの頁が費やされていました。なかでも朴煥「歴史認識」は佳いことを書いていると思いました。2006年5月15日の朝日新聞夕刊に載っていたもののようです。最後の部分を紹介します。
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大学で授業していて、学生から「独島(竹島)問題をどう思うのか」と質問された。「竹島は日本のものであり、独島は韓国のものである。お互いに大切なものだ」と応えた。
歴史は社会の産物です。社会が違う日韓で歴史認識が違うのはあたり前。多様性を認め合い、議論を深めれば共感できるはずです。ナショナリズムは近代国家に生理的につきものですが、病理的になってしまう危険を常に認識しなくてはいけません。
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この発言については今号で郡山直氏が「竹島と独島は日韓の共有に」というエッセイで共感の意思を示していました。「多様性を認め合い、議論を深め」ることが肝要だと改めて感じています。
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