きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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2006.11.09 表参道「Gallery Concept21」




2007.1.1(月)


 その1  
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 新年おめでとうございます!、、、と、1月6日に書いてます(^^; でも、去年は3月1日に書いてましたから2カ月は早い。退職した効果かな、と思います。ま、何はともあれ皆さまのご健康とご健筆を祈念いたします。本年もよろしくお願いいたします!

 というわけで(どういう訳だ?)、午後からは妹の家に行ってきました。20代の姪たちが一緒に酒を呑みたい、ついては旨い酒を持って来てくれ(^^; というので、先日、拙詩集の出版祝いとして贈られてきた越乃寒梅を一升持って行きました。とりとめもない話をしながら、私は3合ほど呑んでダウン。美人姉妹と呑むと酔いも早いようです。去年の正月はおばあさんも一緒に楽しめたのですが、神に召された今年はちょっと淋しかったですね。
 義弟に送られて、夕方からは寝正月と決め込みました。本当は年賀状を書かなくてはいけなかったんですが、正月ぐらいは何もしない日としてサボってもいいかなと…。明日、書きます。何もかも遅れていてごめんなさい、、、と、今年もお詫びから始まるのでした(^^;



高橋サブロー氏詩集
『エーゲ海 旅みやげ』
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2006.11.11 東京都新宿区
北溟社刊 3800円+税

<目次>
【巻頭詩】<エーゲ海 旅みやげ>
エーゲ海 二つの島…(頭05)
《人T(家族)》
【T】<家族>
一、花三輸…(I02)             二、慈母…(I04)
三、大空に太陽…(I05)           四、南天の赤い実…(I06)
五、母の暗誦…(I07)            六、母なる海…(I08)
七、還暦が過ぎると…(I10)         八、鼓動を聞きながら…(I11)
九、金沢の食文化…(I12)          十、孫との会話…(I14)
《自然T》
【U】<山岳>
一、河口湖から忍野へ…(U02)        二、詩の中の富士…(U04)
三、双耳峰のシルエット…(U08)       四、白馬三山…(U12)
五、これで 最後やぞいねん…(U14)     六、青石(白山)…(U16)
《旅行》
【V】<イタリア紀行>
一、ヘルマン・ヘッセの湖水…(V02)     二、エッツィの氷河…(V06)
三、チロリアン・ハットの街道…(V09)    四、ピエタとゴンドラの歌…(V12)
【W】<再び道南に旅して>
一、函館山…(W02)             二、駒ヶ岳…(W03)
三、有珠山と樽前岳…(W05)         四、富良野…(W06)
《自然U》
【X】<星の砂>
一、ブラック・ホール…(X02)        二、月と踊って…(X04)
三、降り積もる雪に…(X05)         四、雲に乗る…(X06)
五、天からの手紙…(X10)          六、二本のレール…(X12)
【Y】<四季>
一、枯葉が一枚…(Y03)           二、星空の花火…(Y04)
【Z】<庭と寺>
一、戒壇めぐり…(Z02)           二、婆羅双樹の花…(Z04)
三、石庭…(Z06)              四、兼六園…(Z08)
五、秋の三千院…(Z10)
《芸術》
【[】<趣味と芸術>
一、気高き薫り…([03)           二、井波の欅彫刻…([04)
三、戻ってきたカメラ…([06)        四、懐かしき名曲…([08)
五、音と光…([10)
《批判》
【\】<批判詩(1)>
一、大相撲と作詩…(\03)          二、芋と竿…(\05)
三、黄色の時…(\06)            四、うわの空…(\07)
五、蛾と蝶…(\09)             六、祝日を諄く…(\10)
七、ダボ鯊(ハゼ)のお腹…(\12)       八、トンネルだ 鉄橋だ…(\14)
【]】<批判詩(2)>
一、驚異から脅威…(]02)          二、いびつな生き物の恥部…(]04)
三、勝山の恐竜たち…(]05)         四、読み伝えるお伽草紙…(]08)
五、井の中の蛙…(]10)           六、自噴の水に水饅頭…(]12)
《国際交流》
【]T】<大陸と列島の文化交流>
一、太郎の望郷(XI02)            二、大黒様…(XI03)
三、佐渡の朱鷺…(XI04)           四、飛騨の匠…(XI06)
《詩学》
【]U】<童話詩ほか>
一、袋の中の鼠…(XII02)
.          二、蓑虫さん 蓑虫さん…(XU04)
三、囀る雀…(XU06)
【]V】<詩歌句と韻律>
[A]、「文体」から
一、「フランス紀行」
1、悪夢の二時間半…(1)散文風に書き留めて…(XV02)
2、印象派の画家たち…(2)日記風に書き留めて…(XV05)
3、モネの睡蓮…(3)随筆風に書き留めて…(XV09)
[B]、「音韻」から
二、「山と空の詩」
1、幻影の登攀者…(1)音韻と脚韻の詩として…(XV11)
2、時空の木霊となって…(2)音韻と脚韻の詩として…(XV12)
[C]、「音律」から
三、「巡る四季と島と」
1、めぐる 先島八重島諸島にて…(2)長歌(五七・五七調)風に書き留めて…(XV14)
2、めぐる栗の四季…(1)連歌(五七五調)風に書き留めて…(XV16)
《人U(学友)》
【]W】<親友>
一、青春回顧(大学の同窓生)…(XW02)
.    二、お彼岸の紅梅(大学の後輩)…(XW04)
三、君が逝って(中学の同窓生)…(XW06)
.   四、桃の礼状(同期生)…(XW07)
《医学》
【]X】<医学>
一、「筍」と「竹」と「薮」と…(XV02)    二、老女が遺していったもの…(XV04)
三、精根尽きるまで…(XV08)         四、雲上へと続く道…(XV10)
五、月刊専門誌…(XV12)           六、父の筆跡…(XV14)
《人V(詩人)》
【]Y】<詩を戴いた詩人のお二人>
一、森常治氏からの詩…(XY02)
.       二、市川貴一氏からの詩…(XY04)
三、百済寺回想の詩に感激して…(XY07)
《古代文明》
【]Z】<エーゲ海−神々の遺跡−>
一、エーゲ海よ…(XZ02)
二、エーゲ海の神々と遺跡)
T デルフィを後にして…(XZ04)
.      U クレタ島の二つの遺跡…(XZ07)
V エーゲ海の岬と小島…(XZ10)
【][】<神話の国>
一、ギリシャでの初詣…(X[02)
.       二、日本での初詣…(X[02)
三、日本の神話…(X[03).          四、日本とギリシャ…(X[04)
語学》
【]\】<「ことば」と「漢字」>
一、喜怒哀楽…(1)ことばと漢字…(X\02)   二、功徳と福徳…(2)ことばと漢字…(X\04)
三、もう「結構」…(3)ことばと漢字…(X\05) 四、同窓会の話題…(4)ことばと漢字…(X\06)
五、蚊について…(5)ことばと漢字…(X\08)
【巻尾詩】<白波騒めいて>
ミニ・クルーズ…(尾02)
【補遺】<漢字の解字考察の小論>
一、「ことば」と「漢字」−「辞」と「字」−…(補02) 詩・百二十…「辞」と「字」…(6)ことばと漢字…(補06)
二、「偏」と「旁」−「郎」と「陽」の「漢字」から−…(補07) 詩・百十六…日向ボッコ…(7)ことばと漢字…(補13)
三、「音読み」と「訓読み」−「馬喰」や「博労」に「伯楽」など−…(補15)
四、「男」と「女」に閑した「漢字」−「辞」の「始まり」は「女」から−…(補25)
詩・百三十六・長寿社会の筍医者…(3)都々逸(七七七五調)に書き留めて…(補44)
【あとがきに代えて】…(後02)
【初出一覧など】
【ループタイ(その一、その二)の解説】…(後11)
【ループタイ カラー写真】…((ルーl)〜(ルー16))
【一眼レフカメラ】…(([−7)(]−10)(XY−8)(X[−6)(補−14))



 エーゲ海 二つの島
 −ロードス島とクレタ島−

 牛に引かれて参る処 善光寺ではない
 ギリシャはアテネの パルテノン神殿
 海が大好きな女房に 任せたエーゲ海

 夢を乗せて船は進み 波間に島浮かび
 古代のエーゲ海には 神話や工学医学
 この神髄に触れんと 遺跡を尋ねる旅

     エーゲ海の 初の島ロードス
  フィロンの云う七不思議の一つ
 エーゲ海を睨むヘリオスの銅像
  港湾の存在はここだと聳え立つ
     住時の船は みな巨像目指す

哀れにも立像は跡形も 無く知る人なし
二度目のエーゲ海の旅 舵取りは率先し
目ざすクレタ島の迷宮 クノッソスとし
      神話の遺跡が 発掘されて
    クノッソス宮殿と 立証された
  一度這入るともう  脱出は無理
  迷宮には牛頭の  怪獣がおり
この怪獣の退治を  アテネの英雄・
テウセウスがする  ミノア王の娘・
  アリアドネ女王   知恵を搾
(シボ)
   腰に予め糸玉の端  確りと括
(クク)
    テウセウスの手で 手繰
(タグ)られて
      迷宮から無事 帰還させた

 赤い花が風に揺れて 手招きをすれば
 丘の上に 置かれた 白い椅子幾つか
 テウセウスはいるか アリアドネの傍

 三千七百年も過ぎた 彼女の悲しき恋
 二千四百米のイダ山 その雪のみ知る
 この迷宮の中に 今 導かれた裏舞台。

 7年ぶりの第3詩集です。上の表紙写真のところでは3800円となっていますが、それは普通本の値段のようで、私がいただいたのはウール地使用の限定版、20分の08、非売品です。高価な本を頂戴して恐縮しています。
 内容は、詩はもちろん旅の写真、蒐集したループタイ、カメラの写真もあるという豪華な造りで、高橋サブローという詩人の実像に全体的に迫ることが出来ます。
 紹介した作品は巻頭詩です。この詩集の意図を端的に表現していると思います。「神話や工学医学」が栄えた「古代のエーゲ海」を「この迷宮の中に 今 導かれた裏舞台」と最終連で結ぶ見事な作品と云えましょう。



文芸アート誌『狼』14号
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2006.12 神奈川県座間市
光冨郁也氏編集発行 400円

<目次>
短歌6首 沢木理桜・2
午後と熱/木立悟・4            誓い/蛍・8
日々/広田修・10              思想と路廻/皆川秀紀・14
(無題)/皆川秀紀・15            燃料切れ/光冨郁也・16
砂漠となる/光冨郁也・18
レポート記事
第30回記念新芸術展・皆川秀紀「ひまわり」・20
劇団零式第8回公演「返事」・23
雑記・28
紹介記事・29



 燃料切れ/光冨郁也

 ひとりでどのくらい走ったのだろうか。アクセルを踏み続け、狼と平行して草原を突き
抜けた。車体に草や砂利があたった。街の明かりは遠く、荒れた地の草は時に刃物となっ
て、金属をも切り裂く。途中、音がしたので、岩でタンクが裂けたのかもしれない。やが
て車は動かなくなり、メーターは0を示した。ガソリンが切れた車から、しずかにかげる
地平を見ていた。斜め下方、日が暮れかかっている。ハンドルの汗ばんだ手をはなし、眼
鏡のフレームを上げる。指ひとつ分、見える光景が上下する。

 ジャケットの襟を立てて、ガラス一枚に冷え始めた空気が隔たられている。地平、風で
草むらが波打っている。なびく草の先。遠くこの平野は、海につながっている。焼けた西
の空から、風が吹きつづけている。
 かすかに蒸発したガソリンと古いシートの匂いしかしない。わたしのまわり、ガラス窓
から顔をだすのは狼の目と鼻。一頭、また一頭とわたしの車を囲む。獣の灰色がかった銀
の毛が風になびく。窓ガラス一枚、車体の金属一枚で、わたしは隔てられている。狼、こ
の地では滅びたはずの種族。

 一頭、また一頭、増えてくる。うろつく。七頭はいる。ときおり光る眼。
 ダッシュボードを開ける。なにか役にたつものはないか。車のマニュアル本、車検証、
ジッポのライター、ティッシュ。地図。足下の赤い発煙筒。ナイフはない。しかたなく閉
める。
 もう一度、アクセルを踏むが、車は動かない。拳でクラクションを叩く。その音に、染
まる雲は裂けていく。

 日が暮れた。風が車の窓にあたる。いつしかハンドルをつかむ手は乾いていた。狼らは
見えない。力なくエンジンのキーをとめ、また回す。なにも変わらない。シートにもたれ
る。身体が重い。顔をあげて、前方を凝視する。気分が悪くなって、手で口をふさぐ。指
があごの輪郭をつかむ。寒い。暗い地平には限りがなく、そして夜は続く。
 窓から見える影の大地と、紺色の空とに挟まれ、わたしは眠りにつこうとしている。

(この地にひとり取り残されてしまった)

 前号までは個人誌でしたが、今号からは「狼編集室」名義の雑誌とした、と雑記に書かれていました。紹介した作品はこの後の「砂漠となる」へと続く連作と採ってよさそうです。光冨詩特有の孤独感がよく出ていると思います。喩としては「狼」は世間、「ガソリンが切れた車」は食料の無くなったアパートと考えても良いでしょう。もちろんそうではなく心象風景詩と読んでも間違いないと思います。前号から舞台はちょっと変わりましたが、描こうとしている世界に変化はないと感じた佳品です。



個人通信『萌』18号
moe 18.JPG
2007.冬の号 山形県山形市
伊藤啓子氏発行 非売品

<目次>
冬の陽
眼病



 眼病

タグチ眼科の待合室には
きれいな絵本と鉢植えが
ずらりと並んでいた
先生は女のひとだった
ほそい指でまぶたをひっくり返され
目の裏側を洗われると
首すじがぞくぞくした

ある日
診察室の奥のドアが開き
ちいさい女の子が
からだを半分だけ出していた
よく確かめようとしても
軟膏をつけられた目がぼんやりしている
せんせいんち こどもがいるの?
訊いてみたが
先生は笑っているだけで
次の日も その次の日も
女の子は
からだ半分だけでわたしを見ていた

医院の裏庭
あかい顔をしてぐずる女の子に
目のわるい子と遊ぶとうつるから――
お手伝いのおねえさんが
なだめているのを聞いた
あの子はドアのこちら側には
決して来ないのだろうと思った
きょうで治療が終わりの日
今度遊びにおいでと先生に言われたが
二度と行くことはなかった

冬になると
雪景色を見に訪れる街
駅からすぐ
タグチ眼科の跡は
下を向いて足早に通り過ぎてしまう
あの頃の風景はどれも涙目にうるんでいて
たよりなくぶれている
わたしと遊びたがっていた
あの子の泣き顔も

 最終連で「タグチ眼科の跡」とあり、「あの頃」、「わたしと遊びたがっていた/あの子」とありますから、「タグチ眼科」で「治療」していたころの「わたし」は、現在よりももっと若い、例えば小中学生の頃と推定できます。「目のわるい子と遊ぶとうつるから――」と「なだめ」られていた「女の子」と、それを知って「今度遊びにおいでと先生に言われたが/二度と行くことはな」く、「タグチ眼科の跡は/下を向いて足早に通り過ぎてしまう」「わたし」。この二人の心理描写が見事な作品だと思いました。



詩誌『ハガキ詩集』224号
post poem 224.JPG
2007.1.1 埼玉県所沢市
伊藤雄一郎氏発行 非売品

 猪よ一番ビリで走り出しても僕てるな
 最後に笑うアンカーとなればいいのだ!/伊藤雄一郎

待ち切れない散歩に連れ出した犬に引っ張られるように
『戌年』の一年が過ぎた なんとも速かったことよ
記憶にも留められないように疾走して過ぎた年だったが
考えてみれば信じられないようなことが次々と起こった

いじめ≠苦にして自殺した小学生
子の親殺し これもまた小学生だというではないか!
そしてこれは子供を産めない我が子のために代理出産した祖母
信じられない おかしな おかしな年だった

変人¢漉搶ャ泉純一郎が五年の任期を終えて退場
代わって毛並みの良い∴タ倍晋三首相が登場
途端に北朝鮮がどういう意図があってか核実験の実施
信じられない おかしな おかしな年だった

そして私ごとだが念願のイタリア旅行を家内と楽しんで帰ったら
九十一歳になる母が腰の痛みを訴えて救急入院・手術・退院
介護生活に入ったと思ったら 続いて家内の兄が入院・手術・退院
信じられない おかしな おかしな年だった

さてこそ今年は亥年 十二番目の最後の干支だ
今か今かと出番を待っていたものよ
猪突猛進しないように或いは亥武者といわれないように
落ち着いて行動することが幸運を呼ぶと常に己に言い聞かせよ!

 昨年に引き続いて「ハガキ詩集」らしい年賀状をいただきました。振り返ると確かに「信じられない おかしな おかしな年」でしたね。今年はもっと「おかしな年」になるような予感がしています。個人レベルでそれを払拭するには「落ち着いて行動することが幸運を呼ぶと常に己に言い聞かせ」ることが必要なのかもしれません。平穏な年であってもらいたいものです。


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