きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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2007.6.11 軽井沢タリアセン・塩沢湖




2007.7.20(金)


 久しぶりに庭木の剪定をやりました。特に梅の木がひどくて、1mほどの枝が数十本、ツンツンツンと天を目指しています。脚立を立てて大きな剪定鋏で刈り込んでいきました。躑躅の新芽もだいぶ伸びて、こちらは電動バリカンで。2時間ほどですっかり綺麗になって、ようやく他人様がおいでになっても恥ずかしくない程度になりました。本職の庭師ではありませんからアラは目立ちますけど、まあ、こんなもんかな。
 で、今日はそのままバタン。しばらく寝込んでしまいました(^^; 慣れないこととは云え、我ながら情けない…。パソコンの前ばかりではなく、少しは力仕事もしないとダメですね。



詩誌『やまどり』42号
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2007.7.15 神奈川県伊勢原市
丹沢大山詩の会発行  非売品

<目次>
母の髪飾り/小林教子 1
作品ノート
梅雨の花/鈴木定雄 2           少年の思い出/芝山ISAO 2
否戦を唱(とな)えまする/川堺としあき 3  虹色の風/あかしけい子 3
四月の朝/神谷禧子 4           深山の月/大橋ヒメ 4
拉致されたタニシ・オアシス/ヒメ 5    緑に融けて・街を歩く/綾香 6
春/早川綾香 7              千の風になって/瀬戸恵津子 7
五歳児の気配り/松本せつ 7        成功の選択/川口征廣 8
一日の始まり/石川洋輝 8         春の風・もう一度/こころ 8
こころをこめて・もらい泣き/こころ 9   うるおいの新潟 9
今 このときに/ゆき 10          大失敗・夢の中のキャンバス/今井公絵 10
美(ちゅ)ら海/古郡陽一 11         再会/小倉克允 11
アスファルト/上村邦子 12         蜘蛛(くも)・努め・樹雨(きさめ)/吉田涼子 12
規格サイズで計るなよ
・無題/福原夏海 13 おまけの人生・五月/高林智恵子 13
「昭和少年記」/土百 14           一杯の珈琲/湧水 15
みんな/中平土天 16
随想
「まつだいから高柳へ」の旅/古郡陽一 17   『丹の山』8集出版記念会 なごやかにひらかれました/中平 17
高柳への思いあれこれ/早川綾香 17
お知らせ 編集後記 19



 規格サイズで計るなよ
/福原夏海

ごぼうがねじれて
なぜ悪い
にんじんが二又になって
なぜ悪い
規格外は野菜市場じぁ
捨てられる
ちょっと待った
ねじれた野菜は味があるぞ
人間と同じだ
規格サイズで計るなよ


 近頃は「規格外」の野菜も見直されてきているようですが、それは極一部でしょう。やはり「規格サイズで計る」ことが主流になっています。それに対する異議申し立ての作品で、最後の「ねじれた野菜は味があるぞ/人間と同じだ」というフレーズが生きています。
 何度も読み返してみて、知らず知らずのうちに私たちは「規格サイズで計る」ことに慣れてしまって、「規格外」を排除しているのではないかと気づかされました。もちろん人間に対しても、です。小品ですが考えされられた作品です。



詩誌『北の詩人』57号
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2007.7.25 札幌市豊平区   100円
日下新介氏方事務局・北の詩人会議発行

<目次>
ライラック咲く街で/佐藤 武 1      追悼 貴島雄二 幟がゆく 2
茂子 16/阿部星道 2           戦後のつみあげから/大竹秀子 5
戦争で命を失った人の死を無駄にするな/大竹秀子 5
昔の結婚/大竹秀子 6           短詩 花の命は短くて/佐藤 武 7
政治家は、詐欺師か/佐藤 武 8      なえきたソーラン雅/たかはしちさと 9
たたかう芽生え/たかはしちさと 9     はまる/たかはしちさと 10
砂漠に咲くイリスの花/たかはたしげる 11  花/かながせ弥生 12
冬の裸木/かながせ弥生 12         賛美歌を別れに/かながせ弥生 13
友へ/八木由美 14             外で見た月/岡田 泉 14
この道は元来た道(かえらぬ青春)/岡本マヤ 15 阿弥陀の子/釋 光信 16
短歌 二題 幸坂美代子 17         この時代 誰が希望の灯を/日下新介 18
交流のページ 時評 ひらめの養殖/渋谷玲宏 19 書評 青い光が見えたから/高畑 滋 23
日下新介詩集「塩せんべいの唄」を読んで   佐藤 武 松元幸一郎 落合敏子 25
受贈詩集・詩誌感想/阿部 日下 佐藤 村山 20 参考 信頼・愛・夢をつなぐ/秋村宏 24
もくじ・あとがき 28



 この時代 誰が希望の灯を!/日下新介

  ――昭和十年代から現代をのぞむ――

あの時 まだ幼い子の惑いを
誰が止めることができたろうか

学校は
まかれた種を育てるのではなく
せっかく伸びた若芽を摘み取るところだった

教科書は灰色の霧につつまれ
教師のつとめは黒板に
白いチョークで黒い文字を書くことだった

あの時 まだ幼い子の惑いを
誰が止めることができたろうか

行く手が死出の旅路であっても
幼い子らはそこに輝く未来を夢見た

この世でいちばん美しいことは
惑う自由を抹殺して
得体の知れないものに命を投げ出すことだった

あれから数十年を経た いま
幼い子らの惑いに
誰が どんな新しい灯をともすのか

宇宙飛行士は遥かな天空で
悠々自適の暮らしを堪能していても
地球の歯車は不気味な音を立てて逆転し始めている

この時代
この国の幼い子らの惑いの出口には
再び あやしげな呪文が立ちはだかり
美しい瞳がかすみ始めている

この時代
地球のいたるところ
土壁や砂漠は血にまみれ
今日も幾万の子が飢えて息絶え
武器庫には歪んだ科学の悪性腫瘍が増殖し続けている

この時代
幼い子らの惑いに
誰が 希望の灯をともすのか
いったい 誰が!

 「昭和十年代から現代をのぞむ」という副題が重要な意味を持っていると思います。その時代を体験した人には、繰り返されている「あの時 まだ幼い子の惑いを/誰が止めることができたろうか」という思いが特に強いのでしょう。戦後生まれの私には、正直なところその実感はありません。しかし「学校は/まかれた種を育てるのではなく/せっかく伸びた若芽を摘み取るところだった」、「この世でいちばん美しいことは/惑う自由を抹殺して/得体の知れないものに命を投げ出すことだった」、「この時代/地球のいたるところ/土壁や砂漠は血にまみれ/今日も幾万の子が飢えて息絶え」ているということは判ります。それらを手掛かりに追体験する、それも大事な体験≠セろうと思います。それが「希望の灯をともす」ことに繋がるのかもしれません。重いテーマですが真摯に考えていきたいと思った作品です。



貴島雄二氏『遺稿詩集選』
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2007.7.9 札幌市豊平区
日下新介氏方・北の詩人会議刊 非売品

<目次>
詩人 貴島雄二に捧げる
誕生日 1                 幸せ 1
痛み 2                  ヘルパーさんの詩 2
赤い雪が降る 3              余計なこと 3
頑強らなくちゃ 4             道はあなたまかせ 4
花と暁の脱走 5              地ぞうさんの唄 6
居酒屋の唄 6               花と涙 7
鏡の中の女 7               夢は車椅子に咲く 8
石焼芋の詩 8               戦争でこの子死なせはしない 9
君が代と欠伸 10              雅子さまへの詩 11
天神さまの細道じゃ 11           老人とブランコと唄と 12
画家坂本直行への詩 12
エッセイ 読者こそ詩人 13
音 14                   寅さん 旅は心の唄 14
青空は母と子の願い 15           お母さんと呼びたかった 15
戦争で母と子を死なせてはならぬ 16     利尻富士からの道 17
舞台に咲く花 18              三人のいのち 18
車椅子の少女 19              花のしあわせ 19
母の願いはひとつ 20            どっこい釜ケ崎に生きる 21
花と人と命と 22              一杯の珈琲と人生の詩 22
黒い蛇 23                 闇に咲く花 24
竹とんぼの架け橋 24            蛸と云う名の朝群人 25
虹の橋 25
エッセイ 詩人と読者 26
母娘杖 26                 ヤオは知っている 27
死への滑走路 27              ままは大学一年生 28
お婆ちゃんとミニとまと 29         少女と花火 29
絶筆 幟がゆく 30



 
のぼり
 幟がゆく

(のぼりがゆく
うらわびしげなる男のかつげる
(のぼりがゆく
みんなにかこまれているようで
うら淋しがなる独
(ひとり)男の幟がゆく
明日はどことも知れぬ街をさまよう
男は雨に打たれてとぼとぼと歩く
             二〇〇七年六月

 この7月1日に80歳で亡くなった同人・貴島雄二さんの遺稿詩集です。紹介した作品は絶筆です。この詩に至るまでの作品を拝読すると意外な感じを受けました。作品は「戦争でこの子死なせはしない」「戦争で母と子を死なせてはならぬ」などに代表される反戦思想を根底にして、「居酒屋の唄」「寅さん 旅は心の唄」「どっこい釜ケ崎に生きる」など視線はあくまでも低く、しかし高い思想性に裏打ちされています。それなのに絶筆は悲壮感が漂っているように思えるのです。
 しかし、作品としては「幟」に注目しなくてはならないでしょう。幟を降ろしてはいません。「男は雨に打たれてとぼとぼと歩」きながらも担いでいます。死の直前の気力と体力のギリギリのところで担いでいる姿に感動しました。ご冥福をお祈りいたします。

 本遺稿集のうち、拙HPでは
「痛み」をすでに紹介しています。ハイパーリンクを張っておきましたので、貴島雄二詩の一端を合わせてご覧いただければと思います。



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