きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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2007.8.1 東京日仏学院




2007.8.31(金)


 朝一番で市内の印刷会社に行って、日本詩人クラブの10月研究会・例会の案内状版下を届けてきました。来週中には仕上げてもらえそうです。そのあと発送をしますから、会員・会友の皆さまのお手元に届くのは9月15日頃になると思います。まだまだ無愛想な案内状ですけど、どうぞご覧ください。どうせ私が版下を作っているのですから、その次ぐらいからはもう少し凝ったものにしたいなと思っていますが、なにせセンスがね…。そういう面でもまだまだ勉強が足りないようです。



詩と散文RAVINE163号
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2007.9.1 京都市左京区
薬師川虹一氏方・
RAVINE社発行 750円

<目次>
詩■
『天野大虹作品集 画と詩』より 霧 1
 ※
谷村ヨネ子/ばら他 2           木村彌一/ゆらぎ 4
藤井雅人/象形文字 6           薬師川虹一/訳詩「木々の木霊」より 8
早川玲子/選別 11             苗村和正/ふたかみの山 14
白川 淑/ああ 昭和レトロ\ 17      荒賀憲雄/仮象の風景 20
山本由美子/いのち 27           名古きよえ/綿菓子のような影 28
並河文子/白い花 31            村田辰夫/ピロリ菌 34
木村三千子/変遷 36            久代佐智子/庭 38
古家 晶/白松 40             成川ムツミ/愛国少年の旅立ち 42
乾 宏/GP.又は おじい 44       堤 愛子/ことば談義 46
ヤエ・チャクラワルティ/死の渓谷T 48   藤田博子/風の塔 51
中島敦子/地震 54             中井不二男/ハッチとモモ五題 56
牧田久末/青空 62             石内秀典/早春――蛇 64
同人語■
木村彌一/落す 23             白川 淑/船乗りの夢 24
久代佐智子/ごちゃごちゃの日日 25     谷村ヨネ子 桜蓼・葛・ヒメジョオンなど 26
エッセイほか■
村田辰夫/T・Sエリオット詩句・賛(31)66
荒賀意雄/路地の奥の小さな宇宙――天野忠襍記(十三)68
〈表紙〉『天野大虹作品集 画と詩』より「白い船」(1933)



 ピロリ菌/村田辰夫

胃壁を基地に飛び回る
胃のなかのヘリコプター
ヘリコバクター・ピロリ薗よ
お前は環境破壊者だ
胃の宇宙をアルカリ性で汚染して
胃酸からわが身を護る自衛隊気取り

だけどお前のプロペラは
基地周辺をひっかきまわし
自然の大地を傷つける

ぴろり ひょろひょろ
ぴったんこ
ヘリをコバんで
クッタ クターのピロリ菌
玩具
(おもちゃ)のような可愛い細菌

だけど自由にさせてはおけない
墜落させてやる
二つの抗菌爆薬と
プロトンポンプ阻害薬で
胃の燃焼を消し止めて
ビフィズス菌で体外追放

胃は澄みきった大気のなかで
こころ晴れ晴れ呼吸して
極楽浄土で
ご馳走
ペロリ

 私も「ヘリコバクター・ピロリ薗」の「プロペラ」で「基地周辺をひっかきまわし/自然の大地を傷つけ」られたことがありますが、これが詩になるとは思いもしませんでした。なんでも詩になる、とはよく言われることですけれど、その見本にような作品と云えましょう。最終連では「胃の燃焼を消し止めて/ビフィズス菌で体外追放」したあとの「こころ晴れ晴れ」した様子がよく出ていると思います。
 ところで、地球と人間の関係を考えてみると、地球にとっての私たちはまさに「環境破壊者」で、ピロリ菌のようなものかもしれませんね。「体外追放」されない前に機嫌をとらないといけないのかもしれません。そんなことまで考えさせられた作品です。



隔月刊詩誌
『サロン・デ・ポエート』269号
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2007.8.25 名古屋市名東区
中部詩人サロン編集・伊藤康子氏発行 300円

<目次>
作品
カケイボから…小林 聖…4         バラを噛む…野老比左子…5
残照 −春日井建兄に…阿部堅磐…6     橋…みくちけんすけ…8
ある日常…伊藤康子…9           朝の風景…足立すみ子…10
尚平君と万年青…甲斐久子…11        一票の行方…荒井幸子…12
外はざんざ降り…横井光枝…13        空梅雨に乾く…及川 純…14
最愛の友へ…黒神真司…14
散文
「青息吐息の僕の詩集」を読む…阿部堅磐…15  山形周遊…阿部堅磐…16
横浜散歩…阿部堅磐…17           同人閑話…諸家…18
詩話会レポート…20             受贈誌・詩集、サロン消息、編集後記
表紙・目次カット…甲斐久子



 一票の行方/荒井幸子

火ぶたが切られ
テレビ選挙カー電話辻説法チラシ……
それらの中には
本心の表明もあるだろう
いいや偽りと嘘の塊ばかり……と
端から疑ってかかる私

好感を持たせ
感情をくすぐり
ワンフレーズで単刀直入
目指すは好印象と親しみやすさか
信念も熟慮もなく出る
軽薄な言葉には騙されまいと
見ざる聞かざるをきめ込み
巷の雑音を
冗長なBGMとしてペンを走らす

言葉は今
時間と場所を潰すためだけの
意味や論理ではなく
熱や匂いを伝えるだけの
ひたすら心情をあおり立てようと
その場その時だけの使い捨てに――

先日久し振りに逢った孫
一歳二ヶ月
「あー」「うー」「マーマ」……と
数種類のボディランゲージが全て
それだけで
彼の本心は痛い程伝わる
そんな孫に投じたい
私の大事な一票

 先日の参議院選挙で「大事な一票」の重みを感じ取った人は多いのではないかと思います。「軽薄な言葉には騙されまいと」賢明な市民が多かったことに安堵しましたけど、幾人かの候補者の言葉は「その場その時だけの使い捨て」だったことは忘れないでいたいものです。
 この作品は最終連の「そんな孫に投じたい/私の大事な一票」がよく効いています。それは「彼の本心」が「痛い程伝わ」っくるからなんですね。本当は政治家にもそんな「本心」がほしいところです。政治と孫の対比の妙を感じた作品です。



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