きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり 】 |
2008.10.9 八方池 |
2008.11.25(火)
その1
千駄ヶ谷で開催される「歌曲の夕べ」に誘われていたのですが、行きませんでした。昨日は「夕顔忌」、明日は「ペンの日」。あいだの今日は出かけるのを控えたという次第です。お誘いくださったNさん、申し訳ありませんでした。いただいた時間は、もちろん寄贈図書の拝読に使いました。
○渡ひろこ氏詩集『メール症候群』 |
2008.11.11
東京都新宿区 土曜美術社出版販売刊 1800円+税 |
<目次>
T 回遊
IT(アイティ) APPLES(アップルズ) 8 メール症候群 11
ネット遊泳 14 バーチャル・アフェア 17
MAJIN 21 かくはん(確犯) 26
盲た熱帯魚 29 1/fのゆらぎ 32
ゼリービーンズ 35
U 泡沫(うたかた)
ドライフルーツ 40 ダンサー 43
音の回廊 47 環状感染症候群 50
花冷え 53 ウォーター・フロント 59
月をついばむ魚 64 白桃夢 68
夜桜 70
V 絆
ジゴロのごとく 76 ミスキャスト 79
映して 82 コラージュ 86
彼の地 天草にて 89 カゴノトリ 94
ベクトル 98 塾帰り 101
ゆるゆる日和 104
あとがき 109
メール症候群
親指でしか語れなくなった
指先が覚えてしまったのだ
無機質な凹凸に触れるだけで
整然とした文字が手に入ることを
まっさらな紙の緊張や
そこに落ちるイビツな文字
との格闘も捨て
いつでもリセットできるコトバを
小さな画面に吐き続けている
いつのまにかアナタに語っているのか
手の中の忠実な画面に語っているのか
小刻みに蠢く親指にしかわからなくなり
増殖をやめない文字と向きあううちに
頭から画面に吸いこまれる気がして
4×3cm四方の世界が唯一と
溺れそうになったワタシは
次第に黒鉛にふちどられた
カンジ≠フ輪郭がくずれていき
張りめぐらされたシナプスが
プツプツ と切れる音を
遠くに聞きながら
それでもケータイのディスプレーを
握りしめる右手首には
7歳のとき刺した鉛筆の芯が
今もじっと
ワタシを見つめる
第1詩集です。ご出版おめでとうございます。タイトルポエムを紹介してみましたが、〈いつでもリセットできるコトバを/小さな画面に吐き続けている〉こと、〈いつのまにかアナタに語っているのか/手の中の忠実な画面に語っているのか〉わからなくなること、〈4×3cm四方の世界が唯一と/溺れそうになったワタシ〉がいること、などが〈メール症候群〉なんでしょうね。最終連の〈7歳のとき刺した鉛筆の芯〉が〈ケータイ〉と対照的で、ここは巧く収めたなと思います。
私事ですが、1980年代後半のパソコン通信から始まって、長い〈メール〉の歴史を体感しています。いまでは電話よりも便利に使っていますが、私も〈メール症候群〉をときどき感じます。そのたびにこれは道具なんだ、道具にオレが使われてたまるか!≠ニ自問自答しています。そしてたまには〈鉛筆〉。鉛筆も携帯もパソコンも、道具という認識を持ち続けたいと思っています。
新しい詩人の登場です。新しい感覚の新しい詩をこれからも創ってくれるでしょう。今後のご活躍を祈念しています。
○詩誌『二行詩』26号 |
2008.11.20 埼玉県所沢市 伊藤雄一郎氏・連絡先 非売品 |
<目次>
旅路ほか/大瀬孝和 哲学する二行詩W/伊藤雄一郎
狢物語/木秋尾 都会・夏/布谷 裕
お盆四景/和氣康之 或る先輩詩人との一献/植木肖太郎
晴れた日の感情/小林妙子 ちいさなたび/佐藤暁美
星が降る/渡辺 洋 天道虫ほか/小沢千恵
水泳教室/濱條智里
木陰集 青柳 悠・和氣康之・永野健二
先人の二行詩を訪ねて 第九回 安西冬衛(1)/伊藤雄一郎
あとがき
○個人詩誌『ぽとり』12号 |
2008.11.30 和歌山県岩出市 自転舎・武西良和氏発行 300円 |
<目次>
特集=静止=について 1
詩作品
サナギ 2 空蝉 3 彫像 4
トルソ 5 マネキン 6 句読点 7
部屋 8 古家の瓦 9 土壁の家 10
つり鐘 11
ポトリの本棚・ベンヤミンを読む(3)12
受贈詩集・詩誌等 14
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