きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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2008.11.21 静岡県裾野市・五竜の滝




2008.12.4(木)


 ようやく地元・西さがみ文芸愛好会編の『文芸作品に描かれた西さがみ』が出来上がりました。こんな本です。

『文芸作品に描かれた西さがみ』
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2008.11.20 神奈川県小田原市
西さがみ文芸愛好会編・伊勢治書店発売 1600円+税


 まずは「まえがき」と目次をご覧ください。

 まえがき

 小田原、箱根、真鶴、湯河原、南足柄、二宮――神奈川県西の「西さがみ」と称するこの地域は、首都圏からも近く、海あり、山あり、平野あり、温泉にも気候にも恵まれ、交通網も発達した、わたしたちの生活圏であり、わたしたちのふるさとである。
 こうした豊かな立地条件が幸いして、明治以降、数多くの文人たちが来遊し、かれらは、さまざまな文芸作品の舞台に、「西さがみ」の情景を登場させてきた。
 この地域の文芸愛好者たちの友好的な集まりである西さがみ文芸愛好会は、1988年に創立され、恒例となった「文芸のつどい」や「西さがみ文芸展覧会」などを通して、文人たちの残してくれたそれらの貴重な作品について従来からしばしば話題にのぼらせてきたことはあるが、知っているようでいて、その実、直接、作品に触れる機会はほとんどなかったというのが実情だった。このことは、わたしたちの会の者たちだけでなく、この地域に居住する文芸愛好者たちに尋ねても同様だった。
 そこで、会が創立20周年を迎えたこの機会に、あらためてそうした作品を拾いだし、原作品を読み直して、一般の人たちの便に供することのできるような冊子を作成しょうじゃないかということになったのである。候補にあげられた作品には、本会の会員たちが手分けしてあたり、さまざまな解説書を参考にしたり、不足の部分は互いに補いあって、解説を試みた。
 原作品の検索、明治期から昭和戦前までの風景写真などについては、小田原市立図書館、箱根町立郷土資料館、神奈川近代文学館などのご協力によるところが多く、感謝の念を捧げるものである。
 こうした冊子が今までにこの地域で刊行されたことはなく、わたしたちは、大きな情熱を注いで取り組んだつもりである。
 『文芸作品に描かれた西さがみ』と題するこの冊子によって、わたしたちの愛する「西さがみ」の文化的土壌の豊かさが多くの人たちに再認識されることを願っている。
                  2008年9月  西さがみ文芸愛好会


 目次
【口絵写真】明治期の西さがみ…3/大正期の西さがみ…6/昭和戦前・戦中の西さがみ…10/昭和戦後の西さがみ…12
序詞…15
まえがき…16
凡例…22

■明治期の情景
鬱葱と樹の茂った真鶴ケ崎  小説「千鳥ケ淵」(1892)から…………………石橋 思案…24
「国府津行」の終列車    小説「黒潮」(1902)から………………………徳富 蘆花…28
古駅蕭々たる小田原の街   小説「地獄の花」(1902)から…………………永井 荷風…32
石ころばかりの渓谷の町   小説「湯ケ原より」(1902)から………………国木田独歩…36
雲深く分け入る思      小説「湯ケ原ゆき」(1907)から………………国木田独歩…40
城の傍の梅林        小説「千歳之鉢」(1903)から…………………泉  鏡花…43
前川の寺でくつろぐ「岸本」 小説「春」(1908)から…………………………島崎 藤村…47 ◎
国府津海岸の浪の音     小説「耽溺」(1909)から………………………岩野 泡鳴…51
トロッコに憧れた「良平」  小説「トロッコ」(1922)から…………………芥川龍之介…55
親しみ深い相模野の景色   小説「羹」(1912)から…………………………谷崎潤一郎…59
死ぬ気で乗り込んだ船    小説「不幸な母の話」(1921)から……………谷崎潤一郎…63
五月幟の鳴る小田原の町   小説「母」(1914)から…………………………真山 青果…66
大きな風呂場に一道の夜気  小説「明暗」(1916)から………………………夏目 漱石…70
 ◆明治終期の交通網[図版/解説]…74

■大正期の情景
箱根路の黒髪洗ふ吾妹子   随想「谷崎潤一郎」(1947)から………………辰野  隆…76
慈母のやうな春雨の愛    随想「お花畑の春雨」(1918)から……………北原 白秋…80 ◎
「姫の水の坂」を行く    小説「谷間」(1974)から………………………川崎長太郎…84
熱海線開通に沸く小田原町  小説「闇を裂く道」(1986)から………………吉村  昭…88 ◎
真鶴まではまだ一里     小説「真鶴」(1920)から………………………志賀 直哉…92
早川の船着場        小説「熱海土産」(1925)から…………………島崎 藤村…96
雪焼け顔の辻村伊助     小説「忘我の記」(1987)から…………………中里 恒子…99

 ◆大正終期の交通網[図版/解説]…103
■昭和戦前・戦中の情景
達磨の姿に似た飄然たる峰  小説「ゼーロン」(1931)から…………………牧野 信一…106
箱根山の最も深い美しさ   随想「強羅高原」(1938)から…………………北條 秀司…110
御幸ケ浜の納涼映画     随想「遠い波」(1990)から……………………廣澤  榮…114
海岸の小さな町の悲劇    小説「夏の葬列」(1955)から…………………山川 方夫…118
 ◆昭和戦前の交通網[図版/解説]…122

■昭和戦後の情景
二宮の「相模保育所」    小説「うず潮」(1947)から……………………林 芙美子…124
わすれられない青春グループ 随想「こゆるぎ座四十年」(1985)から………北條 秀司…128
富士の身じまひ       小説「虫のいろいろ」(1948)から……………尾崎 一雄…131
足柄の右は丹沢山      小説「美しい墓地からの眺め」(1948)から…尾崎 一雄…135
箱根登山電車の紫陽花    小説「箱根細工」(1951)から…………………三島由紀夫…138
毎朝ちらし丼を食べて    小説「山桜」(1954)から………………………川崎長太郎…142
故郷の快適な五コース    小説「彼」(1962)から…………………………川崎長太郎…145
小糠雨の湯河原海岸     小説「波打際」(1957)から……………………檀  一雄…148
湯河原の旅館のできごと   小説「日日の背信」(1956)から………………丹羽 文雄…152
「加満田旅館」の小林秀雄  随想「湯河原の思い出」(1992)から…………水上  勉…156
強羅から木賀、底倉へ    小説「箱根心中」(1956)から…………………松本 清張…160
四十メートル下の早川    小説「蒼い描点」(1959)から…………………松本 清張…164
芦ノ湖の「湖水祭り」    小説「箱根山」(1961)から……………………獅子 文六…167
城跡公園の花あかり     小説「花冷え」(1963)から……………………瀬戸内晴美…171
板橋の能楽堂からの坂道   小説「舞いの家」(1971)から…………………立原 正秋…175
堀端の「深津医院」で    小説「その年の冬」(1980)から………………立原 正秋…179
大雄山から明神へ      随想「明神明星」(1967)から…………………中河 与一…182
茶の間から仰ぐ金時山    小説「仙石原」(1971)から……………………高井 有一…186
すみれの花のつつましさ   随想「春のすみれの抄」(1979)から…………帆田 春樹…190
近所の庭に山猿が……    小説「インド綿の服」(1987)から……………庄野 潤三…194
 ◆西さがみの交通網(1970年代)[図版/解説]…198

人名索引…204/地誌索引…203/事項索引…200
執筆者/推進委員一覧…205
協賛広告…206−210

 どうです、お気に入りの作家はいらっしゃいますか? 意外な作家が西さがみの意外な情景を描いています。この本を読んでいただいて、原本を読みたいなと思ってくださったら、編集者としては望外の喜びです。ちなみに◎は村山が執筆した処です。写真もふんだんに使って、本作りの楽しさを味わいながら書きました。是非お読みください。神奈川県小田原市の伊勢治書店
http://www.iseji.net/ でお求めになれます。




詩誌『帆翔』44号
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2008.11.20 東京都小平市
《帆翔の会》岩井昭児氏発行 非売品

<目次>
《詩篇》
金魚売りの夢………長島三芳 2       しあわせ……………大岳美帆 4
の、ようなもの……渡辺静夫 6       小さい花……………坂本絢世 8
勇ちゃん……………岩井昭児 10
《随筆》
求めるものは何?…大岳美帆12        癇癪…………………渡辺静夫14

時代小説 暁闇の星(後篇・第3回)…赤木駿介 18
※受贈詩誌・詩集等紹介…………………… 2〜17
◇あとがきに代えて/◇同人連絡先…………… 24




詩誌『撃竹』69号
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2008.11.15 岐阜県養老郡養老町
冨長覚梁氏発行 非売品

<目次>
消し忘れた日々………………………頼 圭二郎 2   少年の秋の歌……………………………前原 正治 4
僻村幻想譚……………………………前原 正治 8   闇を射通すもの−亡姉・真理代に−…石井真也子 11
あのとき確かに………………………中谷 順子 12   焦燥………………………………………中谷 順子 14
はるの棘………………………………若原  清 16   猛暑狂想日記……………………………若原  清 18
草花と糞と……………………………掘  昌義 20   青空………………………………………掘  昌義 22
どんよりとした秋の空が……………齋藤 岳城 24   音…………………………………………北畑 光男 26
冬の横笛………………………………冨長 覚梁 28   虫たちとニンゲン………………………冨長 覚梁 30
町の名に秘められた詩人の業
  −斎藤央詩集『町の名』………村山 精二 32   撃竹春秋……………………………………………… 34




 今号では私の拙い書評を載せていただきました。御礼申し上げます。




詩誌『ひを』11号
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2008.11 大阪市北区 三室翔氏発行
286円+税

<目次>
三室 翔 失楽 2   GENTLE RAIN 4
古藤俊子 永遠の奏 6
寸感   8



   
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