きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり 】 |
2008.11.21 静岡県裾野市・五竜の滝 |
2008.12.3(水)
午後から横浜市中区吉田町のギャラリー「ミロ」に行ってきました。会社時代の仲間が1日から1週間の個展をやっているのです。彼は詩人でもありますから、詩画展−風と樹と夢のかたち−と銘打って、日本画と自作詩のコラボでした。彼の絵はもう数十年観てきましたけど、観るたびに良くなっているなあと思います。特に会社を早期定年退職したこの2〜3年が良いですね。絵描きにとって俗業のストレスは大きいものかもしれません。場所はイセザキ町からちょっと外れた処で、意外に良い場所のようで通りすがりの人が多く訪れていました。
会場は6時半までですが、終わるまで待ちきれず、彼と共通の仲間である同行の女性と一足お先に居酒屋へ。会場の目の前の店ですから、入るお客さんを眺めながら呑んでいました。定刻前に彼も会場を閉めてやって来ました。久しぶりに3人で呑んで旧交を温めました。3人とも帰る方向は一緒なので、これも珍しく東海道線に乗って小田原へ。小田原近郊の3人がわざわざ横浜まで行って、呑んで帰ってくるという、なかなか味わい深い夜でした(^^;
○小坂顕太郎氏詩集『五月闇』 |
2008.11.30
東京都板橋区 コールサック社刊 2000円+税 |
<目次>
第T章 五月闇
五月闇 10 明暗 14 遠雷 18
あたたかな狼煙 22 残酷な眼 28 喪中 34
逃走ソナタ 38 ドングリと意思 42 野ざらし 46
鳥類 50 三つの休日 56 月の肉声 66
第U章 晴れやかな日
講堂 72 昼夜のない部屋 74 river 82
鍵盤のみずうみ 86 最果ての君 92 花街 〜その界隈 96
ヴぃ 102. 砦 106. 4つのデッサン 108
お空 チカチカ 112. かみなづき 114. オリーブのある部屋 116
晴れやかな日 122
あとがき 126. 略歴 128
五月闇
五月闇(さつきやみ)はあまりに暗くて
まばらにともる貧しげな街灯ばかりが頼りだ
ここいらでひと休みしようと立ち止まるのだが
今しがたすぐ側を沿うて歩いた城壁までが見当たらない
五月闇はあまりに暗いのだ
頭のすぐ後ろに膨大な闇が連なって
ふとすると気が遠くなる
ふいに 匂い立つ悪意は
愚かで聞き分けのない 孟夏の精霊ドモのようようやって来たかと
寸時浮き足立ったが
すぐにそれは 不遜なアナタの残り香だと知って
慄いてしまう
音のない赤色灯が 時折とおくの水たまりを掠めていく
こんな夜更けに走り込みを行うジャージの若者の一団が
横顔を行き過ぎる
足元には白い髪の毛 白い睫毛(まつげ)の子供が二、三 へばりつき
堀に面して釣りをする者
乳母車を押す子守唄の
年増女の生活やつれした顔は
そのまま乗せられた赤子の寝顔のようで
舌打ちしてシャカリキに誰かを呼ぶ声は
他でもない私自身の呼び声だろう
しかしそれらはすべて闇の中の気配にしか過ぎない
通りすがりのつもりであったワタシは
シンピカ有頂天の自転車みたく無知であったワタシは
いつしか季節の狭間そのもののような
不鮮明なところへ迷い込んでしまったのだ
立ちすくむ五月雨(さみだれ)はつめたくもあたたかくもなく
鼻すじを伝って正確に 同じ靴先へと落ちていく
暗がりの中でそればかりが よく見えた
無数の蛇が絡み合って 息苦しく
青白い炎に 灼かれている
ワタシにはもう どうすることもできない
五月闇はあまりに暗くて 途方に暮れる
1974年生まれという著者の第1詩集です。ご出版おめでとうございます。ここでは巻頭作でタイトルポエムの「五月闇」を紹介してみました。〈シンピカ有頂天の自転車〉とは、新品でピカピカの自転者という意味でしょうね。この年代の言葉なのか、著者の造語か分かりませんが面白い言葉で、詩語としても無理がないと思います。〈舌打ちしてシャカリキに誰かを呼ぶ声〉というフレーズなどとともに、私たちにはない感覚を感じさせます。今後のご活躍を祈念しています。
○詩誌『黒豹』119号 |
2008.11.30 千葉県館山市 諫川正臣氏方・黒豹社発行 非売品 |
<目次>
諫川 正臣 山並み小景 2 浅春 3
西田 繁 音 4 一ドル三六○円の頃 5
よしだおさむ あした 6 どこへ 7
前原 武 週末の朝 8 朝顔 −向かいの奥さんの 9
山口 静雄 晩秋 10
富田 和夫 ハイランド牛 11
杉浦 将江 みちくさ 12 神戸にて 13
本間 義人 詩人の庭 14 ある自伝 15
庄司 進 靴屋 16 面白いか 17
編集後記 18
○詩誌『Messier』32号 |
2008.11.30 兵庫県西宮市 香山雅代氏発行 非売品 |
<目次>
追悼 松尾直美 大姉 12
小柳玲子 松尾美成 内藤恵子 香山雅代
洗濯機との別れ 松尾直美 2
白いこぶしの木 内藤恵子 4
遅ればせにやって来た夏 内藤恵子 6
Ode−断崖 香山雅代 8
変容の月代−「文彩(フイギュール)」と「私(ジュ)」のための− 香山雅代 10
星間磁場
俳句雑感U 切字「かな」と「や」 内藤恵子 16
旅の雫 香山雅代 17
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